あらすじ
人間の血を吸うなんて、ありえない――! 吸血鬼一族・嵐野家のひとり娘でありながら普通の高校生として暮らす弓子だったが、17歳の誕生日を間近に控えたある朝、得体の知れない物体に出くわす。その黒くてトゲトゲの「Q」は、弓子が人間の血を吸わずに17歳を迎えられるか、監視しに来たという……。とびきりキュートですこぶる愉快、けれど忘れられない切なさを残す、新時代の青春小説!
...続きを読む感情タグBEST3
Posted by ブクログ
万城目学に物語を書かせると、それはもうファンタジーだとかミステリーだとかのジャンルを超えて、万城目学というジャンルなのではないかと思わされる。
今回の作品も日常生活(とはいえ「吸血鬼の」ではあるが)から始まって、気づけば本当に自分たちと同じ世界に住んでいるのではないかと思わされて、あっという間に読み終えてしまう。
「鴨川ホルモー」でも、本当にホルモーなるものがあるのかもしれないと思わされるし、「鹿男あをによし」でも、奈良には本当に鹿男がいるのかもしれないと思わされるのである。
この作品も日常と虚構の境目を見事にシームレスにつなげている。
やはり万城目学は面白いのである。
Posted by ブクログ
弓子とヨッちゃんのやり取りがおちゃめでコミカルで声を出して笑ってしまうほどだった!
ほのぼのした日常から一転、囚われたQを助けるための冒険やアクションと振り幅が大きくて楽しめた。続編も読まなきゃ!
Posted by ブクログ
最初から最後までずっと面白かった。
小説を読み始める時、知らない人物に対してすぐには感情移入できないというか、トランスに入りづらいけど、たまに最初からトランスに入れる小説がある。
この小説もそうだった。
最初の入りがコミカルで、ずっと雰囲気がそのままだったから最初から最後までずっと面白かったのかな?という自己分析。
Posted by ブクログ
万城目学氏の小説は当たり外れが大きい。
奇抜なアイデアにより、日常世界からファンタジー世界への扉が開かれ、冒険がはじまってゆくのが氏の小説の特徴であり面白さである。そうして広がった風呂敷がうまく畳まれればよいが、前半で力尽きたのか、なんとかまとめようとしているのか、尻すぼみでがっかりさせられる作品も何作かある。
前置きが長くなったが、本作は無茶苦茶面白かったです。17歳の誕生日まで血を吸わないでいれば、儀式が成功し、脱・吸血鬼化するという主人公を襲う試練、楽しい冒険絵巻でした。コミカルな友人のヨッちゃんが良いキャラしていて好きでしたね。
続編もあるようなので、文庫化を楽しみに待ちたいと思います(貧乏人)。
Posted by ブクログ
万城目氏が吸血鬼を書く。もちろん普通の話になるわけもなく、予想外の展開が続いて、あっという間に最後まで読んでしまいました。
そして毎度毎度、いいところで終わるんだな、これが!《この先を読みたい病》にしっかり罹ってしまいました。最後に出てくる「大きな再会と、ふたたびの大冒険」は当然のこと、親友ヨッちゃんの恋の行方とか、いろいろと気になることが「後は読者のお好きなように想像してください」と放置されているので、身もだえしています。
「許す」とは何か。それがこの作品のキーワードです。
Posted by ブクログ
果たしてこれをどう面白く物語に仕立てるのだろう…と一見して不安になってしまう微妙な初期設定でありながら、あれよあれよという間に不思議なほど巧みに料理されているではないか…という見事な手腕は本当にいつも通り。
特に今作では第2章以降ぐわっと一気に加速度を増していく馬力がものすごく、弓子たちがクボーに乗り込んで大立ち回りを繰り広げるクライマックスが文字通りの見せ場となっている。
まさか宙に浮かぶトケトゲの生えた奇妙な球体を題材にして、読者の琴線にここまで訴えかける物語になろうとは、露ほども思わなかった…。
「新世界より」で、無間地獄の刑に処されるバケネズミに感情を揺さぶられるのに似ているだろうか…知らんけど。
著者にとってはまさしく会心の当たりと言っていいのではないか。
乱暴に一言で括れば"永遠の青春ノスタルジックファンタジー"、子供の頃に「はてしない物語」を読んだ時に感じた類の心情が無意識のうちに浮かび上がってきたような印象を得た。
あるいは長じてからは「かがみの孤城」に対しても同種の感慨を抱いたように記憶している。
著者の万城目学氏は、長く森見登美彦氏といわばセットのような捉え方をされてきた側面もあるかと思うが、京大周りの人間がにやりとほくそ笑む作品を書く人、という印象は近年薄れてきた。
そっち系はそっちでもちろん充分楽しめるのだが、小説家として円熟し懐が広がってきたのだなと、僭越ながら古くからの読者として素直に感じる。
余談ながら、吸血鬼サイドの名前には"きゅう"と読める漢字が入っている?
右馬三郎がその法則から外れているのが少し気になるところだが…。
一点、複数の自転車が前後に組む隊列はフォーメーションではなくトレインですよ万城目さん…。
Posted by ブクログ
久しぶりの万城目学さん
なんとも小説らしくない題名で
読もうかどうしようかと
迷っていたけど
吸血鬼の話しと知って読んでみた
ちょっとぞわぞわしてみたくて‥
結果、おもしろかった!
普通の人間とおなじように生活する吸血鬼
しかも、可愛い17歳の女の子
いまや、吸血鬼も寿命をもつことを選択できる
時代となっていて‥なんて
ありえそうな発想!
いや、ほんとにあるかも
吸血鬼プラス青春な一冊!
やっぱり万城目さんは好きだな〜
Posted by ブクログ
万城目学の吸血鬼少女物語。冒頭はゆるかなスピードで始まりほのぼのしているが、中盤で急転直下事件が起こってからはスピードが加速する。ユーモアのある文体は健在であり、登場人物も世界観もありそうでない絶妙なラインをついている。
設定作りがやはり上手い。吸血鬼と人間が共存する世界を無理の無い範囲で作り出している。日常にも吸血鬼がいるのではないかと思わせるような内容である。よく考えたら吸血鬼が影の中にいるというのは西尾維新の化物語の忍も然りだったか。他の万城目作品同様の構成だが、テーマが変わればいくらでも作品は作れるのだろう。グレート清子が出てくるあたり他の作品との繋がりも予感させるのだろうか?そう考えると伊坂幸太郎や辻村美月のような側面もある。
弓子の設定もヨッちゃんの設定も良い。個人的にはヨッちゃんの惚けた方向に真面目に全力投球な姿がとても好感的である。それでいて恋も手助けもいざという時はしっかり本質を外さない感じが良い。この他、Qをはじめとする吸血鬼メンバーもそれぞれ味がある。よくキャラが立っており面白く読ませてもらった。続編も気になるところである。
Posted by ブクログ
現代に生きる吸血鬼の女子高生のお話
--------------------
見た目は普通の高校生、でも実は吸血鬼。
平穏な日々を送る嵐野弓子のもとに「Q」が出現、試練と冒険の幕が開く!
吸血鬼の一族である嵐野家。でも、現代の吸血鬼は人間社会に溶け込んでいて、人の血を吸うなんてもってのほか! 嵐野家の一人娘・弓子は親友のヨッちゃんと楽しい高校生活を送っていたが、ある朝突然「Q」というトゲトゲのばけものが出現。弓子が17歳の誕生日を迎えるまでの10日間、人の血を吸わないか監視に来たと言うのだが……。
「Q」にまつわる秘密、親友の恋の行方、そして巻き起こる大騒動の結末は……!?
ミラクル吸血鬼ストーリー!
--------------------
不思議な力を持つ家系の高校生の物語という点では、「偉大なるしゅららぼん」に近いものを感じる
吸血鬼という存在と、色々と課せられているルールが、物語が進むにつれて少しずつ明かされていく
現代で吸血鬼として生きていくためには、不老不死を手放す代わりにデメリットを軽減する「儀式」
その儀式を受ける事ができるのは、17歳まで人の血を吸った事がない者
ウニのような外見で突然現れた「Q」は弓子が17際になるまでの10日間の監視役
過去に血を吸ったことがあるのであれば、血の渇望で10日間も我慢できないという
これまで通りに日常生活を送ろうとしていたところ、友人とのダブルデート中にバスの事故に遭ってしまう
瀕死の友人を助けるために、血を吸って眷属にすしようとするが……
弓子は結構迂闊
自分では気をつけているようだけど、Qから指摘されているように、絶対に誰にも見られていないか確認しているわけでもない
しかしまぁ、そんな力を持っていながら普通の生活を送りつつ、むしろ目立たないように行動できる自制心はあるようだけどね
序盤は結構コメディで面白く読める
中盤の「血を吸ったはずなのに、何故吸ってない事になっているのか?」という謎が提示されてからはシリアス度が増してくる
それでも所々にユーモアを感じる描写もある
佐久との吸血鬼の常識のすれ違いなんてそんな感じ
そもそも、ヨッちゃんに対しては吸血鬼であることを隠さなければいけないという状況だからこそ、無理筋の誤魔化し方になるわけで
その設定がいいのだろうな
あと、使われてるネタの対象層が結構中年以上向け
AKIRAの横滑り停止とか、司馬遼太郎とかね
まぁ、私としてはかなり直撃世代だから面白いけど、若い子は理解できるのだろうか?
どうやら続編があるらしいけど
あの終わり方からどう続くのだろうか?
それとも、他の子が主人公になるとか?
まぁ、文庫化待ちですね
Posted by ブクログ
血を吸わない吸血鬼一族っていう設定がまず面白く、主人公の女の子とその周囲の友人たちはみなキュートで微笑ましい。
いつもの通り、深く意味を考えるだけ無駄になりそうな、ユニークであり、ある意味脱力しそうなネタが色々と散りばめられていて、なんだかんだ楽しく読めた。
がしかし、終盤のこの展開はちょっとやりすぎというか、もっとシンプルな救出の形にしてもよかった気はする。
Posted by ブクログ
個人的初の万丈目学作品。"万丈目"というと20世紀少年の党首を思い出すのもあって、カルトっぽい小説書くのかなとか超絶偏見持ってたんですけど、本作はめちゃめちゃポップでコミカルな作品で驚きでした(どうでもいい)。コミカルと言いつつ、バス事故の緊張感ある描写だったり、ハートフルな結末であったり読み応えありつつもサクッと読めてどなたにでもおすすめの一作でした。よっちゃんのキャラ好き。スピンオフ出てるみたいなので、そのうち読みたいです。
Posted by ブクログ
コミカルで主人公も応援したくなる性格をしていて、読みやすい本を求めている方にはおすすめな一冊だと感じた。予想外な展開もあり、どんどんと読み進めることができた。
Posted by ブクログ
一気に読んでしまった
ファンタジーというのかな謎の世界があるんだけど
それと同じくらい人間(吸血鬼?)の友情や愛だとか優しさとか深いものがある
主人公の女の子が良いです
読みながらワクワクしたりドキドキしたりホッコリしたり
ページめくるのが楽しいストーリーでした
万城目ワールド好きです
Posted by ブクログ
読みやすい一人称。
もうすぐ17歳になる高校生の吸血鬼が人間の世界で暮らす青春劇。と思いながら読み進めていた。実際にそうだった。親友との何気ない会話や休日のイベントなど。
それがQ激にミステリーになっていく感覚。読みやすくて面白い。
ただ、最後は読者に委ねる感じのふわっとした終わり方。
これはこれであるあるな締め方だけどもう少しだけ掘り下げてもよかった気がする。
余韻と物足りなさは紙一重なので難しいけど。
Posted by ブクログ
全体的にコミカルで楽しい。
吸血鬼の弓子と人間のヨッちゃんの掛け合いには思わずクスッとしてしまう。
面白いなあと気が緩んだところに、突然シリアスシーンをぶつけてくるから油断できない。
特にバスのシーンにはハラハラさせられた。
さっきまでのわちゃわちゃ感は何処へ??と戸惑ったほど。
息を呑む戦闘シーン、悲しく切ない「Q」の過去、17歳になった弓子の覚悟。
面白くて心を揺さぶられる青春小説でした。
Posted by ブクログ
吸血鬼のお話?なんだか久しぶりにこういうおとぎばなしのような
ストーリーに興味を持ってしまい
買ってしまいました。
そういえば、昔昔私が子供の頃
吸血鬼が本当にいると信じていて
夜になるとよくまわっていた
チャルメラのラーメン屋さんの
あのちょっぴり怖いあの音「ちゃららーらら…」が聞こえると
何故か吸血鬼がやってきた音だと思って怖がってたなぁと
ふと思い出しました。 笑
今回の吸血鬼は
かわいい弓子という血を吸わない17歳の高校生の吸血鬼が
いろいろなことに巻き込まれる
ストーリー。
弓子の
すごく勇気があってかっこいい
青春のお話から、
ちょっぴりわからない吸血鬼の世界のお話
でもいちばんは、めちゃくちゃ
大変なことに巻き込まれてるのに
なーんか全然動じず、おおらかな
親友のヨッちゃん。
ただものじゃない感じが素敵で
弓子といいコンビ。
楽しく読めました。
Posted by ブクログ
万城目学のあの子とQを読みました。
今年17歳になる女子高生、嵐野弓子の物語でした。
弓子は普通の高校生活を送っていますが、実は吸血鬼で17歳になるときに儀式を受けなければならない定めなのでした。
万城目学の物語は荒唐無稽ではあるけど、荒唐無稽なりに論理は通っているイメージがありました。
しかしこの物語では登場人物が記憶を消されてしまうという設定のため、読者側でも実際に何が起こったのかがわからないのでフラストレーションがたまります。
ちゃんと読者に分かるように種明かしをしてほしかった。
Posted by ブクログ
なんとなくなんだけどタイトルとあらすじにあまり惹かれず、なかなか手に取らなかった本。
最近忙しいこともあり、読書をする気持ちのゆとりが無かったので、惹かれないならチミチミと読み進めるのにちょうど良いかなぁ、くらいの気持ちでいざ手に取ったら。
やっぱり面白かった。あり得なさが絶妙にマイルドになっていて読み始めからスルスルと受け入れられ、話の展開が気になり、どんどん読み進めてしまった。
何もしない時間を取ろうと思っていたのに、読んでしまった笑。でも読みたいと思う気持ちは気分も上がるので、楽しかったしそれはそれで良かったのかも。
少し分かりにくいところもあったので、次に再読する時にゆっくり読もうと思った。この本は続きがあるみたいなので、続きも文庫が出たら読もうかな。
Posted by ブクログ
現代に適応した吸血鬼の女子高生とトゲトゲでぬるりとしてる謎の物体Qが誕生日までの1週間をどう過ごすのか、と思ったら予想外の方向にどんどん話は転がっていって、最後までとてもおもしろかった!ヨッちゃん好きです。
Posted by ブクログ
吸血鬼の女子高生のお話なのにリアル感のあるファンタジーになっていてさすが万城目さんという感じ。
読後は『きっと続編だね、楽しみ』と思っていたら出てました。
Posted by ブクログ
万城目先生の作品は正直"合う”ものと苦手なものがあるけど、これは好きな方。
"血を吸わない吸血鬼”という設定と、ほのぼのした高校生の初々しい?青春から一気に冒険モノへの急展開していくストーリーが面白かった。弓子とヨッちゃんのやり取りには元気を貰える。 ヨッちゃんは本当に人間なのか…?佐久さんのことやQのこと、まだまだ気になる謎があるのでこれからが楽しみ。
Posted by ブクログ
17歳の誕生日の儀式まで血を吸わないか監視するために来た謎の存在「Q」と吸血鬼の女の子、弓子の話。
吸血鬼少女の学園青春ストーリーって感じだが、要素が色々ありすぎて見たい部分が不完全燃焼気味
物語の大事な謎である
「命を救うために友人を吸血鬼にしたはずなのに何故なっていないのか」
「Qの呪いの解き方」の解がちょっと強引な気もした。
キャラはたっているし、皆好感のもてるので読みやすさはバツグン。
Posted by ブクログ
馬鹿らしいまでに非現実的ながら、妙なリアリティを持って展開される日常生活というのが、万城目学の真骨頂だが、これは流石に吹っ飛びすぎでイマイチ。まあ、暇つぶしにはこれくらいがちょうどいいとしたものか。
Posted by ブクログ
文体もポップで読みやすく、展開も青春冒険ものという感じで素直に楽しめる。
親友のヨッちゃんのキャラクターがよい。
重たくない作品を読みたい時にぴったり。
Posted by ブクログ
ポップなイラストに惹かれて購入。
ほのぼのとした前半に油断していたら突然急転直下でストーリーが展開していく。
構成は割とストレートで難解なところも無いため誰でも読みやすい作品だと思う。
Posted by ブクログ
またチョ~お久し振りの作者さん、本棚見たら9年振りだわ。この間に直木賞作家にもなられて、その本はまた文庫になったら読みましょう。
こちらの本は、直木賞受賞作のひとつ前に書かれた話。相変わらずおかしな世界を考えつくものね。
吸血鬼一族・嵐野家のひとり娘でありながら普通の高校生として暮らす弓子の前に、17歳の誕生日を間近に控えたある朝、得体の知れない物体が現われる。その黒くてトゲトゲの「Q」は、弓子が人間の血を吸わずに17歳を迎えられるか、監視しに来たという…。
そんな謎な設定のままに、話は弓子の高校生活に入り、親友のヨッちゃんとの交流や彼女の恋をサポートするダブルデートが描かれるライトコメディ風の前半はなかなか楽しい。
監視するまでもない話が続く中でどうお話が転んでいくのかと思っていたら、ダブルデートの帰り道から話は思いもかけない展開に。
ただ、後半は色々登場してくる割には謎も心情もなんだか分かりにくくて、ラストに向かって昂っていく弓子には申し訳ないが、最後もあまりピンと来なかったのでした。