【感想・ネタバレ】Mr.トルネード 藤田哲也 航空事故を激減させた気象学者のレビュー

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Posted by ブクログ

着陸直前の航空機が突然墜落した。パイロットの操作ミスなのか?同様の事故が頻発する中、その原因を調査し、未知の気象現象「ダウンバースト」を発見した日本の気象学者・藤田哲也の生涯をたどる。人とは違う発想は、徹底した観察から生まれたが、その原点は、長崎の原爆直後の調査を経験したことにあったのだ。
純粋な藤田さんの生き方に胸が熱くなる、珠玉のノンフィクション。

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2018年01月28日

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空の安全に大きく貢献した気象学者の評伝。
今日当たり前に利用している飛行機、30年ほど前は1年半に一度大きな墜落事故が起きていた。主な原因は離着時に航空機を襲う謎の突風。今では「ダウンバースト」と呼ばれている。
類まれな行動力と観察眼で「ダウンバースト」を発見した男、藤田哲也。彼は日本人でありながらアメリカで活躍した。
何か成すには、行動あるのみ。浅い思いで終わらせないことと思う。

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2019年05月09日

Posted by ブクログ

佐々木健一さんという人は、テレビ制作をしていた人だから、ほんとに構成が上手い。人を惹きつける方法を知り尽くしている。この本もテレビ番組を元にしているので、まるでドキュメント番組を見ているみたい。
まず初めにCGマンガによるつかみ(映画の予告編みたい)があって文章が始まり、藤田哲也博士のダウンバースト発見のシーンがくる。読者の興味が高まったところで、生い立ちと人となりが語られる。ここで読者は藤田哲也博士がいかに有能で、努力家で、愛すべき人物であるかを知る。好きになっちゃう。そのあとちょっと難しい説明も入る初めのシーンの解説となる。
これを読み通せない人がいるとは思えないほどのテクニック。
これは一般書を児童書としてリライトしたものだけど、佐々木さんの上手さを堪能出来る。
肝心の藤田博士について。特別豊かでない(が、父は地理の教師だった)家庭に育ち、父が死に、弟妹もいたため、非常に優秀でありながら進学を断念。それを惜しんだ中学の校長が地元の明治専門学校(現在の九州工業大学)に直訴し、特待生として進学。その後母も妹も亡くなり、太平洋戦争も始まったので、学業半ばで、代用教員となる。(そこで生徒のために作った教科書の見事なこと!)数々の苦労を乗り越えられたのは、もちろん才能もあったが、他人にも惜しみなく愛情を注ぎノウハウを伝授する人柄が人望となっていたことも大きかった。アメリカ移住後、アメリカ人研究者と得がたい友情関係を結べていたことからもわかる。
中学生の時、耶馬渓の青の洞門を見学し、他の生徒は禅海和尚の偉業を称えたが、藤田哲也は「和尚は頑張ったけど、間違っている。」と書いた。「トンネル掘りに10年かかるか、20年かかるかはわかりませんけど、仮に20年かかると想定して、私なら初めの10年は穴を掘るための道具作りに費やす。そうすれば仕事が早く進み、次の10年で作業が終わる。さらに、私が死んだ後に、トンネルとトンネルを掘る道具の両方を残すことができる。」(P83) 栴檀は双葉より芳しと言うけど、頭がいいだけでなく、視点が違うんだと思う。
長崎に落とされた原爆の調査がダウンバースト発見のきっかけとなった、というところも、人生の不思議を感じさせる。
それだけに晩年の病気との闘いは、読んでいて辛い。
一般書の方が読みがいがあるのかもしれないが、この本でも藤田博士の偉大さが十分に伝わった。
小学校高学年から大丈夫。幼い人は、より純粋に受け止めると思う。

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2020年07月23日

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気象学者・藤田哲也。日本ではあまり知られていない藤田さんは、竜巻がよくおこるアメリカでは、亡くなった時にはニューヨークタイムスの朝刊に写真付きで追悼の記事が載せられました。竜巻の大きさを分類する単位F(フジタ)スケールは現在も世界中で使われている竜巻の単位の原案を考案した人である。そして、謎の航空機事故の原因を突き止めた。ダウンバーストと名付けたそれは、当初、ほとんどの気象学者に受け入れられず、約10年もの間、論争が続きました。
けれど、藤田の説をパイロットたちは実感していた。そして、藤田の説が立証され、現在ではダウンバーストの予防が張られ、大きな航空事故がなくなった。

日本人として知っていておきたい伝記。

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2017年10月29日

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“現在、私たちは飛行機に乗って、安全に世界中を旅することができる。しかし、30年程前までは1年半に1度の割合で墜落事故が起こり、多くの人命が失われた。そうした悲劇を食い止め、現代に生きる私たちに空の安全をもたらしたのは一人の日本人でした。彼の名は藤谷哲也。その原点は長崎の原爆調査だった。アメリカで活躍し、日本ではほとんど知られてこなかった偉大な気象学者の足跡”

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2017年09月13日

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