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Posted by ブクログ
映画「ダークナイト」。その面白さがココにはあります。
1917年にイギリスで書かれた小説に、これだけ面白いと思えるのは、読書の快楽そのものですね。
シャーロック・ホームズ・シリーズは、僕が読んでいる光文社の新訳シリーズに則って言いますと。
①緋色の研究(長編)-1887
②四つの署名(長編)-1890
③シャーロック・ホームズの冒険(短編集)-1892
④シャーロック・ホームズの回想(短編集)-1894
⑤パスカヴィル家の犬(長編)-1902
⑥シャーロック・ホームズの生還(短編集)-1905
⑦恐怖の谷(長編)-1915
⑧シャーロック・ホームズ最後の挨拶(短編集)-1917
⑨シャーロック・ホームズの事件簿(短編集)-1927
という計9冊の本になります。
振り返ると、2013年の3月から、もう2年近くに渡って①~⑥まで愉しみました。
そして、⑦を飛ばして⑧まで読んじゃって、この度、無事⑦を読みました。
相変わらず、やはり面白い。
というか、実は地味ながら「恐怖の谷」、かなり面白いのでは?
ディクスン・カーという推理小説家さんは、高く評価しているそうですね。
なんというか、実に無駄がない。
事件と感情と謎。無駄な装飾が少ない、研ぎ澄まされた、ハードボイルドとまで言って良い気がしました。
お話は、「緋色の研究」「四つの署名」の構成と似ています。
前半は、いつものワトソン一人称で、現在形で事件が語られますが、動機の部分で謎が残ります。
それが後半で、一気に昔話として怒涛に語られる。なので、後半、ホームズは出ないんです(笑)。
イギリスの地方で起こった謎めいたおどろおどろしい殺人事件。
(ところでこういう郊外な雰囲気のホームズものって、実に金田一耕助に影響を与えていると思いますね)
密室殺人に見えた事件は、実は、死んだと思われた中年男は生きていた。その中年男を殺しに来た殺し屋が殺されたんですね。
さて、どうして殺し屋が来たのか。それが後半。
舞台はアメリカ。中年男が若かった頃…。
とある峡谷の炭鉱町。そこは、地元の結社が組織暴力団化して、暴力と暗殺で街を支配しているんですね。
その、田舎町の絶望的な「恐怖の谷」な感じの描写が実に生々しくて、力強い。
そして、その恐怖の谷の暴力組織を、ある男が1人で瓦解させていく。
その男は、その街で可憐な娘と恋愛もしてしまう。逃げ延びれるのか。
その成り行きとスリル、どんでん返しも含めて実になんというか、ハッキリ輪郭が描けています。(これは、実話に基づいているのが理由らしいですね)
…でも、最終的に恐怖の暴力の手は、やっぱり衰えないんですね。
その世界観すら、実に21世紀の日本にも通じるものがあります。
そういうダークな世界観があるから、面白い。歯ごたえがあります。
なんだけど、それだけだと、後味が良くない。食べにくい。そこで、全体をホームズとワトソンという、ほんわかした安定した勧善懲悪感がパイ包みしているんですね。
この作り、実に豊穣、実に愉しい読書でした。
…と、つまり、これは映画「ダークナイト」の世界観なんだよなあ…って。
ホームズ恐るべし。
どれだけエンターテイメントな小説世界の根源を作り上げちゃってんだろう…。
さあ、あと一冊。
すぐ読むか…ゆっくり読むか…。愉しみです。
Posted by ブクログ
ホームズの長編の中ではまちがいなくこれが最高傑作だと思います。『緋色の研究』も『四つの署名』も、事件の背景の説明となる第二部の部分が現代のミステリに慣れた頭からするとちょっといただけないというか、がっくりするところがあるのは否めないかと思うのです。正直に言うと、本作も第二部は期待していませんでした。しかし読み始めてすぐ、第一部を忘れたとしてこれはこれで面白いのでは? と引き込まれてしまいました。第一部と関係なくてもいいや、というくらいの気持ちで読みましたが、クライマックスで満足。ちゃんと第一部ともつながっていて、うん、この出来ならいいだろうと考えたわけです。『緋色の研究』と『四つの署名』の読書経験でちょっと躊躇われている方がおられたら、と珍しく感想を書きました。これはおすすめです。
Posted by ブクログ
「恐怖の谷」
犯罪王モリアーティ教授の組織にいる人物から届いた暗号手紙。その謎をみごとに解いたホームズだが問題の人物ダグラスはすでにバールストン館で殺されていた。奇怪な状況の殺人を捜査する謎解き部分(第一部)と、事件の背景となったアメリカの“恐怖の谷”におけるスリルとアクションに満ちた物語(第二部)の二部構成。
感想を一言で言うとやはり「面白い」になります。1部はある暗号の手紙をホームズが受け取るところから始まります。そしてホームズが推理を披露することとなる現場にワトソンと移動して犯人を探す、これが大まかなところです。しかし、ホームズが暗号を解くところはやはり名探偵ホームズ!とにかくあっさり解いてしまうところが良い!
しかし、真犯人を暴くきっかけとなる事件の証拠を発見するシーンはさすがに素早くホームズらしいのですが、個人的に推理法にはもっと早いものがあったんじゃないかとも思いました(勿論小説での見せ方がありますので、あくまで私のシャーロック・ホームズのイメージではということです)。
また、2部は個人的に1部よりも読み応えがありました。1部との繋がりもありますし、「恐怖の谷」というタイトルに深く関わる内容だったので、ホームズが出てなくとも十分楽しめました。そんな2部を読んだ感想は「あれだけ優秀なならばもしや生き残れれば、ホームズのように優れた探偵になることが出来たのではないだろうか??」ということです。それだけ2部の主人公には魅力がありました。さらに1部と違い、「推理」よりは「主人公と主人公が所属した団体における殺しや闘争」をテーマにした2部は刺激的でもありました。
最後にエピローグのホームズに言いたいことがあるとするならば、意外と冷たいんだなということですw。誰かが殺されたとしてもその殺し方に何かホームズが感心するところがあればそれを認めてしまうということなんでしょうかね。
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