小説・文芸の高評価レビュー
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ありきたりだがこう言うしかない、本を見ながらこんなに泣いたのは初めてだ。野球には詳しくなく、引退試合のエピソードだけは聞いたことあったが、最初の数ページで涙腺が緩んだ。明るく実直で努力を惜しまない活横田選手の人柄が活字を通じてひしひしと伝わってくるのだ。監督はじめチームのメンバーや、プレーをみた野球ファンが応援したくなるのもよく分かる。ただただ早逝が悔やまれる。
退院後、育成で復帰してからの2年間、目のせいで打席に立っての打撃練習すらできないのに、それでも誰より早く来て練習に励む。引退試合を用意したのも、全速力で交代守備に入る姿をファンに見せたかったのも、センターだけは避けようとしていたのに打 -
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ネタバレ月の洞窟から見つかったのは、五万年も前に死亡したと思われる死体。宇宙服を着たその死体は、現生人類と何ら変わらぬ特徴を備えていた。原子物理学者であり何でも透視できるスコープの開発者でもあるハントは、その謎の解明のために借り出される。死体は月で見つかったことからルナリアン、そして個体名としてチャーリーと名付けられる。チャーリーの装備品からも、ルナリアンは高い文明を築いていたことが窺える。果たしてルナリアンは地球外生命体なのか、それともかつての地球に存在していた人類なのか。さらに、ルナリアンや現代の人類とは似ても似つかないガニメアンなる巨人の存在も明らかになる。しかもガニメアンはルナリアンよりもさら
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ネタバレ前知識ゼロで読む。普通のホラーなら超常現象系としてぼかして締めくくりそうなものだと思うけれど、本書では思いがけない方向に。晴子さんの行動力や論理的な考え方は頼りになる。思考パターンは人生経験を積んだ成瀬あかりのようにも思える。後半の展開は、期せずして知念実希人『閲覧厳禁』に似てなくもない。地下の怖さは夕木春央『方舟』も連想する。そして、地下とか洞窟みたいなところは、横溝正史からの伝統なのかなと思うほど、崩落とセットになっているよね。ラストの「謎の決着のさせ方」はホラーと論理の絶妙なラインをうまく通せたなあと。シリーズ化は難しいのかもしれないけれど、晴子&越野のバディ物はまた読んでみたい。探した
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ケン・リュウは、中国生まれではあるが、11歳の時にアメリカに移住した中国系アメリカ人の作家。ジャンルとしてはSFとされている短編を多く発表しており、本書が、日本での第一短編集である。
私はケン・リュウという作家は知らなかったが、ある書評でこの短編を知り読んでみた。私がこれまでに読んだ短編集の中でもベストのいくつかに入るほど、自分にとっては面白いものだった。
15編の短編が収められている。印象に残った作品は多いが、やはり表題作であり、順番として最初に掲載されている「紙の動物園」が最も印象に残った。短編なので、筋を書くわけにはいかないが、このような物語があるんだ、という驚きと感動があった。その他に -
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実際の事件をモチーフに描かれた本作は、一人の女子高校生が同世代の子どもたちから暴力を受け、命を落とすという痛ましい結末へと向かう物語だ。しかし物語は単なる事件の再現ではない。加害側に連なる一人の女性、さらにその母や祖母へと時間を遡りながら、世代を超えて受け継がれる「負の連鎖」を丁寧に描き出していく。
本作の核心は、暴力そのものよりも、それを生み出してしまう土壌にある。家族は仲良くあるべき、親には感謝すべき、分かり合えなくてはならない——そんな日本社会に根付く“暗黙の了解”が、登場人物たちを静かに追い詰めていく。誰もが苦しさを感じながらも、その枠組みから抜け出せない。抜け出そうとしなかったのか -
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ネタバレ予想以上に面白くて、二日三日で読み終わってしまった。
戦国時代という、武士が主役かのように思われる時代を石垣職人という新しい視点から描いている。武士、城主、石垣職人、武器職人、そして住民。同じ時代を生きた各々にそれぞれの信念があり、一つの幕を形成している。誰が正しいとか正しくないとかそんな話ではなく、それぞれの想いを懸けて矛と盾がぶつかり合う様は、各々の全身全霊、命を懸けた真のかっこよさを内に湛えている気がした。
大津城を全員が一丸となって守り抜こうとする様は、キングダムの合従軍編さながら。何者にも砕けない絶壁 最強の盾 は、塞王の作った石垣でさえも完成にはあと一歩足りない。城を、城主を、住民 -
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ミステリー小説だと思って読み始めると、どうしても登場人物の名前を覚えなきゃという気になってしまいますが、本書は不要でした。序盤から登場人物が多くて萎えそうでしたが、刑事の名前は重要じゃありません。事件の流れがわかれば大丈夫な構成になっています。
塩田さんの作品は、描写が細かく情景が思い浮かべやすいのですが、自分が疎い分野の美術にまつわる話ということもあって、知らない世界を知れ、より厚みを感じました。圧巻!と書かれている方がいらっしゃいましたが、そのとおり。見事でした。
いつもは通勤読書ですが、読書時間をとって読めたのが幸いでした。出てくる土地や美術館にも行ってみたいです。
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ネタバレ梨先生の小説はわかりにくい。視点となる人物や情景、時系列がバラバラに変わるからだ。しかし、終盤に差し掛かると、絡まっていた糸が解けるように、物語が収束していく(全ての謎が解けるわけではない)。この本は読み終わるとホラー小説を読んでいるはずなのに、なぜか妙に胸に爽やかな風が吹き抜ける。
この小説は題材がホラーな青春小説だ。最後なんてとてもカッコいい。こんな青春らしい青春を送ってみたかった気もする(いや、怪異には逢いたくないし、死にたくもないけど)。
ああ、青春小説に仕立て上げたんですね彼女が。精一杯騒いで暴れて一花咲かせて、彼と彼女が主人公になることで、怪異を脇役に追いやることができた。そう考え -
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ネタバレミステリーの中でも、「自分だったらどうするか」を強く考えさせられる物語だった。生々しい描写が多く、読んでいる間は緊張感が抜けず、数日間は一人でエレベーターに乗るのも怖くなるほど没入してしまった。
生きるか死ぬかの極限状態に追い込まれると、人はここまで追い詰められた心理になるのかと衝撃を受けた。自分だったら人を殺す勇気はないので、皆と一緒に死を待つか、どうしても生きたいという気持ちが強ければ、早めにダイビングの準備をして、大切な人と夜中に気づかれないよう脱出を試みると思う。
極限状況における人間の本性や選択について、深く考えさせられる一冊だった。 -
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隠蔽捜査
警察官僚の竜崎伸也は変人と言われるほど変わっている。しかし、これがいつの場合もぶれないのだ。理想を貫く潔さがある。どんな場面でも事案を冷静に判断出来る。これが国家を守るため、身を捧げている本来の官僚である。警視庁管内での拳銃を使用した連続殺人事件、そしてホームレスを惨殺した殺人事件の3つの事件が同一犯の可能性が出て来た。その犯人はなんと‥
組織を揺るがす連続殺人事件に竜崎伸也は真正面から対決する。絶対絶命の家族の不祥事(長男)にも、自分の将来も投げ打って対応する。最後、長男を所轄の警察署に連れて行く妻冴子の対応には涙が出て来た。警察官僚の妻として立派な行動であった。次作が楽しみ。 -
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読みたかった本。
まさか町の図書室にあるとは!
どうやら私が一番乗りのようでして……。
わが町の住人はあんまり本を読まないのかな。
山城以外は、嫌な人が出てこなくて、
人と人との距離感とか、見守ることや待つ優しさっていうものも大切なんだなぁと。
自分が一番近いのは、空気読めない桜庭ちゃんだな(笑)
山城が嫌な人だなって、自分は思ってしまったけれど、「同じ場所に同じように立っていても、違う現実を見ている時もある……」との主人公のつぶやきにハッとしてしまった。
そして人が想像しうることは起こりうるっていうのは、本当だなと。
読んでよかった。 -
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お友達のようにお買い物したり、映画を観たりするくらい仲のいい親子の関係がここ最近よく聞く話題ですが、それとは真逆の家族ということでしょう。
子は親を選べないし、親は子を選べない。
まさに親ガチャ問題。
幸恵はこんな親ならいなくなってしまえばいいのに、と思いながら、蛍の見える山の上へのぼり、隆之も親からの虐待、ネグレクトを経験し、蛍の見える丘へのぼり、二人が出会うところから始まる。
15年前と同じ場所で同じ蛍のお祭りの時期、その偶然の出会いからこのすべては始まっています。
なかなかそこまでの殺意のある人が、偶然知り合える機会が続くとは思いませんが、中盤からはこの正道くんの存在が重要でした。は
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