小説・文芸の高評価レビュー
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夫の祖母が亡くなった。
突然ではなかった。数週間前から緩和ケアに入って、いつ亡くなってもおかしくないと言われていた。近しい人の死に動揺した。それと同時に「死」について考えすぎるくらい考えた。
私の記憶で最後に誰かを看取ったのはもう15年も前の話。そこから数回、遠くもない知人が亡くなった。私は通夜にも葬儀にもいけなかった。ただただ怖かった。向き合いたくなかった。
でも今回は、逃げられない。「死」に向き合わないといけない。分かってはいたけど、怖かった。
本を読んで気を紛らわしたくなり、積読の中からこの本を手に取った。どんな内容なのかなんて覚えてなかった。
でもあまりにもリンクした。今の自分とリンクしすぎて怖かった。読まないでおこうかと思った。
でも勇気を出して読んだ。今読まないといけないと思った。
このタイミングでこの本に出会えてよかったと思う。本に挟まっていた町田そのこさんのメッセージに救われた。私にも「死」と向き合うべき時が来た。
けしのみはどこの家にもない。だもんね
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Posted by ブクログ
高校生の頃に買った。ドラえもんの道具が出てくると聞いて、読みやすいかもと思ったのが購入した理由だった。しかし読み進めると思っていたよりも物語は長く、そしてよくわからなかった。だから私は読むのをやめた。
そしてそれから10年、ようやく私はこの本を読み終えた。
理帆子は共感しづらい主人公で、性格が似てないから話していることもよくわからない。でもドラえもんが好きなのは同じ。
読んで、だんだん理帆子のことがわかってくる。頭が良くて、いろんなことを考えていて、本人が言うように良い子ではない。でも、どうにかして幸せになって欲しいと思ってきてしまった。素直になれない彼女が素直に想いを伝えられますように。幸せでいられますように。
そんな祈りを込めながら読んだ話でした。最後の展開で一気に心を掴まれました。大好きです。10年経っちゃったけど、読み終えて良かった。出会えて良かった。 -
Posted by ブクログ
2022年5月から翌年1月までにかけて日本を震撼させた広域強盗事件の首謀者集団(「ルフィグループ」)について、彼らの背景から組織の成り立ち、事件の詳細から逮捕に至るまでを、幹部1名、主要なメンバー1名との数多のやり取りで立体的に詳解したノンフィクションである。
出版時点ではリーダー格2名の裁判が開始しておらず、さらに両人とも黙秘を貫いている。本書はリーダー格の彼らの供述が反映されていないことを差し引いても、組織犯罪の一連の顛末がよく理解できる形にまとまっていた。結局は「徹底して管理するとこ」と「人心を掌握すること」が(たとえそれが犯罪組織でも)組織をマネージする上で重要であることが再確認される。この点は会社運営でも変わらない知見であると思う。また、「仕事(と責任)を分散させることで当事者意識が無くなる」ことも会社組織などではマイナスなる一方、犯罪においては罪悪感を無くす方向に働くのは興味深い対称性だと感じた。
ルフィグループは一連の強盗事件で注目を集めたが、組織のおこりは特殊詐欺であったことは知らなかった。詐欺で培った術をそのまま強盗に転用したことが一連の強盗事件の核心であるともいえる。
さらに、フィリピンをはじめとした東南アジアの汚職の酷さも垣間見える。ルフィグループも金で現地警察やコネクションを利用できるだけ利用したが、最後は単にフィリピン人の身内に売られるのが何とも儚い。
一気読みできる筆力はさすがの著者であった。また次の著書も楽しみに待ちたい。 -
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まず、この本に書かれている内容は、何十年も前の話ではない。今この時も、どこかでトンネル崩落事故が起こり、子ども達が犠牲になっている。
私たちが毎日使っているスマホや電子機器、EV車ののバッテリーに必要不可欠なコバルト。
世界で供給されるコバルトのほとんどが、コンゴ民主共和国産だという。
コバルトの掘削には重機を使うイメージがあるが、現実にはシャベルを使い手で掘る「職人的採掘者」達がかなりの人数存在するという。(職人的という言葉を使うと専門職のように聞こえるが、実際には手で掘削する人々のことを指している)
しかも10代の子ども達、男の子も女の子もコバルト採掘に関わっている。学校にも行くことができない。なぜなら、無償で通えるはずの学校に、親がお金を払う必要があるから。
コンゴ民主共和国は昔から象牙、ゴム、銅などの資源が豊富であることによって、世界経済から搾取され続けた歴史がある。この土地に住む現代のコンゴ人ももれなく強制的にコバルト採掘に関わることになり、他に稼ぐ手段がない。採掘したコバルトを売れば儲かるのではないか、と思うが、仲買人などの中間の人々や権力者達により、ほぼその利益は吸い取られてしまう。
そのため、職人的採掘者の人々は一向に暮らしは良くならず、お金がないため子ども達は学校にも行けず、環境汚染による健康被害と、トンネル崩壊や事故による死の恐怖に怯えながら暮らしている。
…という、今まで知らなかったことが書いてあり衝撃を受けた。今この現代で、このような事が行われているとは。
そしてこの問題を解決するにはかなり難しい道のりが待っているとも感じる。大手企業が児童労働とは関係ないと声明を出していても、児童労働によるコバルトがどこかで混ざっているか否か、実際には知る術がないという。
個人的に今出来ることと言えば、スマホもパソコンも、大事に使うということぐらいか。
映画化の準備もしているそうで、ぜひ多くの人に読んでもらいたいし、映画も完成したら観てみたい。
私はアフリカの地理も歴史も疎いため、はじめは全く想像もつかず、なかなか読み進められなかったが、途中からGoogleマップを片手に読み進めていくと、理解しやすくなった。実際にマップ上の写真には、広大な採掘場が映し出されている。劣悪な環境の鉱山が、なぜか高評価の口コミが入っていたりする。後半は特にインタビューが多く、辛く悲しかった。 -
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一穂ミチさん、初めて読んだスモールワールズが衝撃的で好きすぎたけど、これはソレにも劣らないくらい。短編の名手だなあ。よくこんな設定考えられるなって思うし、その組み合わせもすごい。一番良かったのは、すげえ泣くじゃん。めっちゃ泣くやんとの違いの感覚は、関東の人にはわからんかも、と言いながら僕も関西ネガティヴじゃないけど。妻がスモールワールズの魔王の帰還の姉さんを思い出したと言ってたが、ベクトルは違うけどインパクトは同じくらいだった。こういうのがお母さんだったら、子どももこんなふうに育つだろうなって、感じた。こういうお姉さんの話を軸にしながら、彼女との関係を組み合わせてくるのが、本当天才。アマゴンのエピソードも、アドベンチャーワールドも、それぞれのキャラクターを描きながら、物語に色を添えていてすごい。
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ネタバレやっぱり人間生きていればなんとかなるんだから、醜態を晒してでも生きて生き抜かなきゃいけない
伊坂幸太郎の物語はそれをよく感じさせてくれる
青柳が逃げて生き抜くことを選んでくれたのが嬉しかった
大きすぎて姿の見えない何者かが迫ってくるストーリーはハラハラしてとっても楽しく読めた
そこに散りばめられた伊坂節っていうのかな??
ちょっとふふっと笑える会話がところどころにあってそれがとても好き
全部の伏線を綺麗に掻っ攫う他の作品も好きだけど、風呂敷畳みきらないスタイルのラストが物語に似合ってた
森田がすごく素敵なキャラで好きだった、、生きてくれてたらきっと青柳屋!してくれたんだろうな〜
丸く収まるハッピーエンドではないかもしれないけど、大満足の1冊だった! -
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ネタバレ「時間を節約する」とは何を失うことなのか? 怒涛のクライマックスと深い寓話性に圧倒された名作
感想・あらすじ
みなしごの少女モモが円形劇場に住み着き、街の人々の話をただじっと「聞く」ことで、彼ら自身の心を開かせていく穏やかな日常から物語は始まります。親友のベッポじいさんやジジたちとの温かい日々に忍び寄る「灰色の男たち(時間泥棒)」。彼らが人々の時間を奪い、街が余裕や笑顔を失っていく不気味さ、そしてモモがカメのカシオペイアに導かれて時間の秘密に触れていく展開は、中盤以降息もつかせぬ面白さでした。ラストの時間の花をめぐる逃走劇と解放の瞬間は圧巻の迫力です。
あらすじ:
みなしごの浮浪児モモは円形劇場にたどり着き、そこでよい人たちに囲まれて暮らしていました。モモには、人の話を聞いてその人自身にいろいろなことを気づかせる、という特技があり、多くの人に愛されて、友達もたくさんいました。
特に、旅行ガイドのジジと掃除人のベッポじいさんが特になかよしでした。
そんな中、時間泥棒が街に表れ、人々の時間を奪うようになっていきました。
時間泥棒(灰色の紳士)はモモのところにもやってきて、言葉巧みに時間を奪う契約をしようとしたのですが、モモに本当のことを話してしまいました。本当のことを話すのは時間泥棒には認められていないことでした。
モモはジジとベッポにこのことを話して、友達の子供たちと、大人に本当のことを話す集会を開くことにしましたが、集会には大人たちは表れず、かえってモモは時間泥棒に追われることになりました。
モモのもとにはカメのカシオペイアがやってきて、マイスターホラのもとに連れて行ってもらい時間泥棒から逃げることができました。そこでモモは時間の花など、時間の真実を知ることになりました。
眠りについて目が覚めると円形劇場に戻っていました。その世界では、時間泥棒の活動で人々は時間に追われて余裕のない生活をしていました。
そこでは、時間泥棒がマイスターホラのところに連れて行くように、モモに話しをしました。
その後、カシオペイアと共にマイスターホラのところに再び戻り、時間泥棒から時間を取り戻すことに成功しました。
読後に残る謎と考察
マイスター・ホラとは何者か?
名前の「ホラ(Hora)」はラテン語で「時間」を意味します。彼は神そのものではなく、「人間一人ひとりに配分される純粋な時間」を管理・中継する守護者のような存在です。彼自身が時間を作るのではなく、人間が生きるための時間を手渡す役割を担っています。
カシオペイアはなぜカメなのか?
「ゆっくり進むことこそが、最も早く目的地に着く方法である」という逆説を体現しています。効率やスピードばかりを追い求める灰色の男たちに対抗する象徴として、最も歩みの遅いカメが選ばれています。甲羅に文字を浮かび上がらせて意思疎通するのも、言葉を発する時間の重みを感じさせます。
モモの両親は誰で、なぜ親を求めないのか?
モモは「過去」や「生まれ」に縛られない、人間本来の無垢な魂そのもののメタファーです。誰かの子どもとしてではなく、「ただ今ここに生きている存在」として描かれているため、血縁の親を思い悩む描写がありません。だからこそ先入観なく他者の声に耳を傾けることができます。
時間泥棒(灰色の男たち)の正体とは?
人間が「時間を節約しよう」「無駄を省こう」とした瞬間に生まれる妄想・強迫観念が具現化した幽霊のような存在です。彼ら自身に実体はなく、人間が削り落とした「生きた時間(時間の花)」を葉巻として吸い続けることでしか存在を維持できません。
本作は現代社会を批判しているのか?
明確に現代社会(効率至上主義・合理主義・資本主義の加速)への警告となっています。成果やタイパ(タイムパフォーマンス)を追い求めるあまり、無駄話や遊び、寄り道といった「人生の豊かさそのもの」を削り落としてしまう現代人の姿が、灰色の男たちに魂を売った大人たちにそのまま重なります。
本作の何が面白かったのか?
哲学的なテーマを扱っていながら、謎解き・サスペンス・異世界への冒険・タイムリミットアクションとしての一級のエンターテインメントに仕上がっている点です。
「時間とは、生きるということ、そのもの。そしてそれは、人間の心の中にある」というメッセージが、説教くさくならず、クライマックスのカタルシスを通じて真っ直ぐ心に刺さる傑作でした。 -
Posted by ブクログ
ルッキズムが後半に行くにつれて濃くなっていき、急激に冷めた。
玲という美しい女性が登場するんだけど、登場する男性のほとんどが彼女に気に入られたいとか、守ってやりたいとか、近づきたいなどの下心を持っていることが、物語の端々に描写されている。
人が殺され、その犯人を探るため、現場検証し、情報を集めていく中で、玲が怪しい可能性が浮上するが、探偵として犯人を追い詰める月島をはじめ、ほとんどの男性陣が彼女を庇うように動くのが読んでいて解せなかった。
外見の美しさはその人が持つ特徴に一つでしかない。
足が速い、背が高い、筋肉質、声が低い、髭が濃い、目が青い。その並びに外見が美しいがあるだけ。
魅力的に映ることがあっても、犯人の可能性があるのにそれを庇おうと動くのが気に食わない。
例えば殺人現場に玲が持っていたロザリオのアクセサリーが落ちていた。それは玲が現場にいることを示唆するものなのに、他の男性がそのロザリオを自分のものだと言って彼女を庇った。
他にも玲が「私は月島さんを信じます」と言うと、嫉妬に駆られたように「犯人は月島だ」と根拠も薄いのにくってかかるやつもいる。自分が狙ってる女性が好意を寄せてるのが気に食わないだけの八つ当たり。
冷めるわー冷める冷める。
そう思って読み進めて500ページを超えたあたりで様子がおかしくなった。
なってこったい。
おもろっ!!
ここまで読むと、物語の序盤で僕が「冷めるわ」って言ったところが全部納得できる理由としてどんでん返してきた。
そうだったのか。
だから月島以外のほとんどの人が玲を守ろうと動いていたのか。
600ページに及ぶ大ボリュームだけど、発生する2つの事件がそれぞれしっかりと濃く、濃密に計算して交わる瞬間は鳥肌たった。
読みながらリアルに「マジかっ」って言ったのは久々だった。
忘れた頃に読み返したい。
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