小説・文芸の高評価レビュー
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Posted by ブクログ
作家によって異なるのかもしれないが、小説家がどう考えて小説を書いているのか、興味深い内容だった。書きたいものを書いているのかと思ったら、思った以上に読書のことを考えて書いているとのこと。伏線についての考え方も面白かった。
書きながら考えて行くというのが驚きだった。
自分も「問い」が浮かんだら、書き終わらなくても良いので小説を書いてみても良いかもしれないと思った。
日常の何気ない会話の中にも小説のネタは眠っているのかもしれない。そのネタから問いをたて、掘り下げて行く行為が小説なのかな?
小説とは論理的な行為なのだということもわかった。
自分も小説を書いてみると、より本書の内容を実感するののでし -
Posted by ブクログ
「~であります」「~でございます」という語りが狂言回しになって物語を進め、その途中で登場人物がセリフを語ることによって、読む者に臨場感を与えています。
[これは、歌舞伎の太夫の語りと同じ手法なんですね。本作品そのものが歌舞伎作品のようになっているかのようです♡]
ご丁寧にも、登場人物の動作を説明し、そのあとにセリフを言わせるという段取りの良さです。
(どこでもよいのですが)例えば、107ページの地の文とセリフの流れを抜粋してみますと、
~前略~ いつの間にか徳次も目を覚ましておりまして、
「三味線の音やね?」
と耳を澄まします。
「坊ら、おはようさん!」
とつぜん枕元の襖が開いた -
Posted by ブクログ
タイトル『それはそれはよく燃えた』の1文から始まるショートショート集。
ネットの炎上、恋心、火事など、こんなものまで「燃える」のかと思える作家25人の25作を1冊の本で読めるのはとても贅沢。
でも後味は25作25様で、ほっこり甘いものもあれば苦々しいもの、ざらっと心地悪いものなど本当にさまざま。
クイズノックのファンなので河村拓哉さん目当てでこのシリーズを読み始めたが、矢樹純さん、三津田信三さんなど、このシリーズは毎回新しい作家さんと出会えて、読書の幅が広がって嬉しい
私は総じてホラーが好きなので、今回の『それはそれはよく燃えた』はぞくっとする話が多くて、とても好み。不穏で悲しくて残酷 -
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乾いた鉄みたいな作品だなと感じました。
最初は変身という帯に機龍警察のような特撮ライクな話かと思ってたら重厚なクライムサスペンスでした。
アメコミ的ヒーローとかダークファンタジーでは無いような気がします。キック・アスみたいなイメージなんでしょうか。それにしても骨太すぎる気がします。子供には読ませられません。
鋭い狂気が誇張されてエンタメになる前に塊で出されてきたような感覚です。
さぁ狂ってクールな主人公が登場です!はい!ここが見せ場!とかが無い。
淡々と内面の狂気と向き合い、超えては行けない線を散歩のように超えていくいい意味でエンタメ性のない暴力と狂気が味わえます。
映画のタクシードライバ -
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土門さんと年越し♪
2年連続 ଘ(੭*ˊᵕˋ)੭*
シリーズ三作目
土門誠は〝最後の鑑定人〟と呼ばれる民間の科学鑑定人で、能力は高いが愛想は一切なく、気難しい孤高の鑑定人といった雰囲気。
でも今回は〝モンちゃん〟と呼ばせてもらいたい
今作品では学生時代の友人が次々に登場し、土門さんってこんなに親しい友人がいたんだ!
と思わず驚いてしまった。
その友人の一人で理学部教授の猪狩愛が「モンちゃん♡」と呼んでいる。
えっ?そんな可愛いキャラだっけ?
と思うけど、妙にしっくりくるんだな。
四編からなる連作短編集で、途中までは正直ちょっと物足りないなぁ、と思っていた。
でもでも!
最後の【灰色 -
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ネタバレ暁海も櫂も、親から自由になればいいと誰もが思うのに、それができない。「楽しかった記憶」や「自分がいないとこの人はダメになる」という呪縛がそうさせる。
関係を切り捨てることは、自分の半身を削ぎ落とすような痛みがあるのだと思い知らされます。
「お金があるから自由でいられることもある。たとえば誰かに依存しなくていい。いやいや誰かに従わなくていい。」
これは決して強欲な意味ではなく、「自分の人生の手綱を自分で握るためのコスト。」
愛や夢を語る前に、まず自分の足で立つための「床」が必要であると思う。非常に現実的で、かつ誠実な生存戦略。暁海が最終的に選んだ生き方も、この「経済的な自立」が大きな鍵となる -
Posted by ブクログ
前作の「汝、星のごとく」を読み終えてすぐにこの作品を読んだから、前作のトーリーも思い返しながら読むことができてとても面白かった。前作ではあまり触れていなかった、植木・二階堂の裏側や櫂が亡くなった後の暁美や北原先生、周りの人物たちの人生を堪能することができた。
大人になるに連れて考え方や価値観、他者に対して抱いた印象や感情などは変わることが色々な場面で出てくる。それらが、世間一般的でいう“普通”と外れているかもしれない。その“普通であること”が自分の抱いたものと違う時、他者の意見に左右されてしまうことも多々あると思う。実際に、他者の目を気にして“礼儀があって優しくて何でも出来る人”でいることを -
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全9編の短編小説。長いものもあれば、数ページだけの作品もありますが、どれも抜群の読み応えがあった。その中でも特に楽しく読めたのは「ヨハネスブルグのマフィア」とタイトルでもある「気分上々」。
「ヨハネスブルグのマフィア」
かつての恋人(?)と10年越しの再会なのに、それを感じさせない大人な会話が魅力的。とりあえず、このマフィアの睡眠法を試してみたい。後、寿司を頼むときは「イカエビタコ」にしたい。
「気分上々」
タイトルそんなところから!?と思ってしまった。思春期ならではの甘酸っぱい悩みや葛藤に、自分もこんな時期があったなあ、と共感。あの頃の男子の頭の中、確かにこんな感じだったかもしれない。