小説・文芸の高評価レビュー
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Posted by ブクログ
この作品は、一般的に言われるような単純な「恋愛小説」ではないと思った。
人を好きになるとか、過去の恋人を忘れられないとか、そういう言葉だけでは説明できない、“人生の欠落”や“魂の飢え”のようなものを描いた作品だと感じた。
主人公のハジメは、家庭も仕事もあり、世間的には幸福な人生を送っている。
しかしその内側には、どうしても埋めることのできない空白が存在していた。
その感覚は、自分自身の体験と強く重なった。
一度変わってしまった心は元には戻れない。
この小説は、自分にとって単なるフィクションではなかった。
ハジメが家庭へ戻った“もう一つの人生”を見ているような感覚があった。
もし自分が別の選択 -
Posted by ブクログ
これを読むための関西旅行へ出た。やわらかくたおやかな関西弁を纏って舞台となる大阪を歩く。新大阪の駅のお土産屋で昨年現地で出会えなかったミャクミャクのぬいに邂逅し、値段も見ずに今回の旅のお供になってもらった。作中にも大阪万博の描写がある。阪神梅田駅の外装を見ながら人が多く迷路のような駅周辺を歩いているとほんとうにまた万博に来たみたいで、夏手前でもくらくらするような暑さと人混みを思い出す。大阪万博ではずっと未来の話をしているはずなのにあまり希望的に思えなくて、むしろ国外で起こっている戦争についても言及される雰囲気はなく、ずっと他人事みたいだったことをよく覚えている。わたしもどこか怒りのような叫びだ
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Posted by ブクログ
ネタバレすごい作品です。世界的にヒットしたのも納得です。次の文が刺さりました。
どんな境遇であれ、少しでも快適にしようとする女の知恵、自分好みに環境をカスタマイズできる女の逞しさを、保守的な男ほど疎んじるものだ。でも、それこそが彼らが女になによりも求める家事能力の核に他ならない。どうしてその矛盾に気づかないのだろう。家庭的な女でさえあれば、自分たちを凌駕するような能力を持たない、言いなりになりやすい、とどうして決め付けているのだろう。家事ほど、才能とエゴイズムとある種の狂気が必要な分野はないというのに。
バターがすごく食べたくなりました。 -
Posted by ブクログ
二股や不倫は絶対ダメ。そこの部分を勿論除いてだけど、私はハセオみたいな人に惹かれる。
歳を重ねるにつれ減っていく男ともだち。
でもこれを読んで不意に思い出した人が1人いた。ふらっと連絡が来て買い物行ったり鍋パしたり。2人で過ごしても身体の関係だけは決して重ねない。
数年に一度連絡を取るような、この距離感が居心地良い。そんな関係。
その彼を思い出し、無意識に重ねながら物語を読んでいた。
もし彼が、ハセオみたいに無意識の優しさで包み込んでくれる人だったら、私はきっと好きになっていた。
ハセオみたいな男性に惹かれる女性は多い気がする。賛否分かれるかもだけど私には沼でた。 -
Posted by ブクログ
ネタバレ実家の掃除をしていたら出てきたので持ち帰って読みました。ちょうど推しが燃えたのもあって巡り合わせだなと。笑
最後の数行が好きです。私も主人公と同様、できることの方が少なく、生きるだけで精一杯です。これを「二足歩行は向いてなかったみたい」と表現しているのは初めて見ました。あっさりとしていて、それでいてすっと胸中に染み込んでくるような感覚がします。
背骨を失っても、現実を直視しても這いつくばって生きていく選択ができた主人公は立派だなと思います。私も見習ってふんばっていきたい。そんなお守りになるような文章を知ることができてよかった。
熱量のある狭窄的なハマり方は、やはり若い頃の特権だなと思います。 -
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Posted by ブクログ
ネタバレ公園から忽然と姿を消した三歳の琴美。両親は必死に捜すが、一向に見つからない。――22年後。自堕落な生活を送る幸子のもとに、一通の手紙が届く。差出人は、消息不明の妹を捜し続けている男だった。同じ頃、浜名湖畔で楓は父親の誠司とペンションを営んでいた。ある日を境に、誠司に対して不信感を抱く楓。父は何か秘密を抱えて生きているのではないか。交わるはずのなかった人生が交錯したとき、浮かびあがる真実。切ない想いが胸を満たす長編ミステリー。
読み終わってみれば構成そのものはシンプルで、話の中ほどで真実はおおよそ推測できると思う。大きなどんでん返しはないものの、展開の速さが好みだったことと、登場人物の描写が -
Posted by ブクログ
ネタバレトゥルゲーネフ 初恋
好きな人のためならば全てを投げ打てる献身さ、が
モテる人間になると投げうつ対象が好かれている人、になり得るということ。
そういう安定の一切を捨てて衝動に走る自己満足さ、そういう部分が非道にも映るのかもしれない。
同じことをしているに過ぎないんだ。
これはあくまで本作を離れた一つの考えに過ぎない。けれど、同じような人間との関係性を終えたばかりの私は、彼女の想いを、ジナイーダに重ねて読んで、その上で彼女に思いを馳せていた。
ジナイーダは、悪魔的だ。それでいて美しかった。
P16
周りを 青年 4人に取り囲まれたその人は小さな灰色の花束で 男たちの額を一人一人 順番に叩いて
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