あらすじ
報酬のためには手段を選ばない悪徳弁護士・御子柴礼司の前に、妹・梓が三十年ぶりに現れる。梓の依頼は、旦那殺しの容疑で逮捕されたという母・郁美の弁護だ。悪名高き〈死体配達人〉が実母を担当すると聞き動揺する検察側。母子二代に渡る殺人の系譜は存在するのか? 「御子柴弁護士」シリーズの最高傑作。
連続ドラマ化で話題独占!
「悪魔の弁護人・御子柴礼司~贖罪の奏鳴曲」 12.7放送開始 毎週土曜よる11時40分
原作・中山七里『贖罪の奏鳴曲』『追憶の夜想曲』『恩讐の鎮魂曲』『悪徳の輪舞曲』
東海テレビ・フジテレビ系全国ネット
主演:要潤 ベッキー 津田寛治
悪徳、法外な報酬、絶対勝訴。悪魔の法廷劇が今、始まる!
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シリーズ最高傑作の呼び名に値する傑作。
警察が吊り金車の検証をしなかったのは明らかな怠慢だが、最後の御子柴の弁論で法定の雰囲気を一変させるのは圧巻。そして郁美が殺したのは誰なのか最後に明らかになるところも良かった。
御子柴シリーズで初めて人の温かみを感じることができた。
Posted by ブクログ
御子柴シリーズ第四弾も非常に面白かった。
母親の弁護を頼まれて、御子柴自身も口では
他人と称しているが、なかなか割り切る事も難しいようだった。
加害者家族の苦悩もよく理解できる。
やはり、親はどんな子供でも守ってやるという
思いは同じである。すごく納得。
御子柴にかかわる関係が分かってきました。
そして、相変わらず倫子がいいですね。
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4作目。
今回の焦点は実母である。
14歳で少年院に入り早30年ばかり。
それまで一度も顔を合わせなかった妹の梓が事務所に乗り込んでくる。
内容は、御子柴の実母、郁美が再婚相手を殺したと逮捕されたため弁護しろ、とのこと。
御子柴は他を当たれと言うが、どの弁護士も引き受けてくれない。「死体配達人」の母親だからだ、と。
御子柴にとって、家族とは14歳で逮捕された時に全て縁が切れた存在。
自分にとって父親は教官だった稲見。縁が切れた実の母、妹より、血の繋がりのない稲見の方が大事に思う気持ちが大きい。
だからか、妹の梓が尋ねて来たあと、御子柴は稲見の元を訪れた。
稲見は言う。その場で決めないということは、受けるということ。ただ背中を押して欲しいだけ。
そして決着をつけたらどうだ、と言われ郁美の弁護を引き受けることになった。
今回の御子柴は、実母が相手だからかいつもより余裕がない。関係者から話を聞いては頭の中が熱くなったり冷たくなったり、きっと怒りが湧いては冷静になれと自分で暗示をかけているような物だろうと思う。
自分が逮捕されてから住まいを転々としていた郁美と梓。
住んでいた先々で耳にする2人の境遇に御子柴も熱が入る。
私が特にこのクソ野郎と思ったのは、梓の縁談が持ち上がった頃のこと。相手家族が興信所を雇い梓を調べた。大家だった男が、良かれと思って梓は「死体配達人の家族だ」と喋ったのだと言う。結婚は家族と家族の繋がり、知らないまま繋がってはいけない、お節介かもしれないが悪気があった訳じゃない、梓の将来を思えばのことだった、といけしゃあしゃあと吐かす。
反吐が出るとはこの事かと思った。
この男は、これを未だに良かれと思って話しているのだ。
結局梓の縁談は破談になった。
更に、郁美に対しても、死体配達人の家族と知ってからそんないじめのような事はしていないと言ったが、
挨拶をしない、回覧板を回さない、自治会の集まりに呼ばない、無言電話、悪戯書き…十分いじめだ。しかもやった当人は検討がついている、けれどやった気持ちもわかると加害者を庇った。
また、まだ中学3年生だった頃に引越した先では、良い家主に出会い、世話を焼いてもらったり進学校に進んだことも聞かされた。しかし平和は突然崩れる。ある日不良少年3人が4人の男性を殺害する事件が起きた。犯人達は反省することなく、自分達は未成年だから死刑にはならないと言っている。
その様子から週刊誌が特集を組み、その特集には過去の「死体配達人」の事も、その家族である郁美や梓の写真まで出てしまう。
そこから生活は一変した。救いだと思ったのはこの時の家主である。世間の迫害があの母子に及ぼす影響を、歪んでしまうのではないかと心配し、世間は加害者だという郁美の事を自分は被害者だと思うと言った。
福岡に出向いた先では、実父を殺したのは郁美ではないかという刑事がいた。
今回の夫成沢氏の事件を耳にし、29年前と同じだと思ったと。
「1度垣根を越えたヤツは2度目の垣根をなんの抵抗もなくまたぎ越える。失敗するまで何度でも繰り返す」
郁美の再婚相手である成沢氏を調べていると、病死だと聞いていた前妻は殺害されたのだと知った。
5年前、町田という男が車で駅の出入口に突入し、2名を轢き殺し、何人もナイフで重軽傷を負わせる事件を起こした。逮捕された町田は統合失調症で刑法39条心神喪失で不起訴。町田の家族は失踪し、町田自身も入院措置が取られた。被害者遺族で集団訴訟を起こしたが、成沢氏はそれに参加しなかった。
集団訴訟を起こした遺族の1人に話を聞くと、成沢氏は理性的で冷静沈着ではあるが、酔いが回ると奥さんの思い出は話をしたあと町田の恨み言を零していたという。
郁美や梓は彼を良い人だといっていたが、本当に良い人なら再婚したのに前妻の写真を書斎の机に飾ったままにするだろうか。
そして物語は下級へ。
御子柴が鑑定をお願いしている氏家鑑定センター。あれ、これもしかしてあの氏家さん??
繋がりにちょっとワクっとしながら。氏家氏の語るないよが分かりやすくて面白い。サイコパスの共通点はあるのか、殺害気質は遺伝するのか、
加害者家族が考えうることを一言で終わらす。「ただの偏見だ」
そして迎える第三回公判。
証人として氏家氏が出廷。実証実験を行った。この実験が全てだった。そして氏家氏に鑑定を依頼していたもう1つ。成沢氏のパソコン。これが決定打となった。
成沢氏の本当の顔がわかって、勝訴は間違いないのにスッキリしない。
母は語る。父の最後を。
誰も死んでくれなんて頼んでない、責任を取ってくれなんて頼んでいない、御子柴はそういうが、
死を選んだ実父の言葉には息子への愛が滲んでいて。
何とも切ないと思った。
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中山さんのミステリーは岬洋介シリーズから入った。とても面白かったので、それから別の小説を読んでみようと手に取った中の一つ。同じ作者が書いたのかというほど雰囲気の違う文面で驚いた。
御子柴シリーズは、実際ありえない経歴を持つ弁護士という設定で、弁護士としては少々無謀な手段を用いることもあるが、それでも、グイグイと最後まで引き込まれていく。
今回は、身内である家族の犯した殺人容疑の弁護人となる。
自分がかつて起こした重大事件後、30年経っての妹との再会。母にかかった殺人容疑を知る。そして、妹の梓は、そんな過去を持つ加害者家族の弁護を引き受けてくれる弁護士がなく、憎しみを抱えながらも仕方なく兄の御子柴に依頼を頼みにくる。
あくまでも仕事として弁護を受けることにした彼だったが、自分の起こした事件後、加害者家族として過ごしてきた彼らの足取りを調べることにもなった。
そして裁判が終わり、母の判決が出た直後、
呼び止められた母からの悲しい告白、御子柴は何を思ったのでしょうか。
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御子柴シリーズ、最初は中山さんのつかう言葉が難しかったり、法廷のやり取りに慣れてなかったりで頭を使いましたが、さすがに4冊目には慣れてきてどんどんペースがあがりました!
実の母親を弁護するこの本は、あっぱれだと思いました。
最後まで自分を貫き通す姿も見事でした!
ほんとに面白かった1冊です。
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巻末あと少しでこれからネタバレできるのか、心配になりましたが杞憂の面白さでした。オカンの人となりが右に左に振れて最後までミステリアスな人でした。
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シリーズ作品で右肩上がりで面白くなる作品はそう多くない。その中で御子柴シリーズは稀有な例で、徐々に御子柴の過去に迫りつつ、その過去に対峙するきっかけが身の回りで起こる事件なのだから、中山七里さんのストーリー構成には恐れ入る。今回は自身の母親の弁護という難題に御子柴は立ち向かうことになる。とうの昔に失くした家族との関わり。しかし、家族という血の繋がりを避けられないがために生まれる憎悪と慈しみが、心に迫る。悪徳弁護士と言われながらも、意外と味方も多い御子柴のこれからの活躍も楽しみだ。
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!!。
何か興奮できるような、びっくりするような、とにかく心情揺さぶられるような本をお探しの方には是非是非この御子柴シリーズオススメ。一気読み間違いなしなので全巻そろえておいてから読み始めて良かった!
ここまでシリーズ4冊をかけて、御子柴の弁護士としての無双と人間としての微妙な心情の変化が描かれている。個人的には御子柴の変化のリアルさと、変化を増長するような倫子と洋子の存在が物語の面白さだと感じる。次、読みます。
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御子柴が再婚相手を殺害した疑いで逮捕された実母を弁護する。
いつもの御子柴らしくなく家族への感情にペースを乱されるところは彼の変化を象徴していますが、何より後半の結審から親子の会話までの流れは序章が思わせぶりだったとはいえ完全に予想を上回るものでした。
終始読んでいて苦しい内容でしたが、読後の感想は圧巻と言わざるを得ません。
Posted by ブクログ
御子柴礼司シリーズ第4弾。
前回の稲見-御子柴の話を終え、次の展開に興味を持ち即座に読み始めた!!
(いえ、聞き始めた!!Audible最高!!)
今回は御子柴礼司の実母を弁護する話。
果たして、実母の再婚相手を殺したのは本当に実母なのか?
今回も読みごたえのあるリーガルミステリー。
あれだけ冷淡な御子柴礼司が、少し調子が狂った素振りをするのは、
数十年ぶりに実母にあったからか?
犯罪者の、残された家族のおかれた状況が語られており、
社会的な問題提起もあるような気がした。
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御子柴弁護士の過去や家族に触れるお話。
シリーズを通して読むうちに、御子柴弁護士が実は純粋でまっすぐな人なんじゃないかと思い始めた。
実は家族が好きだったのかなーとか、実は優しい人なのかなーとか。
おもしろかった
本当にすごいなと思う。ザラザラと心に残るがなんだか少し感動もする。毎度の逆転はさることながら本当に素晴らしい。中山七里先生の頭の中はいったいどうなっているのかのぞいてみたい。次回も楽しみだなと期待してしまう。
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実母を弁護する御子柴。加害者家族だからといって再婚相手に自死をもって冤罪を被らせようとする被害者の執念がすごい。
実父の自分への深い思いを知った御子柴にどんな変化が出るのか否か・・・
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2020年2冊目。
大好きな中山七里作品の中でもいちばん好きな御子柴礼司シリーズ。3冊目までは既に読んでたけど、今回のドラマ化にあたり急いで買いました。
最初でまんまとハメられてしまい、これをどう引っくり返していくのかとずーっとハラハラしながらの一気読み。
オチで納得、そういうことか...。
それにしてもこんな御子柴礼司は初めて。
最後の倫子に癒されました。
まだまだ続いて欲しいな、このシリーズ。
2024.9.16
再読。
確かドラマでは郁美役を浅野温子さんが演じてて驚いた記憶が。
そうか、中山七里作品の中でもまだ未読のシリーズ、氏家京太郎はここで活躍していたのか。
まだ未読なので気になる。そっちも早く読んでみたい。
再読して改めて思うのは、最後の郁美の自白こそが復讐のような気がする。こえー。
Posted by ブクログ
御子柴シリーズ4作目。今回の被告人は御子柴の母親。依頼人は妹。このシリーズどんどん面白くなる。御子柴の起こした事件によって加害者家族になった父の自殺と母、妹の壮絶な日常。どんな生活を送ってきたかを聞いても御子柴はどこか他人事だし、謝罪もないどころか傷つけるような冷たい言葉をぶつけることにイラッとしながらもそういう心が欠如しているのも御子柴だからとどこかで自分を納得させる。ただ少しずつ感情が出てきている気がして、この先も御子柴から目が離せない。
Posted by ブクログ
いや~なんと重い内容だこと。
加害者家族に対する世間の対応は現実の社会でも問題になっています。加害者家族を叩くのは正義であると思う人々がなんと多いことか!!主人公御子柴の家族も想像を絶する生活を送ってきた。再婚相手を自殺に見せかけ殺した疑いで逮捕された母親を弁護することになった御子柴。見事な弁護を展開するのだがラストは…辛い
Posted by ブクログ
報酬のためには手段を選ばない悪徳弁護士・御子柴礼司の前に、妹・梓が三十年ぶりに現れる。梓の依頼は、旦那殺しの容疑で逮捕されたという母・郁美の弁護だ。悪名高き〈死体配達人〉が実母を担当すると聞き動揺する検察側。母子二代に渡る殺人の系譜は存在するのか? 「御子柴弁護士」シリーズの最高傑作。
Posted by ブクログ
御子柴礼司シリーズ。御子柴の妹、梓が依頼に来た
内容は2人の母親の弁護。御子柴は母親の弁護に無意識のうちに戸惑いながら事件について調べ始める。
事件の加害者の家族に向けられる世間の悪意を描写しながら御子柴はそれらを鼻で笑う。前作は父親当然の男の弁護だったが、今作はおよそ血縁とは思えない母親の弁護に御子柴は何を思うのか被害者の遺族と加害者の家族に焦点をおいた最後まで気の抜けない作品でした
Posted by ブクログ
『悪徳の輪舞曲ロンド』
「弁護士・御子柴礼司シリーズ」
中山七里(著)
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### **あらすじ**
報酬のためには手段を選ばない悪徳弁護士・御子柴礼司の前に、三十年ぶりに妹・梓が現れる。彼女の依頼は、夫殺しの容疑で逮捕された母・郁美の弁護だった。かつて“死体配達人”と呼ばれた御子柴が実母を弁護することに動揺する検察側。母子二代にわたる殺人の系譜は存在するのか――?
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### **感想**
シリーズが進むにつれて、御子柴礼司という人物の核心にどんどん切り込んでいく展開が魅力的です。今回は、彼が母の弁護を引き受けるという、極めて難しい状況に直面します。
「正義」とは、見る角度によって異なるものです。その客観的な指標として法律が存在し、私たちは法律の枠内で生きています。しかし、その境界線は決して明確ではなく、曖昧さを孕んでいるのが現実です。本作では、御子柴自身がその境界線のどちら側に立っているのかを問い直しながら、彼の眠っていた感情が少しずつ目覚めていく様子が描かれます。この内面的な変化こそが、本シリーズの大きな見どころの一つです。
とはいえ、御子柴の過去の罪は決して許されるものではありません。その過去と向き合いながら、彼が社会とどのように折り合いをつけ、罪を犯した者と社会との関係をどのように描いていくのか。本作を読んで改めて、このシリーズの行方を最後まで追いかけたいと強く思いました。
Posted by ブクログ
御子柴シリーズ第4段!今回は実母園部郁美が被告人、依頼人は妹、梓と、前回に引き続き自らの過去と向き合わなければならない苦しい局面が続く…それでも小さな糸口から無罪を勝ち取ってしまう御子柴弁護士の手腕は読んでいて爽快感が伴う。今回も一気に読んでしまった〜御子柴先生は最後のお母さんとの会話でまた調子を崩すのだろうな…と思いながら読み終わった。
Posted by ブクログ
相変わらず面白い。
教官の次は実母か…仕方ないとはいえ胸中掻き乱されて大変だな…
郁美の人物像がなかなか掴めず、隠し事してることもあって謎の怪しさが常に感じられてそのせいで(おかげで?)最後まで「やったの?やってないの?」がわからなかった^^;
冒頭のシーンそっちの方だったのか…
終盤の小曾根の台詞は心底同感…
「精神を病んでようがガキだろうが犯した罪に変わりはないはずなのに、加害者を守り被害者やその家族は守らない法律なんておかしい」という主張。
法律って一見平等なように思えるけど実際そうじゃないよね…日本の法律なんて改めて考えるとおかしいところたくさんあるんだからさっさと法改正して欲しい…被害者とその家族の人権は守らないのに何で加害者の人権ばかり尊重するんだろう…
そしてまさかのまた倫子登場。
前作も最後に手紙で登場したし何気に御子柴にとって無意識に重要な位置付けになってきてたりするのかな……?なんて。
次回も楽しみ!
Posted by ブクログ
相変わらず面白い。なぜこんなに色々な謎解き、テーマが思い浮かぶのか不思議でならない。
何を読むか悩んだ時はひとまず中山七里作品にすればハズレなし。
Posted by ブクログ
御子柴の母親である郁美が再婚相手を自殺に装って殺したと起訴され、その弁護を妹・梓に依頼される。カーボンコピーの署名入りの遺書や重量物を容易に持ち上げるための金車(滑車)など状況証拠は揃っていた。挙句、29年前の御子柴の父親の自殺事件も同様の手口であったことが弁護を難しくしていた。
また眉唾物ではあるが、X染色体上にあるMAO-a遺伝子は母親から男児に遺伝するという仮説があり、悪徳が(輪舞曲)遺伝するのではという話も。
結果的には再婚相手が前の妻を殺されていて、加害者を罪に問えず、またその家族からもお金をとれなかった逆恨みで別の事件の加害者家族である郁恵をハメ、自殺を他殺に見せかけたという事件であった。
御子柴は過去の父親の事件を逃げたという風に認識していたが、郁恵は3000万円を残して、より御子柴の返済額を減らすために命と引き換えに償ったと御子柴に話した。今後御子柴の人格形成に影響を与えると思うので注目したい。
Posted by ブクログ
今回は身内の弁護ということで、いつもの調子ではなく心が乱れっぱなしだった御子柴。
御子柴が思っているより、父も母も見捨ててはいなかった。
御子柴の心が闇堕ちしそうになると倫子が救ってくれる。
そういう存在が御子柴のこれからには必要だと思う。
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御子柴礼司の妹・梓が30年ぶりに訪れ、母・郁美の弁護を依頼する。
郁美は、再婚した夫を自殺に見せかけて殺害した容疑で逮捕された。
接見した御子柴に対し、郁美は容疑を否認。
郁美が再婚した男は、最愛の妻を通り魔の男に刺し殺された。
この通り魔が、統合失調症であったために、医療刑務所に入れられ、親族は逃げてしまい、郁美の夫は、慰謝料を請求することも出来なかった。
どうする事も出来ない憤りをぶつける相手として、郁美と再婚した。
ネットで、郁美が「死体配達人」の母だと知り、自殺をして、郁美を保険金目当ての殺人犯に仕立てようとしたのだ。
しかし、御子柴礼司の雇った、優秀な「氏家鑑定センター」が、郁美の犯行ではない事を、見事に証明した。
無罪を勝ち取った御子柴礼司に、母・郁美は、実父は自殺ではなく、郁美が殺したと、カミングアウトする。
御子柴礼司の殺した少女の家族から、8000万円の慰謝料を請求された実父は、御子柴礼司の負担を少しでも減らすために、郁美に自身を殺させて、保険金3000万円を慰謝料にあてさせたのだ。
「死体配達人」の父親として生きていく事に、絶望して自殺した、と思っていた御子柴礼司は、郁美から真実を知らされ、狼狽える。その姿が、意外でこのダーク・ヒーローに好感を持った。
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オーディブルにて。
ここ1週間で御子柴シリーズを怒涛の勢いで聞いている。
今回は夫殺しで疑われてる実母を弁護する話。
前作では父親のように慕ってる稲見をなんとか無罪にしようと奮闘していたが、今回は実母なのに弁護することすら嫌がり、ずっと突き放した態度で接する。
自分が犯罪を犯したことで加害者家族となり迷惑をかけておきながら実母や妹に対しての物言いが酷すぎてギャップを感じるけど、少年院時代に関わろうとしてくれず自殺を選んだことで 逃げた という被害者意識を抱えているのか。
でも最後に母親の言葉を受けて悩むところまでが今回のテーマなんだろうな。
毎回冒頭のストーリーの回収まで含めて面白い。
Posted by ブクログ
辣腕の悪徳弁護士・御子柴礼司シリーズは4作目。今作では夫殺しの罪に問われることとなった御子柴礼司の実母の弁護を担当することに。かつて御子柴少年が犯した凶悪犯罪により加害者家族として社会から糾弾、迫害された母と妹にクローズアップすることで御子柴シリーズに深みをもたらしているのは流石。そして肝心の法廷ミステリとしても、圧倒的に形勢不利に思われる状況を淡々としながらも粘り強い捜査と劇的な法廷演出と鮮やかなロジックでひっくり返す。もはや様式美と言っても差し支えないのでは。
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弁護士・御子柴礼司シリーズ第4弾。
今回の依頼人は、御子柴が30年前に事件を起こして以降、連絡の途絶えていた妹。依頼内容は、母にかけられた殺人の嫌疑を晴らしてほしいというもの。
第2作で、かつて自分が犯した罪を白日のもとに晒して以来、世間の注目を浴びる御子柴だが、今回は何かと今までとは勝手が違う。親子に渡る殺人の系譜は存在するのか、前作とは違う意味で懊悩する御子柴の姿が印象的な作品。
第2作「追憶の夜想曲」で御子柴の被害者遺族が登場、第3作「恩讐の鎮魂歌」で御子柴の少年院時代の恩師が登場、そして本作で御子柴の家族が登場と、御子柴の身辺の人物が法廷に立っている。次作以降の展開も楽しみである。
Posted by ブクログ
シリーズが進む毎に御子柴のが感情をあらわにするシーンが増えてくるが、それが物語の彩りでプラスになるが重厚感が増える分ページをめくる速度が落ちる感覚があった。
ただ相変わらずラストの法廷シーンが痛快なためシリーズ通じてほぼ同じページ数で進むことが、終盤に踏み入れたときのワクワク感に繋がっている。
次作も読みたいと思わせる面白さはあった。