【感想・ネタバレ】極楽征夷大将軍のレビュー

あらすじ

史上最も無能な征夷大将軍
やる気なし
使命感なし
執着なし
なぜこんな人間が天下を獲れてしまったのか?

動乱前夜、北条家の独裁政権が続いて、鎌倉府の信用は地に堕ちていた。
足利直義は、怠惰な兄・尊氏を常に励まし、幕府の粛清から足利家を守ろうとする。やがて天皇から北条家討伐の勅命が下り、一族を挙げて反旗を翻した。
一方、足利家の重臣・高師直は倒幕後、朝廷の世が来たことに愕然とする。
後醍醐天皇には、武士に政権を委ねるつもりなどなかったのだ。
怒り狂う直義と共に、尊氏を抜きにして新生幕府の樹立を画策し始める。

混迷する時代に、尊氏のような意志を欠いた人間が、
何度も失脚の窮地に立たされながらも権力の頂点へと登り詰められたのはなぜか?
幕府の祖でありながら、謎に包まれた初代将軍・足利尊氏の秘密を解き明かす歴史群像劇。

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Posted by ブクログ

第169回直木三十五賞

垣根涼介さんの歴史小説を初めて読んで圧倒された。
史実を元に緻密に練り上げられた壮大な物語で、武士一人一人が丁寧に描かれていた。
極楽殿と呼ばれた足利尊氏は、御家人たちから毒気を抜いてしまう愛嬌ある人柄で、読者もきっと好きになってしまうと思う。
前半は優秀な直義と師直の力によって、意図せず活躍してしまうところがおもしろい。
普段は周囲が道理を説いて導けば従う盛り立てやすい当主だけど、直義に危機が迫れば誰の声も聞かずに駆け出す兄弟愛に胸が熱くなった。
尊氏が髷を切ってしまった為に、敵兵から守るために周りもそれにならい、ざんばら髪の騎兵集団で直義の援護に駆けた場面は笑ってしまった。
また、戦場での決断力は見事で、軍議の捌き方には師直と同様にわくわくした気持ちで読んだ。
物語は直義と師直が交互に語り手となって進み、直義が兄に感じる無欲の凄みや、後年の尊氏自身の変化などがとてもわかりやすく表現されていてよかった。
史実でのその後や、たくさんいる登場人物のエピソードが含まれることもあり、丁寧すぎるくらい情報は盛りだくさん。
垣根涼介さんの他の小説も気になるけど、今回読むのにかなりの時間がかかって疲れたのでまた時間をおいてチャレンジしてみたい。

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2025年11月26日

Posted by ブクログ

とても面白かった。壮大で深い。
長いけど、長編だから出せる人間の深みと面白さだと思った。
古文書から人柄を読み取る著者の凄みを感じる

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2025年11月05日

購入済み

実に面白い

本当に読みやすく分かりやすい
時代小説は読んだことがなかったのですが
垣根さんの小説は好きなので、初めて読みましたが、一気読みでした
その他のものも読みたいと思います。

#ドキドキハラハラ

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2025年02月13日

Posted by ブクログ

いやー長かった。549ページ2段組。
足利尊氏の印象って、室町幕府の初代の将軍でしょ、それしか無かった。正直、興味をひかれる人物でも無かった。
が、極楽征夷大将軍と言うタイトルと帯の【やる気なし使命感なし執着なし】が絶妙過ぎて興味をひかれてしまった(まあ勿論、直木賞受賞と言うことも大きな理由の1つ)
読んでみると、幕府を立ち上げた初代将軍とはかけ離れたイメージの人物像で。なんなんだこの人は。本当にやる気ないな、掴みどころのない人だな。これは直義(弟)や師直は大変だな。
でもなぜかとても魅力的。器が大きい、と言うと少し言葉のイメージとは違うような気もするが。少なくとも、大方の人はこう言う風にはなれないからこそ、なぜか神格化されたりもするし、崇めてしまう人達の気持ちもよく分かっててしまう。
しかし反面、生真面目で曲がったことが嫌いで、自分の上司だったら近寄りがたいのかもしれないなと思う直義も、私はとても共感してしまうし、こう言う兄みたいな流されているようでなぜか人望を集めてしまう人がいつも傍にいるって結構しんどいよなあと思ってしまう。
そんな正反対の2人なのに、お互いを大切に思っていることは同じ。だからこそ2人が戦うことになった時には読んでいて辛かった。
何だかまとまりのない感想になってしまったが、とりあえず長かったし、ページをめくる手が止まらなくてすいすい読めてしまうと言う感じの作品ではなかったけど、読みごたえはその分あった。読み終わって、まるで2人と一緒に大変な時代を生きてきたような、そんな感覚になった。

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2024年11月16日

Posted by ブクログ

足利尊氏側の本を初めて読んだが学びが多く非常に面白かった。
・単なる戦記ではなく、事がそこに至った経緯やそれぞれの考えがわかりやすく書かれおり学びが多い
・人の世はいつの時代も自分の家族をどう護るかに執着している→尊氏も直義も子をなしてから自分の一存では行動できなくなっていると思う
・処罰に情が挟まっておりそれが争いが絶えなかった原因と思う
・向背が激しい

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2024年11月02日

Posted by ブクログ

 鎌倉幕府倒幕と室町幕府創設の立役者となった足利尊氏の生き様を描く歴史大作。

 物語は尊氏の少年時代から病死までの一代記で、弟の直義と執事の高師直の視点で交互に描かれる。
 第169回直木賞受賞作品。
          ◇
 北条宗家の有力御家人である足利家。だがその庶子に過ぎない又太郎と次三郎は、家中で誰にも期待されないし、自らも多くを望まないという日々を送っていた。
 足利家の執事を務める高家の次期当主である師直も、又太郎たち兄弟が日の目を見ることはないように思っていた。
 実際、次三郎から見ても兄の又太郎は学問や武芸に励むでもなく日がな波打ち際で遊ぶことを好み、野心どころか前途を悲観する素振りさえ見せない極楽蜻蛉だった。

 だが、又太郎が元服し高氏と名乗るようになった頃、北条家の屋台骨が揺らぎだし、足利家当主の高齢と嫡男の若年が誰の目にも明らかになってきた。ここにおいて、一族および執事家の目は高氏に向き始めたのである。
 望洋としていながら不思議に人徳のある高氏と、目鼻に抜ける頭脳のキレを見せる弟・高国のコンビはこうして足利家の希望となった。

 そんなとき後醍醐天皇が京で倒幕の兵を挙げたと鎌倉に知らせが届く。
       ( 第1章「庶子」) ※全4章。

      * * * * *

 これまでの 尊氏 − 直義 を始めとする太平記時代のレギュラー陣の印象がガラリと変わりました。

 足利尊氏といえば、政治は苦手である代わりに戦の天才。直義は緻密さと篤実さを合わせ持つ内政向きの落ち着いた家老タイプ。高師直は足利という武家の存続を何より優先する合理性重視で冷徹無比な家宰。そんなイメージを持っていました。

 でも本作での尊氏は、武将としては晩年まで凡庸でした。直義と袂を分かってから『孫子』を読んでいたようですが、もともと座学が苦手のため軍学を深く学んだわけではないし、武芸に打ち込みもしてきませんでした。
 ただ将を束ねるのがうまいのと戦局を判断する勘が冴えているという漢の劉邦を、さらにお人好しにしたタイプとして描かれています。そこがとてもおもしろかった。

 そんな尊氏を輔ける直義と師直。このコンビも魅力的に描かれていました。
 直義は実直だけれど融通が利かないところがあり、毛針を広げたヤマアラシのように自身で動きを取れなくしてしまう硬直タイプ。
 師直は計算ずくで賢く立ち回るように見えるけれど、判断に困ると直義に下駄を預けようとするような優柔不断な一面もあります。

 この主要人物3人がなんと人間味に溢れることか。それぞれ凡人のとても及ばぬ秀でたところがあるものの、凡人と変わらぬ愚かさもあって、つい共感してしまったりします。
 まさに垣根涼介さんの人物設定の巧みさのおかげで、本作がただの英雄物語にならず、優れたヒューマンドラマにもなっています。

 さらに赤松円心・楠木正成・新田義貞・足利直冬と、軍事に優れた武将たちにもひとりの人間としての息吹を与え、その活躍に胸踊り、その死を悼んでしまうほどの親しみを持たせてくれていました。かの強者たちに対する垣根さんの思い入れをひしひしと感じずにはいられませんでした。

 どちらかと言えば理屈先行のように思えた『光秀の定理』や『信長の原理』と違って、新たな世を作った英雄たちが1人の人間として活き活きと描かれていたのは明らかです。

 まったく直木賞に相応しい、優れた歴史ロマン大作だったと思いました。

       * * * * *

 北畠顕家推しの自分にとっては、顕家のためにもう少し紙面を割いていただけたなら言うことないのになあと贅沢なことを思ったりしています。

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2023年12月26日

購入済み

「涅槃」に続き読み応えたっぷり

の歴史大作。

登場人物が多彩でしかも刻々と局面が転換していく時代を、作者の切り口で克明に語る物語に圧倒された。これまでモヤモヤしていた場面も納得出来たところがか多く作者の洞察力にただただ敬服。直木賞受賞も納得。

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2023年08月08日

Posted by ブクログ

やる気なさすぎて、所々で笑ってしまった記憶。

固定観念が崩れて、
新しい尊氏像が自分の中に出来ました。
長いですが、読んで良かった。

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2025年11月02日

Posted by ブクログ

足利尊氏の浮世の極楽風を、主に弟の直義や側近の高師直の目線から描かれた物語。尊氏は気弱く、無責任でもあるのに、うすぼんやりとした愛嬌で、ただ執着心がないという一点で、多くの武将から誤解も含みながら慕われたという稀有な人だった。でも、それは弟の直義や高師直の努力があったからである。しかし、絶えず数万の兵の合戦が日常茶飯事で、兵もあっちにころび、こっちにころびと、勢力図も変化し続ける。人の命はとてつもなく軽い。そんな時代に生まれなくてよかったと思う。

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2025年10月20日

Posted by ブクログ

足利尊氏は優柔不断で出世欲もなく、たまたま名門の一族に生まれてしまっただけの「極楽様」のような平凡な人間だった。

そんな男が鎌倉幕府崩壊の混沌とした時代でトップに上り詰めてしまった理由は、全くタイプの違う2人、足利直義と高師直に支えられていたからだ。

直義と師直の2人が活躍すれば、主人公尊氏の存在はかすみ、 2人が窮地に陥れば、尊氏は秘めた力を発揮する。そんなシーソーバランスが延々と続いたのが南北朝時代だった。

自分の足りないところを補ってくれる他人は必ずいる。そんな根拠のないことを信じ続けたことで念願の征夷大将軍の地位を手にすることができた足利尊氏。力を抜きつつ、自分のできることだけを行えば、誰かが助けてくれる。他力本願でも、それを徹底すれば、いいことが起こるかもしれない。そんな生き方があってもいい。

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2025年10月19日

Posted by ブクログ

司馬遼太郎作品の中の大村益次郎が、「足利尊氏のように、朝廷に刃向かう物が西から出てくる場合に備えて、熊本城と大阪城に火薬系兵站を充実させるべし」という主旨のことを唱える場面を何度も読んだので、足利尊氏は西郷隆盛のように、朝敵となることも厭わない豪傑・英傑なのだろう、というイメージを持っていたが、本作における足利尊氏は、ひたすらヘタレ。

弟の足利直義、家宰の高師直に只管引っ張ってもらいながらも、ここぞという時には妙に求心力を発揮する。

室町幕府が在京なのは、武士が公家化したからなのかと思っていたけれど、建武の新政前後は、京都が政治の中心地でそこを離れられないくらい政治が流動化していたから、とみるのが正しいよう。坂東対策は関東管領が所管した、という史実からは、ローマ帝国東西分轄を思い出してしまった。

とても面白かったけれど、分量も格別。549頁、2段組 21行で、普通の作品と比べると、頁当たりの情報量が倍くらいに感じた。面白いのに中々頁が進まない、という珍しい体験をした。



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2025年10月18日

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大作で読み応えあり!!
ただ、歴史を忠実にたどっているのでしょうが、終盤のつばぜり合いが、味方、敵がいったりきたりなど、少し混乱しました。。。

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2025年09月17日

Posted by ブクログ

人生でおよそ20年ぶりの歴史小説。
歴史小説は大好きだったのが今は少し遠のき、これだけブランクが開くとまぁ進まないむ進まない(笑
単純に教養の無さと読む時間が取れなかったのが理由ではありますが…。

しかし、室町幕府の成り立ちを一つ知ることができました。
果たして尊氏はどんな人間だったのか…大変興味深かったので、読んで正解。

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2025年08月19日

Posted by ブクログ

大河ドラマ、鎌倉殿の13人の続編のような運びで、ドラマにハマったのでとても楽しめました。とにかく大作なので、読み終えるのに時間がかかりました。あと、逃げ上手の若君も登場しますよ。

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2025年08月05日

Posted by ブクログ

なんだ。
やればできるではないか。


死の直前。尊氏によって幽閉と言う名の保護下にあった直義が、精力的に動き、南朝との交渉、反幕府軍との戦争、幕府の運営と、今まで決してやらなかった源氏の棟梁、征夷大将軍としての役目を立派に果たしている兄の姿をみて、ポツリ、と浮かんだ言葉が、なんとも可笑しいけれども、なにやら切ない。

やる気がない、すぐに丸投げする、丁寧に家臣を思いやることもなければ、手を尽くしてやることもない。
そんな『極楽』征夷大将軍を、必死に支えてきた足利直義と高師直。
浮かぶ瀬もないというか、できるなら、最初から自分でやってくれればよかったのにと思っただろう。
いや、足利一族いや兄の命とその一族の繁栄を第一に動いた足利直義、そして武家の世の頂点に足利高氏が立つために粉骨砕身した高師直。
この目的が絶妙にズレた二人の異才が存分に動けたのは、足利高氏が軽い木っ端な『極楽殿』だったからだろう。担ぐ神輿が軽ければ、フットワークも軽くなる。そういうことだ。

そして、尊氏が遅咲きながら征夷大将軍として源氏の棟梁として存分に働く事ができたのは、直義と高師直が整えた舞台があったからだ。

でも、『やればできるではないか』の言葉を、足利直義はもう少し早くに言いたかっただろうな。

仲が良すぎな足利兄弟が大好きな私は、どうしても直義贔屓になってしまうので、かっこいい足利直義と、弟が大好きで子犬のような尊氏が読めて、とても面白く満足した本だった。

観応の擾乱のぐだぐだっぷりは、総大将の二人ともが相手の命を取りたくない、まったく相手への憎しみも怒りもないからなのが原因なのだろうと思った。
共依存じみた兄弟愛が、足利氏の棟梁になる予定の無かった子ども時代から、尊氏に直義が捕らえられるまで、いや死の間際までずっとずっとあり続けたのではないかと、そんな希望的観測を持っている。

中先代の乱で、戦死もやむなしであった足利直義のもとへ、必死に飛ぶようにして助けに向かった足利高氏。
再会し、涙を流しながら手を取り合う二人の姿に胸を熱くした。
悪気なく、底抜けな天然さで人を振り回す兄と、呆れつつも振り回される事を受け入れている弟をずっと見ていたかった。
だから後醍醐天皇を吉野へ追いやり、幕府が動き出してからの直義と師直の軋轢は、この後の悲劇を予想させて、凄く辛くて、読みたくないなんて思ってしまった。

仲の良すぎる兄弟が作り上げた室町幕府は、穴だらけだけども、兄弟同士で争う事が珍しく無かったこの時代。最期まで互いを愛し続けた兄弟の生涯は、かなり萌えたぎった。たぎりにたぎった。

さらに、足利高氏、足利直義、そして高師直について妄想を逞しくしたくなってしまった。

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2025年08月04日

Posted by ブクログ

やっと読み終わりました。長かったです。さすが直木賞、物語としてダレることなく、時間はかかりましたが最後まで面白く読むことができました。
読んでいてようやく自分でわかったことがありました。小生、戦国時代の物語などがあまり得意ではなく、本作も直木賞作品でなければ手に取っていなかったと思いますが、要は合戦の描写がぼやっとして上手く頭に描けないから苦手なんだと思いました。味方と敵が、どちらからどちらへ動いて、どうなっているのかが混沌としてわからない。どちらが勝ったのかは分かる。いっそのこと合戦場面を読み飛ばして、勝ち負けだけ把握すればいいとも思いましたが、それだと合戦ものを読む意味がないなと。よって距離を置くことになる。
これは単なる愚痴です。
気にならない方にはとても面白い作品だと思います。

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2025年06月27日

Posted by ブクログ

大作であったが、読み始めたら止まらなくなり、2日で読み終わった。尊氏をこんな風に描いたのが新鮮だった。

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2025年06月18日

Posted by ブクログ

長い小説だったー。
3週間くらいかかったんじゃないかな。
それでも室町時代を知らなさすぎて、面白く読めました。飽きずにグイグイ読んだよ、このスピードですが。

舞台は鎌倉末期、北条宗家の御家人の中でも格上の足利家。
正妻の子ではなく、後継問題にも関わらないはずだった尊氏と直義兄弟。
この2人があれよあれよという間に御輿に乗せられ、前に出ると朝敵になってしまい、上皇を担ぎ出し、南北朝時代が始まっちゃう。

やっぱり戦国の世ですね。
鎌倉から続く血塗られた時代。
尊氏の性格は呑気で人当たりが良く魅力的で、戦上手な武将たちに好かれる。
一方仲が良い弟直義は、兄をきっちりサポートして、ずっと裏方で差配する仕事人。
途中から、この物語は主人公は弟だなと。

足利幕府を開いた後もずっと戦、戦、戦ですぐ裏切るし、鎌倉と同じじゃないか、と。


とっても面白く読めたけど、戦ばっかりに飽きてしまってホシを減らした。
あと、尊氏がどうして直冬を嫌ったのか理由がわからなかった。

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2025年05月20日

Posted by ブクログ

怒涛の事件、荒ぶる戦さ。結果的には相対する直義と師直の両視点からの、寝返りと裏切りの連続の展開と、その中で強烈にキャラ立ちするメイン登場人物達の物語。歴史の事実を忘れて真っさらの気持ちで熱中して読み続けた

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2025年03月17日

Posted by ブクログ

初代征夷大将軍・足利尊氏の半生を描いた歴史長編。
第169回直木三十五賞受賞作。

欲なし・やる気なしの兄と、しっかり者の弟。
重臣の高師直に、赤松円心など登場人物がとても魅力的。円心とか情に厚くてまさしく理想の「武士」って感じの気持ちの良さ。
反して後醍醐天皇の欲まみれな事…。(どこまで史実に忠実なのかわからないけど)いつの世もこういう身分と人間性が比例しない人いるんだよなぁ…
一番好きなのはP249。私も泣いた。何という胸熱展開。
後半は盟友のようだった人達が袂を別つのが悲しいので余計に。
血の通った人間味が感じられる物語で、とても面白く読めました。

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2025年02月22日

Posted by ブクログ

立板に水のように、ひっかかりも矛盾もなくさらさら読める。が、長い!読み切るのに1週間もかかってしまった。

しかし、そのぶん、内容が濃くおもしろかった。
政治のパワーバランスや人身掌握の妙味などは現代にも通用するものがあり、人物像も多面的に良き面、悪しき面またそのどちらでもない面をしっかり描いていて魅力された。尊氏の極楽ぶりには時に笑わせてもらった。血で血を洗う戦の場面は作戦の面白さもあり、手に汗にぎる臨場感があった。

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2024年11月16日

Posted by ブクログ

面白い!けど長い、、、
一人一人の人間描写が非常に上手で
なかなかマイナーな時代にフォーカスしてくれてて勉強になる。良作

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2024年11月10日

Posted by ブクログ

直木賞受賞作。これも、時代小説なのでしょうか?

足利尊氏の物語です。
そう言えば、足利尊氏のことは、あまり知りません。小説ではもちろん読んだことがないですし、大河ドラマなどでも見ていないです。

足利尊氏は、側室子だったので、家来にもあまり相手にされず、のんびりした子ども時代を過ごす。ところが、正妻の長男が病死し、家督を継ぐことに。しかし、尊氏は、家督を継ぎたく無いと駄々をこねる。面白い人ですね。

尊氏の弟は、頭がキレる有能な人。自分に厳しい分、人にも厳しいので、なかなか上に立っても、人が付いてこないだろうと、本人も自覚している。

途中です。
小さい字で、2段に書いてあるので…
非常に長い。読み終わるのかな?
読み終わりました。


これは、足利尊氏、足利直義、高師直の3人の物語ですね。

政治とは難しいものですね。
足利尊氏・直義の兄弟も、高師直も、自分の為にではなく、周りに突き動かされて、闘い室町幕府を開き、皆が上手くいくようにと、采配したが、仲違いしてしまった。

誰々が、こっちに味方して、ここで戦って…とかは、覚えられません。でも、色々策を弄して、戦に挑んだり、政を司ったり…面白いなぁと思いました。

直義と師直の仲が悪くなっていき、尊氏が勉強し出して50才近くなった頃には、うつけ者ではなく、ちゃんと名将になってきたところが、とても興味深かったです。

歳を取っても学べば、成果はでるのかな?

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2024年11月04日

Posted by ブクログ

かなり長かった…けど面白かったです。
歴史の授業で触れたのみで、腐敗した鎌倉幕府を足利が裏切って討伐した。くらいの認識でしたが、もちろん物語としての脚色は多々あるのでしょうが、解像度を上げると様々なドラマがあるのだなと感じました。
足利一門にしても誰にしても、初めから虎視眈々と自らの栄華を狙っていたというわけではなく、みんながみんなその時々、瞬間瞬間で、自己防衛のための決断を繰り返した結果として、歴史があるのだと感じます。

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2024年10月28日

Posted by ブクログ

腹の底ではお互いに信頼しきっているのに、人はなんでこういう結末になってしまうのだろう…。

『なんだ、やればできるではないか』、すべてこの言葉に尽きる気がする。

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2024年10月28日

Posted by ブクログ

なんとも読み応えのある作品でした。
 自分の歴史感の中でも、
まだ未知の世界の「南北朝時代」
終始、戦っているので、始まるまでも長いな~と言う感じで、 足利一族が、兄弟をまつりあげて幕府を作っていき、右腕となる、高一族が後世に残っていないのが、とても気になりながら読んでいました。
 権力のシーソーが、あちらに流れたり、こちらに流れたりで、乗っている人も変わってしまうのですね。
直義と師直の袂が分かつ辺りから、引き込まれていきましたが、同時に読んでいてとても辛かった。

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2024年10月10日

Posted by ブクログ

最初の方は、尊氏もノロノロしていて、なんか焦ったい感じだったけど、尊氏が当主になってから直義と高師直が尊氏を押し立てて、そこからはいつの間にか、幕府を倒していてあっという間だったなーと感じていたら、すぐに直義派と師直派に分かれて内部で内乱が起きて、あんなに協力していたのに、醜いなっと感じながら読んでました。最後まで三人の意見を貫いて、別々に分かれてしまったけど、それぞれの想いがとても伝わって、とても深くて面白かったです。【中1】

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2025年07月28日

Posted by ブクログ

私は日本史をあまり学ばずに世界史をやってしまったので、足利尊氏が室町幕府を作ったこと以外は知らなかった。かなり大変な道のりでようやく日の目を見た人なのかな?と感じるとともに、弟想いで欲がなく、表裏のないかわいい人だと感じた。組織を大きくすること、維持することの大変さや、崩壊してしまう過程も描かれておりそれなりに楽しんだ。垣根涼介は大好きだが、、少し物語が長くて、登場人物も敵味方に入れ替わるので把握しながら読むのは大変だった。

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2025年08月23日

Posted by ブクログ

太平記の世界が好きで、足利兄弟にはものすごく興味がある。なぜあんなに仲が良かったのに戦ったのか?
読む本によってその解釈はさまざまであり、昔のことだから正解は永遠にわからないけど、知りたい。!
この小説は足利尊氏が「極楽とんぼ」で全部弟と師直に丸投げ、でも自分は将軍だ。という、実際に上長にいたら最悪のキャラとなっている。
最初はふざけすぎじゃないのと思ったが、この尊氏のほうが後醍醐天皇への恋慕、弟への執着、師直との関係等、しっくりくるから不思議。
いや、面白い小説でした。

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2025年04月04日

Posted by ブクログ

長い、とーても長い。そしてくどい。心理描写はうまく引き込まれるところもあった、けど司馬遼的な歴史解説は要らない。戦闘描写もなく淡々と物事が進んでいき単調。直義と師直の視点が交差していてどっちかどっちかわからなくなる。武将名も無闇矢鱈に登場して混乱します。結果として、足利尊氏をか描くことには成功していない。とはいえ、垣根涼介の本を初めて読みましたが、独自の視点で描いていて、今後が期待できる作家だと思いました。

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2025年02月06日

Posted by ブクログ

ネタバレ

ある1つの歴史小説を読む時、その小説が描いている時代や主人公が、他の小説、TV、映画などによく取り上げられているものだったりする場合、私はどうしても前に読んでいたり、見ていたりしていたものとつい比較してみる。勿論、今読んでいる小説にしろ、前に見ていたTVや映画にしろ、所詮フィクションであり、その小説などの主張したいテーマによっては歴史的事実を意図的に省略したり、文献をわざと曲解したりすることもあるかもしれないと分かってはいるが。
この小説の場合、登場人物は全て実存した(であろう)人物なので、行った歴史上の行為行動が殆んど全て分かっている。そしてその人の考え方、思想はその人の行為行動からしか推測出来ない。故にこの時代のある程度の人物は、誰が描いても似たような者になってしまうのかもしれないと思う。
例えば「足利尊氏」は優柔不断で決断力がなく、政務や軍務などは実力のある弟の「足利直義」に任せっきり。但し実戦は不得意のため「高師直」が担う。と言うような設定がよくあった。この小説も若干の違いがあるかもしれないが、殆んど同じような設定だ。
しかしこの「太平記」の時代は、いろんな人が色々な小説、漫画、TV、映画などの題材として取り上げている。そして、色々な「足利尊氏」、「足利直義」、「高師直」がいる。
この小説はそう言った意味ではよくある設定で、設定としては面白みは少ないかもしれないが、構成はしっかりとしているし、人物描写も面白い。室町幕府の脆弱性もよく分かるよう説明しているし、京の幕府と鎌倉府の関係の悪さもよく分かる。つまり、結構面白い小説だと感じた。室町時代と言えば、混沌の時代と言う感じがしていたが、この小説を読んで少しは理由が分かるような気がしてきた。

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2025年01月16日

Posted by ブクログ

これは歴史が好きな人が好む本かな。
色んな人の名前が出てきて、全てにふりがながあるわけではないので、読む時間がまぁまぁかかった。

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2024年12月06日

「歴史・時代」ランキング