あらすじ
史上最も無能な征夷大将軍
やる気なし
使命感なし
執着なし
なぜこんな人間が天下を獲れてしまったのか?
動乱前夜、北条家の独裁政権が続いて、鎌倉府の信用は地に堕ちていた。
足利直義は、怠惰な兄・尊氏を常に励まし、幕府の粛清から足利家を守ろうとする。やがて天皇から北条家討伐の勅命が下り、一族を挙げて反旗を翻した。
一方、足利家の重臣・高師直は倒幕後、朝廷の世が来たことに愕然とする。
後醍醐天皇には、武士に政権を委ねるつもりなどなかったのだ。
怒り狂う直義と共に、尊氏を抜きにして新生幕府の樹立を画策し始める。
混迷する時代に、尊氏のような意志を欠いた人間が、
何度も失脚の窮地に立たされながらも権力の頂点へと登り詰められたのはなぜか?
幕府の祖でありながら、謎に包まれた初代将軍・足利尊氏の秘密を解き明かす歴史群像劇。
感情タグBEST3
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やっと読み終えた…。食べても食べても減らない、けど最後まで美味しい、どこぞのラーメンみたいだった。
足利尊氏、こんなに魅力ある人物だったんだな。やる気なくて優柔不断で後ろ向きなのに、天性の人たらしで、戦となるととんでもない力を発揮する。直義、師直などのブレーンがいたからこその活躍なわけだけど。でもやっぱり、周囲に「支えなくては」と思わせるのも能力なんだろう。
本人の意図とは真逆の方向に担ぎ上げられ、室町幕府を興してしまうとか、本当にドラマチックで面白い。
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第169回直木三十五賞
垣根涼介さんの歴史小説を初めて読んで圧倒された。
史実を元に緻密に練り上げられた壮大な物語で、武士一人一人が丁寧に描かれていた。
極楽殿と呼ばれた足利尊氏は、御家人たちから毒気を抜いてしまう愛嬌ある人柄で、読者もきっと好きになってしまうと思う。
前半は優秀な直義と師直の力によって、意図せず活躍してしまうところがおもしろい。
普段は周囲が道理を説いて導けば従う盛り立てやすい当主だけど、直義に危機が迫れば誰の声も聞かずに駆け出す兄弟愛に胸が熱くなった。
尊氏が髷を切ってしまった為に、敵兵から守るために周りもそれにならい、ざんばら髪の騎兵集団で直義の援護に駆けた場面は笑ってしまった。
また、戦場での決断力は見事で、軍議の捌き方には師直と同様にわくわくした気持ちで読んだ。
物語は直義と師直が交互に語り手となって進み、直義が兄に感じる無欲の凄みや、後年の尊氏自身の変化などがとてもわかりやすく表現されていてよかった。
史実でのその後や、たくさんいる登場人物のエピソードが含まれることもあり、丁寧すぎるくらい情報は盛りだくさん。
垣根涼介さんの他の小説も気になるけど、今回読むのにかなりの時間がかかって疲れたのでまた時間をおいてチャレンジしてみたい。
実に面白い
本当に読みやすく分かりやすい
時代小説は読んだことがなかったのですが
垣根さんの小説は好きなので、初めて読みましたが、一気読みでした
その他のものも読みたいと思います。
「涅槃」に続き読み応えたっぷり
の歴史大作。
登場人物が多彩でしかも刻々と局面が転換していく時代を、作者の切り口で克明に語る物語に圧倒された。これまでモヤモヤしていた場面も納得出来たところがか多く作者の洞察力にただただ敬服。直木賞受賞も納得。
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松恋・マライ直木賞本から。テレビにせよ本にせよ、太平記に触れたことが全くないから、歴史教科書以外で足利尊氏に触れるのはほぼ初めて。まあ今は”逃げ上手”も読んでるから、厳密にはそこにも尊氏は出るんだけど。そういえば、逃げ上手の君、本作でもチラッとだけ登場はしました。諏訪氏とともに。さらに、どうしても同作との比較で見ちゃうけど、尊氏のカリスマ性は共通していたけど、こっちでは、数段ヘタレに描かれていますね。なんとなく、こっちが実像に近いのかな。そして、本当にすごいのは弟の方、っていうパターンでした。
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大長編。足利尊氏、直義兄弟の成長、室町幕府成立、対立に至るまで最後まで兄弟愛の物語。
実力本位の時代で兄弟でも信用できない時代に、2人はお互い憎まないし妬まないし裏表もない。でも幕府という巨大組織では色んな人の思惑が入り乱れて争いになる。
おとぼけ尊氏とまじめな直義の、おかしいけどせつない物語。
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「足利尊氏って、結局どんな人物だったの?」
歴史の教科書では征夷大将軍としか書かれない彼の姿を、人間として描き出したのが『極楽征夷大将軍』です。
本書の面白さは、尊氏が決して“強い英雄”として描かれない点にあります。理想を掲げて突き進むのではなく、その場その場で迷い、流れに身を任せながら生き延びていく。弟・直義の合理的で筋の通った生き方と対比されることで、尊氏の「執着しない強さ」が浮かび上がります。
本作の尊氏はどこか悟りを開いた人物として描かれます。自我に囚われず、「できることをする」だけの姿勢が、結果として征夷大将軍へと押し上げられていく。その過程は、英雄譚というより、時代と個人が偶然に噛み合った物語のようです。
読み終えて、リーダーとは信念の塊のような人ではなく、迷いながらも選択し続ける存在なのかもしれないと感じました。室町幕府を知りたい人はもちろん、「人はなぜ権力の座に立つのか」を考えたい人にもおすすめできる一冊です。
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足利尊氏の浮世の極楽風を、主に弟の直義や側近の高師直の目線から描かれた物語。尊氏は気弱く、無責任でもあるのに、うすぼんやりとした愛嬌で、ただ執着心がないという一点で、多くの武将から誤解も含みながら慕われたという稀有な人だった。でも、それは弟の直義や高師直の努力があったからである。しかし、絶えず数万の兵の合戦が日常茶飯事で、兵もあっちにころび、こっちにころびと、勢力図も変化し続ける。人の命はとてつもなく軽い。そんな時代に生まれなくてよかったと思う。
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足利尊氏は優柔不断で出世欲もなく、たまたま名門の一族に生まれてしまっただけの「極楽様」のような平凡な人間だった。
そんな男が鎌倉幕府崩壊の混沌とした時代でトップに上り詰めてしまった理由は、全くタイプの違う2人、足利直義と高師直に支えられていたからだ。
直義と師直の2人が活躍すれば、主人公尊氏の存在はかすみ、 2人が窮地に陥れば、尊氏は秘めた力を発揮する。そんなシーソーバランスが延々と続いたのが南北朝時代だった。
自分の足りないところを補ってくれる他人は必ずいる。そんな根拠のないことを信じ続けたことで念願の征夷大将軍の地位を手にすることができた足利尊氏。力を抜きつつ、自分のできることだけを行えば、誰かが助けてくれる。他力本願でも、それを徹底すれば、いいことが起こるかもしれない。そんな生き方があってもいい。
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司馬遼太郎作品の中の大村益次郎が、「足利尊氏のように、朝廷に刃向かう物が西から出てくる場合に備えて、熊本城と大阪城に火薬系兵站を充実させるべし」という主旨のことを唱える場面を何度も読んだので、足利尊氏は西郷隆盛のように、朝敵となることも厭わない豪傑・英傑なのだろう、というイメージを持っていたが、本作における足利尊氏は、ひたすらヘタレ。
弟の足利直義、家宰の高師直に只管引っ張ってもらいながらも、ここぞという時には妙に求心力を発揮する。
室町幕府が在京なのは、武士が公家化したからなのかと思っていたけれど、建武の新政前後は、京都が政治の中心地でそこを離れられないくらい政治が流動化していたから、とみるのが正しいよう。坂東対策は関東管領が所管した、という史実からは、ローマ帝国東西分轄を思い出してしまった。
とても面白かったけれど、分量も格別。549頁、2段組 21行で、普通の作品と比べると、頁当たりの情報量が倍くらいに感じた。面白いのに中々頁が進まない、という珍しい体験をした。
Posted by ブクログ
大作で読み応えあり!!
ただ、歴史を忠実にたどっているのでしょうが、終盤のつばぜり合いが、味方、敵がいったりきたりなど、少し混乱しました。。。
Posted by ブクログ
人生でおよそ20年ぶりの歴史小説。
歴史小説は大好きだったのが今は少し遠のき、これだけブランクが開くとまぁ進まないむ進まない(笑
単純に教養の無さと読む時間が取れなかったのが理由ではありますが…。
しかし、室町幕府の成り立ちを一つ知ることができました。
果たして尊氏はどんな人間だったのか…大変興味深かったので、読んで正解。
Posted by ブクログ
大河ドラマ、鎌倉殿の13人の続編のような運びで、ドラマにハマったのでとても楽しめました。とにかく大作なので、読み終えるのに時間がかかりました。あと、逃げ上手の若君も登場しますよ。
Posted by ブクログ
なんだ。
やればできるではないか。
死の直前。尊氏によって幽閉と言う名の保護下にあった直義が、精力的に動き、南朝との交渉、反幕府軍との戦争、幕府の運営と、今まで決してやらなかった源氏の棟梁、征夷大将軍としての役目を立派に果たしている兄の姿をみて、ポツリ、と浮かんだ言葉が、なんとも可笑しいけれども、なにやら切ない。
やる気がない、すぐに丸投げする、丁寧に家臣を思いやることもなければ、手を尽くしてやることもない。
そんな『極楽』征夷大将軍を、必死に支えてきた足利直義と高師直。
浮かぶ瀬もないというか、できるなら、最初から自分でやってくれればよかったのにと思っただろう。
いや、足利一族いや兄の命とその一族の繁栄を第一に動いた足利直義、そして武家の世の頂点に足利高氏が立つために粉骨砕身した高師直。
この目的が絶妙にズレた二人の異才が存分に動けたのは、足利高氏が軽い木っ端な『極楽殿』だったからだろう。担ぐ神輿が軽ければ、フットワークも軽くなる。そういうことだ。
そして、尊氏が遅咲きながら征夷大将軍として源氏の棟梁として存分に働く事ができたのは、直義と高師直が整えた舞台があったからだ。
でも、『やればできるではないか』の言葉を、足利直義はもう少し早くに言いたかっただろうな。
仲が良すぎな足利兄弟が大好きな私は、どうしても直義贔屓になってしまうので、かっこいい足利直義と、弟が大好きで子犬のような尊氏が読めて、とても面白く満足した本だった。
観応の擾乱のぐだぐだっぷりは、総大将の二人ともが相手の命を取りたくない、まったく相手への憎しみも怒りもないからなのが原因なのだろうと思った。
共依存じみた兄弟愛が、足利氏の棟梁になる予定の無かった子ども時代から、尊氏に直義が捕らえられるまで、いや死の間際までずっとずっとあり続けたのではないかと、そんな希望的観測を持っている。
中先代の乱で、戦死もやむなしであった足利直義のもとへ、必死に飛ぶようにして助けに向かった足利高氏。
再会し、涙を流しながら手を取り合う二人の姿に胸を熱くした。
悪気なく、底抜けな天然さで人を振り回す兄と、呆れつつも振り回される事を受け入れている弟をずっと見ていたかった。
だから後醍醐天皇を吉野へ追いやり、幕府が動き出してからの直義と師直の軋轢は、この後の悲劇を予想させて、凄く辛くて、読みたくないなんて思ってしまった。
仲の良すぎる兄弟が作り上げた室町幕府は、穴だらけだけども、兄弟同士で争う事が珍しく無かったこの時代。最期まで互いを愛し続けた兄弟の生涯は、かなり萌えたぎった。たぎりにたぎった。
さらに、足利高氏、足利直義、そして高師直について妄想を逞しくしたくなってしまった。
Posted by ブクログ
やっと読み終わりました。長かったです。さすが直木賞、物語としてダレることなく、時間はかかりましたが最後まで面白く読むことができました。
読んでいてようやく自分でわかったことがありました。小生、戦国時代の物語などがあまり得意ではなく、本作も直木賞作品でなければ手に取っていなかったと思いますが、要は合戦の描写がぼやっとして上手く頭に描けないから苦手なんだと思いました。味方と敵が、どちらからどちらへ動いて、どうなっているのかが混沌としてわからない。どちらが勝ったのかは分かる。いっそのこと合戦場面を読み飛ばして、勝ち負けだけ把握すればいいとも思いましたが、それだと合戦ものを読む意味がないなと。よって距離を置くことになる。
これは単なる愚痴です。
気にならない方にはとても面白い作品だと思います。
Posted by ブクログ
長い小説だったー。
3週間くらいかかったんじゃないかな。
それでも室町時代を知らなさすぎて、面白く読めました。飽きずにグイグイ読んだよ、このスピードですが。
舞台は鎌倉末期、北条宗家の御家人の中でも格上の足利家。
正妻の子ではなく、後継問題にも関わらないはずだった尊氏と直義兄弟。
この2人があれよあれよという間に御輿に乗せられ、前に出ると朝敵になってしまい、上皇を担ぎ出し、南北朝時代が始まっちゃう。
やっぱり戦国の世ですね。
鎌倉から続く血塗られた時代。
尊氏の性格は呑気で人当たりが良く魅力的で、戦上手な武将たちに好かれる。
一方仲が良い弟直義は、兄をきっちりサポートして、ずっと裏方で差配する仕事人。
途中から、この物語は主人公は弟だなと。
足利幕府を開いた後もずっと戦、戦、戦ですぐ裏切るし、鎌倉と同じじゃないか、と。
とっても面白く読めたけど、戦ばっかりに飽きてしまってホシを減らした。
あと、尊氏がどうして直冬を嫌ったのか理由がわからなかった。
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怒涛の事件、荒ぶる戦さ。結果的には相対する直義と師直の両視点からの、寝返りと裏切りの連続の展開と、その中で強烈にキャラ立ちするメイン登場人物達の物語。歴史の事実を忘れて真っさらの気持ちで熱中して読み続けた
Posted by ブクログ
初代征夷大将軍・足利尊氏の半生を描いた歴史長編。
第169回直木三十五賞受賞作。
欲なし・やる気なしの兄と、しっかり者の弟。
重臣の高師直に、赤松円心など登場人物がとても魅力的。円心とか情に厚くてまさしく理想の「武士」って感じの気持ちの良さ。
反して後醍醐天皇の欲まみれな事…。(どこまで史実に忠実なのかわからないけど)いつの世もこういう身分と人間性が比例しない人いるんだよなぁ…
一番好きなのはP249。私も泣いた。何という胸熱展開。
後半は盟友のようだった人達が袂を別つのが悲しいので余計に。
血の通った人間味が感じられる物語で、とても面白く読めました。
Posted by ブクログ
立板に水のように、ひっかかりも矛盾もなくさらさら読める。が、長い!読み切るのに1週間もかかってしまった。
しかし、そのぶん、内容が濃くおもしろかった。
政治のパワーバランスや人身掌握の妙味などは現代にも通用するものがあり、人物像も多面的に良き面、悪しき面またそのどちらでもない面をしっかり描いていて魅力された。尊氏の極楽ぶりには時に笑わせてもらった。血で血を洗う戦の場面は作戦の面白さもあり、手に汗にぎる臨場感があった。
Posted by ブクログ
最初の方は、尊氏もノロノロしていて、なんか焦ったい感じだったけど、尊氏が当主になってから直義と高師直が尊氏を押し立てて、そこからはいつの間にか、幕府を倒していてあっという間だったなーと感じていたら、すぐに直義派と師直派に分かれて内部で内乱が起きて、あんなに協力していたのに、醜いなっと感じながら読んでました。最後まで三人の意見を貫いて、別々に分かれてしまったけど、それぞれの想いがとても伝わって、とても深くて面白かったです。【中1】
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歴史小説は戦国物ばかり読んでいたが、一つ二つ前の時代の小説は初めて。鎌倉時代から室町時代の初めまでである。
まずハードカバー開くと、上下段に別れて字がビッチリ。物凄い意欲作とみる。
歴史が身に染みている面々ならなんて事ないのだろうが、歴史赤ちゃんのワタクシは出てくるメンバーの多いことに滝汗である。
話の内容よりなにより、この時代の背景が物凄く良くわかったというのが第一感想。読後、一度読んだら絶対に忘れられない日本史で確認。
鎌倉市の浄妙寺に尊氏がチマチマ書いたという菩薩像たちの絵図(絶対みたい)
昔は自分の好きなようには生きられない。家の存続に命をかける。血脈が大事だがそれを守るためには身内とて敵。嫁も好きにはとれない。などいやはや大変である。いまの世の中でそれを強いられているのは天皇家くらいか。
尊氏を支えた実弟直義、足利家の執事高師直の二人の語りで尊氏の群像を浮かび上がらせている。前半は極楽で楽しい、後半は苦しい展開です。後醍醐天皇がしつこくて死んだ。このアクの強すぎるおじさん何とかならんかったかね(不敬)
Posted by ブクログ
2段組の小説を久々に読んだ!
なかなかのボリューム。
ちょっと大河ドラマ見たような読後感。
この時代を描いた『太平記』を
ちゃんと読んだり見たりしてなかったから
ある意味、先入観なくキャラクターに
入り込むことができたかも。
というのも、作中で著者が語っているように
主役の三人柱のうちのひとり、高師直が
今日わりと悪役的に伝わっているそうですが
この物語の中では足利兄弟を補佐して
一緒にのし上がっていく同胞なんですよ〜。
典型的な人たらしの尊氏に頭脳の直義
手足の師直ってところ。推せます!
田舎の庶子の地位から
南北朝の争いの波に呑まれつつ
室町幕府を立ち上げるまでの
出世街道の部分がグイグイ読めたけど
後半、三人の関係性が
ギクシャクしていくところは
世の常とはいえ辛かったわ(T_T)
Posted by ブクログ
室町って何を見ても何を読んでも結局よく分からない。これはこの本を読み終えた今も変わらない。だけど、なんで分からないかが少し分かったような気がする。
室町幕府は唯一京都がメイン拠点の幕府である。そして(強弱はあれど)京と関東の二頭政治である。これは他の幕府には見られない。さらに朝廷が2つに分かれていることもイレギュラーである。
そうした第三勢力的な動きが長期に及んで活発(トドメを刺したくても帝相手では殺すこともできない)、かつ全国津々浦々で発生し、誰がいつ誰の綸旨でもって官軍なのかがコロコロ変わるため、江戸幕府のように個々の武力を取り上げて幕府に一元化することはできず、上記のような類を見ない政治体制になったのかと納得した。また、個々の武力をそれなりに保持させたまま統治させれば、遅かれ早かれ戦国時代に突入するのも頷ける。理解の難しい時代だが、少し解像度が上がって良かった。
また、私は大河ドラマ『太平記』が好きで、そのイメージのままこの本を読んだが、直義と師直という“尊氏ではない”視点で一連の流れを追いかけられたのはとても良かったと思う。それというのも、意外にも尊氏の実子は尊氏の手元にいた期間が短い。そういう意味では直義視点の方が尊氏の子供のことがクリアになった。同時代の他の作品も読んで、引き続き理解を深めたい。
Posted by ブクログ
私は日本史をあまり学ばずに世界史をやってしまったので、足利尊氏が室町幕府を作ったこと以外は知らなかった。かなり大変な道のりでようやく日の目を見た人なのかな?と感じるとともに、弟想いで欲がなく、表裏のないかわいい人だと感じた。組織を大きくすること、維持することの大変さや、崩壊してしまう過程も描かれておりそれなりに楽しんだ。垣根涼介は大好きだが、、少し物語が長くて、登場人物も敵味方に入れ替わるので把握しながら読むのは大変だった。
Posted by ブクログ
太平記の世界が好きで、足利兄弟にはものすごく興味がある。なぜあんなに仲が良かったのに戦ったのか?
読む本によってその解釈はさまざまであり、昔のことだから正解は永遠にわからないけど、知りたい。!
この小説は足利尊氏が「極楽とんぼ」で全部弟と師直に丸投げ、でも自分は将軍だ。という、実際に上長にいたら最悪のキャラとなっている。
最初はふざけすぎじゃないのと思ったが、この尊氏のほうが後醍醐天皇への恋慕、弟への執着、師直との関係等、しっくりくるから不思議。
いや、面白い小説でした。
Posted by ブクログ
長い、とーても長い。そしてくどい。心理描写はうまく引き込まれるところもあった、けど司馬遼的な歴史解説は要らない。戦闘描写もなく淡々と物事が進んでいき単調。直義と師直の視点が交差していてどっちかどっちかわからなくなる。武将名も無闇矢鱈に登場して混乱します。結果として、足利尊氏をか描くことには成功していない。とはいえ、垣根涼介の本を初めて読みましたが、独自の視点で描いていて、今後が期待できる作家だと思いました。
Posted by ブクログ
ある1つの歴史小説を読む時、その小説が描いている時代や主人公が、他の小説、TV、映画などによく取り上げられているものだったりする場合、私はどうしても前に読んでいたり、見ていたりしていたものとつい比較してみる。勿論、今読んでいる小説にしろ、前に見ていたTVや映画にしろ、所詮フィクションであり、その小説などの主張したいテーマによっては歴史的事実を意図的に省略したり、文献をわざと曲解したりすることもあるかもしれないと分かってはいるが。
この小説の場合、登場人物は全て実存した(であろう)人物なので、行った歴史上の行為行動が殆んど全て分かっている。そしてその人の考え方、思想はその人の行為行動からしか推測出来ない。故にこの時代のある程度の人物は、誰が描いても似たような者になってしまうのかもしれないと思う。
例えば「足利尊氏」は優柔不断で決断力がなく、政務や軍務などは実力のある弟の「足利直義」に任せっきり。但し実戦は不得意のため「高師直」が担う。と言うような設定がよくあった。この小説も若干の違いがあるかもしれないが、殆んど同じような設定だ。
しかしこの「太平記」の時代は、いろんな人が色々な小説、漫画、TV、映画などの題材として取り上げている。そして、色々な「足利尊氏」、「足利直義」、「高師直」がいる。
この小説はそう言った意味ではよくある設定で、設定としては面白みは少ないかもしれないが、構成はしっかりとしているし、人物描写も面白い。室町幕府の脆弱性もよく分かるよう説明しているし、京の幕府と鎌倉府の関係の悪さもよく分かる。つまり、結構面白い小説だと感じた。室町時代と言えば、混沌の時代と言う感じがしていたが、この小説を読んで少しは理由が分かるような気がしてきた。