【感想・ネタバレ】極楽征夷大将軍のレビュー

あらすじ

史上最も無能な征夷大将軍
やる気なし
使命感なし
執着なし
なぜこんな人間が天下を獲れてしまったのか?

動乱前夜、北条家の独裁政権が続いて、鎌倉府の信用は地に堕ちていた。
足利直義は、怠惰な兄・尊氏を常に励まし、幕府の粛清から足利家を守ろうとする。やがて天皇から北条家討伐の勅命が下り、一族を挙げて反旗を翻した。
一方、足利家の重臣・高師直は倒幕後、朝廷の世が来たことに愕然とする。
後醍醐天皇には、武士に政権を委ねるつもりなどなかったのだ。
怒り狂う直義と共に、尊氏を抜きにして新生幕府の樹立を画策し始める。

混迷する時代に、尊氏のような意志を欠いた人間が、
何度も失脚の窮地に立たされながらも権力の頂点へと登り詰められたのはなぜか?
幕府の祖でありながら、謎に包まれた初代将軍・足利尊氏の秘密を解き明かす歴史群像劇。

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Posted by ブクログ

ネタバレ

ある1つの歴史小説を読む時、その小説が描いている時代や主人公が、他の小説、TV、映画などによく取り上げられているものだったりする場合、私はどうしても前に読んでいたり、見ていたりしていたものとつい比較してみる。勿論、今読んでいる小説にしろ、前に見ていたTVや映画にしろ、所詮フィクションであり、その小説などの主張したいテーマによっては歴史的事実を意図的に省略したり、文献をわざと曲解したりすることもあるかもしれないと分かってはいるが。
この小説の場合、登場人物は全て実存した(であろう)人物なので、行った歴史上の行為行動が殆んど全て分かっている。そしてその人の考え方、思想はその人の行為行動からしか推測出来ない。故にこの時代のある程度の人物は、誰が描いても似たような者になってしまうのかもしれないと思う。
例えば「足利尊氏」は優柔不断で決断力がなく、政務や軍務などは実力のある弟の「足利直義」に任せっきり。但し実戦は不得意のため「高師直」が担う。と言うような設定がよくあった。この小説も若干の違いがあるかもしれないが、殆んど同じような設定だ。
しかしこの「太平記」の時代は、いろんな人が色々な小説、漫画、TV、映画などの題材として取り上げている。そして、色々な「足利尊氏」、「足利直義」、「高師直」がいる。
この小説はそう言った意味ではよくある設定で、設定としては面白みは少ないかもしれないが、構成はしっかりとしているし、人物描写も面白い。室町幕府の脆弱性もよく分かるよう説明しているし、京の幕府と鎌倉府の関係の悪さもよく分かる。つまり、結構面白い小説だと感じた。室町時代と言えば、混沌の時代と言う感じがしていたが、この小説を読んで少しは理由が分かるような気がしてきた。

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2025年01月16日

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