あらすじ
雪嵐の日、ミステリー専門書店の店主マルコムのもとに、FBI捜査官が訪れる。マルコムは10年ほど前、もっとも利口で、もっとも巧妙で、もっとも成功確実な殺人が登場する犯罪小説8作を選んで、ブログにリストを掲載していた。ミルン『赤い館の秘密』、クリスティ『ABC殺人事件』、ハイスミス『見知らぬ乗客』、アイルズ『殺意』……。捜査官によると、そのリストの“完璧な殺人”の手口に似た殺人事件が続いているという。犯人は彼のリストに従って殺しているのか? 著者のミステリーへの愛がふんだんに込められた、謎と企みに満ちた傑作長編!/解説=千街晶之
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9つのミステリー作品のネタバレを含むミステリー。
頑張って半分は先に読んだけど、半分は手に入らなかったので諦めましたが、読んでおいてよかった。
犯人も、殺害方法も、ちゃんとネタバレしてくる。
読むのに覚悟がいる作品だけど、予習して多分、すごく面白かった。ピーター・スワンソン次回作も楽しみ…
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タイトルに惹かれて読んだこの本は、私にとって、文句なしに面白かった!
陰気な北欧ミステリ、犯人が最初からわかっているサイコパス野郎系を好んで読む私だが、この本は終盤まで誰が犯人なのかわからない。
31章で罪の告白を始める主人公わたしが、真実を語ったのか、全てを語り尽くしたのか、、、解説でこのことを「語り落とし」と説明している。まさしく、それだ!
最後の32章の手記で真実が明かされるが「何が現実で何が夢なのかわからない夜が幾夜もあった。」というほど、わたし自身がすでに自分さえも信じられないのだ。
この本はミステリ作家へのオマージュである。登場する9冊の本をすでに読んでいるミステリマニアに向けて書かれている。恥ずかしいことに、どの一冊も読んだことのない私であるが、それでも充分に楽しめた。9冊全部を読んだ後でこの本を読めば、さらに面白さは✖️9になったことだろう。
本書に出てきた「くまのプーさん」のA.A.ミルンが唯一書いたミステリ「赤い館の秘密」は、是非、読んでみたい。
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様々な作品のオマージュをふんだんに盛り込んだ作品。
登場人物が多いので、忘れないうちに一気に読みました。
犯人は誰か、という視点のみだと容疑者候補がどんどん減っていくので分かりやすいかも。
ただ、展開が早く文章によるミステリの良さが存分に味わえる作品なのでミステリファンは楽しめるのでは。
作中には色々なミステリのネタバレが含まれてしまうので、作中で肝となるクリスティの『ABC殺人事件』『アクロイド殺害事件』は読んだ上で本作を読むとより楽しめるのではないかなと思います。
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ミステリ作家がよくやる、名作ミステリのオマージュ。複雑な構成であるながら名作リスペクトもあって面白かった。グウェンさんもっと出てきてほしかったかも‥!
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クリスティとハイスミスの融合。設定が米東海岸北部の冬ということもあってか全体の雰囲気が暗く湿っている。その割につっかえなく読み切りのは筋が面白いからであろうと。最後にマルとマーティが同人格というオチかとも予期したが、そこまでアクロバチックではなかった。
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犯罪小説8編を「完璧な殺人」のリストとしてブログに書いた書店のマルコム。
ある日FBIの捜査員が訪ねてきて、リストの通りに殺人が起きていると言う。
果たして犯人は。
*
ステキな作家さんに出会ってしまった。
途中で、もしかするとこの展開は…と思ったけれど、そこからの二転三転は読めなかった。
思いもかけない展開で、最後は一気読み。
また、さまざまなミステリ作品への敬意が感じられるのも良かった。
文章もいい。
原作もそうなのだろうけど、訳者さんも良いのだろう。
スラスラと読めて、途中で読み返すこともなかった。
面白かった。
他の作品も読んでみようと思う。
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8つの古典ミステリーを巡る連続殺人。
穏やかに暮らすミステリー専門書店の店主が、その8つのミステリーを「完全殺人ベスト8」としてブログに発表していたため、犯人と疑われてしまう。自ら解決すべく調べ始める店主だったが、意外な展開を見せ始め、次第に明らかになる過去や心の闇に引き込まれる。
古典ミステリーの名作の罠が仕組まれ、真相がどこへ向かうのか、最後まで翻弄される。
リストの作品をこれから読みたい人は、ネタバレもあるのでご注意を。
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ミステリー専門の書店を経営するマルコムの元に、FBIの女性捜査官グウェンが訪ねてくる。彼が昔ブログに載せた、完璧な殺人による犯罪小説のリストに基づき、本当の殺人が行われているのではないかというのだ。その小説は下記の8殺。おっと冊の変換が。。。
①A・A・ミルン「赤い館の秘密」
②アントニイ・バークリー「殺意」
③アガサ・クリスティー「ABC殺人事件」
④ジェームス・ケイン「殺人保険」
⑤パトリシア・ハイスミス「見知らぬ乗客」
⑥ジョン・D・マクドナルド「溺殺者」
⑦アイラ・レヴィン「死の罠」
⑧ドナ・タート「シークレット・ヒストリー」
有名な作品ばかりなのだろうか。わたしは残念ながら2冊しか読んだことがない。
捜査官でありながら、どこか影があるように感じられるグウェンと、最愛の妻を自動車事故で失くし、未だ立ち直ることができないマルコム。
この二人がコンビを組んで、このリストに基づいて殺人を続ける犯人を追う。
ラストにハラハラする場面はあるものの、この話は概ね静かに淡々と進んでいく。常に薄暗く、なんとなく埃っぽい古い紙の湿った香りが漂ってくるようだ。
その根底にあるのは、マルコムの行き場のない哀しみだ。愛の遺産が眠る場所を心に抱えたまま、彼が選んだ最後の選択は、わたしが予想していたものだった。
余りにも寂し過ぎると思う。
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最後の章で、1ページだけ残しておいた妻の日記の内容がわかるところ、エターナルサンシャインみたいだと思った。文章中にタイトルも出てきたし意識してると思う。
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読後すっきりしない感はあるが、
本の扉に書かれている『著者のミステリーへの愛がふんだんにこめられ、謎と企みに満ちた』作品だった。
読後、じっくりかみしめる感じ。
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欧米のミニシリーズドラマみたいなカメラワークで寒々とした情景を思い浮かべつつ読み進めた。真実を小出しにしていくところが作者らしくて、読み慣れた読者としては、おっ、きたきた!という感じ。ピーター・スワンソンのミステリ愛、本を愛する気持ちが溢れまくった作品。クリスティを除けばぶっちゃけ読んでないのばかり出てきたけれど、十分楽しめた。印象的な女性の描き方は過去作にも通じるところがあった。
語り手である主人公に自身を投影しているのか、等身大感が伝わってきた。そしてまんまと読書欲をかき立てられ、リストの邦訳作品をチェックし始めている。
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ピーター・スワンソンと言えば前に「アリスが語らないことには」を読んだが、あまり私の好みではなかった。なので今回どうかな?と思いつつ読んだが、これは面白かった!読む前に目次に目がいくが、最後に「アクロイド殺し」と書いてあったので、あーこれは所謂、信頼できない語り手なんだなと注意深く用心。でも中盤で語り手が真実を告白し(後で全てを告白したわけではないと分かったが)、どのように話が着地するのか全く予期出来なかった。結局、語り手は自分自身さえも信用できない、ギリギリの心理状態だった故に、読むこちら側も最後まで惑わされてしまった。実際、身近に実行犯が”本当に”いたなんて思いもしなかった。語り手の主人公はろくでもなかったが、嫌いではなかったので、あの終わり方はなかなか良かった。
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「そしてミランダを殺す」の著書ピーター・グライムズスワンソンの新作であるということで、読んでみた。8つの実際のミステリーの模倣犯だろうかと思いつつ読み進めた。この中のアガサクリスティーは読んだことがあるが、その他「見知らぬ乗客」を読んだことがなく、今度読みたいと思う。
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ミステリー専門書店主マルコムがブログに完璧な殺人が綴られているミステリー小説8作のリストを掲載した。
FBI捜査官グウェンからリストになぞらえた殺人事件が続いていることを告げられたマルコムは半信半疑ながらも事件を探っていく。。
作中にはアガサ・クリスティやハイスミスなど様々な作家の作品が登場します。
それだけでもワクワクさせられたし、途中からは思ってもいなかった展開になっていって読む手が止まらずでした。
作中に登場する作品はネタバレがあるので読みたい作品がある方はそれだけは注意した方がいいと思います。
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⭐️3.4
作家が好みでないと言いながらも読む。
名作ミステリーへのオマージュが楽しく、ミランダ〜よりこっちの方が好きかも。
信頼できない語り手ってやつですね。
犯人自体は途中からわかっちゃったけど、それでも手に汗握るラストまで楽しめました。
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このミス経由で手に取った
古典ミステリをなぞった8つの短編集かと思いきや長編だったのだが、読み始めてすぐにアクロイドが察せられた
作品タイトルと共にネタバレ注意とは書かれているが、やはり未読の方は有名どころは先に読んだ方が良いと思う
特にクリスティの2作品はこの本を読むより貴重な読書体験が得られる、はず
5/8を読んでいる自分は、残り50%のフーダニットは楽しめたが、やや強引なストーリー展開のために8つのネタバレは釣り合わないので星3
著者のミステリ愛はよーく分かるが、オマージュというには敬意が感じられないかなあ
交換殺人を計画しておいて猫を持ち帰るかねw
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最初主人公は巻き込まれただけなのかとおもったけど、読み進めていくと…しれっと死に追いやってた。
“チャーリー"の正体は意外だったけど、そっちの方がまだ人間らしいと思っちゃった。
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元刑事が交換殺人を引き受け、そのことがきっかけになり、連続殺人事件を起こしてしまうという設定が腑に落ちるかどうか…。
過去の8つの作品たちと、作中の殺人との接点や関連も残念ながら、いまひとつ読みとれなかった。
Posted by ブクログ
普段読んでいるミステリーとは異なる印象。
ミステリー愛読者が執筆したミステリー、という説明がしっくりくる。
ああこれリストに掲載された8作全てを読んでいたら、もっと面白かったかもしれないなあ。
マルコムが語る各作品の説明や各事件に対する解釈もなかなか興味深い。
そして迎えるあのラスト。
とても良い。
Posted by ブクログ
ミステリー専門書店の店主はお店のブログに(完璧なる殺人8選)という記事を書いた。そこFBIの捜査官が現れブログの記事に沿って殺人が行われていると言う。著者のミステリーへの愛情が溢れる作品でオマージュした殺害方法は元ネタを読んでみたくなるものばかりでした!
Posted by ブクログ
犯人が意外すぎて?地味すぎて?びっくりした。しっかり読んでなかったからか、全くノーマークだった。
ストーリーは面白く、最後はやっぱりマルコムが、、、という流れで、面白かった。
ミステリが好きなので実際にあるミステリーや、本の話が出てきて面白かった。
8作品のうち、クリスティの作品しか読んでないので他の作品(特に見知らぬ乗客)も読んでみたいなと感じた。
Posted by ブクログ
・あらすじ
ミステリー専門書店の店長マルコムのもとにFBI捜査官のグウェンが訪れる。マルコムが以前ブログに書いた「8つの完璧な殺人」というリスト中の作品に相似した殺人事件が起こっており、また被害者の中にマルコムの知人もいた…。
・感想
8つの作品の中に有名なクリスティ作品もあったので語り手が信用できない事、その先の展開はすぐ把握。
クリスティ2作以外は未読なので、全部知ってたらより楽しめるんだろうと思う。
マルコムは別に悪人なわけじゃないっていうか優しくて善良な人なのでラストは切なかった。
もう一捻りくらいあるかと思ったらそんな事もなく肩透かしなとこもあった。
とある登場人物は絶対に職業偽ってると思ってたんだけどなー…
読みやすいし先の展開も気になるからスイスイ読んでしまった。
Posted by ブクログ
まるで自分が追われているみたいに、ハラハラしながら読んだ。(え、そんなことまで今話しちゃって大丈夫なの⁈のような笑)
それにしても交換殺人は、後から殺す方が不利…ですよね?(いくらアリバイがあるといっても、自分が恨みを持つ人が殺されて、警察から疑われている中、殺人を決行するのは至難の業では…なんて思ってしまう)
Posted by ブクログ
8つの古典推理小説を紹介するのか?
推理小説を書くのか?
、、、わたしの辛抱が足りないのでしょうが、
8つは多いな、もう少し絞った方が読み易いなと感じました。
Posted by ブクログ
このミスのランキングをみて気になり、年末年始またいで読みました。過去の名作をふんだんにオマージュということで期待大。
語り手が信用できないことはかなり序盤で明かされるので、最終的には自殺か逮捕されてしまうのかな、と経過を見守るような気持ちで読み進めていたからか、残念ながらあまりハマらず終わってしまいました。
Posted by ブクログ
名品。巻末の千街晶之氏の解説が適切だ。アガサ・クリスティ的な、「嘘は書かれていないが、事実は語り落とされている場合がある」というあの名作を発展させつつ、パトリシア・ハイスミス的な曖昧で薄暗い心理領域を抱えた、自分さえも信じられない人間の姿を表現する。2人の巨匠の長所を描出し合体させるという離れ技である。ここに「歯と爪」のバリンジャー的なテイストも感じた、と付け加えておきたい。
数々の名作のネタバレがあるので、「見知らぬ乗客」はもちろん、「アクロイド殺し」「赤い館の秘密」は読んでおいたほうがいい。そういうマニアに向けた作品だ。「処刑台広場の女」よりは圧倒的にこちらだな。