あらすじ
エトロフ島は好漁場であったが、すさまじい潮流が行く手を妨げ、未開のままだった。しかし幕府は北辺の防備を固めるため、ここに航路を確立する必要を痛感して、この重要で困難な仕事を嘉兵衛に委ねた。彼の成功は、蝦夷人にも幕府にも大きな利益をもたらすであろう。が、すでにロシアがすぐとなりのウルップ島まで来ていた。
...続きを読む感情タグBEST3
Posted by ブクログ
▼主人公・高田屋嘉兵衛は蝦夷地に惹かれる。この巻では、さながら、「1800年前後の、江戸幕府の蝦夷地政策物語、そこで集った人物列伝」。
▼航路を開く、という意味が良く分かりました。昔の船だと知らない航路は危なかったんですね。
▼嘉兵衛が徐々に「志士」になっていきます。同時にもう貧乏物語ではない。そしてこれまでの恩人たちが嘉兵衛にやや白眼視し始めます。皮肉ですね。
▼しかし、蝦夷地と松前藩と幕府の歴史は勉強になりました。かわいそうだったんですね、蝦夷。手塚治虫の「シュマリ」くらいじゃ分からないですね、この悲惨さは。
▼そんなこんなが、これでもか、と分かりやすく語られる。オモシロイ。
▼なんだか、鮭とか鱒とか鰊とかが、猛烈に食べたくなる本です。
Posted by ブクログ
司馬遼太郎が江戸時代後期に活躍した船乗り、承認の高田屋嘉兵衛を主役とした大作、全6巻中の4巻。いよいよ択捉島の開発が始まる。
エトロフ島の航路を確立。15万石に匹敵するというエトロフの開発が始まる。幕府の官僚的体制の中、それでも豊富な人材、多くの有為の人物との出会い。
嘉兵衛は単に利益を求めるのでなくロマンに惹かれていく。師匠というべきサトニラさんの後悔を考えると止めた方が良かったのだが、蝦夷地定御雇船頭を引き受ける。ここの所がこの後どう響いてくるのだろうか。
残り2巻、ロシアの存在が見えてくる今後。どのような展開になるのだろうか。
Posted by ブクログ
ロシアの南下に備えた、幕府による松前藩からの東蝦夷租借と、高田屋嘉兵衛による択捉への航路開拓と開発の開始。小説であるけれども、司馬遼太郎お得意の欧米とアジア(中国的冊封体制による緩やかな支配)の領土感の違い等々の考察が面白い。
Posted by ブクログ
面白過ぎるう〜っ!
ゲームの世界で海運業とか陸運業をやってみたいですね。
彼の小説は、非常に判り易い。
現代でも、天災や海賊等の猛威がふるい江戸時代の運送業の難しさと言うか困難度を疑似体験出来た。複雑度で言えば3位だろうか、エルフが作った招喚門を壊すのは、複雑度1であり、結局二人とも盗賊技能を訓練していなかったので、合計6回連続で、失敗。其の難しさを思い至るが、其れよりも潮の流れや船長としての激務に耐えられるのだろうかと思い、当時の人々の暮らしぶりを思うと何事にも勇敢だなあと思った。
Posted by ブクログ
国後水道における国後島と択捉島との航路発見、択捉島開発と大活躍する嘉兵衛さん。これは一商人の範疇を超え、蝦夷開拓という志の高さは素晴らしい。
当時のロシア南下政策や幕府の北方防衛政策、今日まで繋がる北方領土問題を知ることができ、とても面白かった。この4巻は次の5巻や6巻に繋がる上でとても大事な内容だと思う。
Posted by ブクログ
読んだきっかけ:古本屋で50円で買った。
かかった時間:7/22-8/19(29日くらい)
あらすじ: エトロフ島は好漁場であったが、すさまじい潮流が行く手を妨げ、未開のままだった。しかし幕府は北辺の防備を固めるため、ここに航路を確立する必要を痛感して、この重要で困難な仕事を嘉兵衛に委ねた。彼の成功は、蝦夷人にも幕府にも大きな利益をもたらすであろう。が、すでにロシアがすぐとなりのウルップ島まで来ていた。(裏表紙より)
感想:
Posted by ブクログ
択捉島の開拓をするところまで。
伊能忠敬や近藤重蔵など、蝦夷地開拓者のキーワードとなるような人物が登場する。
嘉兵衛が幕府の役人に知己を得て、蝦夷地開拓で重要な役割を果たしていくことになる。
蝦夷民が、お米やお酒を嬉しがるシーンが可愛らしい。
嘉兵衛が頑張って開拓してるが、択捉島を取られたままなのが悔しい。
Posted by ブクログ
これまでと同様,わたしが読んだのは単行本の方。
高田屋嘉兵衛が,北海道から国後,択捉を回り,その後,幕府の関係者の頼み事を聞いているうちに,何やら,あまり自由が効かない世界へと進んで行く場面だ。苗字帯刀を許されることと引き換えに商売として自由が効かなくなってしまった先輩たちを見てきているのに…。
さて今巻では,伊能忠敬の測量について,結構詳しく解説されている。持ち物や,その大きさの説明もあり,忠敬が、訪れた地域地域で住民に協力を求めなければならかなった理由もなんとなく分かった。そうそう,石川県の生んだ銭屋五兵衛の話題も。
今はなき「火山帯」という言葉だが出てくる。こういう小説の場合には,書き換えるわけにも行かないしなあ。「解説者注」とかで説明するしかないんだろうな。それくらい,歴史的,科学的な事柄がしっかり説明されている小説だわ。
Posted by ブクログ
歴史背景紹介が少々多めとなっています。
なので嘉兵衛の生きざまを追いかけたい人にとっては
少々退屈に感じてしまうかもしれません。
もっとも個人的な意見ですが
ある程度解説が入ってくれた方が
助かる身でもありますので
程よい一休みという具合に楽しめました。
ついぞ嘉兵衛はいわゆる幕府にかかわることになります。
それは嘉兵衛が従来関わってきた
商売とは勝手が違うものとなることを
意味してきます。
本来は深入りするつもりはなかったのでしょうが
彼にはあくなきほどの好奇心と情熱があります。
抗うことはできなかったのではないでしょうか。
ついぞ北へと本格的に舵を切っていく嘉兵衛
これからどう繁栄させていくのかしら。
Posted by ブクログ
2014.10.26
領土という概念。東洋というか、中国文化は人心掌握が、占領の決めてとなった。主観的で相対的。一方、西洋は、土地の支配が決めて。客観的で絶対的。ロシアと日本の千島領土は、明治初期に決められたが、こうした、文化、意識の違いがあったのだ。ましてや、嘉兵衛の時代に、領土意識などないであろう。
嘉兵衛が幕府へと足を入れて行く。
蝦夷の民によりよい生活を与えるという、使命感が、嘉兵衛の人生をどう変えるのか。
そして、貨幣経済の発展も興味深い。
Posted by ブクログ
嘉兵衛はとうとう択捉島に渡る。潮をみて、国後島と択捉島との海峡が3つの潮がせめぎ合うところであることを見つけ、航路を見出す様がとても根気強く、力強く描かれている。そして、当時の松前藩によるアイヌ(蝦夷)人に対する接し方、つまり、日本人(和人)より一段低く見て搾取する対象としてみていることに、納得の行かぬ嘉兵衛。その思いを共有する仲間と、アイヌ人に新しい漁法を教えて働きに対して、漁具、鍋、木綿、米、酒などアイヌ人に分けていく。「アイヌ人の生活を豊かにする」という嘉兵衛の心意気がとても美しい。
Posted by ブクログ
千島列島に住むアイヌ人を松前藩の搾取•奴隷的扱いから解放する。アイヌ人は島の外から来る人は全てカムイ(神)として崇め、歓迎する。日本人はシャイだから、そういう接し方をしないことが多いんだろうな。主人公は、アイヌの土地や人を見て、忌み嫌っている組意識とか、役人などの上下関係に押しつぶされている人間の美しさを感じているんだろうな。
Posted by ブクログ
本格的に蝦夷地復興のために高田屋嘉兵衛が尽力します。本巻は、物語進行よりも、蝦夷地開発や日本とロシアに関する述懐が主になっており、物語重視の人には、多少退屈に感じるかもしれません。この巻までは、正直、一農民の成り上がりの物語でしかありませんが、今後、どのように高田屋嘉兵衛が日本史に痕跡を残すことになるのか楽しみです。
Posted by ブクログ
幕府が蝦夷(北海道)の戦略的位置付けを徐々に理解し始めると共に嘉兵衛もそこに巻き込まれていく。田沼意次時代に蝦夷に商業価値を見出したところも興味深い。
嘉兵衛自身は、私欲のためではなく、蝦夷人の人柄に憧れ、そこでの暮らしを豊かにしたい、という一念がモチベーションとなっている。
(蝦夷人の被支配者としての悲劇も描かれている)
伊能忠敬も登場するが、北海道に関わる歴史知識など、随所にある司馬遼太郎の”余談的”解説が面白い。
Posted by ブクログ
高校時代の歴史の教科書を引っ張り出して調べたところ、ゴローウニン事件の説明として以下のようにあった。
1811年、国後島に上陸したロシア軍艦の艦長ゴローウニンが、日本の警備兵に捉えられて箱館・松前に監禁された。ロシア側は翌年、択捉航路を開拓した淡路の商人高田屋嘉兵衛を抑留した。嘉兵衛は1813年に送還され、その尽力でゴローウニンは釈放され、事件は解決をみた。
何とも無駄のない文章…昔コレ読んで何でこの人商人やのにこんな最果ての地でウロウロしてたのかすっごい気になってたけど背景を知ったら納得する。上記の説明を読んで、ますますこの話の続きを読みたいと思った。
Posted by ブクログ
あらすじ(裏表紙より)
エトロフ島は好漁場であったが、すさまじい潮流が行く手を妨げ、未開のままだった。しかし幕府は北辺の防備を固めるため、ここに航路を確立する必要を痛感して、この重要で困難な仕事を嘉兵衛に委ねた。彼の成功は、蝦夷人にも幕府にも大きな利益をもたらすであろう。が、すでにロシアがすぐとなりのウルップ島まで来ていた。
いよいよ嘉兵衛が大公儀(幕府)に巻き込まれることになります
Posted by ブクログ
船持船頭の高田屋嘉兵衛から、蝦夷地開拓者としての高田屋嘉兵衛と変わっていく部分の話しである。
そして、嘉兵衛の話しではなく、横道もかなり多い。横道の多さは司馬文学の特徴であろうが、この巻は特に多かった。北方領土及び千島列島(クリル諸島)におけるロシアとの領有の歴史、日本とロシアが先住民に対してどのような政策を行ったのかについて書かれている。日本の政策が今の政府がそうであるように、トップが変わるごとに二転三転していた様子も記されている。
北方四島といわれているが、国後島までは嘉兵衛以前でも、船も航法も技術も無く行き来が自由にできたようであるが、択捉島は遠い島であった、ということのようだ。その択捉島へ国後島から確実に公開できるようにしたのが高田屋嘉兵衛であり、択捉島が漁場として豊かであり、択捉島以北がロシア圏だったと、領土問題にまで踏み込みそうな話になってきてしまった。
Posted by ブクログ
この巻はあまりお話が進まずに、当時の幕府の実情とか制度とか、今で言う北海道や北方領土の実情とかの説明が多かったです。
らじはそういったものにも興味があるから良いけど、それほどでもない人はちょっと苦痛な1冊かもしれません(笑)
でも、知っといたほうが、お話を面白く読めるんだよ♪
……たぶん。