【感想・ネタバレ】菜の花の沖(二)のレビュー

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感情タグBEST3

Posted by ブクログ 2023年12月31日

▼2巻。嘉兵衛は乞食のような放浪民から兵庫で「船員さん」になる。まだまだ貧しい。ところが優秀である。フリーの特殊技能者としてごりごり出世する。このあたり、農村の秩序のなかで陰湿にいじめられていた前史に比べて、実に爽快に実力主義です。このあたりは、現代でも同じでしょう。なんであれ商売や生産や、工事や料...続きを読む理などの「現場、最前線」では、役に立つ立たないが、学歴や所属会社と関係なくずる剥けに見えてしまう。

▼そして嘉兵衛は、「フリーのイチ労働者」から、「船(ぼろだけど)という資本?を所有する商売人」へと変貌していきます。このあたり、言ってみれば出世譚ですね。多少のわくわくがありますが、それだけに流されない晩期司馬節。主人公の出世と活動範囲の拡大にしたがって、江戸、隠岐、秋田…と「日本各地の江戸中期の経済と暮らし」の風景を見せてくれます。それが「わくわくしない」とする読み方ももちろんあるでしょう。でも、今の自分的には実に惑溺する読書の快楽だったりします。

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Posted by ブクログ 2020年05月30日

高田屋嘉兵衛の生涯を描いた全6巻中の第2巻。中古の船を得た嘉兵衛は船乗りとして日本海を北上、海に躍り出る。

江戸時代後期、士農工商の身分からは外れた船乗りはコメとは別の貨幣経済の立役者である。身分制度の足枷から抜け出た嘉兵衛、1巻で切ない場面が多かった分、2巻は広い海へ躍り出る開放感が素晴らしい。...続きを読む

兵庫から瀬戸内海を経て遠路秋田まで。当時の西回り航路を辿る記載が、紀行文的に楽しめる。

太平洋の黒潮沿いに広まったと思われる海洋民族。日本人のルーツの一つであろう。日本海沿いにもその文化は散らばって残存しているようだ。裏日本ではなく江戸時代は日本海側が北前船の航路で表であったとのこと。

嘉兵衛の夢は蝦夷地との交易。優れた船大工との出会いもありいよいよ大型船の建造に乗り出す。
追われるかのように逃げ出した故郷に錦を飾り、順調なストーリー展開。

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Posted by ブクログ 2017年11月13日

嘉兵衛が淡州へ帰り、律蔵さんに対して生涯の大恩人じゃ、と思うところが好き。こんな聖人のような人に支えられた嘉兵衛は幸せ者だな。

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Posted by ブクログ 2014年10月10日

2014.10.10
商人としての嘉兵衛が書かれており、用船をしている現在の自分の仕事と全く同じ事情であり、面白い。また日本の各地域の特色も垣間見ることができ興味深い。

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ネタバレ

Posted by ブクログ 2014年06月22日

高田屋嘉兵衛を描いた歴史諸説第二巻。面白いです。
江戸は停滞の時代のイメージがありますが、北前船の発達で、想像以上に流通が発達していたことがわかります。

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Posted by ブクログ 2014年03月31日

表紙絵が、2000年9月刊行のものと絵柄が違うが、内容的には代わりがないように思う。自分が購入したのは、2012年2月5日刊行の第10冊である。主人公の嘉兵衛は、未だ下働きをしながら湊の流通品の流れを勉強する事になる。樽廻船が、交易品の主な流通手段であり。松前からの日本海周りの流通品が莫大な富を齎し...続きを読むているのを知る事が出来た、彼は先達の智慧を得て同じ様に回船問屋の商売を中古の船で始めるのだが・・・。
江戸時代の廻船業の生活様式が面白い程頭の中で、思描ける事が出来る面白い本である。

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Posted by ブクログ 2014年01月02日

江戸時代後期に現れた快男児高田屋嘉兵衛の物語。二巻では着々とステップを上がる話。江戸時代の日本について特に商品経済の発達を知ることができ、この動きが農本主義との矛盾を産み、やがて幕末に繋がると感じました。

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Posted by ブクログ 2013年03月31日

読んだきっかけ:古本屋で50円で買った。

かかった時間:6/15-7/2(17日くらい)

あらすじ: 海産物の宝庫である蝦夷地からの商品の需要は限りなくあった。そこへは千石積の巨船が日本海の荒波を蹴立てて行き来している。海運の花形であるこの北前船には莫大な金がかかり、船頭にすぎぬ嘉兵衛の手の...続きを読む届くものではない。が、彼はようやく一艘の船を得た、長年の夢をとげるには、あまりに小さく、古船でありすぎたが・・・。(裏表紙より)

感想: 江戸後期の日本を舞台にした海洋冒険ロマン!です。これは面白い!

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Posted by ブクログ 2010年01月17日

いよいよ船持ちになりました。故郷の人達とも和解するところはさらっと書いていたが、人間大きくないと許せないよね。えらい!次巻はいよいよ大きな船を作らせて船出かな。

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Posted by ブクログ 2010年04月22日

北風の湯に松右衛門と多くの出会いに恵まれ、材木を冬筏で運んだりして次第に名を上げた嘉兵衛。もち船を得た嘉兵衛は淡路の弟たちを呼び寄せ教育し、運にも恵まれ蝦夷地に行くための手配が進んでいく。鰹節にとても拘るくだりがなかなか愉快です。

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ネタバレ

Posted by ブクログ 2021年03月30日

 嘉兵衛が,小さいながらも自分の船を手に入れ,いよいよ海に乗り出すという場面が描かれる。
 紀州の丸太を江戸まで届けるという大役を引き受ける嘉兵衛。丸太を筏に組み,そこに帆,舵,船室などを設け,荒波を超えていく…という場面は,映画にすると手に汗握る画像になることだろう。
 1巻同様,いろいろなミニ知...続きを読む識が出てきて,なかなか為になる小説だなあ。わたしが読んでいるのは,単行本の方である。

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ネタバレ

Posted by ブクログ 2019年10月26日

彼が船乗りなのに関わらず
決して言葉が荒くないこと。
そう、彼は貧しさゆえに受けた不条理を知っているから。
痛みを知っているんですよね。

だからこそ決して部下をいびって
育てようとはしないのです。
これ、現代でもできない人がいますよね。
不条理な扱いをしても、部下は育たない。
でも力を持つと人はお...続きを読むかしくなるのよ、よくね。

最後のほうには嘉兵衛はついに故郷に帰ります。
因縁の場所。
だけれども恥じない活躍をした嘉兵衛を
決して故郷は残酷な扱いをしませんでした。

そして、もうそれは不相応な縁談を
ほかの兄弟に取りつけることができたのです。
それはひとえに派手な活躍でなくても
部下を大事にした嘉兵衛だからこそでしょう。

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Posted by ブクログ 2019年01月04日


徐々にのしがっていくところ。

リスクをとって = 生命をかけて、そして、やりきらんと、物語は先には進まんのですな。

そして、クルーを弟にすればいいかっていうところ、なかなか味わい深い。

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ネタバレ

Posted by ブクログ 2012年12月18日

兵庫でひとかどの海の男として認められた嘉兵衛さんは、創意工夫と度胸のある行動力で、ついに若くして自分の船を作るまでになりました。
江戸幕府もここにきて制度のひずみが顕著になり、農村での自給自足主義の建前の裏で各種商業が発達し、貨幣経済が確実に浸透してきて、商品や原料を運ぶ運送業の重要性もアップ。
...続きを読むこでいちかばちかの大勝負をかける男気のあった人が、のちに大きな財を築き上げたんだね。
でも、嘉兵衛さんの努力と根性を読んでたら、これだけやらなきゃダメなんだなぁ…って思った。
生半可な気持ちじゃかえって地獄へ一直線。
それと、運もなければ話にならない。
人生って大変だけど、頑張ってみたいと思わせれくれるお話です。

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Posted by ブクログ 2012年09月14日

 淡路島の貧家に生まれた高田屋嘉兵衛は古船ではあるが、念願叶って一艘の船を得る。一旗上げて故郷に帰る嘉兵衛ではあるが、過去には1年間の期限付きで村八分になり、網本の娘と駆け落ちして所帯をもつという悲しい出来事があった。そんな過去に悩まされる本人とは裏腹に、村民はいたって友好的である。それに加えて、庄...続きを読む屋の娘を弟の嫁にしないかという縁談まで持ち上がる。江戸後期の豪商、高田屋嘉兵衛の物語、3巻以降では益々、嘉兵衛の周辺がいそがしくなってくる予感がする。

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Posted by ブクログ 2011年05月29日

・嘉兵衛は、遂に船頭となり、実績を積み、巷の評価を上げ、いよいよ千石船の建造に取りかかる。そんな中でも過去、苦い思い出しかない故郷を大切にする。
・兵庫の北風屋のビジネスモデルは興味深い。無料のサービスで船乗りを惹きつけること、それは当時の情報を集める手法であった。
・国産木綿は江戸初期から広まる。...続きを読む木綿を作るための肥料として蝦夷からの鰯が登場してから綿の取れる量が増えた。保温性と耐用力をもった衣料を身につけることができるようになり、「木綿以前」とくらべて日本文化が大きく変わった。(人口増?)
・日本社会の上下をつらぬいている精神は、意地悪というものであった。「意地悪・いじめる・いびる」といった漢字・漢語は存在しないようである。
・朝鮮もおなじく鎖国していながら、世界史上きわめて特殊な例ではあるが、貨幣というものを造らず、それを否定し、従って商品経済をゼロの状況においていた。
・古い古代から、嘉兵衛のうまれるすこし前まで、日本国の表はむしろ山陰、北陸であった。その最大の玄関が敦賀であった。海の老舗といっていい。

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Posted by ブクログ 2011年01月21日

いやぁ、司馬さんの作品はやっぱおもしろいなぁ〜。

あんまり暑いので水風呂に入ってこの本を読んでいたら、手元が狂い、ポチャンと本を水のなかに沈めてしまった。

あわてて、拾い上げ扇風機で乾かした。ボリュームが増えてしまった一冊。
おぉ、記念すべき50冊目です。やっと半分。

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Posted by ブクログ 2010年06月29日

あらすじ(裏表紙より)
海産物の宝庫である蝦夷地からの商品の需要はかぎりなくあった。そこへは千石積の巨船が日本海の荒波を蹴たてて往き来している。海運の花形であるこの北前船には莫大な金がかかり、船頭にすぎぬ嘉兵衛の手の届くものではない。が、彼はようやく一艘の船を得た、永年の夢をとげるには、あまりに小さ...続きを読むく、古船でありすぎたが・・・・・・。

ようやく兵庫の港で嘉兵衛の未来が徐々に開いてゆきます

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Posted by ブクログ 2009年10月07日

主人公の嘉兵衛は古船だが自分の船を入手し、船頭となる。日本海側の各地の浦に関する記述や、江戸時代の商品経済勃興期の社会構造が詳細に説明されていて興味深い。

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Posted by ブクログ 2009年10月04日

司馬作品ということで読みました。
淡路島出身の漁師のサクセスストーリー!(一巻の画像が無かった・・・。)

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Posted by ブクログ 2014年02月19日

物語は長く、紀州から江戸への筏による材木運びを無事に終え、那珂湊でついに船持船頭になる嘉兵衛。

しかし、2巻を終えてもまだ、「高田屋嘉兵衛」にはならない。

秋田・土崎で新造船の約束をし、故郷淡路に帰り2巻を終える。この巻の終わりで弟の結婚話が出てくるのであるが、いわゆる駆け落ちをした嘉兵衛との対...続きを読む比なのだろうか?この時代の普通の流れとして詳細に描かれている。

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ネタバレ

Posted by ブクログ 2012年07月14日

喜兵衛が薬師丸を手に入れて全国津々浦々を旅する。北前船を手に入れるため、商業知識を手に入れるため、色々な経験をする過渡期。

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Posted by ブクログ 2012年06月25日

江戸時代の海上商人の情報がいっぱい。日本海側が表で太平洋側が裏だったとか。ちょうど大阪から姫路への出張で電車から海が見えたときにはここに嘉兵衛が行きかっていたんだと思うと感慨深い。

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Posted by ブクログ 2015年07月14日

主人公は一途に蝦夷地を目指し、思っている。次巻でその蝦夷地につくのだという。そして話のあらすじ通りどのようにロシアが絡んでくるのか。楽しみ。

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