あらすじ
「あぁ、やっぱ無理」
と思う前に読みたい令和の夫婦ドラマ
子連れ再婚、不妊治療、新婚すれ違い、
中高年「仮面夫婦」、熟年離婚危機……。
『正体』『悪い夏』でベストセラー 社会派ミステリの著者が描く、珠玉の愛の物語!
最近、夫が冷たくなった気がする。妻である自分にではない。子どもにだ。それも六歳の長男にだけ――。
佐藤綾子には離婚歴があり、前夫との間にできた子が長男の蓮だった。バツイチの綾子を受け入れてくれた年下の夫健太は、再婚当初は蓮と本当の親子のように仲が良かった。温かな家庭を取り戻したかのように思えたが、次男の楓が生まれてから生活が一変した。健太の蓮に対する愛情が微妙に薄れてきたのだ。それが原因で綾子の怒りが爆発し、夫婦喧嘩に発展することしばしば。
さらに蓮の小学校の担任から、発達障害である可能性を示唆され、綾子は憤慨してしまうが……(第一話「おかしいのはどっち」)。
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Posted by ブクログ
夫婦生活で起こりがちな問題がリアルに描かれていて、読んでいて胸が苦しくなるほど。
ただ2話3話と読み進めていくうちに、すべての物語はいい感じに終わりそうだなとわかってきて、この難題をどんなふうに主人公たちは乗り越えていくのだろうと想像したり楽しみにしたりして読めるようになり、とてもおもしろかった。
最後の章が作者の実話?この話を書いたキッカケやエピソードが語られているのかなといった内容で、それもまた新鮮だった。
Posted by ブクログ
『正体』以来1年ぶりに手にしました。
この本を買った時は11月頭でしたが、いい夫婦の日前後に絶対読もうと積読してました(笑)
今回の『みずいらず』。家族・夫婦の温かさを描いてて、心地よかったと思います。
今回の短編集で(特に)奥さんが旦那さんに対して「離婚だ!」とか旦那の気持ちが分かりにくい…というような奥さんが秘めている黒い影が見えてくる。
長らく一緒にいると、相手のことがよくわからん!なんてことがあると思う。それぞれの登場人物達の考えてることをみると気づくことがある。
奥さんも旦那さんも、お互いに腹を割って話していないからだろうなって。相手に思い伝えたところで関係がぎこちなくなる恐怖が、自分自身を塞ぎ込んでしまう気持ちはすごく分かる。
夫婦間には『以心伝心』っていうものがあると思ってます。自分が悶々としてても案外相手も気づいてることがあるかもしれない。価値観違えど長く一緒にいる相手に寄り添う気持ち、大事だと思います。
【良かった物語】
・プライドは富士山
・交換日記
・思い出の抽斗
・シングル
Posted by ブクログ
今までの社会派のミステリーとは全く違う染井作品だったが、とても良かった。
いろんな夫婦のさまざまなドラマを見た気分で、とても読みやすく簡潔にまとめられている連作短編集である。
「おかしいのはどっち」〜子連れで再婚した夫は次男が生まれてから長男にだけ冷たくなったと感じたのだが…。
「なぜ出ない」〜一回り年下の妻と不妊治療するのだが…なぜ冴えない自分を選んだのか…。
「プライドは富士山」〜妻から離婚を切り出されたが、プライドが邪魔して…。
「夫婦の再開」〜定年退職後、四六時中家にいる夫に鬱憤が溜まり…。
「薄情者」〜幸せな新婚生活のはずが、底抜けに明るい妻を疎ましく感じ…。
「交換日記」〜仕事を辞めてひきこもり、毎日プラモデルを作る夫にせめて家事はやってくれ…と。
「いつまでもあると思うな。妻と金」〜突然、家事の一切をしなくなった妻を更年期障害だと思っていたが…。
「思い出の抽斗」〜夫の「終活」に無理やり付き合わされた結果、ある記憶が蘇り…。
「シングル」〜独身貴族の作家は、温かい夫婦の話しを書きたいと言い出す。
どれも嫌な話にはならず、最後は胸が熱くなる。
いろんな夫婦のかたちがある。
みんな何かしらに悩んでいるのだが、結局は最悪な別れにならないところにほっとさせられた。
Posted by ブクログ
出たばかりの染井為人さんの単行本新刊。『悪い夏』『正体』など作品が映画化され、売れっ子になった彼の最新作なので、かなり注目して読んだ。
これまでとは全く趣が異なるハートフルな内容でした。
それぞれの章ごとに主人公が変わる…いずれにも夫婦のドラマがある…例えば、子連れ再婚、不妊治療、新婚すれ違い、終活、中高年「仮面夫婦」、熟年離婚危機などなど。これまでの染井さんの社会派ミステリー小説のように、人が死んだり、とんでもない悪人が登場したりしない(笑)
そして一つの物語に登場するサブキャラが次の話の主人公だったりするのが…やっぱり人や社会の絆を感じさせる。染井為人の新境地でした。
でも僕としてはわがままですが背中がザワザワするような現実社会を鋭くえぐるような切り口、そして救いようの無い悪人が登場するような彼の小説に期待してしまうなあ。
染井為人小説には善人は似合わない…笑
Posted by ブクログ
染井さんはやっぱり愛の人。
1番最初のイメージ【悪い夏】読んだ頃とは全然違う。色んな顔を見せてくれる小説家さんだと思う。
ずっと夫婦の話なのに最後【シングル】ってどうゆう事?って思ったけどこれも染井さんだからこそかけたお話ですねᵕ̈*ビックリしましたᵕ̈*
何かを創り出す苦悩は分からないですが最後の章は響くものがありました。
そして恐縮ですが私と似てるなって共感する事、多々ありましたᵕ̈*
【薄情者】【いつまでもあると思うな。妻と金】【思い出の抽斗】が特に好きです・.。*・.。*
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人が騙したり騙されたり殺されたりするミステリーかと思って読んだら何とも心温まる話!
染井為人さんの新境地を見たなあ。
色々な夫婦の形があって、少しずつリンクしながら進んでいく連作短編集。
最後の、作者本人を思わせる話がすごくじんわりきて良かった。
Posted by ブクログ
夫婦や家族に纏わる連作短編集。出てくる登場人物が次の話の主人公になって進んでいく。いつも染井為人さんの社会的ミステリとは違い心温まる話がいっぱいで特に一話目の「おかしいのはどっち」や最後の「シングル」は染井さん自身の話じゃないのと思いほっこりしながら読みました。
いつものテイストと違い何とも言えない暖かさを醸し出した作品集で新たな染井為人の一面を垣間見たようで面白かったです。
また次回作にも期待します。
Posted by ブクログ
「夫婦」をテーマにした連作短編集です。各話に出てくる登場人物達が別の話につながっていて、面白かったです。夫婦っていいなって思える、心が温まる作品でした。
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色々な夫婦がいて、それぞれの形があって。
一緒に生活していても、いつの間にかすれ違ってしまう。長い時を共に過ごすからこそ、気持ちを言葉にすることを忘れてはいけないし、自分の気持ちにも、相手の気持ちにも向き合うことをサボってはいけないんだな、と。
もちろん全話どれもとても良かったが、やはり「シングル」が特にお気に入りだ。
Posted by ブクログ
染井為人さんらしくない本といえばそういう本です。
ただ、こういう作品も上手に繊細に描くことができるのだと知れて新しい一面をこの本を通じて感じれたことは嬉しく思いますし、読んでよかったなって思いました。
どの話も短編で令和の夫婦の特徴を上手く取り入れて作品として描かれていると思いました。
個人的にはこういう染井為人さんの本も好きだなと感じました。
Posted by ブクログ
夫婦関係に関する珠玉の連作短編集。私にとって、「薄情者」が身に沁みた。
この作者は今までの作品とは打って変わって、人間の心の持ちようを余すことなく描き、ほろりとさせる。40代以上の方に是非読んでいただきたい。
Posted by ブクログ
良い意味で染井先生らしくない作品。
既婚者の自分にはだいぶ刺さる内容。色々と考え直すきっかけにもなる。独身の人にも読んでほしい。
最後の話は遊び心も感じつつ、それまでの話を踏まえての内容としても良かったと思う。
Posted by ブクログ
長く続く夫婦生活の中で、信頼からなのか慣れからなのか、相手に甘えてしまうことは多々あります。
そうしている内に、自分の本心を相手に伝えることも、相手の気持ちを慮ろうとすることも、つい蔑ろにしがちだと思い当たる節が…
お互いに一歩ずつ歩み寄れたら、最初のように、むしろそれ以上にいい関係性が築けると思い出させてくれる作品でした。
夫婦ですれ違ったり、喧嘩してしまった時にまた読みたいです。
Posted by ブクログ
染井為人さんの最新連作短編集。
面白かったです。
どの短編も非常に読みやすい内容で、共感できました。最後がどうなるのか?気になりましたが、まさかの内容で良かったです。こういう終わり方もあるんだなぁと、凄く新鮮な感じがして、おもわず笑みがこぼれました。
Posted by ブクログ
「夫婦とは、歴史なんですよ。」
と、その昔、人生の先輩は言った。
それは、親子ですよね。
そう言いたくてこの本を手に取ったけど、歴史とは、なかなか断ち切れるものではなく、歴史の上に今日の私がいて、今が在るということなのか。。
断ち切って逞しく楽しく生きる、女の話を読みたかった。
Posted by ブクログ
本作の最後のお話のように、染井さんはミステリーを書かれる方だと思っていたので
読み進めて、あれ?これ染井さんのお話だっけ?と表紙を見返してしまいました。
老若男女の家族のあり方。
側から見ると順風満帆に見えても、
子供ができない、夫が実子だけを大事にしているのではないか、妻が認知症なのかもしれない。妻に離婚したいと言われたなどなど。
あの家族はいいなあと思っても、その家族はその家族でなにかに悩んでいる。
家族ごとにそれぞれいろんな悩みがあるのだなと考えさせられました。
どんな人が手に取っても、ハッと何かを考えさせられる作品ではないかと思います。
全ての作品を読んだわけではないのですが、
染井さんの作品の中で、私は1番好きな作品だなと思いました。
Posted by ブクログ
◎
小1の前夫のADHD息子と0歳の今夫の子供。
体験塾でも落ち着きがないから拒否され小学校も特別支援をすすめられ、夫は前夫の子だからか無関心に思えたけど自分の子だと言って泣いた。
◎
その、年子姉の夫。妊活するもダメで、病院でも射精できなくなり。可愛い妻にろくでもない自分。負い目を感じる。
◎
その、同僚。モテるので浮気しまくってたら、嫁が幼馴染と結婚するから離婚してと。プライドが高く、良いよとしか言えない。ゴルフ場で老父を見て決心して幼馴染に土下座して妻を返して。娘の仕組んだ茶番で大団円。
◎
老父。妻とは会話ない。妻は別れようとして、金をポンジに入れかける。商社マンの老父が説明会場で救う。
◎
老父の息子。結婚と転勤とで若干病む。嫁と一緒にいたくない。嫁は母子家庭でビビるメンタルやられ納品先のクリニックで盗聴。変わる。
◎
メンタルクリニックの先生。旦那が会社辞めて引きこもってプラモ作る。自身も昔会社辞めて引きこもった気がする。古い交換日記を発掘し読むと旦那が支えてくれた。作ったプラモデルを売り生計を立てる。
◎
妻が更年期障害で何もしなくなったと思ったら乳がんで終活兼ねての何もせず旦那と娘に自立してもらいたかった。
◎
その上司の両親。老婆と老父。老父が終活と称して昔の思い出の地を老婆と巡る。老婆は認知症になりかけ。老父は分かりつつも、老婆を不安にさせないように生きる。
◎
独身の染谷。作家。家政婦を雇って小説を書く。