あらすじ
「あぁ、やっぱ無理」
と思う前に読みたい令和の夫婦ドラマ
子連れ再婚、不妊治療、新婚すれ違い、
中高年「仮面夫婦」、熟年離婚危機……。
『正体』『悪い夏』でベストセラー 社会派ミステリの著者が描く、珠玉の愛の物語!
最近、夫が冷たくなった気がする。妻である自分にではない。子どもにだ。それも六歳の長男にだけ――。
佐藤綾子には離婚歴があり、前夫との間にできた子が長男の蓮だった。バツイチの綾子を受け入れてくれた年下の夫健太は、再婚当初は蓮と本当の親子のように仲が良かった。温かな家庭を取り戻したかのように思えたが、次男の楓が生まれてから生活が一変した。健太の蓮に対する愛情が微妙に薄れてきたのだ。それが原因で綾子の怒りが爆発し、夫婦喧嘩に発展することしばしば。
さらに蓮の小学校の担任から、発達障害である可能性を示唆され、綾子は憤慨してしまうが……(第一話「おかしいのはどっち」)。
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Posted by ブクログ
ステップファミリーの妻、不妊治療をする歳の差夫婦の夫、離婚危機に直面したやり手営業マン、夫の定年後の妻、新婚夫婦、夫が早期退職者となったカウンセラー、妻が更年期障害となったサラリーマン、70代の夫が終活を始めた主婦、独身生活を謳歌する小説家が紡ぐ家族愛の短編集。
「正体」や「悪い夏」などでお馴染みの染井為人さんの作品。
この作品を作者を知らずに読んだ方は、どうしようもなくやりきれないものが多い染井さんの作品と知ったら驚くと思う。
人は死なないし、目を瞑りたくなる場面もない。読後に残るのは家族を配偶者を改めて大切にしようという思い。
特に、結婚生活四半世紀を過ぎた夫婦が、それぞれこの本を読んだらいろいろな思いが込み上げると思う。
我が家も結婚生活四半世紀。ビジネス本や自己啓発本、企業小説ばかり(決してそれらが悪いとは全く思わないが)読んでいる旦那に読ませて、ぜひ、感想を聞いてみたい。でも、たぶん読まないな。
そして、最後の短編。「アレって、自分自身のことですよね、染井さん」と思わずにはいられない。
Posted by ブクログ
「おかしいのはどっち」
「なぜ出ない」
「プライドは富士山」
「夫婦の再開」
「薄情者」
「交換日記」
「いつまでもあると思うな。妻と金」
「思い出の抽斗」
「シングル」
登場人物がリレー形式で繋がっていく9話収録の連作短編集。
とても良かった。
好き過ぎてずっと読んでいたかった。
社会派ミステリー作家のイメージが強い染井さんが、こんなに温かい物語を描かれるなんて。
リーダビリティの高さは言うまでもなく、登場人物の心理描写が秀逸。
彼等の一挙手一投足が全て脳内映像で再現された。
優しさと切なさとほろ苦さが融合した愛と希望に満ちた一冊。
Posted by ブクログ
染井為人さんの作品と言えば、、、
社会派小説、ドロドロした人間ドラマ、クズが出てくるミステリーなどなど
それを楽しみに読んでいる読者も多いのではないでしょうか
それが一転、こんな作品も書くの!?
いや、書けるんですか!?
って思いました
夫婦をテーマにした物語
どれも心を温かくしてくれ、涙を流させられる物語もあり
本作は染井さんの中でも異色の作品になるのではないでしょうか
夫婦の数だけ物語があります
嬉しいことも、楽しいことも、悲しいことも、辛いことも、寂しいことも、ぜーんぶその夫婦の物語なのです
もちろん、鬼嫁を持つ夫婦、会話がない夫婦、奥様の尻に敷かれている夫婦、それも夫婦の物語なのです
Posted by ブクログ
私の中の『年末!こういうの読みたかったランキング1位!!』ほのぼの心が温まった。寄り添い合う、助け合う、思い合う様々な夫婦。こんな風に歳を重ねたいと思った。
Posted by ブクログ
大好きな染井先生の最新作。
今までの作品とは違う夫婦の愛のかたちを読みやすくサラッと描いた作品でとても面白かったです。
染井先生の作品はどれも大好きで大切にしていますが、本作は自分が年齢を重ねてもふとした時に読み続けていたいと感じる愛の本だと思います。
「おかしいのはどっち」、「薄情者」、「いつまでもあると思うな。妻と金」が特に好きです。
結婚をしなくてもいい現代で性格も、生きてきた環境も違う男女が生涯一緒に生きていこうと誓うことだけで凄いことなのだと改めて感じるきっかけをくれました。長く共に生きているとお互い色々なことがあって、相談しあい、考えあうと思いますが、夫婦生活は相手のほんの一部を知っているにすぎないのだなと本作を読んで感じました。自分は一人になるのが怖いから、周りの人達を失う準備をしておかないと、と結婚を考えていましたが「シングル」を読んで自分はどのような形の夫婦を思い描いているのか分からなくなりました。
これから新社会人になり様々な出会いで感じることがあると思います。そんな時ふと思いだして、何度でもこの本を読みたいと思います。
Posted by ブクログ
夫婦生活で起こりがちな問題がリアルに描かれていて、読んでいて胸が苦しくなるほど。
ただ2話3話と読み進めていくうちに、すべての物語はいい感じに終わりそうだなとわかってきて、この難題をどんなふうに主人公たちは乗り越えていくのだろうと想像したり楽しみにしたりして読めるようになり、とてもおもしろかった。
最後の章が作者の実話?この話を書いたキッカケやエピソードが語られているのかなといった内容で、それもまた新鮮だった。
Posted by ブクログ
『正体』以来1年ぶりに手にしました。
この本を買った時は11月頭でしたが、いい夫婦の日前後に絶対読もうと積読してました(笑)
今回の『みずいらず』。家族・夫婦の温かさを描いてて、心地よかったと思います。
今回の短編集で(特に)奥さんが旦那さんに対して「離婚だ!」とか旦那の気持ちが分かりにくい…というような奥さんが秘めている黒い影が見えてくる。
長らく一緒にいると、相手のことがよくわからん!なんてことがあると思う。それぞれの登場人物達の考えてることをみると気づくことがある。
奥さんも旦那さんも、お互いに腹を割って話していないからだろうなって。相手に思い伝えたところで関係がぎこちなくなる恐怖が、自分自身を塞ぎ込んでしまう気持ちはすごく分かる。
夫婦間には『以心伝心』っていうものがあると思ってます。自分が悶々としてても案外相手も気づいてることがあるかもしれない。価値観違えど長く一緒にいる相手に寄り添う気持ち、大事だと思います。
【良かった物語】
・プライドは富士山
・交換日記
・思い出の抽斗
・シングル
Posted by ブクログ
今までの社会派のミステリーとは全く違う染井作品だったが、とても良かった。
いろんな夫婦のさまざまなドラマを見た気分で、とても読みやすく簡潔にまとめられている連作短編集である。
「おかしいのはどっち」〜子連れで再婚した夫は次男が生まれてから長男にだけ冷たくなったと感じたのだが…。
「なぜ出ない」〜一回り年下の妻と不妊治療するのだが…なぜ冴えない自分を選んだのか…。
「プライドは富士山」〜妻から離婚を切り出されたが、プライドが邪魔して…。
「夫婦の再開」〜定年退職後、四六時中家にいる夫に鬱憤が溜まり…。
「薄情者」〜幸せな新婚生活のはずが、底抜けに明るい妻を疎ましく感じ…。
「交換日記」〜仕事を辞めてひきこもり、毎日プラモデルを作る夫にせめて家事はやってくれ…と。
「いつまでもあると思うな。妻と金」〜突然、家事の一切をしなくなった妻を更年期障害だと思っていたが…。
「思い出の抽斗」〜夫の「終活」に無理やり付き合わされた結果、ある記憶が蘇り…。
「シングル」〜独身貴族の作家は、温かい夫婦の話しを書きたいと言い出す。
どれも嫌な話にはならず、最後は胸が熱くなる。
いろんな夫婦のかたちがある。
みんな何かしらに悩んでいるのだが、結局は最悪な別れにならないところにほっとさせられた。
Posted by ブクログ
出たばかりの染井為人さんの単行本新刊。『悪い夏』『正体』など作品が映画化され、売れっ子になった彼の最新作なので、かなり注目して読んだ。
これまでとは全く趣が異なるハートフルな内容でした。
それぞれの章ごとに主人公が変わる…いずれにも夫婦のドラマがある…例えば、子連れ再婚、不妊治療、新婚すれ違い、終活、中高年「仮面夫婦」、熟年離婚危機などなど。これまでの染井さんの社会派ミステリー小説のように、人が死んだり、とんでもない悪人が登場したりしない(笑)
そして一つの物語に登場するサブキャラが次の話の主人公だったりするのが…やっぱり人や社会の絆を感じさせる。染井為人の新境地でした。
でも僕としてはわがままですが背中がザワザワするような現実社会を鋭くえぐるような切り口、そして救いようの無い悪人が登場するような彼の小説に期待してしまうなあ。
染井為人小説には善人は似合わない…笑
Posted by ブクログ
染井さんはやっぱり愛の人。
1番最初のイメージ【悪い夏】読んだ頃とは全然違う。色んな顔を見せてくれる小説家さんだと思う。
ずっと夫婦の話なのに最後【シングル】ってどうゆう事?って思ったけどこれも染井さんだからこそかけたお話ですねᵕ̈*ビックリしましたᵕ̈*
何かを創り出す苦悩は分からないですが最後の章は響くものがありました。
そして恐縮ですが私と似てるなって共感する事、多々ありましたᵕ̈*
【薄情者】【いつまでもあると思うな。妻と金】【思い出の抽斗】が特に好きです・.。*・.。*
Posted by ブクログ
人が騙したり騙されたり殺されたりするミステリーかと思って読んだら何とも心温まる話!
染井為人さんの新境地を見たなあ。
色々な夫婦の形があって、少しずつリンクしながら進んでいく連作短編集。
最後の、作者本人を思わせる話がすごくじんわりきて良かった。
Posted by ブクログ
夫婦や家族に纏わる連作短編集。出てくる登場人物が次の話の主人公になって進んでいく。いつも染井為人さんの社会的ミステリとは違い心温まる話がいっぱいで特に一話目の「おかしいのはどっち」や最後の「シングル」は染井さん自身の話じゃないのと思いほっこりしながら読みました。
いつものテイストと違い何とも言えない暖かさを醸し出した作品集で新たな染井為人の一面を垣間見たようで面白かったです。
また次回作にも期待します。
Posted by ブクログ
「夫婦」をテーマにした連作短編集です。各話に出てくる登場人物達が別の話につながっていて、面白かったです。夫婦っていいなって思える、心が温まる作品でした。
Posted by ブクログ
色々な夫婦がいて、それぞれの形があって。
一緒に生活していても、いつの間にかすれ違ってしまう。長い時を共に過ごすからこそ、気持ちを言葉にすることを忘れてはいけないし、自分の気持ちにも、相手の気持ちにも向き合うことをサボってはいけないんだな、と。
もちろん全話どれもとても良かったが、やはり「シングル」が特にお気に入りだ。
Posted by ブクログ
染井為人さんらしくない本といえばそういう本です。
ただ、こういう作品も上手に繊細に描くことができるのだと知れて新しい一面をこの本を通じて感じれたことは嬉しく思いますし、読んでよかったなって思いました。
どの話も短編で令和の夫婦の特徴を上手く取り入れて作品として描かれていると思いました。
個人的にはこういう染井為人さんの本も好きだなと感じました。
Posted by ブクログ
私の好きな染井さんの内容ではない、、!
とわかっていながらワクワクして購入。
やっぱり読みやすくてスッと入ってくる。
色々な問題を抱えた夫婦の短編。ほっこりするオチに夫婦は一緒に住んでても他人でだからこそ、ちゃんと話し合うことって大事だなって改めて思った。
最後のお話は染井さんの感情からきてるのかな?
Posted by ブクログ
夫婦が問題を抱えながら最後は落ち着いていく心温まるストーリー。
「いつまでもあると思うな。妻と金。」については気持ちが分かるなぁ。ウチも女房が死が目前に迫っている中、「あなたは料理が出来ないから○○の宅配弁当が美味しいらしいからそれを取れ」とか「キッチンはきれいに使え」とか言ってたなぁ。娘達は離れて住んでいるから、毎朝夕には女房が可愛がっていた犬の散歩もしている。言葉では表せないくらいの喪失感の中で頑張っている私を女房は褒めてくれるだろうか?
Posted by ブクログ
アングラ感漂う作品ばかりだと思っていた染井作品。今回はいろいろな夫婦の形を描いたほろりとするお話だった。
どの夫婦にも対話が必要よねって強く思ってしまった。やっぱり言葉にしないと分からないことも多いし、そんなことを考えていたのかって新たな発見もあるし、対話が必要!必要!
最後の「シングル」が染井さんを彷彿とさせるお話でニヤニヤしながら読んでしまったw
Posted by ブクログ
8組の夫婦の話が繋がれていく。どれもHAPPYENDで心が温まる感じで良かった!
最後の独身貴族の作家はなんとなく中途半端な気もする。
ひょっとしてノンフィクションなのか?
Posted by ブクログ
夫婦関係に関する珠玉の連作短編集。私にとって、「薄情者」が身に沁みた。
この作者は今までの作品とは打って変わって、人間の心の持ちようを余すことなく描き、ほろりとさせる。40代以上の方に是非読んでいただきたい。
Posted by ブクログ
良い意味で染井先生らしくない作品。
既婚者の自分にはだいぶ刺さる内容。色々と考え直すきっかけにもなる。独身の人にも読んでほしい。
最後の話は遊び心も感じつつ、それまでの話を踏まえての内容としても良かったと思う。
Posted by ブクログ
長く続く夫婦生活の中で、信頼からなのか慣れからなのか、相手に甘えてしまうことは多々あります。
そうしている内に、自分の本心を相手に伝えることも、相手の気持ちを慮ろうとすることも、つい蔑ろにしがちだと思い当たる節が…
お互いに一歩ずつ歩み寄れたら、最初のように、むしろそれ以上にいい関係性が築けると思い出させてくれる作品でした。
夫婦ですれ違ったり、喧嘩してしまった時にまた読みたいです。
Posted by ブクログ
タイトル通り、“夫婦”みずいらずの情景を綴ったリレー形式の連作短篇集。9篇が収録されている。
読み始めてすぐに(これ、染井さんの本なの?)と違和感を感じた。なにしろ平和なのだ。どの作品もせいぜい言い争い程度の夫婦喧嘩しか起きない。まあ夫婦間のいざこざなんて今更読みたくもないが、こうもなにも起きないと逆に肩透かしを食らった感がある。
最後の1篇「シングル」はちょっとクセ球だ。なにしろ主人公は作家の染谷和人(笑)で、独身なのだ。しかも書かれているのが、この作品を書く前の編集者とのやりとりなどを含んでいて、正にぼくが思っていたとおりの内容だった。確信犯的に書かれた作品だったわけだ。納得である。
Posted by ブクログ
「夫婦とは、歴史なんですよ。」
と、その昔、人生の先輩は言った。
それは、親子ですよね。
そう言いたくてこの本を手に取ったけど、歴史とは、なかなか断ち切れるものではなく、歴史の上に今日の私がいて、今が在るということなのか。。
断ち切って逞しく楽しく生きる、女の話を読みたかった。
Posted by ブクログ
本作の最後のお話のように、染井さんはミステリーを書かれる方だと思っていたので
読み進めて、あれ?これ染井さんのお話だっけ?と表紙を見返してしまいました。
老若男女の家族のあり方。
側から見ると順風満帆に見えても、
子供ができない、夫が実子だけを大事にしているのではないか、妻が認知症なのかもしれない。妻に離婚したいと言われたなどなど。
あの家族はいいなあと思っても、その家族はその家族でなにかに悩んでいる。
家族ごとにそれぞれいろんな悩みがあるのだなと考えさせられました。
どんな人が手に取っても、ハッと何かを考えさせられる作品ではないかと思います。
全ての作品を読んだわけではないのですが、
染井さんの作品の中で、私は1番好きな作品だなと思いました。
Posted by ブクログ
◎
小1の前夫のADHD息子と0歳の今夫の子供。
体験塾でも落ち着きがないから拒否され小学校も特別支援をすすめられ、夫は前夫の子だからか無関心に思えたけど自分の子だと言って泣いた。
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その、年子姉の夫。妊活するもダメで、病院でも射精できなくなり。可愛い妻にろくでもない自分。負い目を感じる。
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その、同僚。モテるので浮気しまくってたら、嫁が幼馴染と結婚するから離婚してと。プライドが高く、良いよとしか言えない。ゴルフ場で老父を見て決心して幼馴染に土下座して妻を返して。娘の仕組んだ茶番で大団円。
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老父。妻とは会話ない。妻は別れようとして、金をポンジに入れかける。商社マンの老父が説明会場で救う。
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老父の息子。結婚と転勤とで若干病む。嫁と一緒にいたくない。嫁は母子家庭でビビるメンタルやられ納品先のクリニックで盗聴。変わる。
◎
メンタルクリニックの先生。旦那が会社辞めて引きこもってプラモ作る。自身も昔会社辞めて引きこもった気がする。古い交換日記を発掘し読むと旦那が支えてくれた。作ったプラモデルを売り生計を立てる。
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妻が更年期障害で何もしなくなったと思ったら乳がんで終活兼ねての何もせず旦那と娘に自立してもらいたかった。
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その上司の両親。老婆と老父。老父が終活と称して昔の思い出の地を老婆と巡る。老婆は認知症になりかけ。老父は分かりつつも、老婆を不安にさせないように生きる。
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独身の染谷。作家。家政婦を雇って小説を書く。