あらすじ
「物語の原型」、誰もが知る、かぐや姫と5人の求婚者、帝が繰り広げる異世界譚を、「まるで僕が書いたような物語」と語る大人気作家が敬意をこめて抱腹絶倒・大胆不敵に新訳した画期的必読古典。
かぐや姫×森見登美彦!
1000年以上も読み継がれる「物語の原型」を
竹林をこよなく愛す当代の人気作家が現代語訳!
翁がある日、光る竹の中に見つけた可愛らしい小さな人。やがて絶世の美女に成長したかぐや姫は、言い寄る求婚者たちに無理難題を課す。恋に破れ去る男たち、そして、「その日」は近づく――千年以上も前に書かれ、読み継がれてきた異世界譚を、竹林に並々ならぬ思いを寄せる作家・森見登美彦が現代語訳した必読の一冊!
竹取物語とその現代語訳にまつわる舞台裏をたっぷり語った講義「作家と楽しむ古典 僕が書いたような物語」、竹林の中へ入り込んだ幼少期の原体験からはじまる文庫版のための書き下ろしあとがき「生きていることのふしぎ」も収録。
【もくじ】
竹取物語
全集版あとがき 千年の失恋
特別収録 講義「作家と楽しむ古典」 僕が書いたような物語
文庫版あとがき 生きていることのふしぎ
解題 大井田晴彦
感情タグBEST3
Posted by ブクログ
久しぶりに「竹取物語」を読んで見ました。
現代語訳されていて、子どもの頃に感じたもの
と違って、新たな発見があり楽しい。
物語として、結構 奥が深かったのに気付きました。
Posted by ブクログ
森見登美彦さんの古典新訳作品。別著「走れメロス」があるため、それと同系統の作品かと思いきや、しっかり(?)古典を和訳しる作品です。しかし、要所で感じられる森見登美彦さんらしさがたまらなくマッチしています。巻末のインタビューにもありますが、特に歌が秀逸です。
Posted by ブクログ
今は昔竹取の翁というものありけり、の文章で始まる竹取物語。
そこはかとなく内容は知っているけれど、じっくり読んだことがあるかと聞かれるとない。
そんな中、森見登美彦先生が現代訳をされたこの本は読みやすい。
作者自身、腕まくりをしてのぞんだという5人の求婚者の場面は完全に森見登美彦作品。
非常に読みやすい
Posted by ブクログ
以前刊行された日本文学全集からの単行本化されたもの。
有名な古典と森見登美彦の言語センスが融和してところどころ珍妙である。
特に五人の貴族たちの失敗や嘘のエピソードは役者の真骨頂と感じる。
下らない駄洒落であたかも本当の語源のように慣用句を説明するところなどはまさに。
そこから「不死の山」の大オチにつなげるのも、ジョークとしんみりとした感傷のギャップが現代語訳だとすんなりと入ってくる。
古文は読み慣れない、絵本では物足りない人には一度触れてもらいたい。
Posted by ブクログ
中学生のとき国語の授業で、5人の貴公子の求婚話を知りました。とても面白く大好きでした。
今回テンポの良い文章で、再び5人の話を楽しめました。森見さんは古典の現代語訳、初めてとのことです。そして、大学院生時代の研究テーマが竹ということで、竹に対する特別な感情をお持ちです。
あとがきを読むと、どのような方針で現代語訳されたかが分かります。続いて、古典研究者である大井田氏の解説を読むことで、竹取物語の深い部分まで理解できます。他の作家の現代語訳も読んでみたいです。
Posted by ブクログ
前に同作者の「超訳 走れメロス」を読んだことがあったのでそれと似たような文体かと思っていたら、真面目な現代語訳だったので意外に思った。ただ節々の言い回しから森見作品らしさを感じられた。
また、物語本編だけでなく、あとがき、講義、解題まで載っているため、より物語の解釈が広がるし、竹取物語についてもっと勉強したくなる。古典の入門編として、手に取りやすい本だと思う。
Posted by ブクログ
黒髪の乙女に恋するウザ男の阿呆ぶりを書かせたら天下一品の森見登美彦が、竹取物語の新訳に挑む。いつものモリミーとはひと味違う、絶世の美女かぐや姫に翻弄される間抜けな求婚者たちの阿呆ぶりを…って、いつもと同じやないかーい!
Posted by ブクログ
中学の国語の授業で「今は昔、竹取の翁といふものありけり。またの名を讃岐の造となむいひける。…」とか覚えさせられたなぁ、というのが「竹取物語」の印象である。
以前から古典作品全般に苦手意識があり、現代語訳版があったとしてもなんだか読む気になれずにいたのだが、森見登美彦が訳しているとなると話は全然変わって来る。
森見作品のクセの強い独特な世界観が好きで、古典オブ古典の「竹取物語」とどんな化学反応を示すのか、ワクワクしながらページをめくった。あっと言う間に引き込まれた。
作者のあとがきにも記されていた通り、本当に森見登美彦が「竹取物語」の作者ではないのかと錯覚するくらい、森見作品の世界観と「竹取物語」の世界観はマッチするにも程があるというくらいに合っていて驚いた。
絶世の美女、美女に恋焦がれる阿呆な男たち、そして竹林。森見登美彦ワールドそのものな作品であることに気づかされたし、古典の世界観を壊さない程度に現代的な言葉遣いを入れる絶妙な塩梅の文章が面白おかしく、時に切なく、「竹取物語」に没入出来た。
いつの時代も恋に右往左往する男心は変わらないものなんだなと思った。かぐや姫の時に非情ともとれる態度が次第に軟化して、帝と互いに慰め合うプラトニックな関係性を気づいていくのもなんだか今風であった。
古典作品が今も読み継がれているのは、古来より変わらぬ人間の営み、心の機微を描いて共感を呼び続けているからかもしれない。
河出文庫の「古典新訳コレクション」の他の作品も読んでみたくなった。いずれは「源氏物語」にも挑戦したいと思う。
Posted by ブクログ
森見登美彦訳「竹取物語」です。
帯の「絶世の美女と阿呆な男たち」⋯絶世の美女はともかく「阿呆な男たち」は森見作品には不可欠と言ってもいいほどですから、竹取物語はまさにぴったりです。
本編にプラス、全集版あと書き、特別収録「作家と楽しむ古典」、文庫版あとがき、大井田晴彦氏の解題、本編と同じくらいのボリュームであり、大満足。
Posted by ブクログ
原文に忠実でありつつ森見登美彦らしさが遺憾無く発揮されていて可笑しいやらちょっとしんみりするやら。子どもの頃から親しんでいる物語ですが「こんな話だったのか」「こんな人物だったのか」といろいろ発見がありました。
特別収録の講義の様子や文庫版あとがきも素敵です。
堅苦しさはなく、古典の魅力に親しめます。大人はもちろん、中高生へのプレゼントにもよさそうです。
Posted by ブクログ
モリミーが『竹取物語』の現代語訳・・だと・・?
これは読まずにはいられないでしょ!
思えば“かぐや姫の物語”って、小さい頃読んだ昔話の絵本だったり紙芝居だったりの内容のまま止まっていて、『竹取物語』をちゃんと読んだことなかったかも。
そんな訳で、竹林といえばモリミー、黒髪の乙女に翻弄されて右往左往する殿方といえばモリミー・・つまり、竹取物語×森見氏というまさにナイスマッチングな本書をワクワクしながら読ませて頂いた次第です~。
うむ!読みやすくて良き!
『新釈 走れメロス 他四篇』のような、モリミーワールド全開というのではなく、さすがに“ちゃんと訳して”いるので、所謂“森見節”的なものは控えめでございます。
とはいえ、所々に薄っすら出てくる“モリミー・エッセンス”が、五人の求婚者たちのトホホな感じを説妙に表現していて、“さすが、アホな男たちを描かせたらモリミーの右に出る者はなし!(ええ、贔屓してますとも)”って感じです。
あと、物語の中で
(例えば求婚者の一人が「燕の子安貝」をゲットできなかったエピソードの後に)
“・・この出来事から、思い通りにいかない事を「貝がない」すなわち「甲斐がない」と言うようになったのである・・”
てな感じで、ダジャレっぽい「語源」ネタ(?)が度々投下されていて、訳を読んでいるときはモリミーのアドリブかと思ったのですが、本書の後半に収録されている「講義」によると、原文でホンマに“ダジャレ語源”が描かれているとのこと。
そう、『竹取物語』って、五人の求婚者のお間抜けぶりも含めてユーモラス且つ遊び心あふれた物語だったのですね~。
ところで、かぐや姫って罪人として月から地球に島流しされていたらしいですが、月の都で何をやらかしたんでしょうね?ちょっと気になった私です。
ということで、森見版『竹取物語』を大いに楽しませて頂きました。
さらに、あとがき&講義も森見氏がどのような思いで訳に臨んだのか等々・・こちらも興味深く読ませて頂いた次第です~。
因みに、巻末で紹介されている河出文庫さんの「古典新訳コレクション」のラインナップを見ると、様々な作家さんが現代語訳されていて、他の古典作品も是非読んでみたくなりました♪
Posted by ブクログ
森見登美彦訳の『竹取物語』。このシリーズはたまにイメージと違う訳になったりするけど、『竹取物語』は普通の訳で読みやすい。帯にある通り「絶世の美女と阿呆な男たち」の話。かぐや姫のおかした罪ってなんだろう。
Posted by ブクログ
今までは竹取物語といえばかぐや姫!だったけど、5人の求婚者の個性もとても魅力的なんだと知った
竹取物語は、相対する此岸的な力と彼岸的な力によって成り立っていて、その根源的な対立は、かぐや姫の二面性に集約されている
Posted by ブクログ
竹林作家(?)モリミーによる新訳版、面白かった!リアリティと妄想、ダメンズ達の暴走と恋、ピュアで罪深い美女···あれ?竹取物語と森見作品って共通項だらけ。何百年を経ても似たりよったりな人間の感性にニンマリ。こんな形で古典の面白さに気付くとは。
喜怒哀楽のない月の世界から追放される程の罪を犯したかぐや姫は、一体何をしでかした?
とっても気になるんですがそこは触れられていないんですよねー。
所々に感じる森見節も控えめながらも健在です。ファンとしてはやっぱりこれが嬉しい。
Posted by ブクログ
森見登美彦訳竹取物語。
なんとなく知っている物語。きちんと読むと
登場人物みんな破天荒ですね。
絵本と違っておばあさんがほぼ出てこないのが
意外でした。
ぼんやりとしか読んでなかったですがよくよく
考えるとかぐや姫もそんなに良い子ではないし。
なんの罪を犯して地球に来たんでしょうね。
息子の教科書に出てきたので読んでみましたが
やっぱり私が中学生だった頃より教科書の内容が
難しくなってる気がします。
Posted by ブクログ
森見訳の竹取が文庫化されるのを数年前から待っていた。
竹・美女・うごうごする男たちと、森見登美彦以外の訳者は考えられない作品。
森見登美彦としては万感の思いであろう。
読み物として普通に面白いのだが、森見登美彦の生真面目さが出ていて、「原作と自分の味のバランス」との間で、かなり慎重に悩んで書いたことを感じさせる文章となっている。
Posted by ブクログ
場面で区切られていたり、読みやすい文章だったりと、
古文が苦手な私でもしっかり物語を楽しめました。
起承転結まとまっていて洒落も効いていて、平安時代から
こんなに面白い読み物があったのかと改めて感じました。
現代小説に比べると描写が圧倒的に少なく、掘り下げも少ない為、もっと欲しい!と感じてしまいますが、そこが研究し甲斐、考察し甲斐がある箇所なんですかね…?
Posted by ブクログ
今更ながら竹取物語を読んでみる。
誰もが知ってる話で説明不要なのだが、改めて読むと謎が深い。
かぐや姫は月では高貴な身分だったが、罪を犯して地上へと落とされた。
その罪の償いが終わったので月へと戻された。
どんな罪を犯して、なぜ罪の償いが終わったとみなされるのか。
そういった研究もされているのね。
改めて読むと謎だった。
Posted by ブクログ
森見版竹取物語。
学生のころ古典の授業で読んで5人の若者vsかぐや姫のところは面白いなぁと思っていたけど、今作ではより5人のキャラが立っていて面白かった。
作家さん独特のリズムや言い回しが心地よかった。
Posted by ブクログ
私が読む竹取物語4作目
ところどころの言葉の選択が森見登美彦さんらしく思いましたけれど、忠実な日本語訳という印象を受けました。
かぐや姫の五人の求婚者たちへの無理難題。男たちはまともに挑戦しないで、それぞれの話に見事なオチまでつけてきます。
そして、帝の登場で、竹取物語が変調します。森見登美彦さんは 全集版あとがきとか講義も文庫の最後に掲載されていて、地球代表の帝も振られてといった感じでとしていました。
まあ、しかし 振られた事にはなるのかもしれませんが、かぐや姫は帝の事は好きな設定なのだと思います。
彼女が全てを忘れる羽衣を着せられる前に
帝に手紙を書き不老不死の薬と共に
贈ったという事は、その永遠の時のどこかで会いたいという事だったのではと思うんですよね。
竹取物語の本当の原作は、結局いつのものかわからないし作者不詳だし、あくまで想像の世界。
Posted by ブクログ
かぐや姫を森見さんが現代語訳した本。
各章の最後が、
”こんなやりとりから、常識はずれなことを「食べがたい」、そこから転じて「たえがたい」というようになったのである。”
といった具合です。なんだか『まんが日本昔ばなし』(CV:市原悦子)のようだっておもっていたのですが、この話自体が昔ばなしでしたww。
文庫本の後半は、森見さんがどこを注意しながら翻訳したとかキャラクターの付け方とかが記載されており、作家というのはこんなことまで考えているのかと勉強になりました。
Posted by ブクログ
思いのほか、かぐや姫の影が薄く、むしろ求婚する5人の求婚者の方が主役のようで、かぐや姫に手玉にとられる様子が滑稽で哀愁があってとてもよい。
自分の中にあったのは絵本の「かぐや姫」が古典の「竹取物語」に上書き・バージョンアップした感じ。
Posted by ブクログ
翁がある日、光る竹の中に見つけた可愛らしい小さな人。やがて絶世の美女に成長したかぐや姫は、言い寄る求婚者たちに無理難題を課す。恋に破れ去る男たち、そして、「その日」は近づく――千年以上も前に書かれ、読み継がれてきた異世界譚を、竹林に並々ならぬ思いを寄せる作家・森見登美彦が現代語訳した必読の一冊!
森見さんだなあという擬音語や表現が楽しい。意訳している部分とかが後の解説で語られていて、こんなところに注目したのか、とか、5人の求婚者の特徴みたいなのが面白い。『竹取物語』は正直昔話として定着しすぎていて今更面白さを感じたりしたことはなかったけれど、こうやって新訳でたくさんの人に届くって素敵なことだなと感じる。古典といわれるようなものも違った視点から読んだり、形(翻訳)を変えて読むことで違う一面が見えるんだな。河出書房の新訳シリーズが最近文庫化多くて嬉しい。
Posted by ブクログ
さすが!森見節が絶妙に効いていて、古典文学とは思えないくらい情景が目に浮かんで、リズミカルに読むことができた。かぐや姫、翁、求婚者の男たち、帝それぞれが最高にキャラ立ちしていて面白おかしさ増し増しだった。
Posted by ブクログ
森見登美彦さんの現代語訳『竹取物語』。
私の中で『竹取物語』って古典というよりは、おとぎ話や絵本の『かぐや姫』なのですよね。
だからきちんと古典として『竹取物語』を読んだのは、国語の古典の授業以来かもしれません。
森見さんらしくユーモラスに描かれていて読みやすいのではないでしょうか。
Posted by ブクログ
古典のかぐや姫を現代小説に翻訳した作品であった。
森見さんは、原作を忠実に再現することを心がけていたため、いつもよりも森見節が少ないように感じた(勿論森見節はあるが)。
しかしながら、森見さんが読者にとって読みやすいような工夫が散らばれてるし、ここはこういう風に解釈するからこのように翻訳する、という解説も読める点が面白かった。
最後のワークショップで、古語を翻訳してみようと言う箇所があったので解釈をした。自分の文章と比較した結果、森見さんのよりキャラが際立った翻訳していたのが驚いた。今後、作品をピックアップし、現代の小説っぽく翻訳するのも面白そうだと思った。