小説・文芸の高評価レビュー
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ネタバレシリーズ第2弾。
1巻も良かったけど、2巻の方がさらに面白く、作品の中に引き込まれました。現代医療のリアルな問題と理想の医療が描かれていて、心に沁みるセリフがたくさんある。
「マチ先生や花垣先生のような人に医者になってほしい」と思う。そして、飛良泉教授のような人も必要なのだと思う。
哲郎が龍之介にフルートをプレゼントするシーンは泣けた。
【メモ】
P.54「人が、自分の権利ばかり口にするのは、自分ひとりで生きていけると思っているからです。
でも人生はそんなに甘いものじゃない。生きていくことの哀しみを知っている人間は、理由などなくても、誰かの力になりたいと思うものですよ」
P78 「旦那が主夫やってくれてるの。子育てしながら医者なんてできるわけないでしょ。まあ、アルバイトで小銭稼いでいることを、『医者をやってる」って言ってる医者ママたちは沢山いるけど、夜に呼び出されることのない医者なんて、普通に医者とは言わんでしょ」
P79 「私が医師として全力で働けるのは、旦那が全面的に支えてくれてるからー。もし旦那も働きたいって言ってたら、私はこんな風には働けない。男も女も両方社会で活躍することこそ男女平等だって、よく言うけどさ。そんなの平等でもなんでもない。女まで男みたいな考え方をするようになっただけだと私は思ってる」
「人にはね、いろんな役割があるの。私みたいに社会に出て必死で働くっていう役割もあれば、その人の帰ってくる場所をつくったり、子どもを見守ったりする役割もある。本当は両方とも同じくらい大事なのに、一方が『活躍すること』で、もう一方が『活躍できない』っていう考え方そのものが、古い男社会の価値観だって話よ。女が男のように振る舞えば、男女平等になるわけじゃない。大事なことは、それぞれの役割に敬意を払うってこと」
P140 「亡くなる瞬間に手を握って別れの声をかけてやるというのは、テレビドラマでよく見かけるシーンですが、本当に大切なことはそういうことではないと思います。亡くなるまでの時間を、つまり生きている間の時間を、どうやって寄り添いながら積み上げていくか、それが一番大事なんだと私は思っているんです」
P196 「医局の外だとか内だとか、検問があるわけじゃない。出入りするのにパスポートがいるわけでもない。そんなことは出末な問題です。我々にとって大事なことは、患者をどうやって治療するか、それだけじゃないですか」
P320 「医師という仕事に誇りを持って、生き生きと医療現場を駆け回っていらっしゃった。私の書いた記事にもしっかりと目を通す先生で、少しでも勝手な解釈を入れると大変な叱責を受けたものです。社会にまちがった情報を流すことは、医師が医療ミスを犯すことと同じくらいに重大な罪であると」 -
Posted by ブクログ
本書の帯にある中島京子氏(「やさしい猫」作者)の「なにやってんの、日本!」の一言。ホント正しくこの通り。
以前「やさしい猫」の感想でウィシュマさんの事に触れた時はまだ、入管職員に自身の対応に疑問を持つ人もいたのではないかとの期待を込めた想像を書いた記憶があるが、本書を読んだ今は、出入国在留管理庁という組織には昔からの外国人蔑視というか軽視というか、人を人と思わぬ人権無視の、今や異常としか思えない思考風土がこびり付いているのだという事を思い知らされた。
こんな、理不尽な対応がいまだに続いているのがこの日本であるという事が、本当に恥ずかしく情け無い。
それでも、終盤に紹介のあった若い人達による在留資格のない人々への支援活動も増えているという事に救いを感じるし、自分も出来る事をし続けようと改めて思った。
「日本人ファースト」などと、恥ずかしげもなく唱えられる人々にもぜひ読んでみて欲しい。難民受け入れ度合い、国際人権条約の遵守度合いなどの諸外国との違いは、結局一人一人の人権の重視度合いの違いだとうい事に思い至って欲しい。
以下心に留めたい言葉・事実(数字はページ)
p.11 日本という国は在留資格がないと、最も弱い存在である子どもすら、生身の人間としての権利を守ろうとしない国なのだ
p.13 出生時や幼少時から日本に住み、自分の育った環境に何の責任もない子どもたちが、送還や親との分断という耐えきれない苦しみを負わされている。「罪」のない彼らが重い「罰」を負わされる不条理
p.23 住民から暴力を受けた川口市の小学生の通う学校は、カウンセリングも警察への防犯要請もしてなかった。子供が日本人なら有り得ない
p.29 あるクルド人は仮放免の延長手続きに行った入管で10人の職員に馬乗りになられ、電気ショック、手錠かけられ無理矢理飛行機に乗せられ送還された
p.38 トルコからの分離独立を求めたPKKのゲリラ活動に対し、トルコ政府は村を焼き払うなどの「無人化政策」で弾圧。1984〜2016の32年間の死亡3〜4万人の大半がクルド人。国内避難民クルド人中心に32万人。(そんな苦難から逃れて来た人々を難民認定しない日本の入管)
p.41 トルコ出身避難民認定数(日本以外の単位千人.十の位四捨五入)
ドイツ 認定者数27.9/申請者数175.9
カナダ 13.0/24.5
フランス 10.6/60.0
アメリカ 6.7/29.8
イギリス 4.6/12.9
オーストラリア 0.8/2.0
日本 4人/10,200人
p.42 トルコは親日国の為クルド人を難民認定するとトルコ政府の行為をテロ対策ではなく「人権侵害」と認める事になるのを配慮して認定しない様にしている
p.44 25年5月入管庁「不法滞在ゼロプラン」開始。25.6-8月トルコ人強制送還34人(それ以前の3ヶ月6人から急増)
p.57 政府は路上デモやSNSで増幅された人々の不安を背景に「国民に不安が広がっている」として「不法滞在者ゼロプラン」を策定したが、SNS投稿の大半はフェイク(女児万引き画像・子を放置
p.71 自民党議員「外国人に厳しい政策は有権者にウケるんだよ」発言。参政党「日本人ファースト」のキャッチフレーズ。
p.84 国連の定義では移民とは国境を超えて移り住む人のこと、1年以上は「長期移民」。日本は人口の3.2%の395万人の殆どが長期移民で実質的に移民社会(欧州は10%超)。日本政府はこの実態無視して共生政策怠り、自治体に丸投げしてきたことが国民の不安に繋がっている
p.88 川口市の刑法犯件数 24年4,529件(04年16,314件)。外国人人口24年43,128人(04年14,679人)と大幅に減少が事実
p.92 社会保障制度にとって「外国人は重荷」と思われがちだか、実態は労働者の構造と同じく「外国人頼み」
p.96 高市も小野田も、管理強化を強調するばかりで、日本語教育やヘイトスピーチ対策などの共生策に触れない。リーダーが今後の目指すべき多文化共生社会を語らず、国民はイメージが描けない
p.105 1994年に「子どもの権利条約」を日本は批准。第6条「締約国は、全ての児童が生命に対する固有の権利を有する事を認める」「締約国は、児童の生存及び発達を可能な最大限の範囲において確保する」第26条「すべての児童が社会保険その他の社会保障からの給付を受ける権利を認める」。ここでは「すべての児童」であり、国民ではなく、在留資格は問われていない。日本がやっているのは難民認定せず、在留資格を奪い、仮放免という「労働禁止」「移動制限」「健康保険なし」に追い込む事。子供の「将来の夢」を奪う事(勉強頑張って高校受かって○○になろうと思っても、強制送還されたり、合格取り消されたり)
p.122 難民認定率(24年)アメリカ57.7%(3.5万人)、イギリス42.4%(3.7万人)、ドイツ15.6%(4.1万人)、日本2.2%(190人)
p.126 入管は帰国を拒否すると入管庁だけの判断で収容施設に収容、収容期限も決め、上限もない。刑法犯の逮捕収監も、透明性確保の為警察は裁判所から逮捕令状取り、拘留期限も最長23日と決められている。カナダでは入管当局が、身柄拘束すると独立した委員会が48時間以内に収容是非を判断。英独仏も第三者機関によるチェック体制あり。EUは一律6ヶ月迄の決まりあり。
p.181 この入管庁の一存での収容の実態に対し、国連は繰り返し是正勧告するも日本政府はその都度反論、対応せず
p.209 カレー料理店のシェフとして来日のネパール人は、「技能」(特殊な技術を持つ人)の在留資格。子供らはその「家族滞在」の資格。
p.252 家族が一緒に住む権利「家族結合権」とは、国連加盟国が批准する自由権規約が保障している。ある国の政府が父親だけ送還しようとすると、家族から通報を受けた国連の自由権規約委員会が「条約違反」と警告、政府が断念する例も多いが、日本は自由権規約には加入しているが、家族が通報する「個人通報」の制度は批准してない為、家族の訴えが出来ない。
p.262 国連の子どもの権利委員会や自由権規約委員会は、日本に対し政府から独立した国際基準に基づく人権救済機関である「国内人権機関」を創設するよう繰り返し勧告しているが、日本政府は「不要」を主張し続けている
p.308 川口のレストラン「ハッピーケバブ」。クルド人アラン
p.309 自分には何の責任も無いのに「母国に帰れ」とヘイトスピーチを浴びせられ、暴力を振るわれ、保険がないから病院にも行けず、決まった就職も取り消され、親と離れ離れにされ、言葉も分からない「母国」に強制送還され。
p.316 もともと入管行政は外国人の人権尊重する姿勢が乏しく強権的な外国人管理に重点置かれてきた。第二次大戦前の朝鮮、台湾での支配、特高警察による抵抗取締り、日本語教育、同化政策の押し付け(創氏改名)に起源。非正規滞在の外国人なら何をしても許される様な。2021年3月名古屋入管で亡くなったスリランカ女性ウィシュマ・サンダマリ事件な非人間的扱いがその代表
p.321 25年6月公表アンケート結果。「裕福な国は難民に経済的支援を提供する道義的な責任があるか」。29カ国平均62%、アメリカ55%に対し日本43%。 -
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ゆとり世代である作家朝井リョウの日々を綴ったエッセイ2冊目。
こんなに尾籠な話を汚くならずにおもしろく記せる作家が、どこの世界におろうか!
「お腹下しスト(=私)」
「快便家(過激派)」
「尿道カテーテル」
など、思い出しても笑ってしまう言葉が並ぶ。
電車でうっかり笑ってしまったのだが、むかいの席に座るサラリーマンに「わかってるよ。おもしろいよね」顔でうんうん頷かれて、なんかもう・・・。
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「本は、言葉とともに、視点を与えてくれる。世界を見つめる視点を増やすことは、今あなたを苦しめている相手を倒す武器にはならないかもしれない。だけど、あなたの心がある一点からの圧力によって押し潰されそうになったとき、目には見えない盾を構築する要素にはなってくれるはずだ」 -
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ネタバレこの本を読んで、人生の生き方の「ヒント」を得たように感じる。
普段なら面識のない100種以上の職業の人の話がそれぞれ2ページで構成されていて、人生の道に迷ったときに思い出せるようなつくりになっている。
私は今まで、生きる上での「こだわり」というか、自分らしさのようなものに悩んできた。表には現れない「影の偉人ら」の生き方の流儀を知った今は、なんとなく自分に自信を持たせてくれたように思う。
得に、庭師の「一人の人を喜ばせられれば、仕事になる」という言葉には、私の「未来に対する漠然とした不安」を和らげる一言になった。
これから先、それぞれを生き抜いた先人の職を通じての「楽しみ方」と共に、私も人生を楽しんでいける気がしている。 -
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幼少期の親との思い出というものは、なぜ、時間が経ち、大人になってからも思い出されるのでしょうか。
しかも、良い思い出よりも、ネガティブな感情を引き起こす思い出の方が多いと思いませんか?
この世の全てを信じている純粋な子供にとって、親からの何気ない悪意のない一言や行動、表情で、子供は初めて『裏切り』を知るからなのかもしれません。
本作の主人公薫子。
当たり前ですが、何歳になっても薫子が父と母の娘であることは変えようのない事実です。
幼少期の記憶、それに付随する感情もまた、変えようのない事実としてそこにあります。
本作では、それは薫子を縛り付けるもののように感じました。
と、書くとまるで親が悪いように見えますが、そういうことではないです。
私は本作で、いま自分が持っているものたちを、大事に丁寧に扱うことの大切さを学んだように思います。
人間関係も、仕事も、得意なことも、幼少期のネガティブな記憶でさえも、全て、自分がいま持っている大切なものであることを認識することがまず重要なのです。
そして、それと同時に自分が持っていないものを追い求めることも大事です。
薫子のように努力して手に入れることって、本当に素晴らしく尊敬に値する行動です。
だけど、今持っているものを大切にすることを蔑ろにしてしまうと、歯車はうまく回りません。
薫子と公隆の関係が、まさにそれを象徴していると思いました。
今あるものを大切にしながら、欲しいものを追い求めることのバランスをとることは本当に難しいと思います。きっと完璧にできている人はほとんどいないんじゃないでしょうか。
でもこのバランスをとることが、大切なんだとおもいました。
人間は追い求めることに重きをおきすぎて、今あるものを蔑ろにすることが多いと思いますが、今あるものに目を向けることの大切さを教えてくれる一冊でした。よき読書体験でした。 -
Posted by ブクログ
リストラされた垂水柊一郎は、妻の故郷である暮内町に移住し、漁師として働くが、ある日妻と義父が釣りに出たまま帰らぬ人になり…。
二人の死に疑念を持ちつつ、だが何もできないまま漁にに出かけたある夜、イルナムと名乗る北朝鮮人を助ける。
だが彼を助けたことで…。
彼の正体は…。
腐敗した港町で起きていた密漁、その後に失踪した漁協事務員…。
妻と義父の死の真相がわかったときには、この町の将来は嫌な方向へと向かっていたのだろう。
陰湿な家父長制が、日本社会に今も根強く残っていることに驚くのだが、漁協に町議会、県議会、そして政府と遡れるが、家長の決めたことは絶対なのか…と。
逆らう者は意図も容易く排除されることの怖さに今更ながら驚きを隠せなかった。
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Posted by ブクログ
面白かった!!
事件ものの記者視点で、事件解決でストーリーが終わらないところが普通のサスペンスと違うところだと思った。
一度挫折した記者として生きるみちるが、事件を追ううちに再び立ち上がっていく物語。
事件の加害者にも事情があり、もう1人のみちるのその後がしっかりと描かれているのも良かった。
舞台が九州ということもあり、作品のそこかしこで男尊女卑が出てくる。しかしこの物語は、一貫して男尊女卑を否定していると思う。
凄惨なシーンやむごい場面もあったものの、読む人に生きる力を与えてくれる話だと思った。同時に、DVや男尊女卑は決して許してはならないものだと思った。
続きはどうなるんだろう、とぐいぐい物語に引っ張り込まれた。総じて面白かったです! -
Posted by ブクログ
新宿で探偵やってる凜の元にヤクザに追われる女子高生が助けを求めてやってくる。また凜の幼馴染の刑事赤嶺は頭部のみが遺棄されていた連続猟奇殺人を捜査。無関係と思われた二つの事件が次第に交わっていく。
とてもおもしろかったです。令和の時代にこんなガチガチでこてこてのハードボイルドミステリが供給されるとは。作者さんすごくお若い方みたいですね。その年齢でこんな重厚感はなかなかにすごい。いろいろ好みじゃないところもあるかもしれないけど、ハードボイルドファンはジャンル消滅を避けるためにもこの方を大事に育てていってあげてほしいと思う。デビュー作でこれだけ書ける人はそうはいないんじゃないかと。
個人的な意見。ある程度人数絞ってフーダニットとかやる本格ミステリと違ってハードボイルドはどんどん話が展開していく過程で登場人物もどんどん増えていくから「主な登場人物一覧」があると読みやすいなーと。。
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