【感想・ネタバレ】いい子のあくびのレビュー

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Posted by ブクログ

普段の日常で、あえてわざわざ
言葉にしないような「ちいさな悪意」や
抱えることそのものを非難されるような
「ひっかかり」「モヤモヤ」を描くのが
抜群にうまいよなぁ、と感嘆した。

前を見てない人を、前を見ている側が
避けないといけない割に合わなさ。
結婚式という儀式の気持ち悪さ。
めちゃくちゃ共感しました。

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2024年05月06日

Posted by ブクログ

(いい子のあくび)
職場の上司に猫かぶりの態度をとったり、浮気をしている彼氏に気付いていない風を装い良い子を演じることは、余計なところに神経を遣うため割に合わないと感じるが、自分へのメリットも少しはあるだろう。
しかし、歩きスマホの人を避けることはどうだろうか。はなっから悪いのはスマホに夢中になり前を見ないで突き進んでくる側だろう。こちらはちゃんと前を見ているのに。とどのつまり、そんな人をこちらが避けて「あげる」のだ。
本来、避けるという行為を「してあげない」と向こうが自分にぶつかってしまい、自分は怪我をしてしまう。痛みを与えられてしまう。それらは全て余計なものだしデメリットでしかない。
他人の親切をあてにしているような奴のために、悪いことをしている者のために、なぜ正しいことをしている自分が わざわざ、自分が被害を受けないように気を遣い、体を動かして 、道を譲ってあげないといけないのか。
(P15 社会がどうとかではなく、わたしがわたしのために正しいことをした)

歩きスマホ大反対派の自分には共感しか無かった。
どこかのレビューでは、この主人公の内面描写が腹黒く、いかにも女性らしくて男性には理解できないと書かれてあったが、そんなことはないと思う。
自分は男だが主人公の気持ちは分かる。
そして、わざわざ腕を怪我してまで歩きスマホの男とぶつかった時の心情も理解出来るように思う。

人が話しているときに、あくびをしたくなったら大きな口を開けてそのままあくびをする人は少数派だろう。誰しも他人からの評価を落としたくない。他人から写る自分はいい子でいたい。
だから口を閉じたままできるだけ動きを少なくしてあくびを噛み殺すようにしてやり過ごす。
主人公は自分以外の人たちにいい子のあくびをするのが染み付いているような人物だ。
しかし彼との結婚が現実味を帯びてくると、いい子の自分の中にいい子ではない部分があることへの葛藤が始まる。(P72 あんな自分は大地にぜったいに見せられないのに、これから死ぬまで一緒にいる約束をするのか、おかしくなって、少し笑う。)
演技として故意的にするのではなく、あくまでも自然に。内心相手への罵詈雑言が炸裂していようが決して口から態度からは漏れ出すことはなく。
ただ、歩きスマホに対しては別だ。

「割に合わない」

口癖のように出てくる表現が彼女の理由だ。
(P121 わたしが悪かったって認めたら、それはわたしが割に合わないことを受け入れて生きていなきゃいけないってことになる。)

P116
「前を向いてまっすぐ歩く人だけが、よけていくべきなんだろうか。見えている人、わかっている人がそうしなきゃいけないんだろうか」

この問いを全ての歩きスマホ連中に投げかけてやりたい。


「お供え」は職場での土産、
「末永い幸せ」は結婚式 がテーマになっている。
出てくる人たちの思想がズレていて、それがアクセントになっており楽しく読み進められた。
結婚式は、芸能人の誰かも言っていたが
放っておいても十分幸せな人たちを、、お金を払ってなぜわざわざ祝わないといけないのか。疑問。と。
これには賛成。結婚式はしたことないけど、自らのケジメもあるが、他人に自分たちの素敵な姿を見せる という意味合いが強いように思える。

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2024年05月05日

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高瀬隼子さんはなんて女性特有の、すごくすごく微細な、いけず心や生きづらさを切り取るのが上手なのだろうか。読んでいて、痛い。心当たりがありすぎて、痛いんだ。ぶつかっても平気な顔してる男性にぶつかったる!と思ったことも、防犯目的で自室に入る前に後ろを振り向く自分になんでやねん!と思ったことも、数多くあるのだ。自覚したけど言語化できないモヤモヤが彼女によって明らかにされていく過程は痛い。でも、たくさんの人に読まれて、男性中心の世界よ、早くなくなれ。

関係ないけど、Xでバズった精子を勤務先女性の私物に混入させた男性、早く捕まれ!

p.13 駅や街中で人にぶつかられることがあると話した時、大地は肩じられないという顔をして、実際に疑っているような声色で「おれ、ぶつかられたことないよ」と言った。何言っているんだろうこの人、と思った。大地は中学から大学卒業までバレーボールをしていたという。百八十センチ以上ある身長、腕にも足にも筋肉がそれと見て分かるようについている体。そんなものに誰もぶつかりに行くわけがない。と、そこまで考えて、なんだわたしゃっぱりこいつならいいやって選別されてぶつかられてたんだな、と今更のように気付いたのだった。分かっていたけど、分かっていないことにしていたような。それで、わたしもよけるのを止めにした。よけない人のぶんをよけないことにした。
そう決めた日、大地のマンションからの帰り道で、初めて人にぶつかった。それはやっぱり駅でのことだった。東京では、駅に近づけば近づくほど人が人に憎しみを持ち、怪我をさせても不快にさせてもいい、むしろそうしたい、と思うようになる不思議がある。同じ人混みでも、混雑した店の中や祭り会場とは違う。駅の人混みだけが、人の悪意を表出させる。強制させられているからかもしれない。みんな、どこにも行きたくないのに、どこかに行かされている。
日曜の夕方だった。平日の通勤時間帯と比べると人は少ない。電車のホームを歩く。前からスマートフォンに視線を落としたまま歩いてくる男がいた。まだずいぶん離れているところで一度ちらりと前を見て、すぐまた手元に視線を戻した。ちらりと見た一瞬で、わたしの存在に気付いたはずなのに、その後はもう俯いたまままっすぐに突き進んできた。
「おれ、ぶつかられたことないよ」という大地のことばを思い出した。ここに立っているのが大地だったら、あの男の人は視線をあげて歩くだろうと思った。壁みたいに大きな体の男が前にいたら、すれ違うまでは前を見るんだろうと。
ぶつかったる。

p.56 ぶつかりそうだったからよけただけだった。けれど、よけてしまった瞬間に、やっぱりわたしは偽物だと思った。いつもいつも同じことができるわけじゃない。
いつも同じルールで、同じ物差しを持って世界と対峙できる人になりたいけどなれない。
明日、と頭の中でスケジュールを思い浮かべる。明日は、圭さんと会う約束がある。圭さんには絶対、ぶつかったとか著察とかそんな話はできない。出会った場所が研修会で、会社用の顔をしていたせいもあって、圭さんの前でわたしは特別にいい子だ。

p.93 わたしが男だったら。体が大きくて顔もこわい造りの男だったら、こんなふうに背後を気にしながら自分の部屋に帰るなんて経験一生することないんだろう。
大地と二人で街を歩く時は、こういうことはない。ぶつかられない。自分が人にぶつかりそうになることもない。バリアーがはられている。体の大きな男の人だけに生まれつき付いているバリアー。彼らは、人が人とぶつかったら痛いんだってことを知っているんだろうか。

p.137 『お供え』

かわいい子だと思った。にこにこしているし、挨拶も元気がいいし、仕事をがんばって覚えようという姿勢があった。教育係になったわたしのことを、無条件に用して尊敬しかけているようにも見えた。それで、突き放してみたら、謙虚な新人らしさを徐々に溶かして、軽口をたたく友だちみたいな関係の後輩になった。適応しているんじゃないよ、低姿勢でいろよ、と憎らしくなった。ほんのすとしの憎らしさだった。それがたった三年で、どうしてこんなに大きくなったのか。話し方ひとつ、歩き方ひとつ、全部にいらいらするのに、いくらでも仲良くできた。ランチ行こうよ、今日飲みに行こうよ、と自分から誘ってしまう度、最近全然声をかけてこないBさんも、こんな気持ちだったんだろうかと思った。中学で仲がよかった子も、高校で仲がよかった子も。

連絡が途絶えたあの人たちに、わたしからも連絡しないことで、なんとか保っているのだ。捨て合っていることにしているのだ。

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2024年04月30日

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ネタバレ

割に合わないことばかり。ほんと、なんで私ばっかり道譲ってんだろう?って思うことばかり。なんで私ばっかり残業してるんだろう?なんで私ばっかり仕事押し付けられてるんだろう?私は仕事こなすの遅いから仕方ないかな、とちょっぴり思うけど、やっぱりそもそもの原因は違うところにあるんじゃない?とか。
私も八方美人で、いい顔しながら悪態つく人なので笑、共感しかなかったです。そんなに◯ねとは言ってない…はず。

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2024年04月28日

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ネタバレ

共感の塊すぎる。先生の前でも、親の前でも、友達の前でも、先輩の前でも、バイト先の上司の前でも、たとえ誰かに見られていなくても、「いい子」なんだから、駅で人にぶつかるくらい許せよって思っちゃう。歩きスマホしてる人なんて言語道断。自分のために「いい子」になってるくせに、そのイライラは他人にぶつけちゃう。それが自分を助けてくれる時もあれば、苦しめる時もある。
相手の気持ち考えずに人の話聞くのは無理ってのもほんとに共感。聞いてる時は「あ、今この質問したら話途切れずに相手の機嫌取れるな」とか「今ここで目線逸らしたら相手気分悪くなるだろうな」、「よし、笑うなら今このタイミングだ!」って考えながら人の話聞いてるの自分だけ?笑 だから望海の前での「直子」は「望海専用の直子」で、圭さんの前での「直子」は「圭さん専用の直子」だなって思ったし、なんかそんな自分が言語化できて嬉しい。自分もあるグループでは優等生、あるグループではちょっと抜けてる天然、あるグループの前ではいい子ぶってる実際は口の悪い子。その時は演じてる気はしないけど、1人になるとふと思い出して鼻で笑う時もあれば、やんなきゃ良かったとか思う時もある。とにかく共感しすぎて「あれ、私、直子だったっけ…?」ってなった笑
これたまに読み返したい。「いい子」でいる自分へのご褒美みたいな感じで。
これ読んだことは友達とか家族とかには絶対内緒。じゃないと今まで私が積み上げてきた19年間の「いい子」が崩れちゃうから。絶対教えてやんない。

捻くれた自分を正当化したいわけじゃないけど、
この本めっちゃ寄り添ってくれる。

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2024年04月24日

Posted by ブクログ

ネタバレ

高瀬隼子さんの作品は本当に面白い。そして一番共感できる。
作品に出てくる主人公と自分がとてもよく重なる。とくに良い子のあくびには読んでてその考え方と感情にずっと共感してた。歩きスマホとかわかる、私もたまに絶対に避けるもんかって思うことある。ムカつくよね、あいつら。
けど主人公は世界に対して、他人に対して私以上に辛辣で穿った見方をして斜に構えて諦めてクサクサしてる感じに私はまだマシと思わせてくれて、でもこんなこと思うのやっぱすごい似てるって思う。頭の中でたくさん考えてる感じとか頭の中ではすごい口悪いのとか自分がこんなに考えてるから他人も同じくらい考えてるみたいなことにも気づかせてくれる。いつも頭の中で何かしら考えていたり話しているのは自分ぐらいでなんでこんなズブズブとドロドロしたこと考えてるんだろうと思うことがあるから似たような感情や思いをもってる女性がいることに(物語の中であれ)救われる。この本に共感する女性が多くいますように、と思う。
自分が日常的に外に対し明るい人間だから本で暗い感情をよく噛んで味わえることが心地よい。自分の根が明るいのか暗いのかなんてそれもどっちが本当の私かわからないけど。作品でも出てくる言葉、「心がふたつあるんじゃないかと思う」本当に思う。私は人によって自分が違くて、だから私は何人もいる。ある物事に対して本当に心から素敵だと思う一方で本当に心から気持ち悪いと思う、なんてことはたくさんある。

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2024年04月13日

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いい子であることの割の合わなさってあるよなあ。この裏の感情は私だけじゃないんだと思わされる。よほどの聖人でない限り、必ず共感できるところがあると思う。特に女性。

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2024年03月09日

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すごく刺さる。みんな色んな顔があったり、特定の人には見せられない顔があったり、本当の自分の顔が分からなくなったりする。
歩きスマホを避けてあげても気付かれもされず当然かのように通り過ぎる人にムッとすることがある。まっすぐ歩けるのは私が避けてあげたからなのに。

やばい女、共感できない、という感想もあるけど私はすごく共感してしまった。
心が荒んだ時に、自分の性格が特別悪い訳じゃないんだって安心するために読み直したい。

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2024年03月08日

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人の本音は面白い!
創作物の中でだけ、人は本音を語ることができます。SNSにあるのは、他人にどう見られるかを考えて書く余所行きの本音です。

いい子でいたい。いい子に見られたい。だから、人に知られずにいい子でいた時に、打算なく良いことができたと満足する。自発的に良いことをしても特に報われる訳ではないところに面白さを感じます。

常に許されたいと思いながら、他人のことは絶対に許さない。日常の、ともすれば理不尽なほどの些細な不満や不快感を簡単に閻魔帳につけていく。でも、恋人の浮気という本当に辛いことは手帳に書くことができない。書こうとも思わない。

世間との絶望的なズレと、それを許して欲しいという欲求。これがこの本に通底する感覚です。

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2024年02月29日

Posted by ブクログ

どうしても「いい子」が求められる世の中。
自分も知らない間に避ける側の人間になっているなあと実感。バランスは難しいけれど、優しくありたい。

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2024年02月28日

Posted by ブクログ

衝撃的だった本編が唐突に終わり、続きが読みたかった反抗心と、続きなんかないよこの人には…という脱力感でしばらくその後のページがめくれなかった。
短いお話が2つあったけど、そちらもかなりスパイシーで味わい深い。特に結婚式の話。
本編「いい子のあくび」は終盤ドキドキが止まらなくて、息を詰めて読み終えてしまった。自分の嫌なところと重なって胃が重たい。忘れた頃にまた読み返してダメージ受けたい。

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2024年05月07日

Posted by ブクログ

前の人が歩きタバコをしていたとき、自分は息を止めたり、距離をとったりする。それは自分のためにすることだけれど、間違ったことをしているのはあなたで、なんでこっちが無駄な行動をしなくちゃいけないのかとイライラしたことを思い出した。
でもそんなの美味しいおやつを食べれば忘れちゃうから直子のように死ぬまで忘れないのは信じられないし、生きづらそう。

直子はなにも間違っていないしすごく共感できるけど、面倒を避け、心地よく生きるには自分が我慢をしなくちゃいけないのかなと思った。
その気を遣う行動も思いやりのひとつなのかな。

末永い幸せでは奏が何度も偽チャペルと言う度に心が苦しくなった。

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2024年04月25日

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毒気が強いなと思ったけどわたしも主人公と同じくらいの年齢で、舐められてるなと思ってもやもやする時ある。この主人公は怒りが薄まらないように手帳に書き留めといたりするのが自分とは違うとこだなと思った。

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2024年04月18日

Posted by ブクログ

3編とも複数の顔を持つ人の話

表題作のいい子のあくびは、読み進めていくにつれて主人公にまつわる世界が広がって明らかになっていくから飽きない。

内容、共感できるなぁ…
自分も、私だけ損じゃない?って思うこと多々ある。
それで褒められても、いやいやじゃあお前も考えてやれよ、みたいな気持ちになるのよね。(頭の中って言葉遣い悪いところも共感
まぁそれでも、自分の機嫌は自分で取るべきだよな。


"ひどいことをしていたって同時に優しくすることもできる"
ってなんか悲しいけど真理で好き

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2024年04月11日

Posted by ブクログ

やっぱり誰だってこんな感じの負の感情って、あるよな
人間の嫌な部分をこっそりと覗かせてもらったかんじ。

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2024年04月10日

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まずは出だしが。「ぶつかったる」である。大笑
高瀬節炸裂!歩きスマホを許さないぞ。何故みんな避けてあげるのだろうか?何故こちらが避けなければいけないのか。という、確かに!と思う出だしで始まる。シンプルな疑問だけれど、あまり深く突き詰めたことのない、ハッとする問題定義。独特の着眼点で、描かれている作品

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2024年04月09日

Posted by ブクログ

このテーマを文学でよくぞ扱ってくれた、と思いました!

スマホ見ながら歩いている人、結構いますよね。
通勤ラッシュの時でもスマホ見ながら歩いているのを見ると軽く殺意が沸いてきますね。笑
そういう人が向こうから歩いてきたら、「しゃーねーな」って避けますが。
避けるけど!
避けるけど、なんか損した気分になりませんか?
明らかによろしくないことをしている人間に対して、気を遣っている自分。
なんか、損してる……。
そう思ってしまうんですよね。
明らかにマナー違反している人から発せられる「自分のことを避けてくれるのが当たり前」っていうドヤな感情と無言の圧力がそう感じさせている気がします。
とは言え、この本の主人公のようにわざと避けないって事ができるわけでもなく。(そんな勇気ない)

自分ばっかり何で(他人に気を遣わないといけないの)?!って気持ちが溜まっても、一線を越えず踏みとどまっていられるのは、社会の目があるからなのだと思います。
(社会の目=抑止力、とはよく言ったものです。)

”わたし個人はね、カメラにうつっているものよりも、人の目が見たものを信じますよ。映像は証拠になるが確実じゃない。動かない事実でも、真実ではない。そう思ってます。”(抜粋)

世間はこういう感じだよねぇ。

あまのじゃくな私は、「何で自分ばっかり」が溜まって怒りが収まらない時、このように考えて自分を納得させています。
自分が避けてあげた人達は、別の場所で痛い目に遭っているに違いない、と。
(空想するのは誰にも迷惑かけていないからね!笑)

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2024年03月10日

Posted by ブクログ


ながらスマホ
鍵谷正造のフィギュア
結婚式への偏見

本編で描いている女性の心情や性格は著者の性格なのではと思えるほど繊細に描かれている。
若林や山里が発言しそうなネガティブ思考?偏見が飛び交ってる。
見てて気持ちいい。すらすら読める。

考え方が普通じゃない女の人の話。笑

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2024年03月06日

Posted by ブクログ

周りから見ると「いい子」に見える主人公。
学生のころからつまらない校長先生の話でもあくびを噛み殺して、うなずきながら話を聞くような子。たまにいいことをするけど、それは絶対に人には見られたくない。 そんな主人公の心の中の毒のある思考やたまに出る他者への消極的攻撃性のある行動。(歩きスマホの人を避けないなど)主人公の考えを描くときは短文でスパスパ進み、本当に思考が流れている感じ。思考自体にはたしかにわかるなあと思える部分も多く(歩きスマホしているあいつが悪いのに、なぜこちらが避けないといけないの?世間体があるから結婚するんでしょ?)見せる相手によって見せている顔が違って、時々いいことをしちゃうのも、悪いことをしちゃうのも全部自分で、家でも猫を被って、どれが本当の自分かわからないけど、どれも本当の自分で。人のモヤモヤ黒い部分をとても上手に描いていて、よかった。

表題作以外に短編が2つ。
「お供え」「末永い幸せ」どちらも人の黒い部分を一人称視点で描くのがとても上手いと感じた。

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2024年02月25日

Posted by ブクログ

心の中のトゲトゲした感情を代弁してくれるような毒のある嫌〜な言葉たちに、共感したくないのに、共感せずにはいられなかった。
共感したくないと感じていたのは、私の中にもいるであろう"いい子"の私。

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2024年02月24日

Posted by ブクログ

高瀬隼子さんの小説は、やっぱり私の好みではないんだが、グサグサ刺さるような、人間の嫌な部分とか共感できるような細かい描写にとても感心する....
"いい子のあくび"、うっわー...私の事や。笑
(スマホ見ながら歩いてる人にぶつかる勇気はないけどw)
ほんまに人によってキャラ変わるし、いい子の振りしたり、そのくせボロカスに思ったり、どれが本当の自分なんだろう....?全部ひっくるめて私なんだろうか?共感しかない主人公。

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2024年05月11日

Posted by ブクログ

人は同じ事柄でも、一緒にいる人によって自分の発言が変わったりする。でも、どの発言もこれは自分の表、裏と定義づけられるわけではないのかもとぐるぐる考えている主人公。
性格の表と裏ってよく言うけど、本当の性格ってなんなんだろう?

痛みを感じるほどのスピードで表情を作って生き、また周りの様子を伺い、自分が犠牲になっているのにも関わらず、割に合わないのはなぜ?という主人公のもやもやが可視化されていた。
なんだろ、主人公の感情重視で動いてはすぐ反省して、また感情で動いて…というけっこう読んでいて疲れる文章、でも人の感情って起伏が激しい物だし、主人公の内の話だから、疲れたってことはその分ストーリーとして表現されていたってことなんだろうか。

本の題名的にぬるっとなまあたたかい感じがするけれど、そこはギャップ、そういうことねってなりました。

主人公は相手の理想の自分を演じるために常に考え動いている。ある意味、心優しい人だと思ったけれど、もっと解放できたら楽になるだろうな、多分本人もわかっているけど、その呪縛から解き放たれないジレンマ…もどかしい。

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2024年05月11日

Posted by ブクログ

帯の「ぶつかったる」の怒り。前を向いていない人間のために割を食うのは真面目な人間。その怒りは分かりやすく非常に良い。

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2024年05月09日

Posted by ブクログ

なんだか面倒くさい本だなと思いながら読み進めていた。
これが女性の話と一括りにしないでほしいなとは思う。


自分がいい子と思われたいから、いろいろ我慢しまくって「善行」をしている主人公。だからこその、我慢せずによくない行動をする人への嫌悪、憎悪。

でもうらやましさもあるのか?
ちよっとは「いい子」をやめればいいのに、

と思って読んでいたら、、

「いい子」をやめられないのは、ちゃんと理由があった。

大人がいけないな。

言葉を尽くして語り合ってほしかったなと思う。
これも、偽善か。

最後はどきどきした。

自分が完璧じゃなくて、過ちを犯した経験があると他人の間違いにも寛容になれる。

それか生き延びる術であったとはいえ、完璧いい子を演じているとしんどい。


2話目の「お供え」は怖すぎた。それはないよー。人間不信になるわー

なかなか3話目も毒気が強くて疲れた。
そこまで考えすぎるのは疲れる。
単純におめでとーで良しとしたい。

とりあえず高瀬さん本は一回休憩。
すごい作家さんだとは思う。

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2024年05月08日

Posted by ブクログ

⚫︎感想
いい子(気がついてしまう子)が割を食うのが許せないという部分は「おいしいご飯が食べられますように」と通じるところがあり、著者のテーマなのだろう。また、いい心も悪い心もそれぞればらばらで、でも全部が本当で、かき集めて一つにしたみたいだという表現が心に残った。

心は、どうしてこんなにばらばらなんだろう。ばらばらで、全部が全部本当であるために、引き裂かれるというよりは、元々ばらばらだったものを集めてきて、心のかたちに並べたみたいだった。

人の心はその日のコンディションでまるで別人のようになったりする。いい人であったり悪い人であったりする居心地の悪さ、不安定さをどうしてもかかえて生きていくしかなく、みんな、似たようなものだろうし、いちいち幻滅するのも違うのならば、いい人であるときも、ことさら評価すべきでもないのかなと考える。

しかし一方で、このように中間をつねに取って、他人にも自分にも冷静な態度でいると、歪みがきたり、また、どっちにも振れないために、人としての魅力が減ってしまうのかなぁとも思う。




⚫︎あらすじ(本概要より転載)

第74回芸術選奨文部科学大臣新人賞受賞

芥川賞受賞第一作。
公私共にわたしは「いい子」。人よりもすこし先に気づくタイプ。わざとやってるんじゃなくて、いいことも、にこにこしちゃうのも、しちゃうから、しちゃうだけ。でも、歩きスマホをしてぶつかってくる人をよけてあげ続けるのは、なぜいつもわたしだけ?「割りに合わなさ」を訴える女性を描いた表題作(「いい子のあくび」)。

郷里の友人が結婚することになったので式に出て欲しいという。祝福したい気持ちは本当だけど、わたしは結婚式が嫌いだ。バージンロードを父親の腕に手を添えて歩き、その先に待つ新郎に引き渡される新婦の姿を見て「物」みたいだと思ったから。「じんしんばいばい」と感じたから。友人には欠席の真意を伝えられずにいて……結婚の形式、幸せとは何かを問う(「末永い幸せ」)ほか、社会に適応しつつも、常に違和感を抱えて生きる人たちへ贈る全3話。

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2024年04月04日

Posted by ブクログ

 この作品もまた、なんとも言えない不穏な感じがする作品です。この前に読んだ3作品と比べると、個人的には物足りないような感じがしちゃいましたね…。3編の短編が収められています。

 「いい子のあくび」いつもいい子を装う主人公直子、日々の生活のなかでいい子でいることに疑問を感じる中、事件が起きる…。
 「お供え」主人公はある会社に勤めるわたし。その会社で創業記念に作られたフィギュアにお供えをし願いごとをすることが流行り…。
 「末長い幸せ」:35歳の奏が主人公。友達の結婚式に誘われるが、奏は結婚式にいいイメージがなく欠席すると伝えるが、それでもお祝いしたい気持ちがあった奏がとった行動とは…。

 高瀬隼子さんの作品を続け読みしていたんですが…読みやすくってどんどん読めたんですが、何かと忙しくってレビューが落ち着いてできませんでした。でも、そんな時でもやっぱり読書をしたい欲だけは抑えられませんね(笑)。

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2024年03月27日

Posted by ブクログ

高瀬さんの作品を初めて読ませていただきました。

普段、人に見せないように心の奥に秘めてる悪意や毒がなんとも言えないほど表現されているなと思いました。

読みながら「こんな気持ち感じたことあったかも」って共感する部分もありましたが、なんというかどのお話もすっきりとしたものではなく、終始心がザワザワしました。

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2024年03月24日

Posted by ブクログ

最終的にこの小説で何を言いたかったのかは凄くよく分かるし共感も出来る..。
気が付いてしまう人がそうじゃない人の先回りをして、何か動かなきゃいけないの?
分かってる人が、そうしてあげないといけないの?
だったらもっともっと鈍感でよかった
何にも気にしないで見たままだけを感じられる人でよかった、
割に合わない、
そう言う気持ちって生きてれば本当沢山ある。。
特に会社ではそれの連続だったな..
ただ平和に生きたいから笑ってるだけなのに
舐められる
私だから、当たられる
だったらヘラヘラしなきゃいいのは分かってるんだけど、
「「それができないんだよ。わざとやってるんじゃなくて、いいことも、にこにこしちゃうのも、しちゃうから、しちゃうだけなの。」

搾取され続けるだけの人生なんて嫌だー!!
って思ったから私は動いたのだ。

でも、私は、スマホを見て歩く人に、わざと「ぶつかったる!」と思う程までには陰鬱な顔して生きてはないと思う。正直な所。
ただ、ところどころグサっと刺さる言葉はございました。

個人的には、『おいしいごはんが食べられますように』の方が好みのストーリーだった。
でもムカつく、を小説にしたい!って言う強い意志を持つ高瀬さんには共感。

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2024年03月11日

Posted by ブクログ

この主人公は自分の気持どおりではなく、周りと摩擦を起こさない発言と態度を貫く。
こういう人は昔からいた。でも現代ではそうする人が増えていると感じる。
現代はいかに人と摩擦を起こさないかが重大事であるから、社会の仕組みや文明の利器があるからではないかと思う。

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2024年03月08日

Posted by ブクログ

友達にヤバい女の本と勧められて読んでみた。すらすら読めるからすごい読みやすかった。共感できるところはほとんどないけどこういう思考の人ももしかしたらいるのかもって思う。

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2024年03月06日

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