【感想・ネタバレ】詩集 美しいときのレビュー

あらすじ

あなたといるとき
わたしは
自分のことを
忘れていられる

懸命に
生きようとさえしないまま
今だけをじっと
味わっている

しあわせか
どうかも 考えず
ただ 今
このときだけは
美しいと 感じている

――美しいとき



悲しみとは 何かを愛した証し

悲しみ、祈り、愛すること。
暗闇で手探りするように、一語一語、つむがれた言葉の捧げ物。

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Posted by ブクログ

研ぎ澄まされた、清らかな言葉を紡ぐ方だなぁと感じました。
短い意味の連なりで、人生のかなしさと美しさが深く語られています。

悩んで、立ち止まったときにふと読み返したくなる大切な本です。

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2025年08月14日

Posted by ブクログ

はっとさせられる言葉の数々。

誰かのまねをしたり
誰かをうらやんだり妬んだり

生きていればそういう感情を避けられない。

でも自分にしか生きられない毎日を重ねて、
今という瞬間を感じたい。

単純で素朴なことほど難しく
すぐに忘れてしまう。

心の奥底で確信をもちたかったことが
美しい文章で綴られている。


現代は色々な情報に振り回され心を無くし
雑多な日々を過ごしがち。

少し立ち止まってこの本を読んだら
本当に大切な感覚を取り戻すことができる。

一気に読み終えて
心地よい透明感に包まれた。

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2025年08月07日

Posted by ブクログ

詩を読んで泣くという初めての経験をした。
言葉について書かれている。それは自分に贈る言葉であったり、相手に贈る言葉であったり、魂の叫びのような言葉であったり…

今まで飼ってきた魚たちのことを思い浮かべて何度も読んだ。私の声、私の祈りはあの子たちに届いていたのだろうか。そして、今いる大切な人や生きものたちに私は幸せの祈りは届いているのだろうか。
たくさん言葉にしたい。詩を書いて自分の心のことをたしかめたい。美しい言葉を求めた旅に出かけたい。

特に好きだった、印象的だった詩は
・たましいの世話Ⅱ
・彷徨う
・時にふれる
・誰の目にも見えないところで
・自分の考え
・素樸な言葉
・亡き人
・言葉の不思議

本当にどの詩もとても良くてこの一冊は一生手元に置いて何度も読み返したくなる詩集だと思った。

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2025年08月03日

Posted by ブクログ

詩が纏う別れや死の匂いが、自分の中の悲しい記憶を引き出し、その詩に結びつけてきた。詩人の青く熱い魂を感じた。「言葉を編む」という表現がとてもしっくりきた。

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2025年04月13日

Posted by ブクログ

多くの人と話をしたから
あなたに出会ったのではなかった

あなたも探していてくれたから
やっとめぐりあったのだ

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2024年11月19日

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なんども読み返しています。時々は朝、ひとり部屋の中で声に出して読んだりもします。大切な人に自分の言葉で綴った詩を贈りたくなります。まだ書いたことはありませんが、、そう思わせてくれるとても大切な詩集です。

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2024年02月27日

Posted by ブクログ

若松さんの詩を読んでいると、二度と会うことは叶わない相手を思い出す。忙しい日常で、記憶の奥底に沈んだままだった存在(人であれ動植物であれ)がふっと浮上する。自分の言葉を紡ぐには、内側と対話する必要があると思う。そして自分の内側と対話することは、なにも自分のことばかりでなく、大切な何かを思い出して確かに存在したことを証明することでもあるんだろうな、ということに意識が向いた。

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2022年08月11日

Posted by ブクログ


初めて自分で買った詩集。偶然の出会いだったのですが、言葉がスッと入ってきて自然と手にとっていました。

深みがあるのに選ばれている言葉はそう難しくなくって、読みやすかったです。

気持ちが落ち着いたり、大切な相手に対する感情を見つめ直せたり、穏やかに心揺さぶられる作品でした。

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2022年07月20日

Posted by ブクログ

詩というのは透明な手紙。その言葉でもってしか伝えられない思い。何千年も昔から変わらない普遍的なことのように思えた。
さほど遠くないうちに、いつかは土に還ってゆくのだから、いっそ消えてしまいたいほどの苦しみも、有限な時のなかで、得難き美しいときだと思えたら。

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2022年02月19日

Posted by ブクログ

綺麗な言葉が綴られていた。

大切なものが側にいなくなった時、

心を慰めてくれる優しい詩。

『悲しみは、何かを愛した、証だからである』

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2022年02月11日

Posted by ブクログ

「たとえどんなに
大きな成果が
約束されているとしても
数の世界に
いのちを明け渡してはならない
そこでは誰かがいつも
おまえと誰かを比較する
人間の価値を量化する」

人生において大切にしたい言葉がまた増えた

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2022年02月04日

Posted by ブクログ

この詩集、読んでいて、あまりに愛しくて涙が出ました。
詩集で泣いたのは初めてかもしれません。

前作、『たましいの世話』のレビューにも書きましたが、若松英輔さんの詩には共感があります。
私もそう思うけれど、私にはとてもことばにできないことを見事に簡単なことばだけで美しい詩として表現してくれています。

日本で一番有名な詩人の谷川俊太郎さんがもし同じクラスの生徒だったとしたら、吹奏楽部で楽器を演奏しているかんじがします。
もう一人大好きな詩人、長田弘さんは美術部で美しい色彩に満ち溢れた絵を描いているような気がします。
そして、若松英輔さんですが、園芸部で植物に水やりをしたり、土に栄養をやったりしているそんなイメージの少年像を書かれた詩からかんじました。

この詩集から二編の詩を紹介させてください。


「祈願」
多くの人と
知り合うより
出会うべき
ひとりの人に
めぐりあえますように

たくさんの
ではなく
ほんとうに
なくてはならないものを
愛しめますように

大きなことを
成し遂げるよりも
なすべき 何かに
わが身を賭すことが
できますように

きらびやかな
文章ではなく
人生の一語を
自分の手で
つむぎだせますように

わたし自身よりも
わたしに
近いところにいる
見えないあなたに
届きますように


「高貴な悲しみ」
愛することは
悲しみを育むこと
いつか訪れる別離を
無言の
涙のうちに
迎え入れること

悲しむとは
愛を
深めること

悲しみの奥に
愛しみを
見出すこと

生きるとは
愛がなければ
悲しみすらないという
厳粛な事実を
全身で
受けとめること

悲しみに
耐えている者は
それだけで誇り高い

悲しみとは
何かを愛した
証しだからである



「一冊の本」「かなしい小説」「無音の宮殿」もよかったです。

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2022年01月27日

Posted by ブクログ

タイトルに相応しい美しい言葉で紡がれた詩集だった。表題作が中盤と後半に二篇収められていて、一言一句同じ内容なのに響いたのはIIの方の詩で、あとがきを読んでから腑に落ちた。”詩集を読むとは個々の作品だけではなく、流れのなかで、意味という見えないコトバを感じる営みなのではないかと思うのである。”に全く同意する。


美しいとき II

あなたといるとき
わたしは
自分のことを
忘れていられる

自分らしくあろうとすることや
うまくいかないことも
明日や未来や
不安や不満も
忘れている

懸命に
生きようとさえしないまま
今だけをじっと味わっている

しあわせか
どうかも 考えず
ただ 今
このときだけは
美しいと 感じている

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2024年12月23日

Posted by ブクログ

ネタバレ

素朴な言葉
「ほんとうに わたしを なぐさめてくれる ことば」
みつけられるといいな。
若い人たちへ
「分かることだけで、自分を塗りつぶして、何かをわかったように思いこんではいけない」
わからないこともある、それが世の中なんだな。

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2023年09月23日

Posted by ブクログ

心の安らぐ優しい言葉、こんな安直な言葉しか言えないが
出血するような詩集が数多ある中、当該詩人の作品には一服の清涼感のようなものを感じた。

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2023年06月23日

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