小説・文芸の高評価レビュー
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購入本。瀬尾まいこさんの本は久しぶり。
読んでみた。
主人公の千鶴に感情移入できたので一気読み。自分も今体調不良で仕事を休んでいるから、より感情移入できた。田村さんの大雑把な優しさがいい。千鶴と田村さんのやりとりがユーモラスで面白かった。お互いあまり深くまで踏み込まない2人の距離感が、読んでいて心地よかった。
読んで良かった。癒されました。結構古い本だから時代を感じる描写はあるけど、あまり気にせず読めました。しんどい時にこういう良質な癒し本に出会えたことに感謝。
以下付箋貼った所(ネタバレ含みます)
P41 食事をすると、自分が生きていることがわかる。生きているのが良いのか悪いのかは別にして、魚や米や味噌、そういう確かなものを食べていると、ここでこうやって存在しているんだなあって感じる。
P80 そして、たった十日足らずでここの風景に馴染んでしまっている自分をもったいなく思った。大きな杉の木も楓の木も、一面すすきの原っぱも私はとても気に入ってる。だけど、もう私は驚かない。すごい風景を見ても、びっくりはしない。染まってしまうと楽だけど、つまんないなあと思った。
P91 それ以外のことやったら、いちいち歌わんでもええやん。どっちみち世の中ラブアンドピースやったらええんやろ。ラブアンドピース以外のことが聴きたかったら、吉幾三を聞けばええ。それ以外のことは幾三がみんな歌ってくれとるから。
P105 こうして見ていると、太陽は黄色でもオレンジでもなく、光そのものなんだということがわかる。深く広い海を照らすすごい威力の光の塊。じっと見ていると、すぐに目が眩む。
P113 「すごいやろ。ここには星も木も魚も、なんだって嫌ってほどある。数え切れないほど、すごいもんがある」
「本当にそうですね」
「それやのに、どうしてそれだけではやっていけへんのやろうなあ」
P132 自分の手で育てたものを自分の手で殺して自分で食べる。手にも目にも身体のすべてに鶏の命がしみこむ。それは、とてもありがたいことだと思った。
P161 大事なものはたくさんあったような気がするのに、今となっては全てが取るに足らないことに思えた。結局私が必死だった恋愛も仕事も日々の生活も少し離れてしまえば、すんなり手放せるものばかりだった。 -
Posted by ブクログ
数年前この本が話題に上がった時
気になりつつもスルー
ようやく手に取ってみたら…どハマり
最近の中で1番メモを取りながら読んだし、
とにかく色んな登場人物の語り口にいちいち共感!
ヨンジュは思ってた以上に過去に縛られてるし、
ミンジュンはその日暮らしから脱却しつつあるし、
ソンウは意外と諦め悪いし(いい意味で)、
ジミはやっと現実と向き合えたし、
とまあ他の人たちもこのヒュナム洞書店に通うことで
今までの人生を振り返ったり
新しい自分に向き合ったり
こんな場所があるって素敵過ぎる!
わたしも宝くじが当たったらこんなお店開きたいなあ
自分と向き合うのってしんどいしめんどくさいし
少しでも自分に優しくするためにも必要だけど
私はいま色んな本を読むことで
自分に向き合ってる気がする
今同じ仕事をして20年過ぎたけど
なんだか最近モヤモヤ
ゴールがない仕事だから
その時その時にベストを尽くしつつも先のことも
もちろん考えながら
でもその先のこともコロッと変わったり
これまでの計画も変えなきゃいけないとか
まあ仕事あるあるではあるけど
それをはい分かりましたと受け入れる訳にはいかないよね!!!
だってあーだこーだ言ったからこうなったのに
またこれなの?が続くとこっちのストレスも溜まるってもんよ!!
ふぅ興奮してしまった
またそんなことを仲間たちとあーだこーだ言いながら
いい方向へ進む方法を模索するんですけどね
最後に私のメモに翻訳者の牧野さんのことを
書いたんだけどめちゃくちゃ読みやすくて
でも韓国文化や話し口調とか韓国っぽい!!
表現の仕方とか?なんていえばいいかな
分かる人いる?
それがとても好みでした! -
Posted by ブクログ
解説を読み終える頃には、涙があふれていた。そして、唾をゴクリと飲み込んだ。唾を飲むことさえ忘れるくらい、心に深く響いた。
私が本を読み始めたきっかけは、人の気持ちがわかる人になりたいと思ったからだ。以前の私は、他人への関心が薄く、人のことを決めつけてしまう傾向があった。
でも、この本を読んで気づいた。本を読んだからといって、人の気持ちがわかるわけではない。他人の気持ちを完全に理解することなど、できないのかもしれない。
それでも、本を読むことで、さまざまな登場人物の人生を知ることができる。自分とは違う境遇や考え方に触れることで、現実の世界でも、自分以外の人に興味を持てるようになるのではないか。そして、相手の気持ちを理解しようとする人に、少しずつ変わっていけるのではないだろうか。
「本には力がある」。
そのことを、何度も教えてくれる一冊だった。
解説には、読書の三千メートル峰に挑んでほしいとある。
ぜひ、挑戦したい。まずは『神様のカルテ』から、一歩一歩進んでいこう。いつか『百年の孤独』を読み終えることができたら、最高だな。
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Posted by ブクログ
昔、自分は野洲川近くに住んでおり、家族でショッピングに行く時はバスで野洲川にかかる橋を渡ったものだ。ショッピングに行く日は天気が良い日だったからか、野洲川はいつもきらきら輝いていた。
この「娘」である主人公にしてみれば、野洲川は全く違った印象として心にあるのかもしれない。
小説と思って読みたいノンフィクションだった。実話だと思うとやり切れない。どうしてこの母親はこういう母親だったのか、主人公本人もおそらくこの先ずっと、完全に理解することは難しいだろう。やり場の無い、とか、虚しい、とか字面で並べても現実が重すぎて薄っぺらく感じる。
新たに罪を認め、犯情やその背景が詳らかになったことで刑が軽くなることがあるとは知らなかった。それがこの事件の性質を如実に表しているのだろう。
この主人公が誰かを救うことのできる未来が来ますように。 -
Posted by ブクログ
『育ての母』と『産みの母』
母が2人いる宙の、
優しく、暖かく、時に苦しく‥。
けど微笑みがふわっと溢れるようなお話。
まず最初に、やっちゃんが素敵すぎた。
美味しくて優しくてあたたかい料理でみんなのことを救って支えてくれる、やっちゃんはとてつもなくカッコいい。
こんな人が近くにいてくれたらきっと幸せだろうなあ。
やっぱりあたたかい料理って大事だと思った。
忙しくて適当にご飯を済ませたり、食べなかったりする人もいるだろうけれど、ゆっくり座って、あたたかくて美味しい料理をゆっくり食べる。
そして『美味しいね』って言い合う、そんな時間が人には必要なんだと心から思った。
そういう時間をこれからもっと大切にしていきたいと思った。
そして、『母親』の話。
『母親だと期待しない』という言葉になんだかしっくり来た。
私はきっと自分の中でのキラキラした母親像を勝手に頭の中に描いていたんだと思う。
そうじゃないと『母親らしくない』と私は勝手に思ってしまっていた。
確かに『家族』だと割り切ってしまえば肩の荷が降りたのかもしれないけど、そうやって割り切ることは完全にはできなくて‥。
この考えいいなって思う気持ちも半分あるけど、もう半分は『やっぱりもっと母親らしくいてほしかった』『もっと愛されたかった』という気持ちがどうしても頭から離れない。
宙もマリーもまだ小学生なのにこんなに大人のような考え、言葉が出てくるのは何でだろう?と少し最初はモヤモヤしていた。
しかし2人は色んなことを考えながら毎日生活していて。
だからこそ、皆より少し大人びているのかもと思ったけれど、それはそれでちょっと悲しくなった。
まだ大人にならなくていいのに。子どもらしくいていいのにって。
しっかりした子って、私もよく言われてたなあ。
おばあちゃんが私をスーパーに連れていってくれた時の話は今でも覚えている。
私に何かお菓子を買ってあげようとしたのに『何がいい?』と聞いても何も答えず。
『あれ買って!』『これ買って!』って言わないで欲しいものを全然選ばない子だったっておばあちゃんが言っていた。
もっと子供らしく欲しいって言って良かったのにって。
お風呂も小さい時から1人で入ってて可哀想だったと大人になってから聞かされた。
私のお母さんは6人の子ども(私は長女)を育ててたからそれどころじゃなかったんだろうし、当時の私は1人でお風呂に入って悲しいって思ってた記憶はあんまりない。
でも、なんでかわからないけど『死ぬってどうゆうことだろう』ってよく1人でお風呂入ってる時に思ってたのは鮮明に覚えている。
それで色々″死″について考えてたらなんかわけわからなくなって、どうなることかもわからないままボロボロ泣いて、そんな自分がおかしいってよく思ってたことがある。
そんな昔の自分のことを思い出すと悲しくなるなぁ。
子どもながらにやっぱりもっと構って欲しい、愛が欲しいと思っていたのかもしれない。
大人になった今でも思う。
記憶にないだけかもしれないけど、ぎゅーって抱きしめられた記憶ないなぁとか。
頭を撫でてもらったり、手を繋いだりしたのっていつが最後なんだろうなあって。
今になっても守ってくれるような言葉や行動もあまりないし、『母親ってなんだろう』って思っちゃう時がある。
でもこの『宙ごはん』を読んで、最初の方は『やっぱり母親は母親らしくしてないと子供が可哀想』って思ってたけど、後半になってくると『大人にも色々ある』『一緒に成長していけばいい』って思えるところも少しあった。
難しいけど、家族なんだし、寄り添いあうことも必要なのかなあ。
そんなことを色々と考えさせられる一冊でした。
宙や花野さんの周りには優しい人がいっぱいいて良かった。
2026.10.9(金) -
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自分が大学生だったころを思い出しました。
その時尊敬していた先輩は人間的に立派な人ではありませんでした。留年を重ね、破天荒で、女と金にだらしない。でもなぜか引力があって、輝いてみえたものです。私もこの人のように自由に生きたいと思っていました。
歳をとり、価値観が少しずつ変わっていき、私は人として成長しました。
言い換えれば常識やモラルに修正されつまらなくなりました。
でも久しぶりに会った先輩はそのままなんですよ。歳取って、おっさんの見た目なのに、言ってることもかわらない。
それを見た時の、羨望と軽蔑と自己嫌悪なんかがぐちゃぐちゃになった物悲しい感覚。本作を読んで鮮明に思い出しました。
難しい言葉を使わず、簡潔だけど、鮮明に浮かぶ情景があります。
会話劇のライトさに純文学の詩的なフレーズが挟まり、上手く間が取れていて独特の拍の音楽を聴いているみたいでした。
ふわりふわりとした話なんですが、時折ギュッと締めてくるような切ない感覚がなんともいえない。
独特な文体だと思います。
芥川龍之介への手紙というエッセイもめちゃくちゃ好きです。
純朴で優しい、でもどこか冷えている感じ。その温度差が心地よい小説でした。
デカ過ぎる金魚、小さ過ぎる鯉。 -
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ネタバレある意味人間らしい孤独な人物に光をあてつつ、そこにファンタジー要素を付け加えて、現実とファンタジーが折り合いながら、物語が展開されていく。
登場人物の全員に共通していることは、それぞれの人物にどこか陰があること。その陰影を巡り他者が憶測や欲望に則って人間ドラマが形成されていく。
そして、結末の読み方は二つあるようにおもう。
一つは、超現実的な力によっても、人間の性根は変わらないのだということ、
もう一つは、命を賭して用いた超現実的な力によって、連鎖している不幸が断ち切られたのだということ。
本筋は、前者の方であろう。ただ、明白に結論を書いていないことからすると、後者の読み方も不可能ではない。
読後感は、どうしても人の性根は変わらないと思ってしまうのだけれども。。。 -
Posted by ブクログ
ネタバレ素晴らしい作品でした。
「愛する男のために、人生を誤りたい。」
読み終えて、この言葉の意味がようやく分かった気がします。
もっと早くお互いに本音を打ち明け、話し合えていたら、違う未来があったのだろうか。
正直、櫂の浮気は許せないと思いました。それでも、毒親に苦しみ、さまざまなものを一人で背負い、もがき続けた櫂。何度も道を誤り、みっともない姿をさらしながらも、ずっと暁海を想い続けていた。そんな不器用で、弱くて、どうしようもなく人間臭いところが、とても良かったです。
物語の途中までは、二人のすれ違いがあまりにも苦しく、読み進めるのが辛いほどでした。
それでも、最後のページを閉じたとき、心から読んで良かったと思えました。
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