あらすじ
本屋大賞受賞作家が描く、戦国巨編!
「二〇一九年七月、取材を本格化。『村上海賊の娘』以降、遊んでいたわけではありません。この小説を書いていました。
この丹後一色氏最後の男の物語を。」 和田竜
「信長か。珍しゅうもない。ざらにいる男よ--。」
織田信長による天下布武の軍団が日本全土を侵略していくなか、その怪物は戦場にあらわれた。名を丹後の守護大名、一色義員(いっしき・よしかず)の嫡男・五郎(ごろう)と言った。
十七歳の青年は、父が倒された圧倒的不利な状況下で、凄惨な戦闘を繰り広げ、その場にいた全ての人間を恐怖に陥れる。
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和田先生の新作だァー!!!
本屋で思わず二度見してしまった。そういえば事前情報とか回ってこなかったな(笑)
時は戦国。丹後の国には、一色五郎という怪物が居た──。
戦国時代は戦国時代の倫理があり論理があるから、今を生きる私たちが一概に彼らを推し量ることはできないんだけど、それでも一色五郎は正しく怪物だねー。
齢17にして、人の上に立つ者の器というか。機転の利き方や判断力、カリスマ性。そのどれを取っても一流。
だからこそ家臣の一部は彼を誤解してしまうんだけどね。只人では”怪物”を理解することなどできないのだなぁ。
長岡忠興は逆に、”怪物”に焦がれる人としての立ち位置だよね。
忠興も忠興で優秀なんだけど、一色五郎や織田信長のように一線を越えることはできない。あくまで執着が強い”人”止まりなんだよなー。
まぁそれが良いか悪いかは下巻にて…。
戦国時代にそこまで詳しくないので、細川幽斎とかガラシャくらいしか知らなかったけど、織田信長や彼らの家族を取り巻く実情は一言で言い表せないほど複雑だね。
ただの勝利や敗北だけで語らない。虚構(フィクション)であっても実直に”人”を描こうとするのが、和田竜が一流たる所以かな。
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一色五郎が大変魅力的に描かれている反面、長岡忠興の執拗なまでの五郎に対する反抗心が絶妙な緊張感で話が進む。
上巻最後に本能寺の変が伝わるなかで、信長の後ろ盾により長岡家とのバランスを保っていた一色家の行く末が下巻へと導かれ、物語を読む興味を一層盛り上げている。
歴史上の人物を魅力的に描く手法が素晴らしい。
Posted by ブクログ
安土桃山時代、細川忠興と一色五郎の一生の関わりを描いた物語。
新聞連載小説。連載時欠かさず読んでいました。
一色五郎の豪胆さが痛快でカッコいい。とっても魅力的に描かれています。
会ってみたくなるような人間臭さが
すごく良く、作者の筆が載っているのもとても感じられます。
戦国物に興味ない人にも人間ドラマとして楽しめる作品なのは間違いないです。
著者の史料を調べ尽くすような執念の調査力にも感嘆。
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史実を踏まえて描かれる一色家の物語。乱世に生きる主人公の豪胆な姿が印象的で、強く心を引かれる。下巻ではさらに戦乱が深まりそうで、続きが待ち遠しい。
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感想
歴史書を基に忠実に書かれている印象。信長の野望では一色は全然強くないけど、丹後攻略は苦労したというからやっぱり強かったのかな。など思いながら読む。
一色五郎の豪胆さ、藤孝の丹後における微妙な立ち位置と光秀との微妙な関係が上手く書かれている。
あらすじ
信長から丹後攻略を命ぜられた長岡(細川)藤孝と忠興は、丹後守護として長く居座る一色氏と一戦交えることになる。
長岡軍は一色の先代を切腹に追いやるが、新しい当主の五郎にやられる。五郎は迫り来る長岡3千に対して六百ほどの兵で弓木城からうって出て迎え撃つ。戦は一色の勝利となるが、五郎は引き返す。その後、長岡は弓木城を攻めるが、落とせずに和議を申し入れる。
長岡は有利な条件で和議を申し入れるも、五郎はあっさり受け入れる。その後、丹後を一色と長岡で治めることになるが、長岡に逆らうものを一つずつ討っていく。忠興は五郎を倒すことに執念を燃やし、五郎が出てくるように挑発するも、五郎は応じない。
その後、信長は五郎を京の馬揃えに出るように要請し、五郎は信長を見るためにこれを受け入れる。藤孝は丹後での検知を信長に奏上し、許される。信長から五郎に検知の受け入れと藤孝の娘の伊佐を嫁として迎えることが提示され、五郎はこれを受け入れる。
五郎は武田討伐にも加わり、織田家中の一員として働いているように見えた。そんな折、本能寺の変が起きる。
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話題の作品。一色五郎って全然知らないのでとても面白い。長岡忠興、ちっちぇなあ~。でも、彼が歴史に名を残していることは知ってるわ。取り合えず本能寺までが上巻
Posted by ブクログ
史実を元に織田信長が生きた時代を一色五郎を中心に描く。
日本史をよくわかっていない私でも作品の中で和田竜が説明してくれる史実とまるでその場に和田竜が居たんじゃないかと思うような臨場感溢れるやり取りに引き込まれた。
一色五郎はどんな人なのか、それが少しずつ明らかになっていく。
下巻も楽しみ!
Posted by ブクログ
上巻終わりから雲行きが怪しくなっていく展開。誰を主とするか、誰に忠誠を誓うか。
はたまた何を守るか。
最後まで読み終えると、一色五郎という男に惚れずにはいられないはずだ。妻を守り子を守る優しさだけではない。堪えて堪えて、丹後を守ろうとする精神的な強さが天晴れと言わざるを得ない男。一色五郎がもし野望を持っていたら、天下を取ったのは彼かもしれない。そう思ってしまうくらい強き男だと思う。一色五郎ロスです。
Posted by ブクログ
「のぼうの城」の著者、和田竜さんの作品は好きだったので、久々の新作楽しみに読みました。
この作品の第一印象は作風が変わったなーです。
なので、最後まで読み切れるか心配になりましたが、かなり時間を掛けて丁寧に作られていることが伝わってきて、エンターテイメントとは違う良さがありました。
一色家が治めていた京丹後地方は行ってみたいけど行く機会が無かった場所で、その歴史もよく分からくて、この本でこの国を知るという感じでした。