あらすじ
降り注ぐ火山灰の下で愛を交わすカツオドリの数をかぞえ、学問のためならネコの糞の採集にも精を出す。「子ども科学電話相談」で華麗なる回答を決めたかと思えば、鳥類からカッパに進化するプロセスに思いをはせる。ああ、鳥類学を普及する天竺までの道は曲がりくねって――楽しい! 累計20万部超の大人気「理系蛮族」エッセイ。
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噴火によりできた西之島や小笠原諸島の島々での調査、そして著者の日常について。
学者さんの書いた小難しい本だと思っている人、その認識間違ってます。
とにかくユーモアのある文章で綴られているので、フィールドワークや研究について楽しくスルスルと読める。そして、こんなに楽しくサラッと書かれているけど、大発見だったりするからすごい!
著者の言葉のセンスが独特で毎回ツボ。
第四章 「鳥類学者、カッパと戯れる」は特に笑った。単語のひとつひとつが可笑しい。仮説というか妄想というか、まさかカッパの祖先や進化について読むことになるとは。
ユーモアたっぷりの研究者の本はやっぱり面白い。
未知の世界が広がっていて、好奇心がムクムクと湧いてくる。そして同時に満たされていくーー。
笑いながらも論理的な仮説の組み立て方や考察には唸らされます。
今回は鳥類学とは関係のない部分も多かったけど、著者の想像力(妄想力)、着眼点がおもしろくて興味深かった。それに鳥たちを画像検索して愛でながら読んだのも楽しかった。
娯楽感覚で学びながら楽しめる研究者の本ってかなり貴重だと思います!
講演会とかいつか行ってみたいなぁ。
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なんと「小説新潮」に連載。2023年1月号~24年12月号、24回分。小説よりもはるかにおもしろい。
冒頭「はじめに」では、飛島、粟島、舳倉島でのフィールド調査の話。悪天候のせいで、なかなか島には行きつけない。これもフィールワークの醍醐味か。(しかし、島と鳥は紛らわしい。これに烏が加わると、スペルミスがあってもすぐにはわからないや。)
息抜きの回もある。NHKラジオの「子ども科学電話相談」の出演の回と、筑波で開催された日本鳥学会の回がそれ。どうしてこれだけおもしろい話になってしまうのか、不思議だ。
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2025年出版。鳥類学者だが、学者としての研究力よりも一般向けの周知・普及が得意と自覚している筆者による本。学術誌とは良い意味で大幅に違う。様々に鳥類の事が描かれていながら、専門性に過ぎず読んでいて眠くならない。脱線と言うか、話の展開がおもしろいなぁ。鳥とは全く関係の無い妄想や経験なども書かれていて飽きさせない。でもやっぱり頭良いんだなぁ、と自然に思わされる。楽しく読ませて頂きました。
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居ながらにして、離島の学術冒険旅行に
ご同行させていただける鳥類学者の川上和人さん。
今回も まごうことなき抱腹絶倒の学術調査という名の冒険旅行を堪能させてもらえました。
今回印象的であったのが
第五章 鳥類学者は屋内でも羽ばたく
の「2 ラジオに出ようよ」の「ラジオ子ども電話相談室」でのエピソードたち、
その時の川上先生と子どもたちのやり取りと息づかいが届いてきます。
きっと この子どもたちは
鳥のことだけでなく、これからの地球のことを
考えていく人間になっていくことでしょう。
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島々を巡る鳥類学者が綴った科学エッセイ、第3弾。
相も変わらず著者の脳内&活動は目まぐるしい様相をしめす。
そんな研究者の日常を、小ネタを交えて綴る。
・はじめに こんにゃくドリフト
第一章 鳥類学者は窮地に笑う
第二章 鳥類学者は偶然を愛し偶然に愛される
第三章 鳥類学者、エデンを夢見る
第四章 鳥類学者、カッパと戯れる
第五章 鳥類学者は屋内でも羽ばたく
・おわりに 鳥類弱者の心得
鳥類学者は今日も頭を巡らせ、行動する。
島を巡る研究の話に、映画やコミックの言葉を投下する。
それでも、ちゃんと鳥類学に戻る、面白真面目なエッセイ。
日本海沿岸の島々では、猫のマシュマロを拾いまくり、
噴火で激変した西之島では、大噴火とその後を目撃し、
小笠原諸島の南島では鳥の骨を集めまくり、
小笠原諸島の無人島巡りでオガサワラカワラヒワを調査。
南鳥島での希少種発見は、外来種との兼ね合いの矛盾も。
それらのでは合間も忙しいことこの上ない日々がある。
ポルトガルからアナドリ調査の助力を乞われ、
学会では複数のお役目を獅子奮迅で全うし、
ラジオの電話相談で子どもの質問に答えまくり。
更に、こんにゃく、宇宙人、カッパ、左右非対称、
無人島遭難と、脳内ではトンデモ思考が渦巻いている。
いえ、この話が閑話休題みたいで面白いんだけど。
ちゃんと鳥類学に着地してますし~。
そして、100年残る研究の発想も雄大だなぁ。
とりあえず、西之島の調査は本にしてくださいまし。
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鳥類の話もあるが、研究の小ネタもいっぱいあって面白い。
西ノ島の研究の話は以前海洋生物で少し聞けたが、この本で鳥類の研究も知れるとは思っていなかったので読めて嬉しかった。鳥類は飛来できるので戦略が異なっていて興味深かった。
アナドリでハワイと日本は地理的隔離はないのにも関わらず、貧栄養海域が障壁となっていたというのが面白い事例だなと思った。
川上さんの研究領域の専門性だけでなく、様々な本や映画が内容に組み込まれていて、表現が好きだなと思った。他の本も読んでみたい。
あと発想の転換や、一見関連がなさそうなものからヒントを得るようなところがすごいなと思い、読みながら感心する箇所が多かった。
Posted by ブクログ
あいかわらずめっちゃおもろい、川上先生本
そして、いつ見てもエエシャツ着てますよねぇ
学会でもすんごい目立つ柄のシャツきてるんで、
ちょっと嬉しくなりますねぇ。作業着みたいな人多いんで。
そんなことはともかく、同世代、鳥屋、映画と特撮とアニメその他、
なんせ分野が被り倒しているので、文章悉くツボってきます。
とりあえず、オープニングから現住地の島の話ですし、
たまりませんな。しかも、ラジオも聴いてますがな!!
特にこの前の生き物空想バトル最強対決はめちゃおもろかった。
まあ、そんなことはともかく、
研究者の研究と妄想の面白いところを余すことなく
垂れ流、、いや、シェアしてくださっているところに
ただただ感謝感激ですな。
カッパの進化の話はカッパだけでなく、いろんな妖怪で
結構よく考えたりするので、めちゃ嬉しくなったし、
しかし、ふざけているようで、ビシバシとコアなところをついてくる。
いいシークエンス、いっぱいあります。
>「人間とからめて鳥の子育てを語ることはできないのだ。
子育てに関することだけではなく、動物の行動を人間社会に当てはめて考えることはご法度とされている。なぜならば、野生の世界には損得はあっても善悪はないということである。
人間社会では倫理的に否定される行為でも、鳥は良心の呵責を覚えない。」
>「研究者はあくまでも研究者であり、ものしり博士ではない。ものしり博士の研究者もいるが、私はそうではない。単純に鳥の知識という点では、バードウォッチャーの方が多くのことを知っている。
では、私のような研究者が知っていることは何か。それは知りたいことを調べる方法であり、考える方法である。子供たちにそれを伝えることこそ、研究者としての私の役割だ。」
そして、なんといってもクロアジサシの樹上営巣を見つけた時
「これはとんでもないものを見つけてしまった。
どうしよう。」
とっつぁ〜〜〜ん(笑)
いやもう、やっぱり見つけた時はこれですよね。
大根に棒読みしなくてはならない(笑)
炎と燃えさかるぅ〜
私のぉ〜この愛ぃ〜〜〜
あなたぁ〜にだけは、わかぁ〜って欲しい
絆でわぁたぁ〜しうぉ つぅつぅんでぇえええ
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鳥が好きで好きで鳥類学者になったのでは、ないのですね!?でも鳥類学者になられた川上先生は、とても楽しそうです。
文章が軽妙で読みやすい中に、どんな研究をするのか、論文では分からないいろんな細々したトラブルや笑い話やなんやかんやを取り混ぜて書いてはります。
それにしても、船に乗りそびれると大変ですね~(笑)
Posted by ブクログ
川上和人さんの本は2冊目。
前の本に続いて言い回しが面白くて、馴染みのない鳥類学の話でも楽しく読める。
印象に残ったことは2つある。
①結果だけではなくプロセスにも価値がある
②生物にはそれぞれの役割があり、皆に輝ける場所がある
①結果だけではなくプロセスにも価値がある
冒頭のコンニャクの話や、本書内に散りばめられた研究のエピソードから、華々しい結果の裏には、たくさんの人の汗と涙があることが分かる。
科学の世界も、私がいるビジネスの世界も、結果がすべてという風潮があるが、そうは思わない。
「誰が何を思って行動したか」で、結果も変わると思うのだ。
例えば本書では、計画が上手くいかず、観察対象の鳥がとても少なかったという結果が書かれていた。
しかし、「少なかった」というそれ自体も有用な結果であって、また別のことに気が付くきっかけにもなるわけで、失敗であっても無駄ではなかったと言える。
だから、結果だけでなくプロセスにもちゃんと価値を見出せる人でありたいと思う。
②生物にはそれぞれの役割があり、皆に輝ける場所がある
川上さんは「分析などは苦手」と言う代わりに、「文章や話すことは得意」と言う。
みんなが主役ではなく、脇役やサブがいて、社会は回っている。
生物にしても、色んな生物が生態系に影響しあって、環境を作っている。
人間の都合で増やした生き物が在来種を減らしてしまい、また人間がそれを駆除するということがある。
何がどう影響しあうかは難しい。
人間社会では主役に憧れる人が多いようにおもえるが、桃太郎ばかりでは成立しない。
犬も猿もキジもいて、何なら鬼もいて、ストーリーは成立しているわけであって、それぞれの役割を全うすることが大事だと思う。
私は会社内で新事業立ち上げプロジェクトのメンバーであり、家では父親で夫であり、日本国では国民でありと、人は意外と色んな役割を使いこなして生きているなあと考える。
人間は地球にとってどんな役割だろう?
主役か脇役か、ヒーローか悪者か?
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鳥類学者とはどういう活動をしているのかといった疑問に関しては、その中でも多様なあり方が存在する中で筆者の立ち位置を多少なり理解できた。砕けすぎた文体は賛否ありそうだが、このような文筆業におけるアウトリーチの中にこそ、『国立大学教授のお仕事』などで挙げれていた営業としての役目があるのだろう。そう考えると、あまり野生生物の研究者の地道なフィールドワークに関して、書物で触れたこともそうないのかもしれない。
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今回もおもしろかった。読み終わりたくなかった。
鳥類学はほぼ知らなかったのに、あとがきに書いていらっしゃるように川上先生の「文章力と口車」のおかげで、この本を読んでいる間だけは鳥類学がすこーし身近に感じられ、世界が広がる。
私の見識が狭いせいか、本を離れたところではなかなか「あ、この話は鳥類学の話じゃないか!」と喜ぶ出会いがないのだが。
著作を読み続けていると、同じ場所での調査結果の経年経過がわかるのも面白い。毎年出版していただきたいものです。
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「小説新潮」に連載の続く人気コラムの最新の単行本。
鳥類学者のおかしな生態とその奥にある至って真面目な研究について。
西之島という火山島での新たな生態系の観察が話しの中心。
筆者の文体はアクが強いので好みが分かれるところこも。
個人的には北杜夫「ドクトルまんぼう航海記」を彷彿させる。
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バード川上のエッセイである。
彼の研究そのものよりは、それに付随するというかそれまでにいたるあれやこれやが軽妙な筆致で書かれていて、とても面白い。
そのものよりと書いたが、かなり肉薄していて細やかな内容の話も含まれている。研究の手法などもわかりやすく説明されているし、研究内容についても結構詳しい。けれども、お勉強的かというと、そうではない気がする。じゃあ、具体的にどうなのかというと、なんかこう難しい。
面白い本。
それだけは確かなのに、ではその面白さを具体的に書こうと考えると、スルッと手元から逃げてしまう。とてもふしぎだ。ただ、これだけはいえる。
この本は面白い。
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科学者のお仕事は、研究活動半分、普及活動。
とは聴いていたけれど、どういう活動をしているのか詳しいことは知らなかった。
あの番組、この番組の裏で、こんなことしてたんですね、先生。
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「無人島、研究と冒険、半分半分。」から約2年。
調査結果の報告には何年もかかるので、前作でも調査プロセスを細かく書いていた。
生態系調査に無人の「西ノ島」を選ぶという着眼点は良かったが、2013年の噴火で陸地の99%が溶岩に覆われてしまった。
2019年には新たな観察のためカメラや録音機を設置してきたが、2020年の再噴火で機材だけでなく島自体が破滅した。
研究テーマは「植物も虫も絶滅した土地にどのようにして生態系が生まれるのか」に変わった。
研究成果はずっと先まで出ない。
しかし、地球上でこんな環境はないのだから、とてもラッキーなことだとポジティブに捉えなくてはならない。
島は溶岩と火山灰に覆われてしまったので陸上生物だとエサがない。
しかし周りの海には魚がいて、海鳥には食料がある。
死んだ鳥はどうなるかと言うと、以前なら虫や細菌に食べられていたが、今や風化するだけになっていた。
そんな環境だが、5種類の海鳥が生きていて繁殖までしているのが観察できた。
ここに根付いた海鳥の糞や、別の土地から来た鳥が運んできた虫や植物の種が、「西ノ島」の新たな生態系を作っていくのでしょう。
海鳥の繁殖が上手く進み数が増えると予想したが、以降の調査で繁殖に失敗していることが分かる。
どのように繫栄するかでなく、どのように絶滅するかの歴史を見るようで心配になる。
10年や20年では殆ど何も分からないでしょうが、人的影響を極力排除した「西ノ島」が今後どうなっていくのか調査報告が楽しみ。
なお、2020年にはいつ絶滅してもおかしくない程の危機だったオガサワラカワラヒワだが、
ネズミ駆除の対策が功を奏し個体数が回復してきているらしい。
オガサワラカワラヒワは、西ノ島でなく、無人島の母島列島だけで生きながらえている鳥だ。
保全活動を続けてくれている人たちに(*ᴗˬᴗ)⁾⁾感謝❤
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特別に鳥に興味がなくても、おもしろく読める。
今回は、小笠原諸島の観察が中心。週に一度だけしかない定期船に乗り遅れるハプニングで始まる。乗り慣れているからこそ…のようではありましたが。
Posted by ブクログ
「鳥類学者の半分は、鳥類学ではできていない」のタイトルの意味は、果たして。
1. 鳥類学者と名乗っている人の半分は、鳥類学はやっていない(成果は出していない)
2. 鳥類学者と名乗っている人は、半分は鳥類学の仕事をしているが、残りの半分は学者の仕事ではないことをしている
どちらも違っていて、著者は自分のことしか語っていない。「鳥類学者を名乗っている著者の半分は、鳥類学ではできていない」。
その半分が面白い。小笠原諸島、西之島での調査研究。絶滅危惧種の保護や、自然環境保護へ。著者はこう書いている。「幸いにも自分には別の能力があることに気づいた。それは文章力と口車である。高度な分析ができなくとも、私は発見した事実を物語に仕立て、文章を紡ぐのが得意である。」
前野ウルド浩太郎の「バッタを倒すぜアフリカで」と同じ匂いがする。
Posted by ブクログ
まず 冒頭のこんにゃくの話からしてすごいです!
科学的に物を考えるというのはこういうことなのかって すごいくだらなくて面白いんですけども 感銘を受けます
川上さんの本っていうのは やっぱりこういうネイチャー分野で 普段 触れられないような学識の高い人の話を 分かりやすいところまで下ろしてきてくれるっていうのがいいと思います
読みやすい し 近づきやすい。そういうことで自然とか環境とかに意識を向ける人たちが増えてくれるといいなと思うので、こういう人の活躍はとってもありがたいなと思います
ただ ご本人がすごい しゃべるのが好きなだけなのかもしれないですけど