ブックライブの高評価レビュー

小説・文芸の高評価レビュー

  • 泣くな研修医

    Posted by ブクログ

    病院という場には、患者それぞれの人生とドラマがあり、それだけに医療小説は幅が広く奥が深い。
    雨野隆治は外科で働き始めたばかりの研修医。
    知識も経験も浅く、専門用語を言われても聞き返してしまうほど頼りない。
    事故で担ぎ込まれて瀕死の子どもや、95歳で身寄りのない認知症の胃がんの患者、隆治と同じ年の末期癌の男性、患者に寄り添っては最期まで全力を尽くしたい隆治だが、上の判断は冷酷だ。
    医者は常に死を目の当たりにしていくうちに鋼の心になっていくのか。
    隆治はスポンジのように痛みを吸い取り涙を流す。
    読む側はそんなまっすぐな隆治を愛さずにはいられない。
    本来重苦しい題材であるが、隆治の涙して自分の無力さ

    0
    2025年12月12日
  • 勉強の哲学 来たるべきバカのために 増補版

    Posted by ブクログ

    『勉強の哲学』は、勉強とは自己破壊である、それは、周りの環境から強いられた価値観によって固まってしまった自分を破壊して新たな自分になろうという自分の作り直しです。ものの見方が狭かった、好き嫌いも硬直的で融通が利かない自分を壊して、もっといろいろなものを肯定的に面白がれるようになる、世界をより面白がれるよう言語それ自体として操作する意識を高める。言語の「道具的使用」から「玩具的使用」へ。言葉をおもちゃのように操作し、自分のあり方の多様な可能性を、環境の求めから離れて自由に考えられることが勉強の方向である。

    0
    2025年12月12日
  • 舟を編む

    Posted by ブクログ

    辞書という全く自分の趣のなかったものにも、作る人の苦労があり想いがある。

    《引用》
    言葉は時として無力だ。
    ------
    物理的な死を超えてなお、魂は生きつづけることがあるのだと証すのもの。


    ニヤニヤしながら読んだところもあるから、誰かに見られてたら恥ずかしいね。

    0
    2025年12月12日
  • ジャガー・ワールド

    Posted by ブクログ

    恒川光太郎久々の新刊である。
    マヤ文明を舞台にした、多様な身分、価値観を持つ人々が起こす王国の崩壊を描いた長編クロニクル。

    鈍器本でありながら軽快な文体と爽快な物語があっという間に結末まで連れて行ってくれる。
    その中で、生贄の賛否や国のあり方が作品を通じて議論されてきた。後半の賢者二人による論戦は圧巻である。ドストエフスキーの『カラマーゾフの兄弟』の論戦を彷彿とさせる。

    物語の濃密さもさることながら、この作者は物語の結びがあまりにも美しい。遠大で壮大な時代の流れを感じさせる読後感。『スタープレイヤー』シリーズや『箱庭を巡る巡礼者たち』が好きな方は是非手に取って欲しい。

    0
    2025年12月12日
  • 教誨

    Posted by ブクログ

    響ちゃんはただ幸せになりたかっただけなのに、なにかボタンの掛け違いでずっと辛く苦しい人生だった
    どこでたたせばよかったのかな
    一生わからないかもしれないけど、考えて思うことが供養することに繋がるのではないか
    私も数日間は響ちゃんの人生に思いを馳せてしまう気がする、、、

    0
    2025年12月12日
  • 海底二万里(下)

    Posted by ブクログ

    ジュール・ヴェルヌ読んでると初めて読んでるはずなのに、何故か聞いたことあるような話だなと思うのはSFの父だからかなと思う。本当のスタンダードというかベタを作った人ということだよね。



    ジュール・ヴェルヌ  
    Jules Verne 1828年フランス、ナントに生まれる。ナントのリセを出たあと、 1847年法律の勉強のためパリを訪れる。 48年にアレクサンドル・デュマ父子と出逢い、劇作家を志す。地理や科学、博物学の広範な知識と、豊かな空想力を駆使して数多くの作品を発表した。空想科学小説の父と呼ばれる。主な作品に『地底旅行』『八十日間世界一周』『神秘の島』など。」

    「ここで特に名前を挙げて

    0
    2025年12月12日
  • 血脈のナイトメア 天久鷹央の事件カルテ

    Posted by ブクログ

    ネタバレ

     知念実希人さんの天久鷹央シリーズ最新刊は、前作『鏡面のエリクサー』に続き、長編である。最大の存続危機を脱した天医会総合病院だったが…。

     統括診断部に相談に訪れたのは、心臓移植手術を受けた後に記憶にない夢を見るようになった医学生の青年。彼の夢は、ドナーの記憶なのか? 「臓器の記憶」という謎に、嬉々として調査に乗り出す鷹央と、また振り回される小鳥遊…。

     ドナーの正体は、暴力団の若頭だった。彼がキャンプ中に襲撃されて植物状態に陥り、青年は移植を受けることができた。ドナーになるヤクザなんているのかとか、ヤクザがキャンプかよとか、序盤から色々突っ込みたくなるが、読み進める。

     一応、青年の症

    0
    2025年12月12日
  • 赤い月の香り

    Posted by ブクログ

    ネタバレ

    早くも次巻を手に取りました!

    日常の一コマは時間が経つにつれあやふやになっていきますが、そこに香りがあったなら忘れられない記憶として刻み込まれるんだろうなと思いました。
    素敵な思い出ならまだしも、トラウマレベルだとするなら「香り」って美しくて残酷ですね…。

    終盤で満さんが茉莉花さんの「においが好きだ」と言ったシーンでは、何故だか泣きそうになりました。
    「香り」が永遠に忘れられない記憶として刻み込まれるのだとしたら、「体臭を求めることは唯一無二の欲望」というのに納得ですし、表現が素敵だなと思いました。

    0
    2025年12月12日
  • 星のカービィ メタナイトと黄泉の騎士

    Posted by ブクログ

    小3娘がおもしろいよ〜とおすすめしてくれた。このシリーズもっと読んでみたいな!ですって。カービィの力に助けられながらも長編も読めるようになったんだなと胸が熱くなりました。

    0
    2025年12月12日
  • 正欲(新潮文庫)

    Posted by ブクログ

    ネタバレ

    多様性や、マイノリティについての1つの見解を知ることが出来る。

    人は1人では生きられない故に、社会に馴染むため自分を押し殺しながら生きてる人は多い。もちろんそれは少数派とか関係無しに。

    その中で、特に少数派について。今までマイノリティに対する正解が分からなかった。少数派の人達を何でもかんでも否定するのも肯定するのも違うような気がしてならなかった
    そのある程度の正解が、この本と、最後にある東畑氏の解説によってある程度スッキリした

    0
    2025年12月12日
  • ありか

    Posted by ブクログ

    一言メモ、今の自分が、今大事なものを、今大事にすることが正しいと、教えてくれる

    母一人子一人の生活に、いろんな人が関わってくる展開。前に向こうとしながらも、過去に、家族に、何度も何度もどうしても引っ張られる、主人公の環境や心情が、自分と重なる部分があって、ぐっときてしまいました。
    2人を大切に思って気遣ってくれる、ママ友と義弟、義弟のパートナー、居てくれて良かったと、しみじみ思う優しい本です。

    0
    2025年12月12日
  • 僕には鳥の言葉がわかる

    Posted by ブクログ

    ラジオで著者のお話を聞き、興味が出たため、本書を手に取ってみた。
    昔から、動物も会話をしているとなんとなく思っていたため、実際に動物の言語を明らかにした著者の研究内容は非常に興味深かった。研究生活も、大変ではあるものの非常に充実し、また、楽しんでいる様子が伝わって面白かった。
    理系を専門とし、研究したことがある身として、著者の実験デザインに脱帽した。改めて、沢山の論文を読む重要性を感じた。専門ではなくても、研究を行う人は一度読むと勉強になることが多い作品だと思う。

    0
    2025年12月12日
  • マザー

    Posted by ブクログ

    母と言う立場の女性の5つの短編集
    嫁や姑と言う立場にもなる。
    怖いけどわかる気がする。
    女は母になると強くなる(◞‿◟)
    続編が出たら是非読みたい!

    0
    2025年12月12日
  • 阪急電車

    Posted by ブクログ

    読んでいてとても楽しかった。
    電車の中での過ごし方は十人十色で、その人の個性や人生を表してもいるんだなと感じた。
    実際電車に乗っている時、私は無表情族だったな、、と思ったり。

    新しい出会いと別れが、同じ電車の偶然同じ車両から起きていくことにとても感動したし、それを小説にする作者の着眼点がすごい。

    旅や電車の中のお供になりそうな予感。

    0
    2025年12月12日
  • 世にも奇妙な君物語

    Posted by ブクログ

    あのテーマ曲が聞こえてくる 小説の技術が高いと感じた。全5話構成で最後の話が1番よかった。
    また途中から読み直したくなる。

    1話 なるほどよくある展開。ホラー系の掴みとしてOK
    2話 読後感がちょっと嫌な感じ。
    3話 嫌いじゃない。なるほどね。
    4話 言いたい事は分かるんだけどやっぱり読後感がやな感じ。
    5話 この話を読んで今までの読後感が悪かった話も救われた。

    0
    2025年12月12日
  • 戦争と平和(三)

    Posted by ブクログ

    描写が美しいから、戦時中の辛い様子を描くところでも、気持ち的に休み休みしながら読める

    にしても登場人物の人間感情がリアルすぎ
    こんなに「人間」について克明に描いた作家いるのかな?ってくらい、ほんとそこに感動する…

    そして結局諸行無常なんだけど、たまに現実世界でも起こりそうなくらいに幸福な瞬間や愛もあって、だからまた救われるというか

    そしてたまにでる作者の鋭い観察眼による金言が舌を巻く。3巻にしてできた推しはアンドレイ公爵

    0
    2025年12月12日
  • トニオ・クレーガー

    Posted by ブクログ

    太宰の『人間失格』を読んで、この主人公は自分だ、と思ったなんて感想をよく聞く。
    僕にとっては、この『トニオ・クレーガー』がそういう本だったようだ。

    「ねえ、ハンス、『ドン・カルロス』は読んだかい?君の家の庭の門で約束してくれたね。でも、どうか読まないでくれ!」

    「瞬間撮影写真の載った馬の本を読むほうがずっといいなんていう人たちを、詩のほうへ誘い込んだりしちゃだめなんだ!」

    「君のようになれたら!もう一度最初からやり直して、君と同じように成長することができたら。」

    トニオの愛の言葉は痛烈だ。憧れの裏返しや、少年時代の気の迷い、そんな言葉で片付けられるような生易しいものじゃない。
    周りの世

    0
    2025年12月12日
  • そういうゲーム

    Posted by ブクログ

    わたしはわたしが嫌い。
    生きるとは…って考えちゃってる自分がいつもいる。

    人生もゲームと思えば、気が楽になるし、少しでも楽しくなるのでは?と思わせてくれる本でした。

    0
    2025年12月12日
  • 彼女が探偵でなければ

    Posted by ブクログ

    初めて読んだの作家さんでした!
    推理物はやっぱり面白い。
    ちょっとした違和感から真実にたどり着くみどりさん。
    気になっちゃうと調べちゃうんだなぁ。

    0
    2025年12月12日
  • マリアビートル

    Posted by ブクログ

    数年ぶりに読んでみました。ざっくり内容は覚えているものの、細かくは覚えていないにも関わらず「面白かった」という記憶が残っていました。改めて読んでみてやっぱり面白かったです。七尾の普段は頼りないけど、機転が利いて実は強いっていう少年漫画の主人公にいそうなキャラ設定が、個人的には結構好き。

    0
    2025年12月12日