あらすじ
1944年、ナチス体制下のドイツ。父を処刑されて居場所をなくした少年ヴェルナーは、体制に抵抗しヒトラー・ユーゲントに戦いを挑むエーデルヴァイス海賊団の少年少女に出会う。やがて市内に建設された線路の先に強制収容所を目撃した、彼らのとった行動とは?──本屋大賞受賞第一作/電子書籍限定でカバーイラスト全体を特別収録
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Posted by ブクログ
2022年本屋大賞作品「同士少女よ、敵を撃て」の著者による次の作品です。
今回は第二次世界大戦最中のドイツが舞台です。
その頃のドイツと言えばヒトラー率いるナチスが国全体を統治していた時代です。
しかし時は戦争末期でもあり、ナチスに反旗を
翻し、密かに抵抗を試みる若者たちもいたよう
です。
自分たちの街に敷設されている鉄道レールの
行き先には何か秘密があるらしい、と
その正体を突き止めるために旅に出た若者たちに待ち受ける「真実」とは。
日本もそうだと思いますが、敗戦によって目覚めて
民主化へ舵を切ったかのように思われがちですが、
ドイツは戦争中からすでに「このままでいいはずが
ない」と考えていた者たちがこれほどいたことは、
それがその後のドイツの躍進と成長を支えていた
のだな、と感じます。
まさに最近日本のGDPはドイツに抜かれましたが、
その原動力の原点がここにあるのでは、と思わずに
はいられない一冊です。
Posted by ブクログ
自らの誇りを胸に罪のない人々の命を守ったエーデルヴァイス海賊団の活躍に胸を打たれたし、反対にそういったものから目を背け続けた大人たちの振る舞いには憤りを覚えましたが、果たして自分が同じ立場に立った時どちらの行動を取るのか考えたらやはり自らが生き延びることを最優先にしてしまうと思いました。そういった意味でもこのような悲劇は繰り返されるべきではないし、クリスティアンとムスタファのように次の世代まで引き継いでいくことが大切だと思いました。
あとレオンハルトからの手紙であり得ないほど泣いた。
ドクトルも疑ってごめん、1人だけ本名明かされないしなんかどんでん返しあるのかと思って読み進めてたけど結局めちゃくちゃいい奴でした
Posted by ブクログ
物語の至る所に伏線が散りばめられていたり、動きのある場面には迫力があったり、まずエンタメ小説として面白かった。
それだけでなく、深く考えさせられる小説だった。人種や信条で人々を恣意的に区画し、差別を行なったナチだけでなく、自分の知る枠組みの中で勝手に相手を理解した気でいる人々の傲慢さも、当時のマイノリティを苦しめていたのだと感じた。後者は特に現代を生きる私たちにも通ずるものがあり、理解しないでそっとしておく優しさを見習いたいと思えた。
また、大人たちが自己防衛の為に口をつぐんで目を背けた事実が語られず、歴史から消えていく様が鮮明に描かれていた。しかし、それでもフランツはヴェルナーたちがナチに抗ったという事実を音楽とともに次の世代へ繋ぐことが出来、そこに救いを感じた。自分の郷土史の中にも知られざる物語があるのかもしれないと思いを馳せるきっかけになってくれた小説だった。
Posted by ブクログ
1944年、ドイツヒトラー政権下の街。
鉄道がひかれ、終着駅とされたその先に線路が続く。一体この先に何があるのか。エーデルヴァイス海賊団を名乗る4人の少年たちは冒険の旅に出る。その先に彼らが発見したのは、強制収容所だった。
すごい素晴らしい作品でした。
Posted by ブクログ
最初の数ページはとっつきにくかったが、ここをしっかり読まないと意味がないことに。
題名の意味が深い。「歌わなかった住民」を責めることはできないけれど、ラストの再生的なところに救いがみえた。
それにしても、相当勉強されている作者には脱帽です。
Posted by ブクログ
素晴らしかった。ナチスドイツの支配下にあり、強制収容所が近くにあった街に生きた少年少女の抵抗と、その記録。主題は、ナチスへの抵抗ではなく、人としての誇り、そして見て見ぬふりをする大人の態度についての話。見事に現代と繋げていて、ラストははらはらと泣いてしまった。
日本の植民地支配もしかり、原発や沖縄の米軍基地問題もしかり、そしてウクライナとロシア、イスラエルとガザ地区の戦争も、環境問題も、うっすら気がついていて、でもできることはなくて、何となく受け入れてしまう態度が加害なのだと突きつけらる。平和な日常が何より大事だが、それが何かの犠牲の上に成り立っていないのか、せめて見て見ぬ振りをしている自分を誤魔化すことだけはすまいと思った。
Posted by ブクログ
鳥肌が立った。
丁寧で細やかな文体は全く長さを感じさせない!
展開が読めないので、先が気になってやめられない。
悲しい結末だけど、希望もあるような終わりだった。
戦争の悪影響は、世代を超えていく。
改めて恐ろしさを感じる。
表紙が3人なのは、理解できるような少し寂しさも感じるような気持ち。
素晴らしい本をありがとうございます。
Posted by ブクログ
戦時中のドイツでの少年、少女たちの揺らがない信念に終始引き込まれた。
間違ってると言われようが、何が起きようが自分たちの信念が正しいと信じ、曲げずに貫く姿勢は読んでいて気持ちが良い。
自身の哲学を持ち、それに倣って生きる(死ぬ)こと、葛藤、大衆の意見との違いに迷いながらも前を向いて進んでいくこと、ある種の強さを感じる。
Posted by ブクログ
誰しもが心の中で思っている「都合のいいことだけ信じたい」「自分は何も見てない聞いてない」という"見て見ぬふり"こそが、戦争やいじめの根幹にあるのだと感じた。今までは忠実にナチスに従っている大人が都合よく敗戦後のことを見越して"おとぎ話"を作っている場面に震えた。こういう八方美人が大多数で得するんだろうな。
レオンハルトお前…手紙で大泣きした。
戦争小説であり、青春小説であるけど、多様性だと言って他人を理解した気になってる現代社会への風刺でもあると思った。
「歌われなかった海賊たちへ」たしかにあの時のエーデルヴァイス海賊団の子たちは、見て見ぬふりをされたかもしれない。たしかにあの時のフランツは歌わなかった住民かもしれない。だが、これからの未来に、エーデルヴァイス海賊団の4人が、エルフリーデの歌が、歌われる日が来るのを願って。
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P107
「そうやって、自分が見た他人の断片をかき集めて、あれこれ理由をつけて、矛盾のない人物像ができあがると錯覚して、思い上がって、分かろうとして、理解したつもりになる。そうすればあとは簡単だ。人を集めて、種類に分けて整理して、一つの区画、一つの牢屋に追い込んで、服に貼った標識見て安心するんだ。私はそんなに傲慢じゃない。そうだ、私はそんなに傲慢じゃないし…」
P149
「私たちは、ドイツを単色のペンキで塗りつぶそうとする連中にそれをさせない。黒も、赤も、紫も黄色も、もちろんピンクの色もぶちまける。私たちは、単色を成立させない、色とりどりの汚れだよ。あいつらが若者に均質な理想像を押しつけるなら、私たちがそこにいることで、そしてそれが組織として成立していること、ただそのことによってあいつらの理想像を阻止することができるんだ。バラバラでいることを目指して集団でいる。だから内部が単色になることもなければ、なってはいけないし、調和する必要もないんだ」
P363
「人は、自分が受け取った他人の、断片化された一面をかき集め、空白を想像で埋め、矛盾のなさそうな「その人らしきもの」の像を組み立てる。そして自ら作り上げた虚像を眺めることで、他人を理解したつもりになる。」
Posted by ブクログ
題材が面白い。世界が独裁政治色を強めるなか、こういうニュートラルな考えを持ち続ける意味を考えさせられる。しかしながら、彼はなぜこうも海外の戦争ネタを扱うのだろうか?
Posted by ブクログ
戦争中、ヒトラーが治めていたドイツが舞台。
楽しい事をしたい。という思いで作られたエーデルヴァイス海賊団。
そんな中、街に線路が通り終着駅ができるのですが、どうやら線路は先まで続いている。
線路の先に何があるのか?
そこから色々なことがおこります。
戦争中の正義って、あっけなく変わるもので。
しかし、海賊団がやったことは、ある時まではとんでもない悪なのですが、戦争が終わっても語られることなく。
歌われなかった海賊と歌わなかった人達の話
Posted by ブクログ
一気読みでした。途中で投げ出すなんて考えられず家事をしながら早くこの世界に戻りたいと時には苦しくなりながら、終わりが見えないで欲しいと思いながら読んだ。人は断片的にしか見えないのにどうして決めつけられるであろうか、自分を守ろうとするあまりにここまで人は滑稽になれるのだろうか。ハッとすることが度々あった。
歌わなかった市民たちが憎いと思ったが完全に責められる訳でもなく、私も同時代にいれば共犯者なのでは無いかと考えさせられた。
決して昔の話ではなく、現在も形を変えて問いが存在しているのだろう。
大きな問題に圧倒されながらも未来志向の姿勢に自分も鼓舞されているようだった。
Posted by ブクログ
結局、戦争において犠牲になるのは女性と子供ということを再認識する作品でした。
当時のナチ党の支持率は95%を越えていたそうですが、それはあくまで一党独裁の恐怖政治下での数字、ということで実は本作でも描かれているようなレジスタントもいた、というのが事実なんでしょうね。
でも、レジスタントは一般にはあまり知られていない存在のように思います。
そういう点で、本作は斬新な視点で描かれていたと思います。
ヨーロッパにおいてはナチスの悪名があまりにも轟き過ぎているせいか、イタリアのファシストを題材にした小説を見たことがないのですが、そういう小説はないんでしょうか?
Posted by ブクログ
いい小説だ。手放しでそう言いたくなる小説に出会うと頭の中で文字が溶けてしまってそれしか出てこなくなる。
今、世界では現在の価値観で過去を断罪し、一方的に漂白する行為が進んでいる。結局、「今の価値観」とやらからすると過ちだらけの過去には蓋をした方がいいから、なのだろう。
その結果が何を招くか。歌われなかった海賊たちは何と戦い、何に唾を吐きかけ、何を殴ろうとしたのか。
本書はあくまで史実を基にしたフィクションだ。それでも尚、今、世界のどこかで、あるいはこの国で起きている事に真正面から向き合え、そして知るのだと訴えかけてくる。あの暗い時代に人々を飲み込んだ「悪」は現在進行形なのだと。
Posted by ブクログ
印象に残っているのは、レオンハルトとヴェルナーの別れのシーン。1つしかない爆弾をヴェルナーに譲った時の、レオンハルトの気持ちを考えると切なすぎる。真実が書かれた手紙は涙なしには読めなかった。
エルフリーデの両親の描写も辛かった。実の両親が生きれるよう手助けしていたことからも、育ての親も善良だったことが伝わる。せめて生きてるうちにその話をエルフリーデが知ることができたら、もっと親子の仲は良くなっていたかもと思うと切ない。
辛い経験をしたヴェルナーとエルフリーデには、せめて戦争後遠い街で幸せに暮らしていてほしい。
エーデルヴァイス海賊団が実在していたことに驚いた。団員は14歳から18歳だそうだ。勇気のある子供たちがいたことを本を通じて知ることができてよかった。
もし自分なら歌ってあげることができただろうか?多分できないと思う。だからこそ、この歴史を忘れてはいけない気がした。
読み終わったあとも色々と考えさせられる小説。
逢坂冬馬さんの本は2冊目だが、この作家は善と悪が混ざりあった非常に人間らしい人間を書くのが上手い。次回作も楽しみにしています。
Posted by ブクログ
舞台は第二次世界大戦、終戦間際のドイツ。
とある町に鉄道のレールを敷いている主人公たちだが、何か違和感を覚えて、そのレールの行先に何があるのか探る。そこで見つけたものは何だったのか。
前作「同志少女よ、敵を撃て」では独ソ戦における女性兵士という、あまり一般的には知られていなかった存在を主人公にしていたが、今作もそのような知られざるグループが主人公となっている。
エーデルヴァイス海賊団。
ナチス政権下における、青少年による反ナチグループである。この本を読んで初めてこのグループの存在を知った。
あの時代に流されずに自分で物事の本質を考えられるのはどれほどいただろうか。考えられたとしても、あの狂気の時代に人と違うことをするのはとても難しかったはずである。自分の命すら危なかったと思うのだが、それでも自分を失わずに生きていたかった少年少女たちの激しい思いが胸に迫った。
時代が時代だから仕方ない、で終わらせないのがこの作品。
では、あの時代でなければ自分は人種差別をせずにいられたのか?
現代編で、自分は寛容で多様性を受け容れていると思っているインテリ人間が実は無意識に偏見を持つところなど、人間の本質とは何なのか考えさせられる。
Posted by ブクログ
ある日、ドイツの中学校で、生徒の1人が提出した課題の中に町では偏狭で有名な老人のことが書いてあった。
興味を持った教師はその老人に会いに行く。
エーデルヴァイス海賊団。
ナチス政権下のドイツで実在した若者グループ。
第二次世界大戦下でのドイツでは(でも)
ざっくり言ってしまえは
ヒトラー万歳
偉大なるナチス
のような洗脳と言っていい教育を、ヒトラーユーゲントという組織の中で14歳以上の子どもに(当初、参加は自由だった)大戦末期ではほぼ強制的に行なっていた。
そこに反発をしていたのがエーデルヴァイス海賊団。
しっかりした政治的思想や目標がある訳ではなく、ただただ強制されることがない自由な生活を望んだ(とされる)彼らの
命をかけた平和への願い、人間に対する思いが
これでもかと非力な子どもなりの精一杯の抵抗で描かれる。
収容所行きが決められた人々を少しでも助けたい、こんな世界を変えたい。
若い子が自分の命と引き換えにした必死の計画のおかげで多くのとはいえないかもしれないが数百名の収容所行きを阻むことができた。
あの戦争を生き抜いた、あの経験をした若者が、らな年月を経て自分の死期を悟ったのか(おそらく)90歳を過ぎて今を生きる戦争を知らない世代に伝えていく。
戦争は善人さえも変えてしまう。
みんな狂ってしまう。
戦死こそが理想。
狂気でしかない。
第二次世界大戦ものを読んだり見たりすると思う。
もしヒトラーが2000年代の政治家だったらどんな社会だったのだろうと。
著者が描く第二次世界大戦においての外国の話は、
決して読みやすいとは言い難い(難解ではないのだが、読み進めるのになぜかエネルギーを多く使っているようで大変。)のだが、本当に考えさせられるし、自分の無知を突きつけられるし、おもしろくて疲れる。
Posted by ブクログ
戦時下における、善良であるはずの市民の罪を訴追する物語。極限の状況下では、大勢に倣って行動してしまうのは仕方のないことと思っているから、そこで本来の善悪に立ち返ることができるのか。自分には難しそう。
ドイツでは2010年になっても、強制収容所の看守への裁判が行われて有罪になったということに驚いた。戦時下であっても、犯した罪は残る…。国民性の違いもあるのかな。
Posted by ブクログ
なにか変だと薄々感づいていても、見て見ぬふりをしてしまう
現代でも往々にしてあることですね
当時声高に主張したとても即座に収容所送りで、それを知っている大人たちは何もできないでしょうけれども
Posted by ブクログ
【同士少女】程のエンタメ感は無い!読み終わった後でPCで色々と調べたくなる作品です。実話と物語としてのバランスが凄くよくて最後の方は一気読みでした。
しかし...戦争なんかするもんじゃ無いって事だけは確実に言えるわ。
Posted by ブクログ
悲しいお話。
戦争は、終わってもなお
体験者の中で続いていくものなのかもな、と思った。
小説なので、実際の時代考証などは厳密でなくてもいいだろうに
執筆にあたり取材したり調べたり、大変だったのでは?と感じた。
Posted by ブクログ
本当にナチスの支持者でない人たちが反体制的な活動をしていたかはわかりませんが、今もある複数企業が間接的にナチスを支援していたってことは覚えておくべきだし、多くの人が見てみぬふりをしていたってのは自分も振り返るべき話だなと思いました。戦時下で、勇気ある行動をとった主役3人はもちろんですが、ドクトルもフランツもカッコよかったです。
フランツについて、ずいぶん自分を卑下するような書き方をするなと思っていたら、フランツが書いたという設定だったからなんですね。しかし、フランツが死んで、役所の人にこれまでの活躍が評価されてて、あれから並々ならない努力があったんだろうと思うと、人は変われるんだなをいう希望を持たせてくれます。ヴェルナーやレオンハルトたちの意思は引き継がれてるんだなって思いました。
人種差別に限らず、昨今話題にされる性的マイノリティーなどにも触れられていて、昔の話しながら今を考えさせられる話でした。
Posted by ブクログ
ドイツの歴史に、ヒトラーの時代に詳しくはない自分には少し難しいのではないかと思いながらも読みはじめたら、そんなことはなくサクサク読み進める事ができました。
わかりやすい悪がいて、少年達がそれに立ち向かう。単純な物語ですが、戦時中のドイツという緊迫する世界の中で自分達の信じる道を突き進む少年達、死をも厭わぬその姿、信念には驚かされました。
戦争の悲惨さと生への執着が生々しく描かれている傑作、だと感じました。
Posted by ブクログ
ナチ政権下のドイツにおいて、大勢に流されず自分たちの矜持を守り抜いた若者たちの話。とはいえ単なる青春小説に留まらず、人はなぜ人を自分の都合の良いように区別し分類するのか、という難しいテーマが横たわっている。
前作「同志少女よ、敵を撃て」に比べると物語の緩急やスピード感は落ちるものの、この若者たちや、彼らを取り巻く人々の内面を細かく描いていて飽きることはなかった。個人的にはドクトルが一番好き。ああいうオタク系が活躍する話はたまらないです。
Posted by ブクログ
父親が殺され1人で暮らすケンカの強い労働者の息子、ヴェルナー。ナチス親衛隊将校の娘、エルフリーデ。町の名士良い育ちの、レオンハルト。爆弾好きの、ドクトル。
4人のエーデルヴァイス海賊団が、周りを巻き込みつつ、収容所への鉄道を止めるため、トンネルを爆破することをひとつの目的とする。
連合軍がドイツを破るまでのストーリーと、その数十年後孫の世代のストーリーが繋がる。
初めから息をつかせぬ展開の速さと、主要登場人物の魅力。民族、歴史、家族、愛、戦争、全てが絡み合う。
レオンハルトのヴェルナーへ宛てた手紙では涙が止まらない。
いつの時代にも、国や体制に正直に戦い反抗する青年達が存在する。
そして、傍観し流れに身を任せ何もしない一般民衆が一番罪深いということ。
映画化してほしい。
Posted by ブクログ
歴史を紡ぎ語り手が次の世代にバトンを渡していく。ナチスドイツの時代を生きた青年達の物語。若さ故の行動が、終盤にかけて怒涛の展開へと繋がっていく。友情を強く感じられる場面が多かった。良本でした。
Posted by ブクログ
なんと表現すればよいのか、読み終えて体の力が抜けてしまいました。
ナチス体制下のドイツを舞台に、反ナチスの象徴的存在として描かれるエーデルヴァイス海賊団の物語。
一面を切り取れば、少年少女の冒険活劇とも思えるし、そんな感じの疾走感と爽やかさと儚さでサクサクと読んでいけるのだけど、その背景にはファシズムやユダヤ民の強制収容と虐殺といった暗い影が覆っていて、とにかく心を揺さぶられっぱなしの読書時間でした。
同性愛、反体制、戦時下の反戦、様々なマイノリティたちが描かれていて、マイノリティの立場で正義や信条を貫けるかという問いかけをずっとされている感覚でした。
Posted by ブクログ
逢坂さんのちょっと前の作品。疑問なのは、なぜ逢坂さんは外国を舞台にした作品を書くことができるのかってことです。海外旅行すらしたことがない自分には、現地の人が読んだらどう思うのかとても知りたいです。
エーデルワイス海賊団というのは実在したらしいです。日本なら中学生ぐらいでしょうか。ナチスのやり方に疑問をもち、抵抗した若者たちがいたのですね。もしこれがほぼ史実なら、ドイツでさえ日本ほど徹底した管理社会ではなかったって思いますね。食べ物に不自由している様子もないし。
逢坂さんの文章はとても読みやすく、小学生でも高学年なら読めそうです。これからもどんどん戦争などの題材を扱ってほしいですね。
Posted by ブクログ
印象に残った言葉
「完璧に他人を理解する人間はいない。自分を完璧に理解する他人が一人でもいるか、と置き換えてみれば容易に理解できるこの事実を、人はなぜかしばしば忘れてしまう。
人が受け取ることができる他人のあり方などほんの断片であり、一個人の持つ複雑な内面の全てを推し量ることなど決してできない」