【感想・ネタバレ】歌われなかった海賊へのレビュー

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Posted by ブクログ 2024年04月27日

複層的で、時代を超えたストーリー展開も傑作と思う。
それにもましてメッセージが重い。ハンナアーレントが指摘した凡庸な悪につけこまれないことの難しさ。きっと反戦ではなく、反全体主義。途中にあった、少数派の人が好きに生きられる社会が上等なのだろう、に共感できる。

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Posted by ブクログ 2024年04月20日

[同志少女よ敵を撃て]が面白すぎて書店で見つけて、即購入!

喜怒哀楽という感情が全て動かされた。
まさに本当の意味での感動!

大好きな一冊です!!

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Posted by ブクログ 2024年04月14日

今回も前回同様に、良かった。人が受け取るこたのできる他人のあり方などほんの断片であり、という文があるがまさにその通り。そのことを理解しているつもりでも、わたしたちは、わかったつもりになることが多い。
今まさに戦争が起こっていることを考えると、つらい。レオとドクトルの死は、本当につらい場面だった。フラ...続きを読むンツの想いをデミレルたちに語り継いでいってほしいと願う。

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ネタバレ

Posted by ブクログ 2024年04月12日

前作『同志少女よ敵を撃て』に続き今回も自身の在り方を問われる作品だった。
ユダヤ人虐殺はもちろん知ってるけど、でも残酷なリアルを知りたくなくて目を背けていた。いやいまも背けてる…。そんな見ないふりをすることさえ罪であると本作では言われてて、世の中の大多数の人が当てはまる傍観者な人間には訴えかけてくる...続きを読むものがあった。

作内でアマーリエ・ホルンガッハー先生は偽善者の悪人のように書かれてたけど、大多数の人はこの人のようだし、この先生だって実際悪人ではないよなあ…こう言ったらあれだけど海賊団のみんなは若いから他に守るものもなくて危険なこともできたけど、先生はもしナチスに背いて犯罪者になったら自分だけでなく家族も巻き込んでしまうかもしれないから見ないふりするしかない。
先生は確かに貧しい家の生徒に自分の食糧をわけてあげるという善性は本物だったわけだし…

後半の防空壕でヴェルナーたちはレオンハルトたちを助けるために警察へ抗議してくれって訴えたけど、それはもしかしたら犯罪者として自分も罰せられるかもしれない危険があったんだからあそこにいたのが自分でもやっぱりヴェルナー側にはつけなかったかなと思う…だってそれで死ぬことって結局シェーラー少尉の少年たちが戦争で死ぬことこそ正義ってのと同じな気がするんだよな…
でも歴史を変えてきたひとたちは沈黙せずに行動してきたひとたちだから戦うことって本当に難しいなと思う。

歌われなかった海賊へ、歌わなかった市民より。フランツ・アランベルガーさんの看板の意味が後半わかると、過去の戦争を過去のこととしてのうのうと生きてるわたしたちも責めてるのかなと思った。

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Posted by ブクログ 2024年04月13日

前作「同士少女よ敵を撃て」以来の逢坂冬馬さんの作品。前作が本屋大賞受賞作という事もあり非常に良い作品だった為今回も期待させられる。

今回の舞台は1944年のドイツの田舎町。1945年夏にドイツが降伏する、終戦間際の背景。

戦争が絡む作品を読むと毎回感じるのだが、戦中を生きている人達は「生と死」の...続きを読む価値観が今を生きる自分達と全く違う物に感じる。
その意味や価値、目的等が明確であり深い。
時間に対しても深さが伴い、今現在、明日以降の未来に対する考え方も全く違う。
上手く言葉にできないのだが、今現在を生きる自分達よりはるかに質の高い「生と死」への思慮を感じてしまう。

物語は戦争物なのだが、それ以上に青春物語。純粋に素晴らしく面白かった。

この作品を読むに当たって逢坂さんの執筆の目的のインタビュー記事をまず読んだ。
『「悪」から目を反らし「無知という名の安全圏」に留まろうとする大人達の姿を描き、知りながら消極的ながら残虐行為に加担していく姿、そこに本当の恐ろしさがある』
というのを読んだ。

確かにそうで大人になるにつれ、経験や思考から先の事に予想がつく事が多くなり、真実や真相、意思意図等よりも違うものを優先する事が多い。
物語でも描かれていた少年団はやはり純粋、しかし反逆勢力とみなされる。ここは難しい所だなと感じさせられた。
自分一人じゃないからだ、関わる家族や仲間、知人迄にも相応の処罰が下る未来が見えてしまう。
違うものを優先してしまう可能性があると感じた。

昨晩読み終えたのに、その後考えさせられてまだ余韻の中。頭の中の整理が上手くつかない作品になっている。

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Posted by ブクログ 2024年04月07日

たしかに同志少女よりもインパクトはないが、とても考えられるし、逆に同志少女と同じような表現だったら、この本の本当に伝えたいことは伝わらなかったんじゃないかと思う
序盤は淡々と物事が進んでいるように感じる部分があるが、後半の追い込みがすごく、感情移入してしまった
戦争経験がない現代を生きる私たちが読む...続きを読むべき本

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Posted by ブクログ 2024年03月29日

誰でもその人のまま、生きたい。理解できなくても、相手の存在を認めるということをできる人がいたりできない人がいるのはどうしてなんだろう?

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Posted by ブクログ 2024年03月27日

前作より、こちらに考えさせてくれる内容だと思った。
舞台はドイツの片田舎で、導入は現代の教師と生徒。
第二次大戦のことについてレポートを課すのが学校の伝統。年月とともに語られることは少なくなっていくことを、仕方ないとも感じる。
町の変わり者の老人の家の庭に「歌われなかった海賊へ 歌わなかった住民より...続きを読む」という看板がある。
その意味を、知っていくのがこの物語であると思う。

そこから本題。第二次大戦中、ナチの支配下で戦闘とは少し距離のある田舎町にも及ぶ「戦争」の影響とは。
当時青少年たちもヒトラー・ユーゲントなどナチ支持の活動をほぼ義務付けられていた。
そんな中で父親が死刑になり、ユーゲントにもはじかれた少年が、団体とも言えない「エーデルッヴァイス海賊団」に誘われる。金持ちの少年と、軍の偉い人の娘である少女。
少女は音楽に堪能。感動的なハーモニカの演奏と、暗喩に満ちた歌を歌う。

田舎町に駅ができる。終点のはずだが、その先にも線路はある。線路の先にあるものは、当時の世相を少し知っていればすぐに予想がつく。
強制収容所。
線路を通っていく貨物列車。見えないはずがないのに誰も見なかったことにしている。
少年たちの冒険と活躍と、妨害と、トラブルと、出会いと別れと、とある成功と、失敗。
たいへん先を読ませる内容で、冒険譚として面白い。

でも主題はきっとその先。
歌わなかった住民は、どうして歌わないのか。
まるで最初からナチを支持していなかった、自分はずっと反対運動をしようと思っていた。戦争が終わって人々はあらたな支配者に言う。
…でもかれらは貨物列車の先も貨物列車から見えたやせた腕も、目に映っても見ていない、知らない知らなかったと言うのだ。

戦争の罪は為政者や軍だけの罪なのか、見るべきものを見て、いうべきことを言わないこともまた、罪の一つではないのか。
目を背けたい気分になるそのことを、読み終わって少し考えた。

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Posted by ブクログ 2024年03月27日

最初はなかなか進まなかったけど
どんどんエーデルヴァイス海賊団に引き込まれていった。
少年少女達のそれぞれの想い、若者達を都合良く操ろうとする大人たち、少しでも人と違う人がいると除け者にする集団心理…昔も今も変わらないような気がするな…

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Posted by ブクログ 2024年05月05日

この人の作品好きだなーって思った。
個人的な好みなんやけど、人の考え方が変わっていく様子が好きなんかもしれん。
同志少女はデビュー作ってのもあって読みづらいところちょくちょくあるんやけどこっちはそんな感じんかった。

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Posted by ブクログ 2024年04月24日

第二次世界大戦末期のドイツ。反ナチを掲げる「エーデルヴァイス海賊団」に属する少年少女が、とある「最悪」を目にしたことからとある行動へと駆り立てられていく。

読み心地はどこかジュブナイルめいた爽やかさすら感じられるのに、彼ら彼女らが直面しているのは生と死が薄皮一枚で表裏になっている、戦争ですべてが破...続きを読む滅的になってしまった世の中。そして究極の凶悪が足でたどりつける距離に存在し、周りの大人たちはそれと意識しているのに、目を背けることで正気を保って生きている。

戦争というものが世界中で起こりつづけている今、海賊団の言葉に耳を貸さない市民たちと自分たちが重なるようでひどく喉が詰まるような重さがあった。市民の気持ちがわかってしまう、胸苦しさ、うしろめたさ。でもそれを抱えながらも、なにかきっとできることがあるはず。フランツのように。ウクライナへ、ガザへ、そして数多の紛争地へ、ひとりひとりがもっとできることがあるはず。

少年少女の真摯な想いとまっすぐな行動に、そんな思いを改めて抱かされた。作中での祈りと願いが、そのまま現実の世界にも訴えかけているかのように感じられた。戦争がすぐそばにあるのは、もう現実なのだという理解を、改めて抱いた。

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Posted by ブクログ 2024年04月22日

1944年のドイツの小さな村に、鬱屈した思いを抱えた16歳の少年がいた。母は幼い頃に亡くなり、父は密告されて死刑になった。密告者を待ち伏せ、襲いかかる寸前、聴こえてきた音楽に彼は心を奪われる。ハーモニカを片手に現れた少女は翌日、もう1人の少年に引き合わせる。それがエーデルヴァイス海賊団との出会いだっ...続きを読むた……。
史実を基にした、とても読み応えのある作品だった。前作『同志少女よ、敵を撃て』の殺伐とした雰囲気はなく、ジュブナイルを読んでいるような楽しさがある。反面、描かれているのは戦争という極限状況における民衆の行動の是非で、非常に重いテーマだ。この落差がいい。
偏屈じいさんから届いた最後の手紙で、涙腺が崩壊した。
難点を挙げるなら、前作でも感じた“ラノベ的な軽さ”だ。狙ってやっているのか、こうした文体でしか書けないのか知らないが、作品の背景やテーマを考えると非常に強い違和感がある。

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Posted by ブクログ 2024年04月17日

面白かった!過酷で目を覆いたくなる史実もエンタメ小説としてグイグイ読ませてくれる。
「同志少女よ、敵を撃て」と同じくハッピーエンドではないが救いがあり、読後あたたかい気持ちになれた。

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Posted by ブクログ 2024年04月18日

色々と衝撃的で、うまく感想は書けないが記録として。
逢坂冬馬さんは少女が銃を構えている表紙の本が人気と知っていたが、内容が恐ろしそうなため未読で今作が初めて。
内容は知らず読み始めた。
ナチスは残虐すぎて、正直今まで避けてきたのだが突然相対することとなった。

読み終えてまず、どれだけ資料に当たった...続きを読むんだろうと思い、物語としての読ませる力、内容、展開、どれもすごかった。
そして物語だけでなく、教訓が重かった。
人は自分に都合の良いストーリーを作るし、都合の悪いことは見えないことにする。そして集団の恐ろしさ。
都合の良い物語を作るというのは『傲慢と善良』でも書かれていて正にと思ったので、今回も印象に残った。
やはりこんな程度しか書けないんだけど、とにかくすごかった。

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Posted by ブクログ 2024年04月11日

なんとなくナチ体制下では大衆はみんな狂信的なイメージがあったけど、この物語に描かれている人々は違った。生き辛さを抱えながらも信念を貫こうとするエーデルヴァイス海賊団の少年少女、純粋にナチスが正しいと教育された子ども、見て見ぬふりをする大人たち・・・
『同志少女〜』は前線の戦士たちの話だったのに対し、...続きを読むこんどは戦時下の街の人々の話。今の世の中も形は違えど似たようなことあるような気がする。考えさせられる作品。

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Posted by ブクログ 2024年03月30日

抑圧された状況において、何を軸にして生きていくかを考えさせられた。自分は、登場するその他大勢の心理に近い。見方によっては、崇高な生き方が必ずしも幸福とは限らないのではないか。

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ネタバレ

Posted by ブクログ 2024年03月27日

映画化されそうな話だった
参考文献の量も膨大ですごい
自分に都合よく解釈して分かったつもりでいることってたくさんある。
ドイツの戦時下において、間違ってることを間違ってると怒れる感情や、それを貫く信念を持てるのは簡単なことじゃない。
行動に移した勇気もすごいし、その結果救われた人がいてよかった。

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ネタバレ

Posted by ブクログ 2024年03月26日

さすがの逢坂さん。青春小説っぽさに油断してる中にドンと来る。二項対立じゃないところも考えさせられて,これ読んだ後に「関心領域」見たらめちゃくちゃ考えさせられそうだな,と思う。

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Posted by ブクログ 2024年03月23日

あの大作から2年。再び戦時ドイツを舞台に描かれる、反ナチレジスタンスに身を投じた少年・少女の物語。10代の怒りという被膜が、殺伐とした世界をどこか幻想がかって見せる。
深みのあるテーマが地雷のように埋められている気がして息を止めて読んだ。

音楽によって文化を作った少女。
それを受け入れ、やがて見殺...続きを読むしにする市民。戦争美化を繰り返し戦後それを忘れる教師。

不条理に若者が抱くストレス。何かを爆発させたい衝動。盗んだバイクでも校舎の窓ガラスでも良かったかもしれないけど、彼らは矛先を強制収容所に向けた。

読んでる途中、ヒトラーユーゲントという言葉に反応して手塚治虫『アドルフに告ぐ』を何度も思い出した。これはナチスドイツを生き延びた2人のアドルフが、最後はイスラエルとパレスチナに分かれて戦うという現代を予言めいた結末で終わる。
親友だった2人が思想によって殺し合い、人は変わってしまうということが描かれていた。


逢坂冬馬さんは1作目『同志少女〜』を書きながら、すでにエーデルワイス海賊団のことも描きたい気持ちだったんじゃないかなと思う。伝えたいことはあるはず。

なぜ戦う若者の話を取り上げるのか。それを主役らの晩年という形で振り返るのはなぜか。

ユーゲントとエーデルワイス海賊団の境界はあいまいで、白黒を決めているのは大人という揶揄か。戦争へ突き動かすのは独裁者と、実は動かない市民という含みか。プロパガンダを煽る教師は、コタツ記事を書いて炎上させる亡者だ。遺志を継ぐのは次の若者だ。そこになんでLGBTQや多様性まで乗っかってくるんだー。あぁー。わーん。完全な消化不良。
怒涛のラストが面白すぎて脳内パニック。


「私たちはそんなんじゃないのに、どうしてみんな、自分の都合で分かろうとするんだろうね。」「うん。」


まさかとは思うけど、これ全部、遊び…?

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ネタバレ

Posted by ブクログ 2024年03月19日

【前作「同志少女よ、」よりも現代人が自分ごとにして考えることができる作品】と感じる。
今、作中のような状況になったとしても、きっと自分は、駅舎で列車から伸びている腕を、見て見ぬ振りをするおじいさんのように立ち振る舞う。それこそが賢い生き方だ、あの子達は愚かだと自分や周りに言い聞かすことで自己を正当化...続きを読むさせるだろうなと。この本を読むまでは、その状況に違和感を覚えなかったかもしれない。

結果、“賢く立ち回った”人たちが平穏な暮らしに戻り、自由のために戦った人たちが、絶望にも似た感覚を覚えて戦後を迎えていたことに胸が締め付けられる思いだった。現実的だがやるせない。
またこの作品は、今現在、他の地域で起きている事柄に重ねて考えることができる。よくできた作品だと思った。

追加:「関心領域」という映画にも通づるものがある。また別の角度からの作品。

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Posted by ブクログ 2024年05月06日

生き残る為の嘘と真実。人間は死に追い込まれた時の選択が、嘘をついて生き残る選択を取るか、真実を押し通し死を覚悟する選択を取るか。時は連合軍により侵攻でナチス体制が崩壊始めた時期、強制収容所近くに住むナチ、青少年ヒトラー・ユーゲントに忠実な住民における選択が迫られ、実際に連合軍はそんな住民に対してどん...続きを読むな判断をしたのだろうか。強制収容所への輸送を阻止しようとした勇敢な少年少女軍団「エーデルワイス海賊団」は現在でも碑のプレートは存続している、という。この小説はその一部事実を遺す為の「生き残る為の嘘と真実」人間の尊厳を問う小説だ。
現代でも命令に従い悪をも実行するのか、あくまでも反抗し乱暴されても悪には手を出さないのかの選択など「命令統制」に絡む事件に疑問が残る。命令した者への報復と実行した者への報復をどのように判断したら良いのか。

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Posted by ブクログ 2024年04月29日

「第11回アガサ・クリスティー賞 大賞」を受賞したデビュー作『同志少女よ、敵を撃て』の逢坂冬馬、長編二作目。『同志少女~』が良かったので、著者追っかけで今作も手に取ることに。

舞台は1944年、終戦間近のナチス体制下のドイツ。主人公である少年・ヴェルナーは、父を密告して処刑に追いやった街区指導者の...続きを読むカール・ホフマンを復讐により殺害を狙っていたところ、同年代の少女・エルフリーデに止められる。その翌日、エルフリーデより伝えられた廃工場に入ると、レオンハルトと名乗る少年が彼を出迎える。レオンハルトとエルフリーデは、自由を奪うナチス体制に反抗する「エーデルヴァイス海賊団」だと名乗り、ヴェルナーを勧誘する―――。

「ナチス体制下のドイツで、"自由"を求めて抗った少年少女たちの青春物語。」

前作と同様、戦争(という大人の事情)に立ち向かう少年少女たちの物語。大人に気付かれないよう、違法となったワンダーフォーゲル(徒歩旅行)を敢行し、線路を辿って歩き進むシーン(途中、列車が走って来たり、ヒトラー・ユーゲントに追いかけられたり。)で想起されるのは、やはりキングの名作『スタンド・バイ・ミー』。

ナチスが行っている悪行を見過ごすことの出来ないヴェルナーたち。その悪行に気付いていながらも、見て見ぬふりをする大人たち。「"歌われなかった海賊"(=ナチスの悪行に抗ったヴェルナーたち)と、"歌わなかった住民"(=そんなヴェルナーたちの姿から目を背けた大人たち)」。

しかし、そんな大人たちを一概に"悪"と切り捨てることも出来ない。「子供だからこそ出来ること、大人だからこそ出来ないこと」、「"歌いたくても歌えない"大人たち」。抱える事情や価値観は十人十色で、自分の物差しだけでは決して測れない。全てを理解することなど到底出来ないが、「理解出来ないもの」と切り捨てずに知ろうとする姿勢は、決して忘れてはならない。

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ネタバレ

Posted by ブクログ 2024年04月21日

ナチス政権下において、その統制に反発して生まれた14〜18歳程度の若者達のグループの1つ、エーデルヴァイス海賊団のメンバー、ヴェルナー、レオンハルト、エルフリーデ、ドクトル、フランツによる、強制収容所に繋がる鉄道のトンネル、橋の爆破に至る物語。
政治的、思想的信条を持たない彼等が何故命懸けでその様な...続きを読む行動をしなければならなかったのか。それは、表向き人々に隠されているとは言え、皆気付いている筈の虐殺を彼等が実際に目にしてしまったから、と彼等は言う。
支配する体制側について巨悪も見て見ぬ振りをせざるを得ない多くの市民、大人に対して、自由を求める若者特有の純粋さの為せる技か(勿論、若者といえど多くは体制迎合であろうが)。

改めて映画「関心領域」を早く観たいと思った。

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Posted by ブクログ 2024年04月15日

同志少女〜からこの作品を知った。ナチス政権下のドイツで3人の少年少女が手を組み、外の街に続く線路の向こう側で何が起こっているかを探る。3人はそのつながりを冷めたものだと認識しているが、実際はその友情は固く、どんなときもお互いを信じて見捨てない姿が美しい。また、この小説はユダヤ人差別だけでなく同性愛者...続きを読むへの迫害を扱っているのも印象深い。レオンハルトの秘めた思いが明かされた時、彼がレズビアンのカップルに対して取っていた態度の真意をやっと理解し苦しかった。無知な12歳であったフランツは戦後、街中からおかしな老人と思われても語ることをやめない。戦争は決して私達と隔絶されたものではなく、歴史も争いも、平和な現代と地続きにあるものだということを忘れてはならないと感じた。エルフリーデの歌をプランツが忘れなかったように、私は知らんぷりをしてはいけないし、学び続けなければいけないのだと思う。

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Posted by ブクログ 2024年04月12日

2024年 21冊目
ナチスの強制収容所をテーマとした戦争小説。当時の緊張した空気感を再現した細かな描写は流石だと思いつつ、なかなか読みにくかった。名前が覚えられなかったのが一つの要因か。

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Posted by ブクログ 2024年04月11日

戦時下のナチス支配を描いているけれど、戦場ではなく日常を生きる若者を描いているため、青春冒険譚という印象を受けた。線路の上を歩くのもあり、スタンド・バイ・ミーを思い起こさせる。

エーデルヴァイス海賊団が実在したことは知らなかったので、あの時代にこんな若者たちがいたのかというのには驚いた。前作でもそ...続きを読むうだったが、実際の歴史と混ぜ合わせて物語をつくるのが上手いなぁと思う。前作がとても良く期待値が高かったせいで、少し物足りなかった気はするけれど。

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Posted by ブクログ 2024年04月10日

ドイツの戦中、戦後史をよく知らなかったので少しだけ勉強になった。
ただあまりに遠い内容なので没入感は得られなかった。

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ネタバレ

Posted by ブクログ 2024年04月07日

終戦間際のドイツ、エーデルヴァイス海賊団の物語。

自分の正義を貫く少年少女。
見習うべき姿があるが、自分にはそんな度胸はない…

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ネタバレ

Posted by ブクログ 2024年04月02日

ナチス体制下のドイツ。「エーデルヴァイス海賊団(なんで「海賊」なのかなとは思う。)」という集まり。同志というよりそれぞれが実の親を探してたり性的少数者だったりの背景がある。そんじょそこらのニュースより考えさせられる。私なんか主人公の祖母だろうと思うけど、そういう人物への許容的な視点があるのもすごいな...続きを読むと思った。

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ネタバレ

Posted by ブクログ 2024年03月26日

WW2時のドイツで、少年を中心としたレジスタンスのエーデルワイス海賊団の話。

現代から始まる。現代の教師であるホルンガッファーは祖母も教師。祖母の代から生徒に出す課題として、「この町と戦争」を生徒に書かせるものがある。
が、街の嫌われ者の老人であるフランツと出会い、フランツの書いた本にのめり込む。...続きを読むその本の話は…

戦時中。大手靴メーカーの御曹司のレオンハルトと武装親衛隊将校の娘エルフリーデがナチに反しエーデルワイス海賊団を名乗る。父親を反ナチで処刑されたヴェルナーを仲間に入れ、爆弾を作るのが趣味のドクトルと4人で海賊団を名乗る。
街に鉄道を引くことになり働く。鉄道のいく先はマップでも何も明記されていない場所。歩いて何日もかけて何があるかを確認すると、強制収容所で貨物列車で大量の人が運ばれていた。貨物列車で死ぬ人や、到着後に撃ち殺される人など、非人道的な扱いを見て心を打たれ、途中経路のトンネルと陸橋を爆破する。

レオンハルトとドクトルが処刑された時に連合軍が街を占領し、レオンハルト遺書から彼がヴェルナーを好きだったことがわかる。

当時の無能なガキが、フランツ。

日本と似たような戦時中の状態だなぁと思った。


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人は、自分が受け取った他人の、断片化された一面をかき集め、空白を想像で埋め、矛盾のなさそうな「その人らしきもの」の像を組み立てる。そして自らの作り上げた虚像を眺めることで、他人を理解したつもりになる。

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