【感想・ネタバレ】満願(新潮文庫)のレビュー

あらすじ

「もういいんです」人を殺めた女は控訴を取り下げ、静かに刑に服したが……。鮮やかな幕切れに真の動機が浮上する表題作をはじめ、恋人との復縁を望む主人公が訪れる「死人宿」、美しき中学生姉妹による官能と戦慄の「柘榴(ざくろ)」、ビジネスマンが最悪の状況に直面する息詰まる傑作「万灯」他、「夜警」「関守」の全六篇を収録。史上初めての三冠を達成したミステリー短篇集の金字塔。山本周五郎賞受賞。

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Posted by ブクログ

最初の章で一気に引き込まれてそのままどんどんのめり込んでた…。

どれも不安を掻き立てられるような展開なのに、話の先が気になって読む手が止まらなかった…

1章あたり50~100ページくらいでそんなに長くないのに、簡潔にまとまっててかつ完成度が高いっていうのも、どんどん読み進められた要因かも。

人的には「柘榴」が1番ゾワっとした。

最後の解説も、読んで自分が感じた感情がそのまま言語化されてて、自分はこう感じてたんだなって解釈できてよかった

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2025年12月11日

Posted by ブクログ

読みはじめて思う…。
この作品読んだことあるかも…(笑)
でもきっと読んだ当時、文章が横滑りして、頭に入らなかったに違いない(;´∀`)

みなさんの本棚でよくみかける作品だったので、気になってもいたのですが、みなさんに愛されるの、納得ですっ!!

米澤穂信さんの作品は、『刑事の生き様』で最近ふれさせてもらって、ツボだったんですが、この作品…凄い…。

短編で構成されているのですが、すべて面白い

背中がゾクッとなりますが…。
夜中に読むこともおすすめしません…

タイトルになっている満願の意味…
願いが叶うこと
期間を満了すること

読み終わったあとで、心から思います…
素晴らしいタイトル✨

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2025年12月07日

Posted by ブクログ

短編。面白かった。「夜警」新人警察官、自分のミスを誤魔化そうと、とんでもないことに❣️「ちょっと待って、この人、それでよく、警察官になれたね」と、ツッコミ入れたくなったけど、それじゃ、お話、始まらない。「万灯」ビジネスマンの発展途上国での、とんでもない話。日常から、少しずつ、大きな過ちに。短編6つ面白かったけど、特にこの2つ、ハラハラして、私は面白く感じた。

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2025年12月06日

Posted by ブクログ

ネタバレ

満願という言葉、普段使わないなーと思って調べたら「満願成就」て言葉がありますよね。あーなんかそういう願いが叶うような感動的な物語かな!と読む前に思っていた私を見事にボコボコにしてきました(笑)青春系米澤ワールドではなく、ブラック&ビターの方でしたね。願いというか欲望というか……人の願いとは、行き着くところは欲望なのでしょうか?生きているから願いがあるのか、願いがあるから生きているのか?人間の本質に踏み込んでいくような作品でした。面白い!!
「柘榴」は雰囲気ちょっと湊かなえさんっぽいなーと思いました。月子の傷が深いのは何故だろうと思ってたら……そういうことね!と。全てが繋がりましたね。
「万灯」の話が一番好きでした。豊かさを知ったゆえの貧しさっていうのが心に響きました。自分が貧しいと思っているのかどうかではなく相対的な豊かさを求めてしまうと、特に今の世の中ではドツボにはまっていきそうに感じました。SNSでいつでもキラキラしたような世界に憧れてしまいますので。長老たちは同じように、国や村のことを思っているのに何故こんなことになるのか。人が一緒に生きていくうえでは争いは避けられないのだろうかと、ちょっと悲しくもありました。

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2025年12月02日

Posted by ブクログ

1話1話があまりに見事なミステリー短編集
殉職した警察官の隠そうとした真実を解明する「夜警」と、バングラデシュでビジネスのため人を殺した男に与えられた裁きを描く「万灯」が特に秀逸。
久しぶりに星5レベルの一冊。オススメしたい。

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2025年10月03日

匿名

購入済み

米澤穂信さんの作品が好きで色々読んできましたが、これもまた米澤穂信らしさがでている作品でとても良かったです。

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2025年02月28日

購入済み

良質なミステリーの連続

友人のススメで拝読しました。
表題作「満願」だけでなく、全ての短編に共通した人間の心理描写に惹き込まれました。謎が解けていくに従い、登場人物の息遣いすら聞こえて来るほどのリアリティが迫る良作。あっという間に読み終えてしまう、貴重な体験でした。

#ドキドキハラハラ #怖い #共感する

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2024年08月15日

Posted by ブクログ

ネタバレ

それぞれ独立した短編集。
主人公はベテラン世代の男性ビジネスマンが多く、時代も自分が知らない昭和がほとんど。
令和では身近にあるスマートフォンやSNSといった単語、ワークライフバランスを実現しようとか多様性が大事だとか、そういう思想は一切ない。
なのに、なんの違和感もなく物語に入っていける不思議なリアルさが絶妙で、ちょっと怖い。
展開が広がる前に、すでにそういう怖さがあるのに、読み進めるごとに物語そのものの怖さが加わって、ラストまでずっと緊張は上がりっぱなしだった。

この物語に共通する怖さは、目的を成し遂げるために、とんでもないことをしてしまう人間の欲深さ。
真相には、いつもじわじわと辿り着く。
このじわじわさが、たまらなく依存性がある。

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2025年12月07日

匿名

購入済み

どれもざらつく読後感でオチに一癖あって良かったです。

個人的には万灯が一番面白かったです。最初は取っ付き難い内容だなと苦手に思っていましたが、読み進めてみるとオチがどれよりも好きでした。

逆に評価の高い柘榴と関守は途中でオチが読めてしまって個人的には響かなかったかな…。

この本が好きなら同作者の「儚い羊たちの祝宴」にも好きな話が見つかるんじゃないでしょうか。

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2020年10月19日

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人間の捩れた一面が静かに淡々と明かされて終わる後味は微妙な短編が続きます。
明かされる過程に論理パズルの要素があるものもあるが、そうでないものもあって、これがミステリとして非常に評価されたことに、改めてミステリとは何なのかと思わされました。

「満願」、特に「夜警」が好み。この二編も後味は微妙ですが、論理ががっちりハマっていく爽快さと混じってなんとも言えない読後感がありました。
連作短編集ではなく、一つ軸となるテーマにそれぞれ違うカテゴリーの材料を肉付けした短編の集まりという完成度の高さがすごかった。

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2025年12月15日

Posted by ブクログ

ネタバレ

✩4.5

面白そうでずっと読まずに置いてただけある、めっちゃ良かった

私的推しは最初の「夜警」と中盤の「柘榴」
夜警の若者、私もミスを上手いこと隠したいと思っちゃうけど、そこまで考え及ばへん

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2025年12月12日

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ミステリー短編集ながらもどの話も満足感があった。ゾッとしてなんとも言えない後味が残るけど面白かったー。米澤さんは小市民とか図書委員シリーズの青春ミステリ系しか読んだことなかったので他の作品もどんどん読みたいと思った。

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2025年11月27日

Posted by ブクログ

6つの話が入ったミステリー短編集。1つ1つの話は短いのに非常に読み応えがあった。

何か悪いことが起こりそうだけど、先の展開が全く読めない。人の悪意に気付いた瞬間はホラー作品よりよっぽどゾッとする。

6つの話の共通点は「他人には理解できない信念」ではないかと思う。1番大事ものを守るためには罪すら犯すが、その大事なものは他人には到底理解できない。

特に好きだったのは以下の2話。

殉職した警察官の行動を振り返る「夜警」
親権をめぐって娘達が画策する「柘榴」

この2作の登場人物が1番共感できないから恐ろしく感じ好きだった。

「万灯」は6話の中で1番長く書かれているので、その分主人公に感情移入しやすかった。最後に因果報応になるのも良かった。

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2025年12月01日

Posted by ブクログ

ミステリー短篇集で、解説通り「人間の不可解な心理を謎の中心に据えた作品集」だった。ホラーではないが、人間の深層心理から現れる怖さがあって、全部それぞれ違う怖さがあった。

各章の謎はしっかり書かれているので、モヤモヤせずにスッキリした。でも真相を知るほど、人間怖いって思った。短篇という限られた枠の中で、人間心理を丁寧に掘り下げ方や謎の解き方など物語の紡ぎ方が上手だなって感心した。

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2025年11月19日

Posted by ブクログ

個人的には『儚い羊たちの祝宴』、中でも「玉野五十鈴の誉れ」の方が好きだけど、満願もどの短編もコンスタントに面白かったです。
中でも『関守』は結構後味の悪さが良かったです。ちょっと理不尽だったし笑
面白かった〜!

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2025年11月18日

Posted by ブクログ

 日常の中で起きる殺人や企みに関する短編集。
 探偵役みたいなものは存在しないことが多く、主人公が密かに気付くスタイルがほとんどを占めていた。それぞれ、立場や職業は違うが淡々と綴られていてすっきりとした印象を受けた。あまり短編同士に共通点はなく、大きなテーマ性のようなものも感じなかった。
 「柘榴」や「万灯」はあまり好きではなかったが、「死人宿」、「関守」、「満願」は好きだった。「死人宿」は人のできることの限界を思い知らされるような最後が好きで、「関守」は伏線回収が過去の逸話も絡めてなされる鮮やかさが好きで、「満願」は下宿先の奥さんの心遣いや風景描写が好きだった。

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2025年11月16日

購入済み

儚い羊たちの祝宴が好きな人は

米澤穂信さんの"儚い羊たちの祝宴"が本当に大好きなので、気になってこちらも読みました。どの主人公も間抜けじゃないのがいい。短編だから読みやすくて、どこか上品な感じが本当に良い。タイトルにもなってる"満願"は構成や雰囲気が1番"儚い羊たちの祝宴"に近いと思う。面白いと思ったのは夜警と万灯。柘榴は綺麗な文章だなと思った。

#ドロドロ #ダーク

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2025年11月12日

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これぞ本格ミステリの短編集という趣きでした。
どの話もクセがあり、スッキリ謎が解けるものもあれば、余韻を残すものもありました。

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2025年11月12日

Posted by ブクログ

ネタバレ

6遍のミステリー短編小説は人間の不可解で複雑な心理を読むに仕込まれた内容だ。「柘榴」では精神的に疲れ果てた母親を守ために親の親権を敢えて無職の夫に姉妹が選んだ事、「満願」では夫の借金の山を自ら殺意を持って守った妻、更に妻の思いは先祖代々の掛け軸を他人に渡さないと言う先の行方を行動した心理を図ったことだ。気になる言葉は:
「学があるというのは大きな事です。この世はとかくままならぬもの。でも学があれば
世が世なら臍を噛むときもきっと少なくなりましょう」

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2025年11月11日

Posted by ブクログ

ネタバレ

人にオススメされて長らく眠らせていた《満願》。
なぜもっと早く読まなかったのだろうと後悔するのは本を読む上での避けて通れない道だ。
もともとミステリーはあまり読まないほうだが、どの話も巧みに構成されていて、ぐいぐいと引き込まれた。記憶力に自信がないので人物名を覚えるのに必死になったり、時系列の前後に置いていかれそうになったりしながらも、読み進めるうちにその世界の中に取り込まれていた。



「夜警」
渋いおじさまの枯れたような雰囲気の中にも、罪悪感という炎が滾っているようで、その視界を通して世界を見ている気分になった。
登場人物たちの「嫌い」「警戒」といった感情がひしひしと伝わり、まるで自分がそこにいるような臨場感を覚えた。



「死人宿」
最初は登場人物たちの関係がつかめず、どういうつながりなのだろうと注目しながら読んだ。
話が進むにつれ、霧が晴れるように関係性が見えてくるのが面白かった。「葉擦れの音」という表現がとても綺麗で印象的だった。
「夾竹桃」という植物が出てきて、知らなかったので調べたら「素手で触るな」と書かれていてどきりとした。
一人だけが死ぬという小説の“お約束”に自分も囚われ、早とちりで「一件落着」と思い込んでしまったのも印象に残った。
最後の「またもや死人宿が繁盛する」という言葉には不気味な余韻があり、噂が新たな事例を生み、さらに広がっていく様子を感じた。



「柘榴」
この話は夢中で、まさに柘榴を貪るように読み進めた。
語り手が女性ということもあり、共感と情景がすぐに浮かんだ。
親子間で恋が連鎖するという設定には恐ろしさを感じつつも、その異常さに惹かれた。
母親としての愛と、女としての愛。その二面を一つの果実「柘榴」で象徴させる構成が見事だった。
特に、夕子と父親の約束が三度登場する場面は強く印象に残り、最後の三度目で思わず声が出るほど気味悪く感じた。



「万灯(まんどう)」
タイトルの読み方を調べ、「数多くの灯火」という意味だと知った。
主人公の最後の独白、「街を灯す明かりに、自分の力で加えたかった」という言葉がとても印象的だった。
私は主人公のように信念のために異国へ行く覚悟を持ったことがないので、深く共感はできなかったが、彼の信念の尊さと、それでも血に濡れた手足の哀しさが心に残った。
張り巡らされた不安がじわじわと首を絞めていくような描写も見事で、最後にはまるで銃口を定められたような緊張感があった。
「スピード命」の主人公が、静かに向けられた銃口によって破滅していく構図が印象深い。



「関守」
とても面白かった。個人的には、このホラーテイストの物語が一番好きだった。
繰り返される言葉が少しずつ真実を開いていく構成が巧みで、最後の「重いまぶたを、かろうじてこじ開ける」という一文が強く心に残った。
老婆がその目をこじ開けたのだと思うと、背筋がぞっとした。
「人の助言を舐めてかかると痛い目にあう」という教訓めいた結末も印象的で、自分にも思い当たる節があり、戒めのように感じた。



「満願」
昭和の時代を感じる雰囲気の中で、掛け軸を「個人の誇り」として大切にする描写が印象に残った。
不貞行為が起きるのではと少しドキドキしながら読んだが、そうではなかった。



短編集を通して、米澤穂信という作家の特徴が少し見えてきた気がする。
伏線の張り方と回収の見事さ、そして一文一文に残る「余韻」が印象的だ。
どの話も緻密に構成されており、読後に何度も振り返りたくなる。
ぜひ、ほかの作品も読んでみたい。

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2025年10月30日

Posted by ブクログ

アニメ小市民シリーズで知った米澤氏
理路整然とした謎解きが心地よい作風だと思ったので読んでみたいと思った
「夜警」と「万灯」はドラマで見た記憶

【夜警】鬼の居ぬ間におイタしちゃった新人が企てた計画と失敗
【死人宿】遺書の主を探すミステリー よかったと思いきや…
【柘榴】うわぁ…親子でも女の敵は女やなぁ(^▽^;)
【万灯】ビジネスマンってのは…
【関守】都市伝説を追った先に
【満願】動機が意外

ひと昔前な感じが郷愁を誘うセピア色なイヤミス短編集
どれも背景からしっかり語られていて読み応えがある

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2025年10月24日

Posted by ブクログ

最近読んだ短編集は、同じ登場人物が出てくるなど、連作短編集の形態を取るものが多かったが、この本は6つの話全てが独立していた。

どれもおもしろく、すいすい読めた。
こういう話なのかな?と想像を膨らませながら読んでいたのに、最後の最後に予想外の結末が待っていてゾワっとする読み心地だった。

ちゃんとミステリーしてた!

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2025年10月14日

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いやー、なんて人の業とは凄まじいものなのだろうか私はそれだけの物は持ち合わせていないだろうと思いました。サクサク読めました。書士さんお勧めで読みました。

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2025年10月13日

Posted by ブクログ

「夜警」以外は聞き慣れない2文字のタイトルばかりなのだが、読み進めていくうちにその絶妙さに気づく。見事な短編集でした。

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2025年10月04日

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トリックなど手段の「どうやって?」ではなく、動機など心理面の「どうして?」という謎について書かれたミステリ短編集。事件の予兆のようなものがきちんと描かれており、結末へと向かうさまは因果と呼びたい暗さや後味の悪さがある。あまりにもその因果がはっきりと書かれているのでおとぎ話のように感じるぐらいだ。浅いと感じるか深いと感じるかは好みにもよるだろうけれど、短編で人の心をここまで描いているのはやっぱり凄いと思う。

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2025年09月30日

Posted by ブクログ

ネタバレ

贅沢だな〜と思うくらい各短編が面白かった。
特に印象に残ったのは夜警と柘榴。

とても綺麗な母のもとに生まれた2人の娘は、
大事に育ててくれた母を貶め、父と暮らすためにとある計画を立てていた…という話。

後味がイヤ〜な気持ちだけれど、ずっと忘れられないインパクトがあった。

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2025年09月30日

Posted by ブクログ

ネタバレ

良い。
読者を楽しませる作者の力量は優れている。
多方面に渡る材料を生かした作品。予想外の結末。

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2025年09月22日

H

購入済み

夜警、死人宿、柘榴、万灯、関守、満願の6つの短編集です。個人的には、死人宿と満願が後に残りました。その他の4篇も標準以上です。
米澤さんの作品は、古典部シリーズしか読んでいませんが、短編も味があると思います。

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2023年11月28日

Posted by ブクログ

6つの短編がどれもハズレなしで面白い!短いながらも綺麗にまとまっており読みやすいです。ミステリーで万人におすすめできる作品です。

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2025年10月12日

Posted by ブクログ

本書は表題作『満願』を含む6篇からなる短篇集であり、いずれの作品も、読後に微かな不快感を残し、どこか陰鬱な雰囲気を漂わせる。各篇とも非常に密度が高く、とても満足度の高い読書体験となった。

個人的にはこの順番で好き
万灯>関守>柘榴>夜警>満願>死人宿

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2025年10月05日

Posted by ブクログ

万灯、関守が面白かった!パンチが欲しい、イヤミスが読みたい、物足りなかったという方はぜひ『儚い羊たちの祝宴』を読んでみて下さい!

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2025年09月16日

Posted by ブクログ

まず最初に謝らないといけない…
以前「古典部シリーズ」を2冊ほど読み、結構ひどい評価をし、多分もう二度と米澤穂信作品は読まないだろう…とか書いてしまいました…
まあ、今考えても「古典部シリーズ」は私には合わなかったので、そこは勘弁して欲しいのですが、これはとても面白くて、米澤作品がどれもこれもどうせ私には合わないだろうという思い込みは間違えてました…ごめんなさい!!
では、仕切り直しまして…
一番好きなのは「夜警」でした。分かりやすくて面白かった!次は「関守」。
その他の作品も★にするとこんな感じ…
夜警★★★★
死人宿★★★
柘榴★★★
万灯★★★
関守★★★★
満願★★★
解説に松本清張を思い起こした…みたいな事が書いてあったけれど、私は小説全体の雰囲気が、北村薫作品や北森鴻作品に似ているなぁ〜と思います。
心を入れ替えて(笑)、「古典部シリーズ」以外の米澤作品はまた読んでみようと思います。

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2025年09月22日

Posted by ブクログ

ネタバレ

なんかの賞を3冠してるということで読んでみた。ミステリーは色々読んできたけど、初めての短編作品だった。ひとつの物語がサクッと終わるから忙しい時には良いかも。柘榴とか関守とかはゾクッとする終わり方で面白かった。ただ、長編の、物語にボリュームがある方が好きなんだと分かったから自分には短編は合わないのかも

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2025年09月10日

Posted by ブクログ

1.著者;米澤氏は小説家・推理作家。中学2年頃から、オリジナル小説を書き始めた。大学2年の時、小説サイト「汎夢殿」を運営し、作品を発表。大学卒業後は、高山市で書店員をしながら執筆。「氷菓」で角川学園小説大賞奨励賞受賞、「満願」で史上初のミステリ・ランキング3冠を得て、山本周五郎賞も受賞。他に、直木賞など多数を受賞。座右の銘はアルベール・カミュの「性格を持たない時に、人は確かな方法を身につけなければならない」。米澤は「天才でないなら、技を磨きなさい。技と頭で書け」と考えた。
2.本書;ミステリー短編小説。6篇構成の独立した物語。❝①夜警 ②死人宿 ③柘榴 ④万灯 ⑤関守 ⑥満願❞。6篇は、主人公のその後や描かれた謎を語っておらず、続者の推理に委ねる。解説から「『満願』は、人間の不可解な心理を謎の中心に据えた作品集」で、「米澤は、原点に立ち返り、独立した作品による短編集を世に問う事を目指した」と。
3.個別感想(印象に残った記述〔場面〕を3点に絞り、感想を付記);
(1)『第3章;柘榴』から、「父は離婚に同意」・・「父はまともに働いていない。あれは自分を律する事の出来ない、だめな大人」・・「夕子、月子の二人につき、親権は佐原成海(父親)に属するものとする」・・「佐原さんには生活力がない。これは娘さん達のご意思なんです」・・「二人はあなたから暴力を受けていると主張」・・「(母親)自分達の体を傷つけて噓をつく程、父を心配しているとは全く知らなかった」
●感想⇒『柘榴』は、「姉妹2人が、両親の親権争いで生活力の無い父を選ぶ」という物語。父親は、定職に就かず、生活費さえ入れないダメ人間。母親は、離婚調停での親権争いで、子供と同居し、生活力があり、有利と考える。しかし、予想外に、親権は父親との裁定。理由の一つは、姉妹はが身の体を傷つけ、母親から暴力を受けている、と嘘の主張。これを読んで思ったのは、父親を親権者に選んだ姉妹の判断。第三者は普通、親権は母親だと考える。小説だからと言ってしまえばそれまでだが、親と子の世代間の違い、更には、子供は普段から両親をどう見ていたのか、当事者でないと解明できない問題だと思う。親は同性の子に厳しいと言いますが、父は娘に対し、母にはない優しい面があったかもしれません。この物語は、他人には伺い知れなく、そして、常識が通用しない人間の心の闇を描いています。今更ですが、普段から細やかなコミュニケーションで、相互理解できる親子関係の構築が必要ですね。
(2)『第5章;関守』から、「高田は、悪い男。娘の事を怒鳴るのはいつも、殴る蹴るも当たり前」・・「日がな一日びくびくしながら、毎晩の仕事で稼いだ金を全部吸い上げられる」・・「そんな娘が逃げる決心をしたのは、子供が生まれたから」・・「土砂降りの日。娘はこの店に、泥だらけになって転がり込んできた」・・「助けてお父さん、お母さん」・・「お前の家から金さえ貰えば、別れてやってもいい」・・「娘は高田を、手近な石で殴り殺した」・・「(父母)崖の下に(高田の)車を落として事故に見せかけた」
●感想⇒『関守』は、「桂谷峠で、不可解な自動車事故が発生(4年間で4件、死者5名)。道中にあるドライブインの店主から真相を聞かされる」という物語。高田は、最低な男。私の周辺にはこんな輩はいません。娘が好きで選んだ相手とは言え、親としては放っておけないでしょう。子供の結婚に関する私見です。子供の伴侶を親が決めるのは良くないと考えます。子供の方から、伴侶選びを頼まれた場合を除き。親は、結婚に際し、アドバイスは必要。例えば、付合っている時に、相手の実家に訪問し、親兄弟への言葉遣いや態度を観察する事。一般論ですが、礼節に欠ける言葉を浴びせるような人は良く無いと思います。結婚後は、どんな難問でも二人で解決するのが基本ですが、このケースのように、相手が人格にかける人の場合は、親としては何らかの救いの手を出すのが人情でしょう。しかし、どんな事情があれ、「娘が相手を殺害⇒親が後始末⇒隠蔽の為の殺人」は、同情はするものの、あってはならない事です。他に何か手があったかと、「言うは易く行うは難し」です。法律順守は第一とはいうものの、悩ましいテーマですね。
(3)『第6章;満願』から、「(鵜川妙子)この世はままならぬもの。泥の中でもがくような苦しい日々に逢う事もある。ですが藤井さん、矜持を見失ってはなりません。誇りさえしっかりと胸に抱いていれば、どんな不幸にも耐えられないという事はありません」・・「検察は、妙子が返済を逃れるために矢場を殺害したとし、・・悪質な計画性が認められると主張。私(藤井)の主張は、矢場が借金を盾にして妙子に関係を迫ったからであり、これは正当防衛」・・「懲役8年の実刑判決。・・妙子はすべてを諦めたように控訴を取下げた」・・「家宝を守ろうとしたのだと考えて初めて、控訴を取り下げた理由が吞み込める」
●感想⇒『満願』は、「殺人を犯した鵜川妙子が夫の病死を聞き、控訴を取り下げ、刑に服する。殺人の動機、控訴取り下げの理由は何か」を考えさせる物語。「矜持を見失ってはなりません。誇りさえしっかりと胸に抱いていれば、どんな不幸にも耐えられないという事はありません」。良い言葉ですね。私事です。若い頃、夢実現の為に、自分なりの努力をしました。家は裕福ではなかったので、「定時制高校⇒大学卒業」まで、奨学金を受け、アルバイトに明け暮れの日々でした。当時の支えは、読書でした。萎える心を奮い立たせてくれました。結果より夢を追うプロセスが重要と思います。さて、妙子が控訴を取り下げた理由はよく分かりません。「家宝を守る」という妙子なりの矜持だったのでしょうか。本人のみぞ知る謎です。
4.まとめ;本書の6つのミステリーは、内容が異なり、それぞれが独立したもので、個々に興味が尽きなく、読み応えがあります。個別感想しなかった3点の内の「万灯」は、日本の高度成長を原動力となった主人公の猛烈社員ぶりが痛々しい。殺人は、決して良くないものの、ビジネスマン時代を懐かしみました。『解説』の言葉を拝借。「米澤作品は、最後になって急にドロリとしたものが現れるという展開が特徴。燦燦とした陽射しが急にそこだけ翳り、ひやりとした感触を読者の心に残して物語が終わる」。この作品は、「史上初のミステリ3冠」を受賞した良い作品と思うものの、私の趣向からすれば、ミステリー(常識を覆す展開)とは言え、物足りなさが残り、スッキリしません。ミステリーでも、人物を通して、❝人間の情❞に訴え、心を揺さぶる設定・表現が欲しいと思うのです。松本清張、森村誠一・・のように。残念。(以上)

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2025年09月09日

Posted by ブクログ

ネタバレ

氷菓や小市民といった作品のイメージが強く米澤穂信先生の幅の広さに驚きました。
ただどこか傲慢さを感じさせる登場人物を描くことに長けた作家さんだと改めて痛感。
特に、警官の話は良かった。
どの話も満足度が高く楽しめました。

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2025年10月12日

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