【感想・ネタバレ】満願(新潮文庫)のレビュー

あらすじ

「もういいんです」人を殺めた女は控訴を取り下げ、静かに刑に服したが……。鮮やかな幕切れに真の動機が浮上する表題作をはじめ、恋人との復縁を望む主人公が訪れる「死人宿」、美しき中学生姉妹による官能と戦慄の「柘榴(ざくろ)」、ビジネスマンが最悪の状況に直面する息詰まる傑作「万灯」他、「夜警」「関守」の全六篇を収録。史上初めての三冠を達成したミステリー短篇集の金字塔。山本周五郎賞受賞。

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Posted by ブクログ

ネタバレ

6作くらいからなるミステリー短編集。

それぞれの話で核となる設定、ことの顛末が提示されるので冒頭から興味を惹かれるようなものばかりだった。特に印象に残ったのは、「柘榴」。父親は罪を犯したが、何の制裁も与えられず欲しいものを手に入れて、この先も罪を重ねるんだろうな。母親に同情した。例のドライブインに行って、道祖神に気づいて、おばちゃんに薬守られます様にと。

派手な結末や展開はなくても、ねばつく様な後味を残す話しばかりで好みだった。

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2026年08月12日

Posted by ブクログ

ネタバレ

全ての短編が心にドロっと余韻が残る、好みの話ばかりで良かった。すべてのエピソードで各々が守りたい何かがあり、そのために人を殺したり嘘をついたりする切実さが印象に残った。

夜警
拳銃を使いたいから警官になったという動機と、都合が悪いことを隠したがる気の小さい性格が引き起こした事故が最悪の結末を引き起こすという出来事の流れがきれいで好き。

死人宿
ヒントが散りばめられており、推理小説として面白い。オチの救いのなさ、人の死は他人にはどうにもできないというどうしようもなさが虚しい。

柘榴
長女怖すぎ。男を自分のものにできる確信があるところが、母の血を引いてて怖かった。次女もいずれ同じ思想になるのだろうか。母の気持ちを考えると後味は悪い。

万灯
昭和のエネルギー開発という社会的なテーマがいい。仕事が全てという典型的な昭和の男丸出しの主人公が殺人を犯すまでに仕事に盲目になり、病気という思わぬものに足を掬われる流れがきれい。オチまでの伏線もあらゆるところに張られていてよかった。

関守
一番ホラー感があってゾクゾクした。おばあさんがキーパーソンっぽいのは始めから何となくわかるが、事故の被害者がまさかそうやって繋がってくるとは。

満願
殺人の目的が襲われそうになったことによる自己防衛などではなく、掛軸に血をつけて押収されるのを防ぐことだったというのは、驚きと同時に感心した。掛軸を守ることは、先祖や自分の行いに対する誇りを守ることだったのだという切実さが良かった。キーアイテムとしての達磨の使われ方も良かった。

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2026年07月23日

Posted by ブクログ

ネタバレ

⭐︎3.8

全6作のそれぞれ孤立した短編集。
特にツッコミどころもなくクオリティの高い話をいくつも読むことが出来た。

たが、そもそも短編集というフォーマットが自分にはあまり合っていないように感じた。
キャラクターに思い入れが生じずらいので、共感などを重要視する自分にとってはどうしても夢中になりづらい。

ただし、そんな中でもこの作品はそれなりに楽しめた。
万灯など、スケールが大きめの話もあり好みではあった。

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2026年09月27日

Posted by ブクログ

ネタバレ

初米澤穂信
6作の短編が入っている

どれも最後は気味が悪くなったり、人の考えるどす黒い部分が隠しきれず露呈してくる

中でも『柘榴』が好きだった
美しい母、多くの女性を惹き付けてしまう父、母の美しさを継いだ姉妹
離婚が決定したあとの親権を巡る話

私が姉妹のように育てられていたら、絶対母親を選ぶけれど、彼女たちの心はそうはいかない
あの父親を前にすると、母親であれ妹であれ、結局自分が選ばれなくてはならないから。

「あの夜に見た白い裸身は、冴えた月のように美しかった。誰もがきっと、くちびるを寄せたくなるほどに。けれどもいまは、それほどでもない。」

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2026年09月26日

Posted by ブクログ

ネタバレ

米澤穂信による全6編の短編集。

総じて、どの話も「人間って怖いな」と感じる作品

守りたい人、守りたい秘密、守りたい物。あるいは、どうしてもやり遂げたいこと。そのためなら、人はどこまでも突き進んでしまう。そんな人間の執念や業を描いた短編集

他人から見れば「そこまでしなくても」と思うことでも、本人にとっては切実で譲れないものがある。その怖さと悲しさが印象に残りました。

派手なストーリーや大きなどんでん返しがある作品ではないけれど、引き込まれ、短編集なのでサクサク読めます。

ただ、「面白かったー!」と爽快な気持ちで読み終えるタイプの作品ではなく、読後に人間の業や執着について考えさせられる。余韻が重く、少ししんどくなるタイプの作品なので、気分が落ち込んでいる時よりは、心に余裕がある時に読む方がおすすめです。

【万灯】
続きが気になる終わり方だった。最後の病気のくだりは予想外で驚いた。

【夜警】
負を負で埋めようとして、破滅してしまう。
この思考は生きているとふと頭をよぎることがあるだけに怖い。絶対にしてはいけない考え方だと思った。

【死人宿】
この話しはあまり感想がでない。。。

【柘榴】
女の怖さが詰まった話。
苦手なのであまり深く考えずさっと読んだ。

【関守】
結末は比較的早い段階で予想できた。「早く帰ってーーー!」と思いながら読んだ。おばあさんの表情や店の内装など、情景を想像させる描写がとても上手だった。

【満願】
「それだったのか」と思わされた。家宝を守るためとはいえ、そこまでするのか、と驚く。

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2026年09月14日

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