あらすじ
戦後犯罪史に残る凶悪犯に降された死刑判決。その報を知ったとき、正義を信じる検察官・大友の耳の奧に響く痛ましい叫び――悔い改めろ! 介護現場に溢れる悲鳴、社会システムがもたらす歪み、善悪の意味……。現代を生きる誰しもが逃れられないテーマに、圧倒的リアリティと緻密な構成力で迫る! 全選考委員絶賛のもと放たれた、日本ミステリー文学大賞新人賞受賞作。
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Posted by ブクログ
介護問題を題材に、殺人と死による救済というところまで踏み込んだ小説。
ここ最近で最も衝撃を受けた作品の一つ、新人賞の作品とは思えない。
在宅介護で本人も家族も地獄のように苦しんでいる時、本人が死を望んでいて、その結果家族も救われたと感じたとき、それが本当に悪なのか考えさせられる。
おそらくこの話の先には安楽死の議論があると思う。正解が無い議題なので難しいが、避けては通れない問題なのが余計難しい。
介護という現実でも深刻な問題と、生死に関わるセンシティブな話題なので、万人におすすめできる小説ではないがもし興味があるなら絶対に損はしない。
Posted by ブクログ
介護の闇を照らし、現代社会の問題に切り込む作品。人として正しい在り方とは何なのか。誰もが抱える可能性のあるテーマにどう向き合っていくとよいのか考えさせられる。
Posted by ブクログ
高齢化が進み、介護の人手不足や老老介護などが問題視される中、数年後には他人事のように考えていたことが自分の問題になるかもしれない。介護する側、介護される側にとって最良の選択はなんなのか。自分1人では生活できず、介護に苦しむ身内を見上げながら延命されることが当人にとって本当の幸せと呼べるのか。
Posted by ブクログ
長澤まさみさんと松山ケンイチさん主演で映画化された作品。
介護の仕事をしているので、身近に感じた。
介護業界の闇みたいなのをリアルに感じました。
老老介護、ヤングケアラー、様々な問題点がある日本は、
これからどうやって介護業界を変えていくんだろうか…
是非読んでもらいたい。
Posted by ブクログ
社会問題をテーマにした傑作。
犯人と検事のやり取りが圧巻。
検事の言ってることは正論だが、それが空虚に思え、犯人の言い分のほうが正論に思える。現実はそんな恐ろしい社会であることがわかる。
Posted by ブクログ
この話に何度も何度も出てくる、「罪悪感」という言葉についてとても考えさせられる話だった。
介護なんて、どれだけしんどくて辛いかは実際やった人じゃないと分からないと思う。大友が何もしてないくせに綺麗事言い過ぎて斯波や佐久間に共感してしまった。羽田の気持ちもすごくわかる。
そしてそう思うことについて「罪悪感」を抱いてしまった。
救われたのは最後の羽田の「きっとこの世に誰にも迷惑をかけないで生きる人なんて一人もいない」という台詞。
Posted by ブクログ
介護の正解ってなんなんだろうとか思いながら読んでた
読み終わった後多分正解はないし、何を選んでもいいだけど、勝手にそれを人が決めて最後にするのは良くないと私も大友さんと同じように偽善的考えに至った。
Posted by ブクログ
介護業界が抱える闇を抉り出す社会派ミステリー。正義とは、救いとは、罪とは何かを否応なしに考えさせられる。
安全地帯にいる者ほど、介護をビジネスにするなんてと上っ面の綺麗事に囚われてしまう。主人公である大友自身が、安全地帯から空疎な正義を語る存在であるという点が皮肉である。
人の善性を信じて疑わない大友に読者が息苦しさを感じてしまうことこそが、この作品が投げかけている問いなのだと思う。
Posted by ブクログ
非常に興味深かった。
こちらの作者はこれで初めて出会ったのだけれど、面白くてこの後同作者の本をいくつか購入。
読後間は苦しかったけれども一瞬たりとも飽きることなく読める。
私は浅はかなため、後半にはおそらく作者の思惑通りびっくりしてしまった。
この後、映画もNetflixで観たが、本には及ばないと思い、本を再読した。
Posted by ブクログ
少子高齢化が進み、高齢者の介護にかかるコストやリソースがどんどん大きくなっている。だが、介護事業の賃金は上がらず、それどころか最低賃金ギリギリの賃金のみが与えられている。
この国の介護はもはや限界を迎えており、真の意味で「死が救済」となる未来はそう遠くないのかもしれない。
Posted by ブクログ
「絶叫」「ブルー」に続いて葉真中氏のデビュー作「ロスト・ケア」を読んだ。社会問題である介護の地獄とミステリーを合わせて非常に読み応えがあった。
Posted by ブクログ
殺人鬼、斯波。恐ろしいけれど全く理解できなくはない。今、少子化対策がいろいろと話題になっているが、介護の問題はどうするのか?家族では無理だと思う。専門家に委ねたい。そのための政策はどうするのか、私の行く先に自分ではどうしようもない切ない未来が待っているような気がする。
Posted by ブクログ
友人に読んでみて欲しいと言われ全く予備知識も無く読んだのだが、軽い気持ちで引き受けた事を後悔する程に苦しい読書体験となった。
タイトルから分かる方もおられるかと思うが、介護問題を徹底的に突き付けてくる。
「やまゆり園事件」を想起させる内容だが、真っ先に浮かんだのは「利根川心中」と名付けられた、両親と共に川に飛び込み、結果的に両親を殺害してしまった事件の方だった。
母親の介護で貯金も底を尽き、父親に一緒に死のうと言われ実行してしまった悲しい事件だ。
本作に登場する斯波宗典という介護士の語る厳しい現実は、年々深刻になっている。
我々が中年になる頃には想像もしたくない事態に陥っているのではないだろうか。
格差社会は介護の問題にも影響を及ぼす。まざまざとそれを突き付けられた。
老後の為に働いて得た金を無駄遣いせず貯めるだけの生活など、どこまで耐えられるのだろうか。
もしかすると、そう遠くない未来で第2、第3の植松が現れるかも知れない。
それは非常に悲しい事だ。
本書を国会議事堂に必読書として何冊か置いておきたいと、幼稚な事まで考えてしまう程に危機感を覚えた。
Posted by ブクログ
安全地帯から社会問題を眺めていた自分の解像度の低さが恥ずかしくなる作品だった。当事者の苦しみがリアルに迫り、想像力を欠いたまま正義を語ることの浅はかさを痛感する。ミステリーとしても驚く展開が続く。社会派テーマとサスペンスが見事に絡み合った一冊。
Posted by ブクログ
社会派な内容とどんでん返しのバランスが中山七里みたいだと思った。後者は邪魔者のようにも思えるが、ミステリー好きへのサービスでしょうね。
1番の衝撃は「相模原障害者施設殺傷事件」よりも前に発表された作品だということだ。現実の事件をモチーフにしたのだと思っていたが、フィクションが現実を先取りするなんて…
私は性善説を信仰する大友検事があまり好きになれなかったのだが、そこすらも著者の狙いだったのだろう。
「殺すことは間違っている!救いも尊厳も、生きていてこそのものだ。死を望んだんじゃなく命を諦めたんだ!」
だが、介護の世界は決して理想論では片付けられない。家が裕福でVIP待遇の老人ホームに父親を入居させた大友が言ってもただの綺麗事にしか映らない。
「あなたがそう言えるのは、絶対穴に落ちない安全地帯にいると思っているからですよ」
ストンと腑に落ちた。まさにこれが日本がいつまで経っても変わらない原因の一つなのだろう。
この作品を読んで平然としていられるのも、どこか自分とは違う世界だと逃避しているのかもしれない。だが、いつか親を介護する日はやってくる。子の顔を忘れ、糞尿を撒き散らし、暴言を吐く親を私は献身的に介護できるだろうか?少子高齢化が加速するこの国で、介護の現場は崩壊を起こさないのだろうか?本書を読んで、将来に対するあらゆる懸念が浮かび上がったが、明るい見通しは立たないまま、ただ絶望の淵に沈んで物語は終了した。
Posted by ブクログ
介護殺人をテーマにした社会派ミステリー。
生活保護をテーマにした護られなかった者たちへを彷彿とさせるテーマ。重い。
でも現代人は特に、本作の主人公や登場人物のような境遇は他人事ではなく、真剣に考えなければならないテーマなのだと思う。
「殺人はいけないこと」と、境遇も知らないような人が白と黒だけで決着をつけるべきでは無い。
殺したのではなく、救ったと主人公は口にしていて、実際にそれで救われた人がいるのも事実。
倫理と人情は一致しないから難しい。
Posted by ブクログ
プロローグ
世の中は、加速度的な進歩を遂げている
あくまでもテクノロジーの分野ではだ!
富山行きのE7系新幹線かがやきに乗り込む
至ってスムーズに加速し静寂性を保ちつつ
最高速に達する
本書は、超高齢化社会に対するひとつの
アンチテーゼだ
この分野は、何故いつまで経っても進化度合いは
超低速なのか!?
流れ行くビル群を尻目に、青天の空を車窓から
仰ぎ見る
偏光ガラス越しに射し込む陽射しに
思わず目を細めた!!!
本章『ロスト・ケア』★4.5
葉真中顕氏の記念すべきデビュー作
日本ミステリー文学大賞新人賞受賞作品
42名の尊い命を奪った“彼”は、完全悪なのか!?
これは、本書を通して全読者に難題を問いている
この殺人の是非を、、、
“彼”の云う、安全地帯にいるものとそうでないもの!
“彼”は、本当に聖書の黄金律を実践したのか!!!
「自分にして欲しいことを、相手にもする」
検察官との最後の面会で言われた、あの“黄金律”に
よって果たして“彼”は本当に救われたのだろうか!?
それによって“彼”の流した涙は、
肯定の証だったのかもしれない
葉真中氏の後の作品群を鑑みれば、その片鱗が
垣間見れる素晴らしい本作であった
エピローグ
富山の地へ足を踏み入れた
眼前には神通川
頭を上げれば、パノラマ画のように迫力のある
立山連峰が望める素晴らしい立地だ
そして、神通川には“世界一美しいスタバ”が
あるようだ
明日、訪れてみよう
あっ、今日は仕事であった
早速レトロな街並みが特徴的な岩瀬に向かおう!
その後、岩瀬の街並みのあまりの素晴らしさに
“絶叫”してしまったことは、云うまでもない
そして、次は同氏の『絶叫』だ!!!
完
Posted by ブクログ
介護の現場と家族の悲惨な現状を読んでいくにつれて気持ちが沈んでいく作品。
2000年に導入された介護保険制度、それ以来約3年に一度の間隔で介護保険法が改正されているのを果たして国民の何割が知っているのか。この作品が書かれた時点から数度の法改正を経た現在、本作で描かれているような問題点が解決されたかといえば残念ながら未だに問題は山積だ。
訪問介護サービスの報酬減や物価高騰により介護事業者の経営環境は悪化しており、2024年には過去最高の事業者倒産件数が記録された。現場の過酷な労働条件にも関わらず介護職員の平均収入は相変わらず他業態に比べて高くない。介護保険法によって介護報酬の上限額は決まっており、これを引き上げないことには介護職の給料は上がらない。しかし介護報酬の上限を上げるには私たちが払う介護保険料の増額や利用者の自己負担額の増加などが必要で、これまたハードルが高い。
それにも関わらず要介護対象者は2020年時点で2000年の3倍になっており今後更に増えるのは明らかで、今年は団塊の世代が75歳以上となる2025年問題がある。
介護の問題は多くの人がいずれ自分に降りかかってくる大問題だ。自分が介護を受ける年齢になった時にこの国がどうなっているか考えると背筋が寒くなる。
Posted by ブクログ
前代未聞の大量殺人
幸い自分はまだ経験していませんが、現場は生き地獄なんだなぁ
殺人によって救われるなんて本当はあってはならないけど
今の状況だと免れないのでしょうね
改善されることはないのでしょうか
読んだ後に映画も見ました。
ちょっと違うけど映画は映画でお父さんに手をかけるところが壮絶でした
Posted by ブクログ
第16回日本ミステリー文学大賞新人賞
高齢化社会の闇がテーマの社会派ミステリー。
他人事ではない重たさがあるからこそ話に没入してしまう。
初読みの作家さんでしたが、読者をミスリードしたり、気になる言葉の言い回しで引きつけるのがうまくとても面白かった。
今年の年始にあった有料老人ホームでの不正請求のニュースにはただ憤りを感じていたけど、この小説を読んでそうせざるを得ない社会のしくみにこそ問題があるのだと思い知った。
介護の大変さはその介護度、家庭環境、経済状況によりピンキリで、私は身近にまぁまぁ大変な状況があるのでこの小説に出てくる介護家庭の悲惨さは想像だけはできる。
だから正直気わかってしまう。
被害者家族が救われたと感じてしまうことが。
認知症になれば人格が変わり、理性で抑えてきた本人が知られたくないであろうあれこれが家族に晒され、尊厳を失って生きている姿を私は見ている。だから、もし私が殺される高齢者の立場だったとしても、安楽死させてもらえて良かったと思う。
その方がお互いにとって幸せだと正直思う。
高齢者社会でこれから状況はどんどん深刻になるのに、どうしたらいいんだろう。
介護職に従事してくださる人たちには本当に感謝しかないし、もっともっと優遇されていくべき。
小説では介護に苦しむ家庭を助けたつもりでいる犯人に対して、検察の大友が真面目で常に正しいことを主張するキリスト教徒なのがうまいなと思う。しかも大友の父親は限られた富裕層しか入れない老人ホームで暮らし、大友自信はギリギリの状態で介護をしている家の悲惨さを理解してないのだからモヤモヤする。
佐久間が嫌う気持ちわかる。
でも実際正しいのは大友なんだよな。
正しいことが正しいばかりではないのかもしれないけど、、、。
すごく面白かったけど、最後真相がわかったあとでもうひと盛り上がり欲しかったので星4.5
Posted by ブクログ
面白い。
介護がテーマのミステリー小説。
読みやすく、サクサク読める。
介護という社会問題をミステリー小説にするのも面白いし、しかもしっかりエンターテイメントにしている。
テーマは重いが、小説としては非常に面白い。
星は4.5くらいか。
次の作品も読む事にする。
Posted by ブクログ
斯波宗徳は、なぜ、父親の介護をして看取ってから、介護の職に就いたのだろうか?
疑問だった。
私も、介護をしていたけれど、介護職に就きたいという思いは今もない。
※介護に携わっているみなさんには、今もたくさん助けられています。
私は、そのかたたちのおかげで、生きていられると思っています。
介護をした経験があるから、介護の職がいいのでは?と思うのかもしれないけれど、ヘルパーの資格をとって仕事にしたいとは思わない。
だから、斯波が介護職に就いたのがとても不思議だった。
犯人が斯波だったということにも驚いたが、彼は、使命をもって、介護が必要な高齢者と、その家族を救うために正しいことをしたと主張した。
そこで合点がいった。
斯波は、それを使命としていたから、介護職に就くことができたのだと。
この小説が発表されてから10年ほど経つが、介護という問題に対して、この社会は変わったのだろうか。
むしろ、悪くなったのではないか。
医療費の予算は削られ、介護サービスは低下するばかりである。
所得格差、地域格差は益々広がりをみせ、介護サービスを受けられる人と受けられない人の差が、如実に現れてくるのではないか。
この物語は、他人事ではない。
私達の隣に、すでに座っている。
Posted by ブクログ
42人を殺した殺人、の文言から壮絶なドラマを想像しましたが、介護に関する社会的問題をしっかり考えさせられ、殺人を処置と呼び、介護であると主張する犯人の言葉にどう反応すれば良いのか?いろいろとささる作品です。
Posted by ブクログ
評判通り高評価に値する作品でした。自分の母も現在認知症、幸い、介護施設に預ける事が出来てます。しかし、施設に預けるまでは身内との議論、葛藤の日々でした。自宅介護すべきの意見も出ました。父は既に他界しており、実家1人暮らしの母をどう面倒を見ていくべきか、現実的に可能なのかどうか。日に日に症状が進行していく中で最終的には、お金の問題はあるにせよ、施設に頼る形を取りました。特養に関しては入居待ちの数があまりにも多く半年とか待たないと入れません。地域にもよると思いますが。非常に問題だと感じています。
要するに、小説としてのフィクションのみの作品ということではなく、現実的背景が本作ではベースになっていることが怖いと感じるわけです。また、必ず人はこの作中のいずれかの立ち位置になるわけで、簡単に言ってしまえば、明日は我が身。介護する側からされる側にもなります。殺人者になるということはないですが。この作品は、現在日本が抱える介護保険制度、介護職、高齢化社会の問題に向けて一石を投じているわけですが、このような大量殺人までをもしなければ、国の制度改善は見込めないのか、皆に知ってもらえないのか、問題提起出来ないのか、と思うと切なく悲しい気持ちになります。
現実さらに高齢者の数はこの先増えていくわけで、今のままでは多分色々な事が立ち行かなくなりそうで、不安ではありますが、改善につき自分に何が出来るわけでも無いので、選挙に行くことくらいですかね。。。
映画版もそのうち見てみたいと思います。
Posted by ブクログ
連続殺人犯の死刑判決から始まる。
日本の介護問題のリアリティとマスコミの報道を上辺だけ鵜呑みにして批判する大衆などまさに現代社会の問題点を先取りしたような内容で進む。
謎解き自体に盛り上がりはあまりないが、楽しめた。
3.8
Posted by ブクログ
これがデビュー作!?と思うほど文章が上手だと思った。
犯人も「あんたかい!」と驚いたし、そこへ向かう話の持っていき方も不自然な感じがしなく良かった。
以降の作品もぜひとも読みたいと思える作家だった。
介護という重くなりがちなテーマで、ロスト・ケアもそういう方向の話にはしたかったのかもしれないが、あまり自分の心には響いてこなかった。そこが残念とまではいかないが、次作の絶叫には期待するところではある。
なにはともあれ、良い作家だ。
Posted by ブクログ
生きるってなんだろう、死ぬってなんだろう。
どう生きて、どう死んでいくのか、
周囲はどうケアして、どう受け止めていくのか。
正義って、なんだろう。正しさは、正義?
綺麗事じゃ語れない、介護の現場。
すごく深くて、難しかったけど、
この答えは今出すべきじゃなくって、
生きていく中で探していくんだろうなと思った。
「求めなさい。そうすれば、与えられる。探しなさい。そうすれば、見つかる。
門をたたきなさい。そうすれば、開かれる。
だれでも、求める者は受け、探す者は見つけ、門をたたく者には開かれる。
あなたがたのだれが、パンを欲しがる自分の子供に、石を与えるだろうか。
魚を欲しがるのに、蛇を与えるだろうか。
このように、あなたがたは悪い者でありながらも、自分の子供には良い物を与えることを知っている。
まして、あなたがたの天の父は、求める者に良い物をくださるにちがいない。
だから、人にしてもらいたいと思うことは何でも、あなたがたも人にしなさい。
これこそ律法と預言者である。」 p356
Posted by ブクログ
高齢化社会に生きる私達には、避けて通れない「介護」がテーマであり、自分がこの状況になったら…と考えながら読み進めた。
登場人物、佐久間のようにズルができる所ではズルして当たり前という考え方もどうかと思うが、大友のように杓子定規に正義を追求していく姿にも怖さを感じた。
以前、著者の「灼熱」を読んで面白かったので、こちらも読んでみた。他の作品も読んでみたいと思った。
Posted by ブクログ
介護、考えさせられる
する側の年齢になり、される側の年齢にも
近づいている
迷惑はかけたく無いし、正直言ってかけられたくもない。迷惑と思ってしまう事もあるだろう
国のシステムか誰のせいか?格差はどの年齢にもあって、親も家も学校も生まれてから死ぬまで格差の中で生きている
最後は自分の意思で決めたい
Posted by ブクログ
「絶叫」に続いて葉真中顕さん作、2冊目。
今まさに自分が抱えている問題でもあるので
読みながら共感する部分が多かった。
共感…かな?
ちょっと違うか。
複雑な気持ちが渦巻き、苦しい読書だった。
主人公の男は検察官でクリスチャン。
対する犯人は介護の仕事に携わる者。
そしてその介護を受けている人たちの家族が描かれる。
読んでいるうちに、正しいと思えていたことが
ほんとに正しいことなのか疑問に感じ始める。
主人公にもその思いが芽生え、苦しむ。
犯人の犯した罪はもちろん許されるべきことではないとわかりつつも、その気持ちが揺らぐ自分がいた。
介護する者、される者、
介護ビジネスと呼ばれる世界や
これからの高齢化社会への不安など、
いろいろなことを深く考えさせられる一冊。
検事の相棒的な存在の、数学得意な椎名くんが
重たいテーマのこの作品の中で、
唯一飄々とした存在でとても良かった。