あらすじ
船場に嫁いだ多加は頼りない夫を立ててよく働くが、夫は寄席道楽に耽って店を潰す。いっそ道楽を本業にという多加の勧めで場末の寄席を買った夫は、借財を残したまま妾宅で死亡する。多加のなりふりかまわぬ金儲けが始まった。金貸しの老婆に取入り、師匠たちの背中まで拭い、ライバルの寄席のお茶子頭を引抜く──。大阪商人のど根性に徹した女興業師の生涯を描く直木賞受賞作。
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裸一貫から大阪で商売を始める多加。大阪女商人のど根性物語。大阪弁が軽快で面白い。何よりも商売の立上げとはこうやってやるんだと言うばかりのお手本のようなドラマだ。退職して浪人中の僕みたいに、さぁこれからセカンドライフ何しようなんて考えているときに勇気と元気を与えてくれる痛快な小説だった。
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花のれん。
古き時代の心かよわき女性が、旦那の度重なる失態に呆れながらも、三行半をしたためることはせず、旦那を健気に信じ、共に商いを営んできた。
人との出会い、繋がり、絆。そのすべてを商売に賭け、自分の人生をも担保にした主人公は、自分が決意した幕引きを遂げた。
幸せだっただろう。商売繁盛、一世風靡、時の大阪で大円団を築いたのだから。けれど、満たされるどころか、虚無と不乱の入り混じる感情の中で、一人ぽっちだったのではなかっただろうか。
そよ風にたなびく、藍染を白抜きし、季節の花を散りばめた花のれんをくぐる、白い喪服を羽織った女性。
脇目も振らず歩いていく。
その目は、表情は、誰にも見えない。
けれどきっと、その先で待ってくれている誰かを夢見て、少女のように爛々としていると思う。
「花のれん」は、はっきり言えば切ない物語りだった。だけど、紆余曲折、波瀾万丈の人生も、主人公からしてみれば、百花繚乱にきらめいていたのではと、私は思った。
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あらすじ
第39回直木三十五賞受賞作
船場の呉服店に嫁いだ多加(たか)は、家業に関心を持たず、芸事にうつつを抜かすばかりの頼りない夫・吉三郎に、いっそ道楽を本業にしてはどうかと勧める。二人は店を廃業して寄席を始めたが、吉三郎は妾宅で急死。幼い子どもとともに残された多加は覚悟を決め、なりふり構わず人気芸人を集め、金策に走り、寄席の屋台骨を支えるのだった――。女興行師の奮闘ぶりを描き、著者に直木賞をもたらした傑作細腕繁盛記。エンタツ・アチャコや桂春団治など、実在の芸人が花を添える!
感想
これぞ吉本興業だ‼︎
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大阪商人の根性を女興行師の姿に重ねて描いた1958年第39回直木賞受賞作。
夫が作った借金を背負った状態から、逆境に抗い次々と商売に打って出る姿が勇ましくも見え、また商売に対する目利きが素晴らしいとも感じる。自分が「よい、これは売れる」と思ったものには、自ら足を運び、成功を収めてからも常に現場に出て第一線で活躍する姿が頼もしい。戦前戦後の男性優位の時代にあって、この活躍は素晴らしいとも思うし、またそれを卑屈に思うこともなく支える人達もまた素晴らしいと感じる。これがカリスマ性だとも思う。
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新しい寄席を買う場面で、お多加はん、今度はちょっと高うおまっせ、という金沢亭に対して、いきなり 女なぶりは、きつうおます、なんし、後家の細腕一本でっさかい、と応じる多加、丁々発止のやりとりであります。金沢亭、そんな汚い女勘定言わんときなはれ、と言い、対する多加は、わての筒一杯の手銭だす、と腹を決めての対応、この辺りの言葉のやり取りが素晴らしく(確か、林真理子さんもここが凄いと書かれていたような)、☆四つです
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船場のグウタラ亭主に嫁いだ多加
呉服店がうまく行かなくなったところで 道楽だった芸事を本業にと提案
最初は夫も懸命に働くがお金がまわる
ようになると妾をつくり妾宅で死ぬ
多加は白い喪服で葬儀を行う
以後は商売に邁進
通天閣を買うほどになる
しかし戦争が始まり
噺家も亡くなり小屋の再興もうまく
いかない中
命尽きる
人との関係やきっぷの良さ
世話になった人は惜しみなく尽くす
そしてよく働く
これ大事よね
最後は再び立ち上がるかと思ったけど
亡くなった
なんだか悲しい気持ちで読み終えた
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良い。
山崎豊子さんにしては短い作品。
借金からスタートし、一大娯楽を生み出した女性のお話。
男女関係が昭和ぽい。
大阪の古き良き時代。
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ドラマ化されたものを観て原作が気になり、読んでみました。人の半生を2時間にまとめたドラマは展開が速く、中には突拍子ないと感じた場面もありました。しかし小説では、同じように展開は速いものの、まったく違和感なく受け入れられました。おそらく、ほんのわずかな文章量で、登場人物や背景を充分に描ききれているからなのでしょう。
特にそれを感じたのが、吉三郎が女遊びを始めた第三章の、「何時も、何となく遊んでいないと気のすまぬ吉三郎は、芸人道楽の妙味を無くして来ると、そろそろ女遊びに興味をもつようになった。」という一文です。この一文だけ読めば、「そんな無茶苦茶な!」と思うのでしょうが、第二章まで読んできてこの一文に出会うと、「あぁ…(吉三郎なら、そりゃそうなるよね)」と、納得させられてしまいました。それほど作者の文章力は凄まじく、たった二つの章だけでリアリティある人物像を読者の中に存在させることができているのだと思います。
個人的に、直木賞受賞作を読んだのは、知らずに読んでいたものが無いとすれば、初めてです。これも受賞作だとは知らずに読んでいたのですが、やはり受賞するだけのことはあるのですね。受賞するにはワケがあるということを知れたのも、この本を読んでの一つの収穫でした。
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浪花女のど根性、商売の才覚と事業欲に溢れる多加の嫁いでから生を終える迄の物語り。
心根は優しいが生活力がなく、まして事業の才能もない夫吉三郎が外に作った若い女の家で腹上死し、その葬儀に二夫にまみえぬを誓う白い喪服を纏った多加。
寄席の上客であるどこか夫に似た伊藤に思いを持つも事業を優先する多加。
一粒種の久男にも母親らしい子育てより事業を優先する多加。
だが、大阪の大空襲で殆どを失ったが、芸人の借金を片っ端から棒引きし、寄席芸で儲けたからそれで損してもええとうそぶく多加。
また、思いを寄せた伊藤の自殺の写真をあり得ない高額で記者から買い取った行動に多加の思いが溢れ、多加の人物像に深みを感じました。
平穏で穏やかな人生でもなく、悲しみや悔いも多かっただろうが、多加のその骨太な人生に圧倒されました。
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舞台は大阪。道楽者の夫を早くに亡くし、女手ひとつで寄席の商売を拡げていく女性、多加の物語。
地元が舞台なので、一軒一軒寄席を増やしていく様や、それぞれの土地柄による寄席の雰囲気の違いがわかりやすく、とても面白かった。
女性にとって仕事とプライベートのバランス問題はいつの時代も難しく、両立なんて不可能だなと思った。
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山崎豊子氏の直木賞受賞作品。裏表紙を見たら、昭和33年発行となっていて驚いた。著者は大阪人であり、この作品は大阪出身の人にしか書けないと思う。山崎氏の他の大作とちがい、1冊で完結の読みやすい本である。
大正時代に、呉服屋に嫁入りした多加が、商売がうまくいかず、遊び人の夫に悩まされ、一人になった後落語の寄席を開いて奮闘する話。行動力がある多加のバイタリティに感心する。歴史小説ではないが、どうやら小説のモデルとなる女性がいたようだ。大阪のお笑い、今でいうと吉本興業のような、特有の文化が発達していく過程が楽しめる。読んでいると、主人公の女性を応援したくなってくる。今も昔も、女性がビジネスで成功するには、男性以上の努力と犠牲が必要なのだなとつくづく思った。
大阪が舞台なので、会話がすべてコテコテの大阪弁である。それも風情があってよい。
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◯大阪の商人の描写がやけに詳しいので、例によって緻密な取材の賜物かと思ったが、山崎先生はもともと大阪の商家の生まれで、大阪商人の話し方、商人の考え方、生き方がリアルなのも頷ける。
◯一気に読ませる展開の妙は流石。落ちて上がっての波乱万丈で、テンポが良い。
◯ただ、物語自体に滲み出る、金への業の深さが引き起こす因果が悲しく切ない。
◯決して金だけに囚われているわけではないが、その生き方が果たして幸せだったのかはわからないが、筋の通った強い生き様に惹かれるものがある。
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朝ドラ、小説
2017年下半期に放送された連続テレビ小説「わろてんか」は、吉本興業創立者の吉本せいがモデルでした。
かなりのやり手な女性だったそうですが、朝ドラでは見事なふんわりヒロインになっていました。朝ドラのアレンジ力は大したものだと思いました。
しかし、朝ドラよりも60年近く前に吉本せいがモデルとなった小説が出版されていました。
『花のれん』(山崎豊子/新潮文庫)です。実は、「わろてんか」放送中に本書を購入してたのですがずーっと積読で、この2日間ほどで一気に読みました。
明治〜昭和初期の大阪
吉本せいは1889(明治22)年生まれ、没年は1950(昭和25)年なので『花のれん』の作中では明治、大正、昭和初期の大阪の街の様子が描かれています。
小説が発表されたのは1958(昭和33)年なので、数年前まで本人が生きていたとしても、既に太平洋戦争が終わって10年以上経ち、大阪の街の様子もかなり変わっていたでしょう。
山崎豊子先生の取材力なのでしょうね。
道楽夫に先立たれた女丈夫
どの部分かまでは調べていませんが、実話に基づきながらもアレンジもある程度加えているのかと思います。夫に先立たれた多加は夫の残した寄席を大きくすべく奮闘します。
そして何軒もの寄席のオーナーとなっていくのですが、実ることのない淡い恋心もありました。
朝ドラほどのふんわりではありませんが、実話よりはソフトに描かれているでしょう。
終盤、息子のくだりはどう描かれているのかな〜と思いましたが、その辺は描かれませんでした。興味がある方はググッてみてください。そっちはそっちで小説1本書けそうですからね。
ここのところ小説はご無沙汰だったので、楽しく一気に読めました。
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安定の山崎豊子。
不毛地帯にも華麗なる一族にも共通することだが、ストーリー自体が面白いだけでなく、ビジネスに対する心構えを学ぶことができる。
本作においては、リスクを取ることと人心掌握の重要性を学んだ。
このようなスタートアップの物語から、スタートアップがどのようにして生まれ、成功していったのか知ることは、仕事において大切であると感じたので、関連の本を読んでいこうと思う。
ちなみに、調べて分かったのだが、本作の主人公のモデルとなったのは吉本興業の創業者である「吉本せい」とのこと。
吉本興業の創業者は女性だったのに驚き。
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山崎豊子さんが確か大阪の商人の出で、「女系家族」もすごく面白かったので。朝ドラ「わろてんか」のヒロインのモデルとなった、吉本興業を興した吉本せいさんの物語。かなり前に読んだので、「わろてんか」と「あさがきた」が混ざってしまってるけど・・どっちも旦那さんがそうとうダメ夫だったよねえ。腹上死したのはどっちだっけ?たしかせいの夫もそうとうダメ夫だった気がしたけど、ドラマでは普通にいい夫の部類だったよねえ。いやでも女性が頑張る物語は大好きです!
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大正末期~太平洋戦争後の大阪を舞台に旦那亡き後、女手一本で寄席稼業をはじめとする商いの道に邁進していく女性の物語。
ど根性を地で行く苦労話や異性に対する葛藤等が盛り込まれており、それでも商いの道を貫きとおす生き方にすがすがしい思いがした。寄席等は全くの不案内だが、悪いものではないと思った。活字にした大阪弁はちょっと読みにくかったが。。。
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2017年度後半のNHK朝ドラ『わろてんか』を観て、モデルの吉本せいさんに興味を持ち、ドラマに先立って小説化、映画化されたという、この山崎豊子さんの直木賞受賞作を読もうと思った。
恐らくは、こちらの作品の女主人公、河島多加さんの方が、現実の吉本せいさんの人物像に近いのだろうと思いながら読んだ。
実際、おおまかには事実を元に創作を加えて作られていることが、二つのストーリーを比べると実感できる。安来節の扱いなど、その違いを見ると興味深いし、なにより、吉本吉兵衛、通称が泰三という主人公の旦那さんの扱いが、大きく異なっている。いまのドラマは、いわゆる「えげつなさ」を除いて、ファンタジー的に扱っている。没後も、時々、幽霊となって現れ、主人公のてんに忠告したり相談に乗ったりと。
現実は、「花のれん」では妾宅で亡くなったことになっているが、どうだったのだろう、それも創作かもしれないにしても、近いものがあったのだろうと思う。
あと、子どもの扱いも、随分と違っている。実際の子ども、頴右という人は、笠置シヅ子さんと恋仲になったと聞くが、ドラマでは、はるか以前、戦前にすでに駆け落ちして子を設けている。
また、吉本せいさんの片腕となった専務のことも、それぞれ違いがある。「花のれん」では、ガマ口はんという元芸人さんが、片腕を担い、ちょうどドラマで登場した通天閣を買う辺りのことも、主人公の多加さん主導で行なわれたように登場する。
ドラマでは、風太。そして、伊野栞という人が加わって、てんを支えている。でも、これもよく知られたことで、現実の吉本興業は、吉本せいさんの実弟である、専務から社長になった、林正之助さんの影響が、せいさんの生前から強かったといわれる。
その辺りのことを考えながら読むのも、また一興ではあるが、純粋に、大阪の興行主としての女主人のえげつなさを読むには、この「花のれん」はとても興味深い作品であると思えた。
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スタートアップ、ベンチャーなどという単語が流行っているけど、商いっていうのがしっくりくるし、こういう事なのかと思う。
この時代に女性で商売するのはどんなに大変だったのだろう。でも、きっと生活の為だけではなく、面白い何かがあったのかと思う。最後まで1人息子よ状況がわからず(きっと戦死したが、周囲が隠していたのかとは思う)、家庭とは無縁だが、芸人と商売の片腕に見守られて亡くなる最期。
幸せだったのかどうかは分からないが、凄い人生だったのかと思う。
白い巨塔よりはちょっと読みにくかった‥
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単に調べるだけなら、大ていの小説家はそれをやっているだろう。大切なことは何を調べるかであり、調べた多くの事実のなかの何を生かし、何を棄てるかであろう。この点作者の頭はよく働いている。これだけの材料があれば五つぐらいの小説は書ける。山崎はそれをやらない。この小説で主人公の多加が女の一念を貫いてその事業を成功する、のみならずその悲願を達成するために彼女の打つ手が悉く精密に計算されていることである。小銭貸しの石川きんに取り入ることから始まって、冷し飴を氷の上に並べたり、客の棄てたミカンの皮を集めて薬屋に売ったり、下足札に広告を入れることを思いついたりするこまごまとした才覚のほかに、公衆便所に忍びこんで真打の師匠たちの来るのを待ち受けて札撒したり、競争相手の紅梅亭のお茶子を引き抜いたりする計りごと、また安来節謡いを出雲まで買いに出かけたり、漫才ブームを作り出す商才、モデルになった有名な女興行師の実話であらうが、それを巧みに使用して、物語りを徐々に盛り上げてゆく手腕は見事なものである。
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今度ドラマ化される記事を見たような気がしたので再読。
まだまだ圧倒的な迫力はなく、言って見ればそれなりに面白い作品の枠からはみ出していないかと。
ただ風俗史というか、芸能史という意味ですごく興味深かった。落語も講談も漫才も歴史の中で生きている大衆芸なんだと改めて感じ入った次第。
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吉本を作ったモデルの女性と言われる女興行師の波瀾万丈の生涯。
ダメな夫、次々降りかかる試練、時代の波、その度にプライドも捨てて「ど根性」で乗り越える。
絶妙なタイミングでの商売へのお金の投資の仕方、相手との駆け引き。
さすがです。
これだけのことができないと、商売を大きくすることはできないんだ、と感心。
商売には勘とセンスが必要なんだわ。
そして、こんなにこんなに苦労して苦労して..でも最後は..
心が少し痛いせつない読後感。
吉本の芸人さんたち、頑張って!
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ブギウギで興味を持ち久しぶりに山崎豊子さん。
今吉本も変わらないと行けない分岐点にいるタイミング。この時代には戻れないけど、今の時代のエンターテインメントを磨いていってほしい。
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大阪の寄席道楽を営む女性の話。
商売魂が第一。
子どもや恋愛は、二の次。
女としての幸せ…とはなんだろう。
私、読書三昧で一生独身なんだろうか。
本好きな方と出会えたらいいのに、なんて。
落語聞きに行ってみたいな。
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山崎豊子文学忌 1942.1.2〜2013.9.29 豊子忌
直木賞受賞作
大阪商人の気迫と根性で大阪一の興行師となった女性の一代記。
主人公の多加は、吉本興行の創業者・吉本せい。
愛人の上で死んだ夫の借金を背負うマイナスからのスタート。そこから、創意と工夫と根回し。そして、気配り、心付け。使うところには、惜しまず使い、興行でしっかり稼ぐ。
次々と繰り出される興行は、安来節の芸能化、真打落語家への采配、漫才への変革と、大阪の芸能の歴史の一端を担っていた様。
東京空襲の後、大阪から人を雇い毛布や食料を運び、落語家への見舞いに回るなど、思いたったら、行動しないと気がすまない。
最後は戦争により、多くのものを奪われたけれど、やり切った人と読みました。
素晴らしい女性だけれど、読んでて息苦しくなる程の仕事への情熱。ろくでなしの夫を白装束で送る意味はあったのか。ロマンスになりかけた男性に未練はなかったのか。一人息子とも気持ちは離れたまま。
痛快で、清々しくて、少し物悲しいさが残る女傑物語。
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最近、豊子先生が読みたくて。
同じ女としてこんだけ仕事に力入れてみたい気持ちも分からなくもないが、何か寂しさが付き纏う。
この時代にこんだけの商いの才があるのはすごいことだけどさ。
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1909年、船場の呉服屋に嫁いだ多加は、家業に無関心の頼りない夫に振り回される。
義父が亡くなった後はたがが外れたように遊び歩くようになり、苦労する。
夫は芸事が好きで、多加はそれを仕事にしてはどうかと勧め、思いきって呉服屋を畳み、寄席を始める。
最初はやる気になっていたが、本来のだらしなさが復活し、また働かなくなる始末。
その後、夫は思いがけないことで死亡し、多加を最後まで苦しめる。
しかし、一人息子を抱える多加は大阪商人として、更に人生を費やして行く。
周りに何を言われようが、商売のためなら何でもやった。
昔から、やはり女性は強い。
だけど、その苦労は生半可なものでなく、時には挫けそうになる多加の気持ちを思うと泣けてくる場面も。
2019.12.30
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山崎豊子
お笑い界の超モンスターマネジメント会社である吉本興業の創業者がモデルになってます。同じく吉本興業の創業者がモデルになった朝ドラ「わろてんか」の原作、、、にはなってないのかな?
でもまぁ、同じような歴史をたどってますので主人公の多加の喋りは全て葵わかなが頭に浮かびます(笑
何も知らない船場のこいさんが頼んない旦那に嫁いだためにすんげぇやり手になって寄席を大きくしていったってお話。
春団治やエンタツ・アチャコが実名で登場してる、、、
こんな船場言葉いまどき誰も喋らないけど、やっぱり大阪人にとっては心地いい(って字面眺めてるだけやけど)
とこれは多加のお話で実際の吉本の創業者は船場のこいさんではなく、船場に嫁いできたってことかな?旦那さんも働き者やったし、、ここら辺は史実とは違う。
山崎豊子自身が船場のこいさんだったので初期のお話は大阪が舞台になってるのが多いですよね。
やわらかい船場言葉でどぎつい商売をするってところがきっとポイントなんでしょう。
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夫と一緒に吉本興業を起こした吉本せいをモデルにした小説。吉本せいをモデルにしたドラマに「わろてんか」がある。
吉本せいの一代記も「わろてんか」も本作も一行で要約すれば同じになるが、中見は随分と違う。
花のれんは身代を潰した道楽旦那の道楽を商売のネタにして寄席小屋をつくり、夫婦で大きくしていく。更に夭逝した夫の跡を継ぎ小屋を大きくして言うという、大阪女将のど根性小説といったものである。
山﨑豊子の作品と言うことで読ませてくれるが、NHKが半年の朝ドラにした題材なので、この分量ではディテールが描き切れていないという気がする。ちょっと淡々とした書きぶり。まあ、簡単に読めてよいともいえる。
読んで損はない。