深紅

深紅

小説・文芸
946円 (税込)

4pt

父と母、幼い二人の弟の遺体は顔を砕かれていた。秋葉家を襲った一家惨殺事件。修学旅行でひとり生き残った奏子は、癒しがたい傷を負ったまま大学生に成長する。父に恨みを抱きハンマーを振るった加害者にも同じ年の娘がいたことを知る。正体を隠し、奏子は彼女に会うが――。

高橋克彦氏激賞! これは奇跡的傑作である。犯罪被害者の深き闇を描く衝撃のミステリー。吉川英治文学新人賞受賞作。

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  • カテゴリ
    :
    小説・文芸
  • ジャンル
    :
    小説 / 国内小説
  • 出版社
    :
    講談社
  • 掲載誌・レーベル
    :
    講談社文庫
  • タイトル
    :
    深紅
  • タイトルID
    :
    1676741
  • ページ数
    :
    464ページ
  • 電子版発売日
    :
    2024年10月18日
  • コンテンツ形式
    :
    EPUB
  • サイズ(目安)
    :
    1MB

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深紅 のユーザーレビュー

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感情タグBEST3

    Posted by ブクログ

    単行本で450ページ近くありますが、すらすら読み終わりました。傑作だと思う。被害者と加害者の娘が接点を持ち、そこからの展開と、被害者の娘の心理描写がすごいなと思った。これぞ小説だと思った。

    0
    2026年08月26日

    Posted by ブクログ

    第22回吉川英治文学新人賞  江戸川乱歩賞の「破線のマリス」は面白かった。この「深紅」は衝撃的な出だしで事件の残虐性が際立った作品だ。目次は第一章から第五章まである。

    第一章
    事件が起きたとき修学旅行で信州の高原にいた小学校六年生の秋葉奏子(かなこ)の話。

    旧友たちとふざけながら寝る用意をしていた時、緊張した気配で担任が部屋に入ってきて、すぐ自宅に帰れと言った。よくない予感がしたが、付き添われて高速道路を使って帰ってきた。行き先が監察医務院だと言う。不安は的中して、霊安室で両親と二人の弟に対面した。頭があるところがへこみ白布の上からでもいびつな形をしていた。家族思いで仕事も順調に成長し、新しい家も買った優しい父。ハミングしながら台所で働いていた母、可愛い年子の弟たち。呆然としている間に父方の叔母がきて、滞りなく葬儀が終わった。一人生き残った奏子に事件の話はひた隠しにされたが、テレビや週刊誌で自然に目に入ってきた。頭を金槌で殴られて倒れていた両親、可愛い幼い弟たち、床に広がった深紅、どんなに痛く苦しかっただろう。世間は一家に同情して、生き残った奏子に優しかった。事件現場で茫然自失の様子で座り込んでいた犯人はその場で逮捕された。
    世間は、人でなしの犯人だ死刑にしろ。という。

    第二章
    犯人都築則夫の上申書が一回目の公判前に裁判長に提出された。

    則夫は家庭が崩壊した農家の生まれで、高校卒業後教材会社に就職、関東以北の土地を営業で回っていた。知り合った学校職員の千代子と結婚し娘・未歩が生まれた。その頃は営業一課の係長になっていた、幸せだった。

    その頃、秋葉由紀彦と知り合った。由紀彦の会社から機器を仕入れ、自社製品とセットにして売った。その利益の1%を秋葉の会社の口座に振り込んでいた。秋葉は取引先の要人という立場をとり目上の付き合いだった。

    秋葉の実家は開業医だったが、本人には能力がなくその劣等感をバネにしてきたが、もちろん都築に否といえることではなかった。

    その頃体が弱かった妻が死んで保険金が入った。8千万という金は今まで家を買い未歩の学資にと切り詰めてきた夫婦の気持ちがただ無念だった。
    世話になった秋葉は葬式の時にそっと涙をためて妻を見送ってくれた。それにほだされて、秋葉の父が予備校を開設するという、その資金の保証人を引き受けた。秋葉と連帯保証人ということだったが蓋を開けると秋葉の名前が無く、全て自分の借金になっていた。

    取立て屋が来る頃は一千万円が二千五百万に膨れ上がっていた。それを貯金から返済した。秋葉はのらりくらりと言葉を濁し、ついに詐欺だったことがわかったのだが、秋葉の会社に依存して業績を伸ばした手前、会社の命運もかかっていた。

    バックマージンを2%に上げて分割で返していくと秋葉は言った。謹厳実直な性格はそれを許すことが出来ず、犯行に及んでしまった。
    夫婦を殺したことは覚えているが子供のことはショック状態で何も覚えていないと言う。心神耗弱か喪失常態か、裁判は子供殺しの点で紛糾した。上申書が公表されると、世間の風向きが変わってきた、だが一審の判決は死刑だった。
    都築は控訴した。死刑は覚悟している罪は認めて償うといっていたが。


    第三章から最終章まで
    怒涛のようなショッキングな進行で読み進んだ後、ここからは8年後。奏子も未歩も二十歳を前にしている。
    奏子が雑誌のルポを読んだ、以前取材に来た記者椎名の名前入りの記事だった。そこに犯人の娘のその後が書いてあった。

    奏子は同じ年に生まれたその娘に会いたいと思う。立場は違っても辛い生き方は同じだろう、しかし自分は未歩の父のために取り返しの出来ない人生を歩む破目になっている。何とか未歩に会って自分の立場を知らせたい、娘に対して出来るなら復讐をしたい。

    記者から無理に聞きだした未歩のアルバイト先に訪ねていき名前を隠して近づいていく。

    ここで、両家族(残された娘たち)の邂逅になるのだが、ここからもう少し突っ込んでほしかった。
    作者が書きたかったところもこのあたりにあると思うが。

    読んでいて心理的に視覚的にぞっとするほどの恐ろしい感じがある。残された子供たち、世間の感心の深さ、マスコミの執拗さなど息が抜けない。

    その上、都築の控訴の根拠が読者に迷路を歩ませる。

    三章から子供たちの話に移ると、日常生活の描写が幾分ゆるく感じられる。一、二章の流れで、読者の意識下に残虐なシーンが残っていてこそ、奏子に感情移入が出来るが、立場を変えると未歩の過去も悲惨である。
    両者の眼で書かれたこういう結末を迎える事件は、まれなのではないだろうか。

    どう生きて来たか、これからどう生きるか、友人になった二人が生身でぶつかったとき、話の幕が閉じる。



    あとがきは、吉川英治賞の選考委員の高橋克彦が書いている。二章までの怒涛の展開、緊張感、重いテーマに絡ませる子供たちの立場、犯人の立場。稀に見る凄惨な現場を作り出した作品を群を抜く作品として自信を持って受賞作と認め、奇跡的傑作だと激賞したそうだ。

    0
    2026年02月13日

    Posted by ブクログ

    尻すぼみ感は否めなかったが、前半の描写は凄まじく、これまで読んだ本のなかでもトップレベルに情景が浮かんだ。第二章は引き込まれた。

    0
    2025年11月28日

    Posted by ブクログ

    母が読んでる本のあらすじを読んで父親が戦慄した本がコチラです。

    同事件の加害者家族の子と被害者遺族の子が、若干大人になって接触する話…。どちらの子も人生が壮絶過ぎて苦しい。

    次は爽やかな物語が読みたいな!

    「ミステリー」と帯に書いてあったので読んでみたけど、ミステリー要素はあまり無し???

    充分に悶えさせて頂けたので、よかったです(?)

    0
    2026年06月16日

    Posted by ブクログ

    1.著者;野沢氏(44歳没)は脚本家・推理小説家。中学生の頃から映画監督志望、独学でシナリオの勉強を始めた。24歳でテレビ脚本家デビュー。作劇は、年表形式で登場人物を追いかける独特の手法で登場人物を作り込んだ。映画「V・マドンナ戦争」で、城戸賞に準入賞。小説家としても、「破線のマリス」で江戸川乱歩賞などを受賞。
    2.本書;吉川英治文学新人賞を受賞した作品。父母と幼い二人の弟が、惨殺される。12歳の奏子(主人公)は修学旅行中で、家族が事件にあったと言われ、教師と共に惨殺された家族に会いに行く。まだ小学生の奏子は心に闇を抱えながら、成長。そして、加害者の娘と出会い・・・、物語は進行していく。残された犯罪被害者と加害者の娘達が精神的な深い闇を抱えながら生きていく姿を描いた。
    3.個別感想(印象に残った場面〔記述〕を3点に絞り、感想を付記);
    (1)第二章から、「千代子(都築奏子の母)の保険金を貯め込んでいる私(都築奏子の父)に狙いをつけ、仕事における主従の関係を利用し、秋葉さんは私を連帯保証人に選んだ」「本件は綿密な計算の下に、秋葉家に乱入して一家四人を惨殺したもので、稀にみる凶悪かつ残忍な犯行」「金槌で殴打して幼い子供まで死に至らしめ、・・ハンマーで四人の顔面を陥没せしめるという行為の残忍さ」
    ●感想⇒「保険金を貯め込んでいる私に狙いをつけ、私を連帯保証人に選んだ」。この事が、残忍な犯行の端緒。「仕事における主従の関係を利用」して、無理難題を要求する人は何処にもいます。私もそれにまつわる事をしばしば耳にしました。例を挙げると、取引先の社員から「長期連休前になると『あなたの会社は、××に海外工場がありましたね』と暗に旅行接待を要求する」輩。弱い者いじめです。要求に応えるかどうかは、当事者それぞれ。こうした事が目に余るようになって、官民接待の禁止や大手企業では盆暮の付け届けを受け取らないというお触れが出ました。とはいえ、本書のような事は今でもあると思います。本書のような連帯保証人だけは断る勇気が必要です。まず相談です。保証人になったばかりに、悲惨な結果になったとよく耳にします。話を戻します、当事者の秋葉だけでなく、妻や子供まで惨殺が理解できません。幼子まで惨殺するとは。小説とは言え、私はこういう行為には嫌悪以外に何もありません。ただただ涙です。
    (2)第四章から、「(未歩;加害者の娘)子供が生まれたら、あいつ(明良;夫)は、きっと変わってくれる、子煩悩になってくれるって信じてたから・・」「未歩の腹に子供がいると悟った明良は、いつもの癇癪に見せかけて、彼女の腹を蹴った」「やめて、ここには赤ちゃんがいるのって、あたしは叫んで、お腹を両手で庇った。だけどあいつは聞こえないふりをして、あたしを何度も足蹴にした。子供を蹴り殺そうとしたの」「病院に着いた時は、もう(子供は)流れていた」
    ●感想⇒「腹に子供がいると悟った明良は、彼女の腹を蹴った」「やめて、ここには赤ちゃんがいる」。明良は、高校の時にボクシング選手だった。そんな奴が、妊娠している妻の腹を何度も足蹴りした。そして、子供は流れた。自分の子供なのに、こんな人間の神経はどうなってるんだろう、理解に苦しむ。人間の顔をした鬼に違いない。こんな男と一緒になった未歩もどうかと思うが、自分の成立ち故の我慢かも知れない。世間では、DV事件が後を絶たない。私は思うのです。一般的に男性よりも女性の方が弱いのに、それを知っての暴力。そんな男は、意外に外面がいいのかも。こんな男を罰する法を厳しくするべきです。幼い頃に、祖母から口説く言われた中に、「男の子は、弱い子(女の子)には優しくなければいけない」と。レディーファーストの精神ですね。世の男性は心して欲しいものです。
    (3)第四・五章から、「このおんな(未歩)の背中を力いっぱい押してやろう。私(奏子)の家族を殺しても、まだ飽き足らず怨み続けるという犯人とその娘を打ちのめしてやろう。この娘を父親と同じ犯罪の道へと向かわせてやろう。それが、ある日突然命を奪われた家族の為に、私が出来る事だ」「『あなたの父親が私の家族を殺した』この言葉は永遠に封印しようと奏子は誓った」「未歩を陥れようとしていた私。自分(奏子)より深い傷を探し、見つけた傷口を押し広げようとしていた私」「奏子は泣いていた」
    ●感想⇒ここは、妻(妊婦)の腹をけり、胎児を流産させた夫(明良)を殺す計画実行する下り。奏子は、「犯罪被害者遺族と犯罪加害者遺族が巡り会ってしまったという事実を、未歩に背負わしてはならない」と罪悪感に心を貫かれる。本書の前半、残虐極まりない一家惨殺事件からすれば、後半もさぞかし、陰湿な展開を予想していた。だが、「この手で未歩を食い止めなければ、憎悪の連鎖を経つために」という思い。即ち、奏子の人間性の発露で二人の将来がどう展開していくのだろうと、気を揉ませる話で、物語が終わる。出来過ぎという感もあるが、ほっとして救われたような気持ちになりました。
    4.まとめ;「強烈な描写の前半に比べ、後半部分が少し物足りない」と評する読者もいます。しかし、解説者は、「後半は六十点どころではない。二人の少女のやいとりから生まれる緊張はむしろ前半を凌ぐと言ってもいい」とあります。私は、このような残虐な話は苦手ですが、解説に同感です。「私の家族を殺しても、まだ飽き足らず怨み続けるという犯人とその娘を打ちのめしてやろう」という奏子。「あたしはお父さんから罪と罰を受け継ぐ。秋葉っていう一家への怒りを受け継ぐ」という未歩。後半は、二人が陰湿な体験から抜け出す糸口が見え隠れします。読者にこの先の展開を託しながら物語が終わるのも良い。高橋克彦氏から、「これは奇跡的傑作」と高い評価を受けた野沢氏。44歳での逝去はあまりにも残念。やるせないですね。合掌あるのみです。(以上)

    0
    2026年02月26日

    Posted by ブクログ

    冒頭からの出だしでは殺害された一家4人が不憫でならず、死刑判決を受けた犯人には同情の余地も無かったのに、死刑判決を受けた犯人が書いた上申書を読むと心情が一変してしまいました。
    どんな理由があろうとも、人の命を殺めることは許されないはずなのに、なぜか犯人に同情してしまう自分が居ました。
    殺害された一家でただ1人だけ死を免れた女の子と一家4人を殺害した犯人の1人娘の人生が交錯して。。。
    正義って何?残された者たちの心情を様々慮ってしまう秀作だと思いました。

    0
    2025年08月23日

    Posted by ブクログ

    小学校の修学旅行の夜、先生に起こされて向かった監察医務院。そこには惨殺された父と母、そして幼い二人の弟の遺体があった。たった一人残された奏子は「私は生きていていいのか」と問い続けながら大学生に成長する。
    奏子の父への恨みからハンマーを振るった加害者は死刑囚となるが、彼にも同じ年の娘がいることを知った奏子は正体を隠して加害者の娘・未歩に近づいていく…。

    昔読んだ「破線のマリス」が面白かった記憶のある脚本家・野沢尚さんの手による小説。第22回吉川英治文学新人賞受賞作。
    小学生の奏子目線の第1章、死刑囚都築則夫目線の第2章、圧倒的な緊張感にぐいぐいと引きつけられる。

    被害者家族も加害者家族も形は違えどそれぞれが癒されない傷を負い生きている。誰を恨めばいいのか、誰を憎めばいいのか、自分は生きていていいのか、煩悶しながらいつのまにか二人の間に芽生えていく友情。

    そして二人はある事件を起こす。それはとても杜撰な計画で、そんなにうまくいくはずもなく、殺人というものの圧倒的な重さを考えると、この結末で良かったと胸を撫で下ろす。
    そして、それぞれが自分の思いを乗り越えて、ほんの少し明るい方に向かって歩こうとするラストが本当にいい。

    野沢さんには長生きして、いい作品をもっと書いてほしかったな〜

    0
    2025年06月22日

    Posted by ブクログ

    究極の経験をした者はこういう思考をすることもあるかと想像力を広げられた。登場人物に感情移入してしまうとどんどん辛くなってきたので、途中からは冷静に一歩引いた感覚で読むようにしていた。

    0
    2025年03月19日

    Posted by ブクログ

    この本の描写は正直苦手ではある、生々しい凄惨な情景、触れるとあてられそうな心の描写。どれも読んでいてとても重くしんどい。苦手だ。
    さらにストーリーが想像したくないぐらい濃密。
    しばらくは惚けてしまう。
    それぐらいの力を持ったこのお話、ということ

    0
    2024年11月24日

    Posted by ブクログ

    設定がとても興味深く一読に値する。
    タイトルの意味合いがやや弱いか。
    感情移入しやすい柔軟な表現にまわりくどくて抽象的フレーズが交じり合う。
    読むにつれ引き込まれ「この先がどうなる?」と飛ばし読み誘惑が発動するがもったいなさからちゃんと読むっていう。
    「落としどころはどうするのか」も気になって気づいたら読み終えてた。
    残念ながら著者の新刊はもう二度と夜に出ないが、別の作品を読んでみたくなった。

    0
    2024年07月16日

深紅 の詳細情報

  • カテゴリ
    :
    小説・文芸
  • ジャンル
    :
    小説 / 国内小説
  • 出版社
    :
    講談社
  • 掲載誌・レーベル
    :
    講談社文庫
  • タイトル
    :
    深紅
  • タイトルID
    :
    1676741
  • ページ数
    :
    464ページ
  • 電子版発売日
    :
    2024年10月18日
  • コンテンツ形式
    :
    EPUB
  • サイズ(目安)
    :
    1MB

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