【感想・ネタバレ】私の最後の羊が死んだのレビュー

あらすじ

前代未聞の「羊飼い作家」誕生秘話エッセイ。

最初の一頭を飼ってから、最後の一頭の出荷を見届けるまで
「羊飼い一代記」を綴った傑作エッセイ
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
「お仕事は何を?」
「羊飼いです」
「……え?」
という、なんとなく微妙なやりとりを重ねてきたのは、ひとえに日本人は羊飼いという職業に馴染みが薄いせいであるのかもしれない。
(本文より)
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酪農家の娘として生まれたからこそ、その過酷さは身にしみており、大学卒業後も農業に関わるつもりはなかった。
だが大学時代に教授宅で催されたバーベキューで出逢ってしまったのだ、美味しい羊肉と――。
「自分でも生産してみたい」との思いから一念発起しニュージーランド実習へ。

さまざまな縁にも助けられながら、勉強を重ね、日々実直に羊を育て、出荷し、羊飼いとして収入を得られるようになった。やがてお得意先のレストランシェフに「河崎さんとこの肉はお客さんに出すのが勿体ないほど美味しい」と言われるまでに。

順調に回り始めた羊飼い生活を、それでもなぜやめる決断をしたか、そしていかにして小説を書き始めたのか。「小説家前夜」の日々を綴る。

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感情タグBEST3

Posted by ブクログ

羊飼いという仕事がよく分かった。
私達が食べているお肉も、たくさんの苦労のお陰で食べられているんだと思った。
羊の写真も載っていて、可愛いくて、少し辛い気持ちになった。

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2025年11月22日

Posted by ブクログ

河崎さんの小説は匂いがする。血の匂い、土の匂い、汗の匂い。それが物語をとてもリアルに感じさせてくれる。可愛い羊は食用。人間が消費する。経済動物。
小学校で牛や豚を育てて食べるところまで学ぶという取り組みへの意見が良かった。あんなのやめるべき。

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2025年06月06日

Posted by ブクログ

エッセイは、いろんな人の人生を追体験できる素晴らしい読み物だと実感した一冊。
羊飼いに憧れるけど、実際どうすれば羊飼いになれるのか?羊飼いは何をしているのか?それを面白く楽しみながら学べるエッセイでした。
噛めば噛むほど肉汁が出てくるような、体験記。きっとここには書かれている以上の体験が、このエッセイに重みを持たせているんだろうな〜

追記
読み終わって、最初は羊面白いなぁと思ってたけど最後の方は自分には命を扱う仕事はできないなぁとちょっと重たい気持ちになった。きっと、飼育と屠畜を別の人が行っているから世の中の酪農は成り立っているんだろうなぁ…私は自分が育てた動物の最期がどうしても気になってしまうだろうし、罪悪感に苛まれると思う。酪農をする人は、そういった意味で鈍いというか才能がないとできない仕事なのかも、と素人なりの感想。

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2025年03月20日

Posted by ブクログ

 直木賞作家 河﨑秋子さん初のノンフィクションです。
しかも、ご自身の体験を綴った作品です。

 酪農家の娘さんとして生まれた河﨑さんは、一念発起、ニュージーランドで羊飼いの実習を受けます。
 そして、帰国して家畜として羊を40~50頭飼育し、羊の肉を食肉として出荷するようになります。

 河﨑さんは、その後、文章専業で生きる決意をし、羊飼い廃業をしていきます。
これは、羊を1頭飼育し始めてから、最後の一頭を出荷して羊飼いを終えるまでの羊飼いノンフィクションなのです。

 羊飼いの日常生活から、日本の酪農事情、ジンギスカンの話など、羊にまつわる知られざる業界話が生き生きと語られます。もちろん、小説家への道の話も。

 小説家の文章で読む自伝ノンフィクション。
素晴らしい文章で読ませます。 緩急自在で、分かりやすく、読みやすくて楽しくて、時に切ない。

 読む価値モフモフのあたたかい作品です。羊愛でフカフカです。

 みんな、読メエ~~ェ!(羊だけにw)

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2025年02月15日

Posted by ブクログ

河崎秋子にどハマりの私としては、
もっと前にこの本を読みたかった。
この本には、今の時代を生きる作者がいて、もっとたくさんの苦労と「生きる」を感じていたのだと感じることができた。
より河崎秋子の本を読みたくなった。
まずほ、颶風の王読もうと思った。

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2025年02月09日

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ラストの文章にプロとして仕事をしてきたことへの矜持を感じた。
介護を巡る燃え尽きのリアルな例としても参考になった

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2025年02月01日

Posted by ブクログ

ネタバレ

羊飼いをやめられて専業作家になられたのは知っていましたが、その経緯がこんな切ないというか辛い話だったとは⋯。やめたくなかったけどやめざるを得なかった、やりたいこととやらなければならないこととの狭間で、こういうとき「ああ!自分がもう一人いたら!」なんて言う人もいて、私はそういうタイプですが河﨑先生は(そのしんどさと大切さを痛感するあまり)そんなことを思ったりはしない方なのだろうと思いました。
(思おうと思わざろうと現実は何ら変わんないですね)

自分の家で飼っている動物を食べることを当たり前だと思って育ち上がった、ということがよくわかりました。ゆえに手塩にかけた羊もおいしく食べるのは当たり前と。
自分は自分ちで飼ってた鶏の卵さえも食べられない人間でした。まぁ家業じゃなくてペット的に飼ってたせいもあったと思いますが。
河﨑先生の、時にはドライすぎるんではと感じるような野生動物を描き出す冷徹さの理由を本書で理解したように感じました。いやしかし、羊や鹿を捌ける40代女性って日本にそんなにいるだろうか。稀有な技術をお持ちの人には違いない。
そして学生の時にたしなみはあったにしても「よし、小説を書こう」と思い立って書いた作品がほぼいきなり入賞に絡んだり大賞に選ばれたりするというのも、ただならなかった才能なのではとやはり思わずにはいられない。

それにしても本当に文章が上手いなぁと唸ります。5章6章は息を飲むような読み心地で思わず読みながら前のめりになっていました。
5章でお父さんが開頭手術を受けられますが、私も自分の親が頭の手術をしたとき、先生と同じようなことを思ったのを思い出しその時の先生の心情を想像し苦しくなりました。

7章の中で、子供に家畜を飼わせてその動物を殺す、さらに時には食べるまでするいわゆる「いのちの授業」について「動物を能動的に殺すことを教育という名のもとに子どもたちに受容させるのは、どうか考え直してほしい」と強く訴えていることにはっとさせられた。
私はそういう映画も観たことがあり鑑賞後、何かもやもやとしたものが残っていたけれどうまく言葉になりませんでした。でも河﨑先生のこの文を読んで「そうだ、これだったんだ、だからもやもやしたんだ」と分かった気がしました。同調圧力の怖さ。子どもによってはトラウマになってしまいかねないとさえ今は思います。

河﨑先生の人生は一人で体験するには稀有すぎるというか貴重すぎるというか、あっけにとられる思いでそしてあっという間に読み終わりました。
「私の羊は美味しかった」その言葉に羊飼いとしての矜持をとても感じました。
いやほんとにすごい人だ。

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2025年01月06日

Posted by ブクログ

ネタバレ

羊飼いという職業の奥深さを知れた。
編み物にはまってから、毛糸に興味が湧いて、その流れでこの本に出会った。
直木賞受賞時の会見で、著者が前職は羊飼いと知り、放牧的なイメージの職業だと勝手に想像していた。でも、肉体的にも精神的にも追い詰められながらも、羊を飼ってみたい、生産してみたいと、チャレンジしていく姿がコミカルに生々しく綴られ、最後に廃業する時の悔しさが伝わり胸に詰まった。
作中には、美味しそうな羊料理も出できて、新鮮な国産羊肉を食べてみたいと思った。

やりたいことに集中するためには、取捨選択しなくては、全てを失ってしまう時がある。死んでは何もかも出来ない、なんとかして心も身体も健康でなければ何も出来ない。
私も踏ん張っていきたい。

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2025年01月02日

Posted by ブクログ

ネタバレ

自分で美味しい肉を生産したいと思い、羊飼いになった著者のエッセイ。
羊飼いになるために実家に戻り、家業の酪農を手伝いながらも羊の生産や執筆も行うバイタリティー溢れる著者。
自分で生産した羊を食べることに抵抗はないの?という愚問にも真向から答えているところに好感が持てる。
動物の解体を手早く無駄なくできる人を尊敬するという著者を私は尊敬する。

写真が数多く挟まれているが、去勢前の純粋な目をした子羊がとんでもなく可愛かった。牧場でのびのびと育って、最後は屠畜場で肉になり生涯を終える羊たちを、見事に育て上げた著者の想いに触れることができて嬉しかった。
そうか、生産者は消費者に美味しい肉を食べてほしいと思ってくれているんだ。気が付けば日頃、動物の肉を無機質に噛みしめている私にとって、目が覚める思いだった。かと言って、すぐに生命に感謝して食べよう!等と思いながら食べるのは無理かも。だが、生産者が汗水垂らして飼育した肉をいただいているのだ、ということだけは忘れずにいたい。

執筆業に専念する直前の著者は、介護に酪農に執筆に羊に…とそれは目まぐるしい日々だった。誰も著者の選択を責められないし、潔い幕引きだったと思う。自分の育てた羊の最期を見届けても、感情的になったりしないところがまた素敵だった。
こんなにのめり込めるエッセイは、滅多にない。

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2024年12月08日

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ネタバレ

河崎秋子さんの『颶風の王』を初めて読んだ時は衝撃を受けた。
動物や、北海道の厳しい自然の中で生きる人たちの、凄まじい生き様を見せつけられたからだ。
その後も、野犬、鳥、ヒグマなど、様々な動物たちが人によって殺されていく小説が描かれた。正直言って、そのどれもを快く思って読んだわけではないが、彼らが命や自然と向き合う姿には、限りなく惹かれていった。

食肉になった姿しか知らない自分が、屠殺される羊の一部始終を読まされるなんて、耐えられるかと思ったが、この本を読み進むうち、(まだ完全に、ではないが)粛々としてその事実を受け入れようとする自分がいた。
そして「いのちの授業」として小学生の前で行われる鶏の屠殺が、子どもたちの一人一人異なった感受性に対して、いかにその場では相応しくないのかを、理路整然と述べてくれた。
このことは、目の前での動物の死を受け入れるのが苦痛な自分にとって、救われる言葉だった。
それを正しく伝えることができるのは、酪農の家庭に育ち、生まれた時から経済動物としての牛と向き合って、何度も動物たちの死に触れ、害獣のエゾシカを駆除して捌き、飼っていた鶏を締めて食べるのが当たり前だった河崎さんだからこそ、だったと思う。
(ところが、このページがどこにあるのか読後に探したが、なぜかいまだに見つかっていない。幻〜?だったの??)

河崎さんは、牛や羊の世話に加えて、父親の介護が重なった一番大変な時に『颶風の王』でデビューする。
いよいよ作家と羊飼いの二足のわらじ(さらに介護)が限界と悟った河崎さんは、自分で苦労しながら肥育した羊を肉にして売り、最後の羊たちの屠殺を見守るのだ。
その後の感慨と、サプライズなラストシーンは河崎さんにとっての、「最後の羊」に相応しい素晴らしいものになっている。

余談だがイギリスで代々牧羊を続けてきた、ジェームス・リーバンクスによる『羊飼いの暮らし』(ハヤカワノンフィクション文庫)にも河崎さんが解説を書いている。
以前、「羊飼い」というものをまだよく知らずに読んだが、今一度、この本も読み返そうと思っている。

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2024年12月03日

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河﨑秋子さんのかつて羊飼いだった経験を中心に綴ったエッセー。羊飼いの仕事を知ることができて興味深いし、河﨑さんの仕事に対する真摯な思い(羊飼い&文筆業)にも共感する。羊肉がとても食べたくなる。

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2024年11月26日

Posted by ブクログ

羊飼いと小説家の二足のわらじを履いていた河﨑さんが、羊飼いになろうと思ったきっかけから、肉体的にも精神的にも追い詰められて羊飼いを廃業する決断をするまでを振り返る回顧録。
文章のうまさは保証付きだし、家族や先輩に支えられて無事に羊飼いになるまでの顛末も楽しい。この人の作品には動物のリアルな解体シーンが登場するが、経験に裏打ちされたものであることがよくわかった。
骨太な作品は骨太な作者から生み出されていたのだった。

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2024年11月09日

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羊飼い、畜産業に関わる人の信念とか思いがよく伝わった。大切な宝物の羊を育て、食肉用におろすという作業には、その人たちにしかわからないものがあるのだろうと。それを、わかりやすくシンプルに、時にユーモアも交えて書かれているので、すっと共感も出来たし、読み応えのある本でした。

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2025年10月31日

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畜産業を営んだ人の頭の中を覗けてよかった
パックの精肉を美味しくいただく側なので

自分の経験に基づく考えや価値観を適切に言葉で表現する力を持った人が書いた、畜産業の仕事内容と食肉に対する意見を読むという、貴重な機会を与えてくれてありがとうという気持ちになる

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2025年08月22日

Posted by ブクログ

河崎秋子
『ともぐい』直木賞作家
前職が[羊飼い]
本作はエッセイで
前職の羊飼いを志したときから閉業をするまでを書いている。
受賞作『ともぐい』を読んで、その描写の力と物語の構成に 感激をしたが、エッセイもなかなか面白い。
文章は的確で、無駄な表現が無く、彼女の人柄がよく現されていて、楽しく読めた。
挿入写真の地味さも良かった。

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2025年06月07日

Posted by ブクログ

「私たちは命をいただいている」とかよく言われるけど、それを実感できている人ってどれくらいいるんだろう。
そんなことを言われる時って、感謝しなければいけないってニュアンスが多分に含まれている気がするけど、このエッセイでは動物の肉を食べることが人間の性の営みの中で行われるごく自然な作業として描かれている
感謝をしていないということでは決してなく、あらためて感謝せずとも日々の食べる行為の中に自然に感謝の思いが寄り添っているというか。
家畜や農作物を育てることと食べることの距離が近いと、生きることがシンプルになる気がした。
実際はとても大変な作業なんだろうけど。

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2025年05月18日

Posted by ブクログ

『ともぐい』が強烈だったので、どんな方が書かれたのか興味があった。
北海道の酪農家の家で育ち、一人で羊飼いを数年やった…動物の解体・精肉をこなすことができる。なるほどそうか、そういう方が書かれたのだなぁと納得がいった。
NZに羊飼い修行に行くなどものすごいバイタリティの持ち主。父親の介護、フルマラソン、小説執筆。そして羊飼い廃業。

河崎さんは、小学生が家畜を飼い、成長させてやがて食に供する「いのちの授業」に強烈な違和感を抱くという。
p191 食育としてもクラスの団結のためにも良い取り組みのように思える。しかしだ。少なくとも、現行の日本の義務教育学校の仕組みで、その理念がゆがまずに子どもたちに行き届くとは私には思えない。
p192 押し付けられては結局歪む。子どもたちは、パック詰めの肉に慣れていて構わない。それぞれが、自分が何の肉をどういった経緯で食べているのかを知りたいと思った時、自ら向き合えばいい。それが子どもの頃であれ、大人になってからであれ。あるいは一生、血の匂いを知らないでも、生き続ける権利だってある。
p193 他の動物の命を食べねば自分の命を維持できない、というのは生物としての業だ。(略)言い換えれば、ヒトの進化は業の深化とワンセットともいえる。そして、進化したゆえに、ヒトは自分たちの業を認知し悩むのだ。耳当たりのいい言葉はあったとしても、安易な正解などありえない。だからこそ、教育の現場で、まだまだ精神成長の余地がある子どもたちに与えられる課題としては、肉と死の問題は大きすぎるのだ。
そして、形の定まらない答えの隙間を埋めるために、私は小説を書いている。なにせ、私だって、自分が育てた羊の脳を食べて『いずい』と感じる理由を、明確になど説明できやしない。
問題は容易に解決するはずもない。だからこそ、私は羊飼いの職を手放してでも、この問題を小説という武器で問い続けるのだ。

そうか、彼女が小説を書くテーマはこれなのだな。

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2025年04月02日

Posted by ブクログ

お人柄がよくわかるエッセイだったと思います。時にクスクス、時に一緒に考えながら拝読しました。自分に対してではなく自分が作り出したモノに対してプライドを持つことが、人間としての深みを増すのだと感じました。次は小説も読んでみたいです!

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2025年02月19日

Posted by ブクログ

羊飼い、兼作家であった著者の自伝的な本。この本読んだ後、北海道産の羊(サフォーク)を買って食べた。うまかった。日本で羊がマイナーな肉になっているの、もったいないなあ。
一番印象的なエピソード、としてはズレているのかもしれないが、自称羊飼いと言われて著者がキレたところが心に残っている。自分の仕事の扱われ方に関して憤れるというのはかっこいい。ともすると、自分自身でさえ、自分の仕事をどう表現すればいいのか分からなくなることもあるというのに。
荒川弘さんの「百姓貴族」と繋がるところがあって面白かった。経済動物を飼うことのシビアさとか。そもそも経済動物という言葉自体、これらの作品を読むまで知らなかった言葉だったように思う。
ところどころにやや生々しい写真があるので、苦手な人はちょっとギョッとするかもしれない。
最後の2ページがとても良かった。ここで、こう繋がるんだ、と思った。

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2024年12月24日

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作家が北海道で羊を飼い、肉を卸していた頃の話。

羊を飼うという仕事の面白さと大変さ。自分で育て、その肉を食べるということ。私の生きる世界では全く実感できないことを、疑似体験できた。

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2024年12月08日

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河﨑秋子のエッセイ。この方が羊飼いだというのは小説の著者紹介で知っていたが、「羊飼い」のイメージがぼんやりしすぎていて想像できていなかった。肉用の羊の飼育、繁殖、出荷。羊飼いになるべく修行を始めてからのこと、羊飼いに加えて実家の酪農の仕事やお父さまの介護、更に小説を書いていたと知り圧倒された。文筆業一本にされるまでを書いた話。この積み重ねがこの人の小説になってるんだな。これからも注目して読んでいきたい。

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2024年11月24日

Posted by ブクログ

羊飼いになりたいと思った人の話。
羊肉をおいしいと感動しこれを作りたいで羊飼いになる。海外に修行にいったり羊のあれこれから経営まで身をもって勉強。羊飼いになり自分の出来る範囲で少しずつ手を広げていく。自分のやりたいことに一直線で誠実。現実的なことが具体的に書いてあり読みやすい。
そして羊飼いをやめるのだがどうして?とは思わなかった。著者の自分を信じて生きていく強さがよかった。

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2025年08月21日

Posted by ブクログ

河崎秋子さんの小説家として立つまでの人生。羊飼いという珍しい仕事を一から始めて軌道に乗せ、小説も書きマラソンも走り父親の介護までするそのパワーに圧倒された。小説にパワーがあるのはその人間力にあるのかな。

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2025年04月24日

Posted by ブクログ

北海道で生まれ育った著者の
半生の記録といった感じでしょうか。

酪農の家に育ちながら
違う仕事をするつもりだったのに
羊飼いになろうと決めて
ニュージーランドへ研修に行ってしまう。
その行動力とバイタリティーが
書かれる小説にも生かされているっぽい。
(一冊しか読んだことないですが)

志した出発点が
「おいしい羊肉を作りたい」なので
生産者として羊に相対している。
文筆業専念のため
羊飼いをやめることにしたとき
最後の一頭まで
良い買い手に渡したいと奮闘する姿に
気持ちが入り込みました。

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2025年03月16日

Posted by ブクログ

著者が大学生〜直木賞を取るまでの生活が記されている。酪農家の家に生まれ、羊飼いになるため国内外に学びに行き、良質な肉を卸すほどになった著者から、あのともぐいという作品が生まれたんだなあと納得した。食べるために他の生き物の命を扱う環境にいらっしゃるので、それらとの距離感や捉え方が自分達と違うなと感じる。お父さんの介護のことも悲劇や美談でなく、生の中の一つのような感じですんと胸に落ちた。

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2025年02月11日

Posted by ブクログ

羊飼いでもある作家・河﨑秋子さんが、羊飼いを始めてから最後の一頭を出荷し、羊飼いをやめて専業作家になるまでの十数年を綴ったエッセイ。

河﨑秋子さん=羊飼いという認識だったけど、しばらく前に羊飼いはやめていたのだと本書で初めて知った。
それにしても、羊飼いになりたいと単身ニュージーランドの牧場に乗り込むなどかなりの行動力に圧倒される。
着実に努力を重ね、北海道でも数少ない羊飼いとなり十数年。実家の酪農牧場の従業員でもありながら、羊飼いもし、父親の介護もしながら作家稼業まで、あの「不封の王」描かれた頃はこんなにも過酷な日々を送っていたのかと驚く。

やりたいこととやるべきことの中で時間を削られ、心身をすり減らし、結局一番大事な書くことを選択した作者が作品の中で伝えていきたいこともしっかりと書かれていた。

羊飼いだった河﨑さんにしか描けない物語をこれからも期待しています。

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2024年12月25日

Posted by ブクログ

河崎秋子さんの自叙伝兼エッセイのような書籍
河﨑さんから生み出された力強い小説は、
今までの経験から発露されたものなんだとこの本を読んで納得しました。

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2024年11月30日

Posted by ブクログ

羊飼いを夢見た河崎さんが、細い糸を手繰るようにその道に邁進して、自分の羊を手にしたパワーに圧倒されました。実家の酪農を手伝いながらも、美味しい羊肉を生産して販路を見つけ商売として羊飼いをしていた姿が面白く書かれています。それは、生半可ではできないことで、ほんとに好きなのだなあと思えました。動物にかかわる食や医療、そのほかの様々な経験が、リアルに作品に現れているのだと納得です。
羊飼いを廃業して作家一本となったこれから、北海道の歴史にまつわるものや生き物とかかわるもの、そして畜産・酪農・農業など、河崎さんの目線にある作品を読めればと思いました。

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2024年11月13日

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