小説・文芸の高評価レビュー
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Posted by ブクログ
最近読んだSM文学の中では谷崎潤一郎「春琴抄」がいちばんよかったです。奔放な春琴もひたすらに献身的な佐助も危ういし、露骨なことは何も書いていないのに、文章が身体感覚と情緒に触れて、ぞわぞわするあたりがとてもよかった。女でサブミッシブ気質のひとには是非ぞわぞわしてほしいです。
表向きは欲望する主と無欲な従者という構造でありながら、従者である佐助の献身が、主である春琴を依存させ、実質的には絶対的な支配権を持っていて。欲望の向きが権力関係を規定するのが興味深い。
山崎ナオコーラによる解説
「頭の中で好きな人を見る幸せを、こんなにも素晴らしく描き出した作品は他にない。」
これも刺さる。
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Posted by ブクログ
直木賞と吉川英治文学新人賞の候補作品。
素晴らしかった。
「傲慢と善良」の前身となる作品と言えますね。
幼なじみが仲の良かった母を刺し殺して逃亡した。神宮寺みずほは地元の友人や関わりのあった人たちに話を聞き、彼女の行方を追う。
山梨県の田舎社会での、女性たちの価値観の描き方がとてもリアル。
みずほと政美の会話、すごく好き。ヒリヒリする。
ありさとの応酬も、映像が目に浮かぶ。
そんな知人友人との接触を通して、最初は好きでも嫌いでもなかったみずほは「好きかわからないけど理解できる」になった。
チエミに対しては、かなり嫌悪感を持っていたけど、印象が変わっていったのも、さすが辻村さん。
謎め -
Posted by ブクログ
スピノザの続編。親しみの持てるさらりとした人間味のある登場人物達に変わりはなく、前作を思い出しながら読むことができました。
やはり、夏川さんの「死」への向き合い方が、しんみりと心を揺さぶります。最先端の医療を突き詰めた人間が奢りを持つことなく、その無力さと人の死に対して向き合うことの難しさを語っている。
ストーリーの背景となる京都の風景の描き方が、前作と異なり外国人観光客が多いことに触れています。やはり京都の現状、というか日本の「今」にも踏み込んでいる。
日本の少子高齢化の波は否応なしに医療の分野にも押し寄せている。そして医療そのもの、人の生死に対する考え方そのものにも疑問を投げかける。 -
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Posted by ブクログ
尊敬する先輩が高評価だったので。
読み始めた瞬間吸い込まれ、没入してしまった。
原田マハさんと相性がいい気がする。
これは『本日はお日柄もよく』でも感じたやつ。
内容は、主人公の『伊波まじむ』が沖縄ラム酒を作るために奮闘する、いわゆる王道のサクセスストーリー。
ただ、本作はそれだけじゃない。
沖縄の風景や人柄の良さを感じさせるし、主人公の頑張りやまっすぐさに心を打たれまくる。
とにかくクソ泣いた。
いきつけの飲み屋で読んでて、「これで涙拭いてください」ってキッチンペーパー渡されるくらい泣いたw
家で読んでたら、声出てたやつだな。
読みやすいし感情移入もしやすいから、読書苦手な方も是非