小説・文芸の高評価レビュー
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⭐︎4.3
読んでいる間、自分まで伊予市に取り込まれそうな感覚になるほど、彼女たちの人生に、境遇に引き込まれてしまう力のある作品だった。2013年8月、団地での悲しすぎる出来事。誰がどうすれば良かったのか?誰が悪い、誰のせいだと一言では言えず、ひたすらにやりきれない思いにさせられる。
母から子へ世代が受け継がれていくことをここまで恐ろしいと感じたことはない。彼女達が母として、娘として、女性として生きていくことの難しさがこれでもかというくらい強烈に描かれていた。負が負を生んでいくストーリーに精神を削られていく一方だったけれど、最後、陽向の強さに希望を感じられてよかった。
どんな親でも、自分の親だ -
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鳥が好きで鳥の研究ができる大学に進学し、そのまま研究を続けて、まだ40代前半という若さで動物言語学という新しい領域を切り拓いた、その研究人生を綴った本。毎年何か月も軽井沢の森にこもり、シジュウカラの鳴き声の観察・研究を続けるのは大変なことだと思うが、その大変さがさらりと書かれており、楽しくて研究をやっている感じが伝わる素晴らしい本。人間だけが言葉を操るという観念を覆し、シジュウカラが文を作る、ということの証明も素晴らしいし、その手法について「ルー語による文法の証明」「「ぼく・ドラえもん」実験」とわかりやすくユーモアのある語り口で説明している。観察するだけではなく、論文にまとめるために緻密に実験
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本屋のサブカルの棚から発掘。ジャンプ黄金時代とともに育った世代として、アプリ「ジャンプ+」は初期からインストールしていたため、全編通して興味深く読んだ。ただ読み手は選ぶかも知れない。
ジャンプと言えば、創刊時すでにサンデーやマガジンといった少年マンガ誌が売り出されていたことから多くの作家を確保できず、新人発掘に注力した結果、王者まで登り詰めた歴史があり、自分の中では、新日本プロレスが旗揚げ当時、全日本プロレスに外国人レスラーのコネクションを独占され(当時は外国人対日本人の構図で盛り上げるのが主流)、やむを得ず新たなスターの発掘や日本人対決を売りに、全日本と比肩する団体にまで成長した経過とオーバ -
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素晴らしい1冊でした。買うか悩んで、何回も何回も本谷さんに行って、ようやく購入した本だったけど、買ってよかった。出会えてよかった。
簡単に言えば、中学受験をきっかけに家族とはなにか?家族の絆をより深く、そして築き上げることができるという話なんだけど、頑張りはもちろん、葛藤や無気力、色んな気持ちが感じ取れてとても良かった。
受験、特に中学受験に関してはチームワークで、家族の力がないとなかなか難しい。むしろ合否関係なく、家族が崩壊することだって、自分のメンタルがやられることだってあるはずで。
頑張れば結果は見えてくる!はよくある話なんだけど、それだけじゃなくて…。
結果はどうあれあの時頑張った行動 -
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【書名と著者】
幻庵 下
百田尚樹
【目的】
百田尚樹の本を一通り読んでみるキャンペーンを勝手に開催してるから。
とくに本書は囲碁に関してほぼ知らない読者にどうやって面白く読ませるのだろうという興味から。
名人碁所の争いは風雲急を告げ、幻庵はどこに至るのか気になる一冊。
【読後感】
とにかく、凄く厚みのある本を読んだ。百田尚樹作品の中で、ほかに三世代にわたる群像劇はない。作中で流れる時間と人生のままならなさと盛者必衰の理を感じた。
幻庵の一生を走馬灯のように追体験した、ような気分になった。
そして、碁打ちたちの生きたさまが夢幻かのような結末を迎え、儚くもスッキリする。
【印象に残ったポイ -
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「自分らしく、人間らしく、心豊かに生きる」といった行為や思いに付随する「時間」、この「時間」が段々と消失し「自分らしく、人間らしく、心豊かに生きていない」人々が増えているといった現代社会への皮肉を児童文学に込めた一作品。児童文学こそ万人に伝わる表現で、万人が読後に考えをもてるような素晴らしさがある作品が多い中でクリティカルに「時間」とはを考えさせられた。
私たち大人は生きるために働き、生きるために食べ、生きるために学んでいる。その中で自分らしさといったものが少しずつ減っていき、人間としての象徴性を失っているのではと問われると、グサリと心に刺さる。その通りですと、自分の人生、自分の思い通りになる -
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登校拒否になった中学生の女の子が、田舎のおばあちゃんちで過ごすお話
おばあちゃんは実は魔女で不思議な力を持っているという事から、魔女修行に励む事になる
魔女修行は精神力の鍛錬
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自分を生き抜く力を伝える、ロングベストセラー小説の愛蔵決定版。中学に進んでまもなく、どうしても学校へ足が向かなくなった少女まいは、夏のひと月をママのママ、西の魔女と呼ぶおばあちゃんと共に暮す。感受性が強く生きにくいと言われたまいは、その性質を抱えて生きるために魔女修行に取り組む――初刊から23年を経て、書下ろし短篇おばあちゃんのモノローグ「かまどに小枝を」等表題作に?がる三作も収録。
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仲の悪い五奉行が、わちゃわちゃしながら秀吉の命に従って行政を行っていく。
第1話 増田長盛
北野大茶会。茶会を開く場所も出席者も決まってないのに、秀吉は五奉行に丸投げする。1000人もの参加者が雨に濡れないよう、頑張って屋形を建てる。
第2話 浅野長政
一揆が起こったばかりの肥後で、一揆を誘発しないように刀狩りするように命ぜられる。
第3話 長束正家
算数大得意男。伊達の領土の検地を任せられる。誰にも計算できそうもない土地の検地に取り組む。
第4話 前田玄以
唐入りの那古屋で、化け遊びを行うことになったが、一位の者には願いを叶えると秀吉からの沙汰がある。家康に一位になられると、唐入り反 -
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読み終えた今、これは確かに多くの書店員さんがおすすめしたくなる本屋大賞であると感じています。
誰かにおすすめしたい。読んだ感想を誰かと話したい。そう思う作品でした。
主人公のスタートは、人生においてドン底に居て、何故自分がそうなったのかも分からない状況にあります。そこから、弟の元彼女と出会い、共に過ごす事になり、自らを、家族を深く考える時間が増えていく事で立ち直っていく。
優しく大好きだった弟の知らない一面や、個性的であり魅力的で凛とした姿に見えた元彼女にもあった複雑な思いなど、丁寧にストーリーが進んでいき、終盤にかけて心を掴まれていきました。
何かおすすめの小説がある?と聞かれたら、間