あらすじ
最高。何度も何度も読んだ。この小説を読み直すためにだけでも、十年先まできっと生きていたい。ーー斎藤真理子
『続きと始まり』『百年と一日』が話題の柴崎友香による全く新しい「探偵小説」
「世界探偵委員会連盟」に所属する「わたし」は、ある日突然、探偵事務所兼自宅の部屋に帰れなくなった。
急な坂ばかりの街、雨でも傘を差さない街、夜にならない夏の街、太陽と砂の街、雨季の始まりの暑い街、そして「あの街」の空港で……「帰れない探偵」が激動する世界を駆け巡る。
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「今から十年くらいあとの話」
という書き出しで、いきなり時空をねじ曲げられた気分になる。これは「探偵」という単語がタイトルにあるが、いわゆるミステリ小説ではない。ミステリ要素が全くないかと言われればそんな事もないが、主題はそこではない。
登場人物は全て仮名で、章ごとにとある法則で付けられている。現実世界にあるようなないような、ちょっとしたディストピアのような雰囲気がずっと続いている。
帯にあるとおり、この物語の世界に帰ってきたくなる時がきっとまた来るだろうなぁと思わされる。すごく心地良い、およそ300ページの旅路。
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事件を解決する探偵ではなく、遺失物探しや調査などの日常的な依頼をこなしていく探偵の話。
固有名詞はほぼ出てこないが文化や思想、食事や音楽などから様々な国(地方)のモデルを連想しやすく、空港での情景描写が細かいため旅行気分も味わえる。
書き出し文から立ちあがる時間空間の感性も、人や出来事の背景すべてが明らかになるわけではない余白の部分も、柴崎さんらしい魅力だと感じた。
現代社会への純文学的な風刺は感じるが、紀行音楽、寓話やある種のディストピア要素を多分に含んでいる内容で読みやすい作品だと思う。
間違ってもミステリーではないので伏線回収やどんでん返し、明快な答えを求める人には不向きかな。
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「今から10年後くらい先の話」ではじまる。
自分の事務所に帰れなくなった探偵の話。
仕事、生活が淡々と語られていく。
滞在先の事務所もだけど、自分の国にもある事情から帰れていない。
よくある「探偵モノ」とはちょっと違う。
依頼任務や生活が描かれているが
探偵の仕事である秘匿性から、どこの国の仕事なのかなどが明記はされておらず断片から想像するしかない。
探偵連盟から任務を課され淡々とこなしていく、探偵は一箇所にとどまることはなくどこにいっても異物として存在する自分、帰れない国、自分が帰りたいのかもわからず、仕事も何故今ここで自分がこの仕事をしてるのかも揺らぐ
ずっと旅をしている。漂っている。
描かれている世界が未来の世界なのか今の事を話しているのかも読んでてわからなくなる。
十年経ったら何だって色々と変わるのか
…悪くなっていくだけなのかな悲観する。
でも、事件が起きて探偵が解決する話ではない。
とわかってからは面白いというより、心地よく読めた。
探偵を通して、一期一会や自分の今の生き方などをかえりみてしまう。
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短編連作のなかで、幾重にも重なる時間の揺らぎ。
いるよ、みてるよ、と存在を伝える者。失われた場所への眼差し。遠くへ音楽を届けようとする人々。
探偵が触れる謎と、解かれない謎。
読み終わるのが惜しくなる、長い旅をした気になる本。
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めちゃくちゃよかった。感覚的に好き。
探偵の仕事を一つ一つこなして軽い謎解き要素もあり、いろんな国のいろんな場所に赴任するのでどこかなーと想像しながら読んだり、不思議な魅力がある本。
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語彙力がなくてうまく感想が書けないのが悔しい。居場所探し自分探しのモラトリアムなわけでもなく、達観してるわけでもない。
大立ち回りも号泣するようなカタルシスもない。ただ郷愁に身を委ね、人々の話の機微を聞いているのが心地よい。
近未来をイメージさせるどこかのいろんな国へ行く探偵。
目立つのは外国人や富裕層で、先住民や土地を捨てた人々の痕跡はあっても管理された情報でうまく辿ることは難しい。今ここにいない人たちに思いを馳せ、同じ景色を見たいと望み、自分の足元を確かめる。
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世界を飛び回り依頼をこなす探偵の物語。
今から10年後の話、帰れなくなった、故郷の体制が変わった等々散りばめられた設定はSFとは言わないまでも独特な世界観。
探偵だから派手な事件と言うよりは調べ物が多く、主人公の名前も地名すら出てこず、淡々と仕事をこなす様は想像力に頼る部分が多く評価が別れるかもしれないが確実に変わりつつある世界に惹かれていき分厚いもののかなり夢中で読めて新しい読書体験になった。
末端だからこそ全貌が明かされず空港でリアルタイムに指示が来て様々な人と会話をする最後の物語がとても好き。
Posted by ブクログ
読み始めて、不思議で良くわからなくて何か最後に明らかになるのか?と思い???のまま読み進めました。真ん中くらいまでは読み進めるのがすごくゆっくりだった…。その上で、真ん中くらいから夢中で一気に読みました。何かがはっきりするわけではない、そして正解をはっきり提示しないし世界ってそんなものだよなと思いながら読みました。主人公の視点で調査したその後はわからなかったり、結局他の人たちはどうなったかわからないのが、それがこの世界だよなぁと思ったり。主人公の揺れる思考や冷静な気持ちや、いろいろな感情にはっとさせられ、共感はしなくとも理解はできる心の動きでした。わたしにとっては。
わたしには結構面白かったです〜
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独特の雰囲気。ふわふわしながら読んだ。
みんな仮名。漢数字シリーズや植物シリーズ?なんかおもろい。国もどこなのか?なんとなく想像はできるけれど。
どの話もよかった。またゆっくり読みたいと思った。
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捉えどころのない不思議な小説。
読んでいるとここではないどこかに連れて行ってくれる。
それぞれの国のモチーフになっているであろう国を「中欧っぽい」「ドバイかな」「マニラなんじゃないか」などと想像するのも楽しい。
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途中ツインピークスネタで笑わされたりで油断してたら後半予想してない方向に連れてってもらえて、ものすごく好きな終わり方だった。最初から読み直したらけっこう伏線もあって、ほんと面白くて好きな本。
オードリーでん?と思って、ドナが来て、これはあれだなと分かって嬉しかった(デイルって誰だっけ、としばらく考えながら読んだ自分に笑えたけど)。「終わらない歌」にしろ、好きな本を書いてくれる同世代の作家さんがいることの幸せ。
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なんだろう。
うまく言葉にできないけど、なんか読み返したくなる。独特な世界観の中に妙な安らぎを感じてしまった。
特別な事件が起こるわけでもなく、探偵の仕事もふわんとした形で終わるのに、なんかまた読みたいと思わせる不思議な本だった。
雨の日にゆっくり読みたい。
Posted by ブクログ
今から10年くらいあとの話。
世界探偵委員会連盟に所属する私は、自分の生まれ育った国を離れ、とある国、急な坂のある街で探偵事務所を開設する。
だが、不意に発生した大規模停電を境にその事務所へ続く路地を見つけることが出来なくなり帰れなくなってしまう。
そこから寝床を転々とし、国を転々とし、あの日去った国、あの日去った街に思いを偲ばせながら探偵業に勤しむ日々を送る。。
何だこの読み心地。
SFかのような不思議設定、不思議展開を据えつつ、時、場所、人名の断定は徹底的に排除。
唯一無二のふわふわノスタルジックストーリー。
探偵が主人公なので、それなりに事件というか事案は発生するのだけれど、正直「探偵」のワードは目眩し。
ことごとく結末があるようなないような匂わせ終焉。
でもこれはこれであり。
こんなにも長きにわたって郷愁の感情を表現した物語はなかなかない。
そして、この物語の行き着く先があのロックバンドの歌って。
意外なんだけど、なんか合ってる。
聴きたくなってApple Musicで探したけど、本家のはなく、くっきーの歌っているやつしかなかった。
youtubeで探してみたら1000人ROCKというイベントの動画に出会った。これは凄い!これは熱い!!
時を越えて伝わる言葉、響く音。
Posted by ブクログ
名前も出てこない女性探偵が、重要かそうでないかすらわからない仕事をこなしつつ、行った先で色々な人々に出会うお話。国を巡る様子は探偵物語的な謎も含ませつつ紀行小説のようでもあり、私も一緒にたくさんの街を巡った気持ちになりました。最後もはっきりわからないけど、想像の余地が沢山ありそこがまたいいかなと思うし、希望が芽生えるような終わり方だと思います。私はとても好きです。
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各章の後先に出てくる、今から10年くらいあとの話し、って何。
どれを読んでもその疑問は解けなかった。
探偵と言えば、ハードボイルドか、浮気調査か、くらいのイメージしか持たない私に、新たな探偵イメージができた。
全体を通して、静かな空気が流れていて、心穏やかに読める。
最後の方で、主人公の出身地はあそこか⁈と思える場面はあったが、、、あ、そか!これから10年後、こんな世界になっているってこと?
Posted by ブクログ
ようやく読み終えた。
SF的な空想の舞台で、時系列としては「今」の10年後の物語。
決して地名や国名が出ることはないけど、政治的な理不尽だったり、異常気象だったり、どこかを想起させてしまう描写に、思わず唸ってしまう。
唐突なエンディングだったけど、考えうるポジティブなエンディングだったように思う。
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祖国、自宅、が無くなってしまい文字通り帰ることができなくなった探偵。
地元に根付いた仕事をしつつも、根無草の探偵
定期的にどこか縁もゆかりも無い場所へと異動し、またそこでも泥臭い探偵業を行う。
世界は大きく変わるのに、主人公はふわふわとしたまま流れに身を任せて生きてゆく。
どこか憧れる生き方。
でも帰る場所のある安心感があるからこそ、私たちはこちら側から傍観できているだけなのかもしれない。
大きなオチは無いけれど、世界は、組織は歪みながら進んでいる、そして主人公も少しずつ自分を捉え始めようとしている。けれどそれはまだ10年後のお話。
非常に読みやすく、流れるように体に言葉が入ってくる。とても魅力的な作家さんの作品。
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柴崎さんが、近未来のディストピアを描くとこうなるのか。今まで誰も書いたことのないやり方。今から10年くらいあと、こんな世界が本当にあるのではないかと思わせるくらいの、濃密でリアルな空気感。
帰れない探偵なんて発想!
デジタルで時空が歪められた世界。巨大企業が情報をコントロールして、あることが無かったことにされる世界。
そんな抑圧された世界から隔絶して、糸が切れた凧のように生きる探偵は果たして幸福なのか、不幸なのか?
みんなが不幸な世界で、息を潜ませて生きる人々。
悲しい世界だ。
でも、きっとすぐそこの世界。
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次々とくる依頼のために様々な国を横断する旅行記のような探偵物語。主人公がいた国(おそらく日本)は主人公が発ったあと体制が変わり戻ることができなくなった。そのためどこか宙ぶらりんな感覚が続いている。
管理体制の世の中でも自分の感情を大切にしていきたい。
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「今から十年くらいあとの話。」
たぶん海外に出国しようとする主人公が空港(最終章からKIXかと)で10年後の自分を想像している話なのかなと思いました。
いろいろな国と想像をMIXした不思議な感覚を楽しむ話なのでしょう。
Posted by ブクログ
「これは今から十年くらいあとの話」という時間軸の置き方が、この物語にピタリとはまっている。この本のベースにあるのは現実離れした世界情勢のように見えて、1つひとつは近い将来日本や、自分の身にも降りかかりそうなリアリティがある。解き明かせない巨大な陰謀があるかもしれないし、ないかもしれない…そんな不安定さの中に、日常がある。
Posted by ブクログ
柴崎さんの新作。評判はいいのですが、ピンときません。感想が書けません(笑)。
「帰れない」という「空間」というか、「場所」を登場人物に与えたところが、新しい柴崎さんなのですが、うーん・・・でした(笑)。
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ミステリのような、ファンタジー小説のような、近未来を舞台とした文学のような、重心が独特の位置にある小説。
スノコルミー社が結局何だったのかよく分からなかった。
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最初の1行目から困惑。どう読めばよいのかと考えながら、途中から雰囲気を楽しむ本だなと切り替えて読んだ。不思議な異国のようなでも知ってる国のような。
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ニュアンス小説。
なんだか曖昧で、分かりそうだけど、やっぱり分からなかったな。
今実際に世界で起こってることが書かれてるかと思えば、未来のことを示唆してる?と感じる描写もあれば、過去にあった話かもしれない。
時間も時空もゆらゆらしてるような浮遊感のある本でした。
Posted by ブクログ
SNSで絶賛されてたので
掴みどころがなくてふわふわ読んでたら終わってしまった。
自分の知識や感性の問題なのか、色々な方のレビューを見るとそんな事を思って読んでるのかと…
Posted by ブクログ
自分の事務所へ戻る道がわからなくなってしまった探偵の物語。依頼を受けては世界各地を移動し、仕事をこなし、また別の土地へと向かう。物語は依頼ごと(国ごと)に章立てされており、あっさり終わるものもあれば、トラブルめいた状況で幕を閉じるものもある。そのたびに環境や状況の変化は感じられるが、探偵の心境は終始淡々としている。多くの国を巡りながらも、依頼の内容はどこか似通い、似たような場所が現れる。波風が立っても結局は元に戻っていくような、不思議な反復を感じる作品だった。
作品全体を通して、どことなく比喩めいたものは感じられたが、その感覚をうまく言葉にすることが難しい。