【感想・ネタバレ】帰れない探偵のレビュー

あらすじ

最高。何度も何度も読んだ。この小説を読み直すためにだけでも、十年先まできっと生きていたい。ーー斎藤真理子

『続きと始まり』『百年と一日』が話題の柴崎友香による全く新しい「探偵小説」

「世界探偵委員会連盟」に所属する「わたし」は、ある日突然、探偵事務所兼自宅の部屋に帰れなくなった。
急な坂ばかりの街、雨でも傘を差さない街、夜にならない夏の街、太陽と砂の街、雨季の始まりの暑い街、そして「あの街」の空港で……「帰れない探偵」が激動する世界を駆け巡る。

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Posted by ブクログ

ネタバレ

途中ツインピークスネタで笑わされたりで油断してたら後半予想してない方向に連れてってもらえて、ものすごく好きな終わり方だった。最初から読み直したらけっこう伏線もあって、ほんと面白くて好きな本。
オードリーでん?と思って、ドナが来て、これはあれだなと分かって嬉しかった(デイルって誰だっけ、としばらく考えながら読んだ自分に笑えたけど)。「終わらない歌」にしろ、好きな本を書いてくれる同世代の作家さんがいることの幸せ。

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2025年11月22日

Posted by ブクログ

ネタバレ

今から10年くらいあとの話。
世界探偵委員会連盟に所属する私は、自分の生まれ育った国を離れ、とある国、急な坂のある街で探偵事務所を開設する。
だが、不意に発生した大規模停電を境にその事務所へ続く路地を見つけることが出来なくなり帰れなくなってしまう。
そこから寝床を転々とし、国を転々とし、あの日去った国、あの日去った街に思いを偲ばせながら探偵業に勤しむ日々を送る。。

何だこの読み心地。
SFかのような不思議設定、不思議展開を据えつつ、時、場所、人名の断定は徹底的に排除。
唯一無二のふわふわノスタルジックストーリー。

探偵が主人公なので、それなりに事件というか事案は発生するのだけれど、正直「探偵」のワードは目眩し。
ことごとく結末があるようなないような匂わせ終焉。
でもこれはこれであり。
こんなにも長きにわたって郷愁の感情を表現した物語はなかなかない。
そして、この物語の行き着く先があのロックバンドの歌って。
意外なんだけど、なんか合ってる。

聴きたくなってApple Musicで探したけど、本家のはなく、くっきーの歌っているやつしかなかった。
youtubeで探してみたら1000人ROCKというイベントの動画に出会った。これは凄い!これは熱い!!
時を越えて伝わる言葉、響く音。

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2025年10月19日

Posted by ブクログ

ネタバレ

祖国、自宅、が無くなってしまい文字通り帰ることができなくなった探偵。
地元に根付いた仕事をしつつも、根無草の探偵
定期的にどこか縁もゆかりも無い場所へと異動し、またそこでも泥臭い探偵業を行う。
世界は大きく変わるのに、主人公はふわふわとしたまま流れに身を任せて生きてゆく。
どこか憧れる生き方。
でも帰る場所のある安心感があるからこそ、私たちはこちら側から傍観できているだけなのかもしれない。
大きなオチは無いけれど、世界は、組織は歪みながら進んでいる、そして主人公も少しずつ自分を捉え始めようとしている。けれどそれはまだ10年後のお話。

非常に読みやすく、流れるように体に言葉が入ってくる。とても魅力的な作家さんの作品。

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2025年10月09日

Posted by ブクログ

ネタバレ

自分の事務所へ戻る道がわからなくなってしまった探偵の物語。依頼を受けては世界各地を移動し、仕事をこなし、また別の土地へと向かう。物語は依頼ごと(国ごと)に章立てされており、あっさり終わるものもあれば、トラブルめいた状況で幕を閉じるものもある。そのたびに環境や状況の変化は感じられるが、探偵の心境は終始淡々としている。多くの国を巡りながらも、依頼の内容はどこか似通い、似たような場所が現れる。波風が立っても結局は元に戻っていくような、不思議な反復を感じる作品だった。
作品全体を通して、どことなく比喩めいたものは感じられたが、その感覚をうまく言葉にすることが難しい。

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2025年11月06日

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