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夢の中だけでも王子様に会いたい。
大学寮で同室になった二人の男。
かたやアメフト界の貴公子。
こなたツラのいい陰キャ。
だが、二人には壮絶な秘密があり……。
『とらドラ!』『砕け散るところを見せてあげる』著者最高傑作!
なんか言えや。そう思うのと同時に、なんかすげーな。とも思う。
伸びかけてモサつく黒髪も、無個性を極めた細い黒縁の眼鏡も、無難を通り越して投げやりな服装も、
とにかく目に見える情報のすべてが叫ぶみたいに陰キャ感を主張している。のに、
顔が。顔面が。とんでもなく、整っている。
そいつはとても陰キャっぽいまま、それでもとても美しいものとして、この部屋の左側に存在している。
正反対の男子2人の出会いが、すべてを変える。
【目次】
第一話 出会い
第二話 討伐
第三話 「は?」
第四話 カレーの王子さま
第五話 おやすみ
第六話 最後の討伐
装画 冨士原 良
装幀 川谷康久
※アプリの閲覧環境は最新バージョンのものです。
Posted by ブクログ
ふっかふかの、胸の谷間にシュート・イン!
何を言ってんだって?けどそれが読み終わって一番初めに頭に浮かんだワードなんだからしょうがないでしょうが。
物語冒頭から全裸の男が誰かを待ち構えているという不穏な幕開け、そこからしばらくは雲を掴むような、というか寮暮らしをする男子大学生達のわちゃわちゃとした会話劇をひたすら追う展開。
中々パンツを穿いてくれない巨躯マッチョと、世紀の顔整いだけど迸る陰キャ感が全部台無しにしてる白モヤシ君との、だいたい3ヶ月間くらいの出来事のはなし。
マッチョの名は〈紫波央士〉、元・高校アメフトのスター選手、「一九〇を超える身長も、現役時代からは減ったがそれでもまだ八十キロある体重も、七パーセントの体脂肪率も」(p9)備えた体躯で且つ「ミラクル入学バカ」(p20)。「スポーツしかしてこなかった自分は、この大学に入れるような学力レベルにはまったく達していない。」「スポーツ推薦で進学したのに、いざ入学した時にはそのスポーツすらもうできなくなっていた」(同)男。
モヤシの名は〈丹生景都〉、上述したように「とにかく目に見える情報のすべてが叫ぶみたいに陰キャ感を主張している。のに、顔が。顔面が。とんでもなく、整っている」「筋肉量は少ない」(p13)男。表紙の絵を参考にされたし。
この対照的な二人が学生寮でなんの因果か同室となるところから物語は回り出していく。
全6話で構成されているうちの大部分がいわゆる大学生同士の不毛なじゃれ合い、だらけた中にも微妙に知的なジョークを織り交ぜる会話の感じ(個人的に「ペプシンの刑」(p181)が凄く好き)とか、生活全般に漂う気だるさの一方で日々の課題とかはなんだかんだでちゃんとうまくやる要領良さとかがいかにも大学生っぽい。友人や先輩と誘い合わせて行く深夜の工場バイトとか、わたしも経験があるからあの道すがらの雰囲気はめちゃくちゃよくわかる。
ずっとこうした群像日常劇を読むだけなのかと思いきやそうはどっこい、序盤から各所に散りばめられている不穏な要素・伏線が意外なまでに緊張感をキープしてて、後半でのそれまでと打って変わるシリアス展開を経てからの無上のカタルシスがすっごく気持ち良い。目がカッと開く爽やかさ。
まさか「地球を一周したい」(p389)なんてひとフレーズがラストで効いてくるとは思わないし。
ちなみに、この感想の頭に書いた胸の谷間とは「大胸筋」(p20)のことで、実体もそうだが精神の胸が盛り上がっていればいるほど人徳者であるということ。胸の深さは徳の深さなのだよ。
オビやら公式などで掲載されている内容紹介文の「夢の中だけでも王子様に会いたい。」というフレーズが上手い。物語を読めばこの「王子様」がダブルミーニングだという事は自明で、ぜひとも作中に登場する某カレー商品のパッケージを眺めつつ、頭上に広がる星空にも目を向けてみて下さい。
ダンベル持ちながらね。
1刷
2026.9.11
Posted by ブクログ
面白くてすぐに読み終わった!
笑いあり、友情あり、でもシリアスな場面もある。一冊でとっても楽しめました。
柴波と丹生という正反対の2人の友情物語。2人がそれぞれ抱えている過去を主軸に物語が進んでいきます。
前半は、思わず笑ってしまう場面が多くコミカルな展開だったのですが、後半につれ、笑いも残りつつのシリアスな場面も増えてきます。そんな感じで物語が進むので、こちらも飽きることがなく物語に入り込むことができ読む手が止まりませんでした。
また、2人の他にも登場する寮生達がいいキャラをしていて、より一層2人が引き立てられていたように感じます。
熱い友情物語を読むと、なんだかとても羨ましい気持ちになります。
個人的には、終始、早く続きが読みたい!となる小説でした。手に取って良かった!また時間が経ったら読み直したい。
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