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Posted by ブクログ
初めはファンタジー×恋愛なのかと思っていた。所詮ライトノベル、消費され尽くしたエンターテイメント的物語だと。ありがちな、鬱屈した感情を抱える高校生の話だと。
その期待を大幅に裏切る展開で、楽しませて頂きました。
普段は優等生で穏やかで満ち足りている、だけどどうしようもない感情を抑圧し、持て余しきれずにぬいぐるみの「くま」を夜な夜な「殺す」という習慣。それは自分の存在が「本当の家族でない」「何も無い自分」であるということから目を背けるための儀式のようになっていた。でもそれは結局、そういったネガティブな自分も本当の姿であると認めたく無い意識から来るもので、自分のことを自分で傷つけていただけだったのかもしれない。自分のことを受け入れて抱き締めて、周りの人間も傷つきながら生きているし、不器用ながらに支え合って這い蹲りながら必死なのだと、教えてくれる物語。恋愛ではない、「愛」のかたちがみえてきます。
『あしたはひとりにしてくれ』というタイトルが意味するのは、傷つくことに耐えられないから孤独になりたいという、主人公たちの「強がり」といったところだろう。
著者の竹宮ゆゆこはライトノベル界隈の女性。ライトノベルに普段触れない方も、そこで立ち止まりページを捲ってほしい。そこには純文学とも呼べる物語がある。青年の闇と押し殺された苦しみ、そして冒頭の夜景の中で寂しげに煌めく「くま」の瞳のような、希望の光。自分を苦しめる存在は、自分を守ってくれる存在かもしれない。自分を苦しめるのは、自分自身かもしれない。世界で二人きりで幸せだと信じていたが、孤独になった女性アイスと、何不自由ない筈なのに、鬱屈したどうしようもない感情を夜な夜な暴発させる青年瑛人。自分を傷つけることしか出来なかった二人は偶然に出会い、お互いの孤独を感じ取り、助け合うことにより自分の中の認めたくなかったもう一人の自分を受け入れ、前進する。そんな二人にシンパシーを感じたなら、手に取って欲しい一冊。
Posted by ブクログ
高校に入って、中学までの上位の成績でいられなくなった瑛人は、夜になると監視してくるおばけに怯えていた。秋も深まった夜、そのおばけの元凶を埋めたと思っていた河原に行くと、そこには女性が埋められていた。まだ息のあった女性を背負い、家に帰ると…。
ライトノベルなのかなーと思って読み始め、普通の小説かな?と思ったところで出てくる生きているんだか死んでいるんだかわからない女性に、混乱必至の作品である。
少女漫画のようなポワーンとさっぱりした表紙から、何なの?ゾンビ?と疑ったりしながら読んだが、そういう超常現象モノは起こらない作品であった。
瑛人と観路の兄妹に、謎のおじさん高野橋さん、ほぼ傍観している父と母。その時点で普通の家庭ではないのだが、そこに死にかけの女「アイス」が登場して、なんだろう、ドタバタというわけでもないが、始終テンションの高い状態が続く。
大きなストーリーとしては、アイスが家にいつくその理由と、アイスの正体というところになるのであるが、瑛人の生い立ちに「おばけ」が引っかかったりして、どこらへんに焦点があるのかわからない。この作家は実は初めて読んだのだが予想してたのとは違った。
アニメ作品というより、音楽少なめの日本映画という話で、そこに「煮干しを貪り食う」などの漫画的な無駄話が挟まれている。少なくとも妹の観路は漫画のキャラクターである。
焦点がよくわからないまま後半、終盤と突っ込んでいったため、最後も日本映画的な幕切れだったな。
嫌いじゃないけど、嫌いな人も多そうな作品。
Posted by ブクログ
読み終わっての一番の感想は「またやられた…」
ゆゆこさんの作品は「砕け散るところを見せてあげる」に続き2作目。まだ2作しか読んでいないけれど、ゆゆこさんの作品から醸し出される、”文章のラノベ感と実は奥深いストーリー”な感じが全面に出ていました。
序盤、思ったよりもスロースタートだなあとおもったけれど、きっとあのスタートは主人公である瑛人のキャラクターを読者に浸透させるためだったのだろうと、読み終わってから思いました。
ここからは完全にネタバレですが…
またしてもラスト、「帯に惹かれたのに、自力じゃ理解不能なモヤモヤ感」に苛まれてしまいました。ググったところ、しっかりとタイトルの意味が…
本当にここからはネタバレなのでご注意を!!
「あしたはひとりにしてくれ」→「今は一人ではない」いやー、思考の転換ですね。さすがゆゆこさん、やってくれます!瑛人もアイスも『なんもない』と思っていてもお互いが『なにか』として互いの存在を肯定していく…この関係を恋愛や友情という名のありきたりな関係で描かないあたりが、さすがのゆゆこさんでした!
冒頭の ”こんな夜を見下ろして、宝石箱、とか言っちゃう奴。地上から聞きたい。夜は綺麗か?” この文章を読んで、先月の終わりに読んだ川上未映子さんの「すべて真夜中の恋人たち」の冒頭 ”真夜中はなぜこんなにもきれいなんだろうと思う” と重なる部分があった。私はこう思わずにはいられなくなる。”なぜ夜景は、こんなにも文章、そして物語を美しく脚色してくれるのだろう”と。
とにかく、今夜はくまのぬいぐるみを抱きしめて眠ります。
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