Posted by ブクログ
2020年11月28日
竹宮ゆゆこの傑作ラブストーリー。
僕が読んだ竹宮ゆゆこの作品はこの作品で3作目。
思えば昨年まで竹宮ゆゆこのことは1ミリも知らなった。
今年の2月に書店の新刊コーナーで初めて竹宮ゆゆこの作品
『いいからしばらく黙ってろ!』
を見たのが竹宮作品との初遭遇である。
なんという攻撃的な題名だろ...続きを読むうか、そしてこの表紙。超絶美少女とは言い難い女の子が何かを叫んでいるところを描いた表紙絵。
『竹宮ゆゆこ』?うん知らない。
『とらドラ!』『ゴールデンタイム』の作者?
両作品とも、まったく聞いたこともない・・・。
だが、何となく惹かれた・・・。
あらすじも読まず、レビューも見ず、完全ノー前知識での購入。ありえない。だが・・・。
これが僕が初めて本をジャケ買いした瞬間である。
が、ページをめくり読み始めてみると・・・。
なんだこれ!?めちゃくちゃ面白い。
文章のセンス。キャラクターの秀逸さ。そしてセリフの面白さ。
抜群である。
もう、はまってしまった。
そして二作品目の
『知らない映画のサントラを聴く』
も素晴らしかった。というか最高に笑わせてもらった。
では、3作品目の本作はどうだろうか。
今まで読んだ2作品はちょっとダメな女の子がどちらも主人公であったが、本作の主人公は男子高校生だ。
主人公の男の子がたまたま目にしたいじめの場面。
高校一年生の女の子をよってたかってクラスメイトがいじめている。正義感の強い彼はその子を助ける。
そこから恋が始まっていくのだ。
こういうふうにストーリーを描いてしまうと面白くもなんともないのだが、竹宮ゆゆこの筆にかかるとこの面白さが際限なく広がっていく。
この竹宮ゆゆこはたぶん天才だと思う。面白い文章を書くことについては。
文章だけを読んでただ愉しいと思える作者って僕にとっては数えるくらいしかいなくて、その筆頭は村上春樹なんだけど、この竹宮ゆゆこも間違いなくその一人にはいってくる。
本作は最近映画化もされたようだが、このストーリーだけを映像化してもどうなんだろう?面白いんだろうか?
村上春樹作品を映画化してもまったく面白くないのと同じように、本作を映像化してももしかしたらあまり面白くないのかもしれない。
面白い文章は、読んでこそその面白みが分るのだ。
だまされたと思って僕が今まで挙げた竹宮ゆゆこの3作品のどれか一つでも読んでみると分かるだろう。
文章で楽しむべき小説は映像化してはならないのだということを。