【感想・ネタバレ】あなたは、誰かの大切な人のレビュー

あらすじ

メキシコを代表する建築家の邸までやってきたのは、かつてのビジネスパートナーの「目」になるためだった──建築事務所を営むキャリア女性の生き方を描いた『皿の上の孤独』を含む、六つの小さな幸せのストーリー。

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Posted by ブクログ

6編の物語はどれも大人の女性が主人公で、共通することは結婚しておらず子どももいないということ。現代において結婚や子どもの有無にとやかく言うことは憚られるようになって久しく、多様な生き方ができるからこそ迷い、悩みながら日々をどうにか生きている女性たちの物語に触れると心が温かくなる。それは紆余曲折ありつつも、生きている彼女たちに励まされる思いだからだ。
思うようにいかず、しかし、辿り着いた先が彼女たちのようであれば、一瞬の他者との触れ合いが心の支えになるのであれば、生きていることは本当に素敵なことだと読み終えて感じた。

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2026年09月07日

Posted by ブクログ

自分が気がついていないだけで誰かにとって自分は大切だと思ってくれている人がいるし、自分も意識していなくて自然に誰かを思っていることに気がつかせてくれる本でした。

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2026年07月20日

Posted by ブクログ

自分を大切にするのは自分自身なのかなと思う
大好きな人と美味しいものを食べること
それだけでこんなに幸せなんだなっていうのは
ものすごく共感できて嬉しい

孤独に包まれた時、また何度か読み返したいな

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2026年07月19日

Posted by ブクログ

私は私の、大切な人!
自分との時間を、孤独をやさしく大事にしながら生きることができる人は、豊かな人。

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2026年05月07日

Posted by ブクログ

最後に劇的な変化が起きるわけではなく、誰かの少しづつ移ろいいく日常を垣間見せてもらった気がした。その誰かに自分の心情を重ねてみたり、そういった考えもあるよなって思ってみたり。これからの自分の人生を考えるきっかけを与えてくれる本だと思う。私も誰かにとって大切な人。きっとそうでありたいと願う。誰かの一番じゃなくても、大切な人。昔は一番にこだわってた気がする。でも大人になって思うのは、一番なんてそうそう選べないということ。この部分では一番だけど、全てにおいての一番はいない。人となればそれこそ。そう思うし、そうありたい。欲張りかもしれないけど、自分の大切なものは全て守りたいし、大切に持っていたい。

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2026年05月06日

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母も父も黙って仕事頑張ってくれているのだな稼いでくれているのだなと思った。
自分の人生と重ねて考えさせられる部分が多々合った。

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2026年04月18日

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特別"良い話"ってわけじゃないのに心が温まる6つの短編集。
パワーをもらえる!って感じではなく読むとそれとなく前向きになれる本。

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2026年03月22日

Posted by ブクログ

「月夜のアボカド」が特に良かったです。
大切な人を想うこと、支えること。こんな風に生きられたら素敵だな、と思います。

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2026年03月01日

Posted by ブクログ

「おもしろくて、残りのページが減っていくのがさみしい」という感覚を初めて味わった気がする。

元々そこまで長文を読むのが得意ではないから、本を読むこと自体は好きではあるけど、それより読み終わった時の達成感やストーリーが完結したときの満足感を楽しみにしてるところがあって。

でも、この作品は読んでいる"その時間"が本当に充実してました。

本作のような作品を書きつつ、「旅屋おかえり」みたいなアットホームで陽な雰囲気な作品も書けちゃうんだから、マハさんすごいなぁ。

本作は大人の女性たちの6話短編集。生きてりゃ色んなことがあって、歳を重ねるほど、過ごした月日の分だけ人間関係も深くなったり、複雑になったり、それに伴う感情もまたしかり。頭じゃ分かってるけど、白黒つけられないこともある。案外グレーのままでいいときもある。ポジティブもネガティブもまるっと受け止めるしかないことを経験で学んだような大人の女性たち。そんな女性たちの大切なひととの関わり。

社会人2年目の頃。求人広告の新規営業で、目標売上に追われて、毎日当たり前に残業続きだった。年末の最終日、旅行の準備を駅前のコインロッカーに忍ばせて、就業時間になるやいなや同期の女の子と飛び出して、越後湯沢へスノボ旅行に行ったの思い出した。
数時間前まで銀座でスーツで仕事してたのが嘘のような雪景色と露天風呂。露天風呂の入り口に「雪が多いときにご利用ください」って笠地蔵みたいな藁の笠が置いてあって、24歳の女子2人、全裸に笠だけかぶって笑いながら露天風呂入ったのは本当にいい思い出。

あれから15年。娘が産まれて2年8ヶ月、いろんなことへの不安、不満、イライラ、焦り、悲しみ、疲労。もちろん娘の成長の喜びや可愛さなどポジティブなこともあるけど、圧倒的にネガティブな感情に覆われてる毎日。もっと大変なママはもちろんたくさんいるだろうけど、娘の健やかな毎日のための健康管理や、笑顔で接すること、おどけること、娘のイヤイヤに冷静に対応すること、自分の感情を殺して褒めたり叱ったりすること。言葉にすれば当たり前のことだけど、陽キャもどきの根暗な私にはソウルジェム( )が曇るように自分でも自覚がないうちに溜まっているのだなぁと思う。
爆発してヒステリックになったり、溜め込んで育児ノイローゼになったりって聞くけど、そりゃあるよなぁと思う。「5歳の我が子をあやめた母親」というニュースを見ると、限界だったんだなぁ、5歳までは頑張ったんだなぁと同情してしまうほどに。

そういう今までの日々の頑張りを肯定されるような時間を過ごせました。




子育てママならみんな同じしんどさ、なんなら私はお金に困らない専業主婦をやらせてもらってる分、幸せなはずなのに何がしんどいのかなって答えが出なくてしんどかった。

専業主婦だから職場もない、旦那の転勤についてきてるから近くに友達どころか知り合いもいない、そういった社会的欲求の不満。
上記のことが無いので承認欲求も満たされない。そして自己実現の欲求も満たされない。

マズローの五段階欲求でいうところの生理的欲求と安全欲求が人一倍満たされたところで、それ以上のことが満たされてないことには変わりがないのだなと気付いた。

仕事がしんどくて鬱病になったこともあったけど、今のように社会人としても女としても市場価値が下がっていく事実と、それに対して努力もできない状態がしんどいのだなと思った。

なので、ボクシングジムに入会した(唐突)
ジムに"所属"して、頑張りと上達を"承認"され、目標は妊娠前の体重(約20kg!)を戻すことで市場価値を上げるという"自己実現"!www

自分の人生を充実させるのは、頑張ることも諦めることも自分の腹落ち感ひとつ。できる範囲でできることをしていこうと思いました。




◆内容(BOOK データベースより)
勤務先の美術館に宅配便が届く。差出人はひと月前、孤独の内に他界した父。つまらない人間と妻には疎まれても、娘の進路を密かに理解していた父の最後のメッセージとは…(「無用の人」)。歳を重ねて寂しさと不安を感じる独身女性が、かけがえのない人の存在に気が付いた時の温かい気持ちを描く珠玉の六編。

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2026年08月25日

購入済み

やわらかな女流小説

読後にやわらかな気持ちになれます。一話目と二話目は人目につかない自室などで読むことをオススメします。

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2020年01月23日

Posted by ブクログ

昔、というか、割に最近読んたことがあったのを、読みながら思い出した。でも、このぶくろぐにはない。ということは数年前か?

タイトルがいい。
そして、食べ物をモチーフにしたあたたかく、少しだけ涙スパイスの効いた短編集。

やはり、文章がきちんとしていると心休まる。

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2026年09月09日

Posted by ブクログ

じんわり心が温かくなる短編集。誰かのことを大切に思える人生でありたいし、私自身のことも大切にしてあげたい。

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2026年09月05日

Posted by ブクログ

2026.8.18
同世代が主人公で、色々と考えさせられた一冊。この歳になると、本当に大切な人ってだんだんしぼられてくる。自分にとって大切な人をちゃんと大切にし続けられる生き方をしたいなぁと思った。
そして、いろんな旅先がすごーく魅力的に書かれていて、思わずGoogleマップで調べた。知らない国、そこの町の様子、人の姿なんかがとっても活き活きと書かれていて、行きたくなった!

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2026年08月18日

Posted by ブクログ

audible☆
6つの物語それぞれにホッとする場面があった。
中でも1つ目の"最後の伝言"が良かった〜

トッコ妻 美容室経営 2人の娘を育てる
さぶちゃん旦那 放浪癖のあるイケメン
        映画俳優並みの色男

何度もよそで女をつくり家をあけるさぶちゃん。
何度も離婚しようとしたトッコ。
そんな夫婦だったけどお互いに世界中で1番愛した人だった。
最後に"可愛いもんよ、男ってやつは"っとトッコのセリフがある。波瀾万丈な人生だったけど最後にそう思える心根の深さにジーっんときた♡

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2026年04月29日

Posted by ブクログ

ネタバレ

原田マハ初めて読んだ。短編集。
旅行と美術、芸術に作者が精通しているのだろうとわかる。
最後の伝言の父親が泣くシーン、読みながら泣いてしまった。
波打ち際のふたりもこんな友人が欲しいと思える心温まる話。
人間最後は一人で生きていくとわかっていながらも一人が辛くならなくなれる気にさせてくれる良書。再読するときが来るかも。

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2026年04月27日

Posted by ブクログ

ほっと一息つける話が多く、とても温かい気持ちで読みました。温泉に友達と行く話と、アボカドのエスターの話がとても好きです。人間の間で、擦られ揉まれ疲れる毎日の合間に、大事な人との思い出や会話を切り取った本を読むのは癒されますね。

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2026年04月18日

Posted by ブクログ

6人の女性のお話…みんな独身であることが共通している。とても身近に感じてしまう。それぞれが幸せであることが嬉しくなる。
原田マハさん…良いな。

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2026年04月10日

Posted by ブクログ

私が今まで読んだ原田マハさんには、ハグとナガラがよく登場して今回も、自分と重ね合わせて読んでしまう部分、父親亡くして田舎で暮らす母親のこと、今は元気だけど、この先のこととか他人事とは思えない。他の作品にもお母さんが亡くなるとか、ホント自分のことと考えてしまって、読んでいて辛かった。

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2026年03月03日

Posted by ブクログ

タイトルから自分を勇気づけるような本を想像していたが、いい意味で押し付けがましくないストーリーで、タイトルは婉曲的でおしゃれ。

友達や家族、自分の身近な人の存在に目を向けて、感謝したくなるし、自分も誰かにとってそういう存在になれたらいいなと思う
そこに「あなたは、誰かの大切な人」というタイトルが優しく包み込んでくれる
時々うるっとするシーンも。

月夜のアボカド
無用の人
緑陰のマナ
が好きだった

ストーリーに起伏はないのでさらっと読んでしまったが、いい本ではあった。期待しすぎてたかも

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2026年09月11日

Posted by ブクログ

独身女性の6つの短編小説
「月夜のアボカド」と、「波打ち際のふたり」が好きだった

「月夜のアボカド」は、夢のようにおいしいメキシコ料理っていう響きが素敵だったし、海外に故郷のおばあちゃんのような人がいるのが羨ましくなった

「波打ち際のふたり」は、会えばいつでもおしゃべりが尽きない、家族でも恋人でもない2人の関係が大好き。この人に「イケるって」とゆわれたらなんとなくそうなる気がする、て関係いいよねぇ

「緑陰のマナ」では、トルコの話が出てきた!
この前行ったばかりだから、アザーンとかチーズの春巻きとか思い出して嬉しくなった

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2026年08月25日

Posted by ブクログ

タイトルを見るとほんわかハートフルな物語と思いきや、40台の独身女性を主人公に、しっかりとしたストーリー構成の読みごたえのある作品である。原田マハ先生は本当に引き出しの多い作家だなと改めて思う。ストーリーにはミステリーとまで難しい話ではないが、ちょっとした謎も含まれ、それが読書をなかなか止まれなくしているが、安心なことに短編6話なので、寝る前の楽しみになる。他の原田先生の作品を読みたい。

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2026年08月20日

Posted by ブクログ

自分を大切にしてくれて人がいなくなって、初めて自分がそのことに気づくことがあったり、日頃から自分と仲良くしてくれている人達がどれだけ貴重かを考えさせられる短編物語。芸術作品と関連して描かれているため、心にジンとくるとともに、芸術にも興味を持った。

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2026年08月04日

Posted by ブクログ

人を想う気持ちを書いた小説かなと
アートな部分はあまり理解できないけれど、全体を通してあたたかい雰囲気を感じた

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2026年08月02日

Posted by ブクログ

ネタバレ

 「月夜のアボカド」でエスターは、”一番の幸福は、家族でも、恋人でも、友だちでも、自分が好きな人と一緒に過ごす、ってことじゃないかしら”と言う。
 「無用の人」で聡美の父の蔵書『茶の本』は、”おのれに存する偉大なるものの小を感ずることができない人は、他人に存する小なるものの偉大を見のがしがちである”と説いている。
 「皿の上の孤独」でアマンダが、”人は、孤独になれる空間を必要としている”というバラガンの言葉を教えてくれる。
 気になる言葉があちこちにあった。解説の瀧井朝世がそれをうまくまとめてくれている。納得だ。
「彼女たちはみな、自分と自分のこれまでを受け入れて、これからへと目を向けていく。その姿勢があるからこそ、人は本当に誰かのことを大切に思うことができるし、あるいは自分は誰かに大切に思われていることを信じられるのではないだろうか。だからどんなに辛い人生だって、あなたは絶対、一人は味方がいると思っていい。それは自分自身という、最強の味方だ。あなたを大切に思っている人は、必ずいる」なんか救われるな。

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2026年07月19日

Posted by ブクログ

ネタバレ

最後の伝言
【あんたたちは、立派に育ってくれた。、それでじゅうぶん】

月夜のアボカド
【このさきも、ずっと、僕のたったひとつの宝物でいておくれ】

緑陰のマナ
【あなたを40年かそれ以上、まもってくれたのでしょう?だから、それは、あなたにとってのマナです。】

【さあ、行きなさい。お前が行くべきところへ。そこで、こつこつと暮らし、するべき仕事をしなさい。そうすれば、どこかで、誰かが、きっと見ていてくれるはずだから】

波打ち際のふたり
【大丈夫。イケるって】

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2026年06月25日

Posted by ブクログ

幸せって何なんだろう。

もちろんそれは人それぞれで。

そして、答えがあるかもわからなくて。

わからないから、人は悩んでしまって。

でも。
ふとした時に、幸せというものを感じる時がある。

何が幸せかは、言語化できない。

難しいなあ。

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2026年06月21日

Posted by ブクログ

登場人物たちの、感情や環境に所々自分が重なって、胸がキュッとなった。私と年頃が近かったり、もう少ししたら近づくような女性が主人公であることが多かったからかな。私はそのとき、どんな風に思うんだろうなぁ。

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2026年06月15日

Posted by ブクログ

⚫︎最後の伝言
母はしっかりもので明るくて、
周りに愛されていた太陽のような人。
父は容姿だけがとりえの、ろくでなし。
仕事もせず浮気性で、放浪癖があり、
母が危篤のときも、病室には来なかった。父曰く
母から電話で、化粧してない顔は見せたくないから
病室には来るな!と言われたかららしい。
出棺の直前、ようやく現れた父は情けない姿で
おいおい泣いたのだった。

誰よりも母を必要として愛していた、
ろくでなしであることも許せるくらい
母を逞しく居させてくれたのが父だった。
父親らしい振る舞いを、母は別に
求めていなかったのじゃないかな?
強制することで父の何かが壊れてしまうなら、
ろくでなしであることを承知で、
それでも一緒にいたんだろう。

振り返ると、父は周りみんなの憧れで、娘二人も
誇らしく思っていた思い出がたくさんあった。
良い父親でも、夫でもなかったんだろうけど、
母と娘二人にとって良い男であり続けた。
最後は三人並んで母を見送れて良かった。

⚫︎月夜のアボカド
仕事で行ったロサンゼルスで知り合ったアマンダ、
その友人のエスターは79歳、うんと年上の友人。
エスターが作るメキシコ料理はとても美味しい。
庭で採れる自家製アボカドが、
美味しさの秘訣らしい。

日本へ帰るたび、走り書きの英語のレシピを
恋人の朋生に渡して作ってもらった。
独立宣言した仕事が軌道に乗るまで、
エスターのもとへは行かないと決めたマナミは、
朋生のメキシコ料理に何度も励まされた。

あるときエスターは、5年前に亡くなった
2番目の夫、アンディの物語を話してくれた。
最初の夫は働かず酒癖が悪く、暴力を振るわれたが
美容師として家計を支えながらの子育てに、
両親の面倒まで、歯をくいしばって生きていた。
たまたまバーで隣に座ったのが、アンディだった。
エスターを運命の人だと、言ってくれた。

知り合ってから20年、子どもたちの後押しもあり
エスターは60歳でようやくアンディと結ばれた。
明るく笑うような月を見て、
「ダーリンが、こっちを見てるみたい」
夫は色白でまんまるの顔だったのよ、
と言っていたけど、エスターの心も明るくまるく
してくれる人だったんだろうなあ、とほっこりした。
結婚生活は4年と短かったけど、そのときの思い出が
今もエスターの人生を支えている。

⚫︎無用の人
父は地味な振る舞いのせいか、昇進もせずに
安月給のまま。あげく一方的に解雇された。
母はパートで、一生懸命家計を支えた。
そんな現状に対して何の不平も言わない夫に、
気が弱い、一緒にいてもつまらない、と不満げ。

でも、読んでいて、正直なんでこんなに
無用の人とか、母親に疎まれているのか?
そこがあんまり共感できなかった。娘の職場にきて、
「こんな美しい絵に囲まれて働けるなら、きっと
いま、幸せなんだよな?」と気にかけてくれた
その最期の会話が切ない。もっと、
この人の良い一面を見てくれる人が、
周りにいたら良かったのに。

亡くなった父から、誕生日の贈り物として
鍵が送られてきた。父が独身時代を
過ごしたらしいその封筒の住所へ行ってみる。
きれいな桜並木をみて、実は、父は密やかに
美しいものを愛でる心を持った人だったのでは、
と思う。
部屋の中央には、岡倉天心『茶の本』のみ。
窓を開けると満開の桜。父は毎日、
この立派な絵を見て過ごしていたのか。
とっても豪華な贈り物だ。

⚫︎緑陰のマナ
旧約聖書に登場するマナ。飢えに苦しむ人々のために
モーセが祈り、神が天から降らせた奇跡の食物。
母の手作りの梅干しを、
あなたにとってのマナのようなものなのね、
とエミネは言ってくれた。
エミネもかつて、母を真似て作り続けた
シガラボレイ(トルコの春巻き)を父に「マナ」と
言ってもらえたことが心の支えになっているようだ。
父と妹と囲んだ最後の食卓でやっと、
母が亡くなって以来バラバラだった家族を
繋いでくれた。

⚫︎波打ち際のふたり
東京で仕事をしている私だが、姫路の実家で暮らす
母が認知症に。女二人旅の相棒、ナガラも
母が倒れるまでめったに帰らなかった。
母子二人の時間を、いま取り返しつつあるようだ。
仕事、仲間、旅、人生で大事にしたいこと多すぎる。
私は久しぶりの二人旅の夜、姫路に帰ろうと決める。

でももし、
仕事のために東京に残ることを選んだとしても
間違いじゃないと思う。どれを選んでも
後悔する部分はやっぱり出てくるだろうけど、
それでも投げやりにならずに、せめて
たくさん考えて出した答えを生きようと思う。

⚫︎皿の上の孤独
かつてのビジネスパートナー青柳くんは、緑内障を患い
目がどんどん見えなくなっていく。
私は乳房にがんが見つかったとき、
夫とも恋人とも別れ、独りで手術に臨んだのだった。
お互いどうにか生き延びている。

「人は、孤独になれる空間を必要としている」
このバラガンの言葉をあらわすように、部屋には
やわらかく包み込むような孤独の匂いがする。
小さな朝食室に飾られているお皿には
「Soledad」(孤独)の文字。自身がデザインしたもの。
結婚もあえてしなかったのかな?

私はルイス・バラガン邸のリビングで目を閉じる。
バラガンが切り取った神秘的な空間の雰囲気は、
見えなくても、感じることができる気がした。
家のところどころに
外の風景を切り取るように配置されているらしい窓は、
毎日少しずつ変わる風景画が楽しめそうで
素敵だなあと思った。

——
誰でも誰かの大切な人であること、
その人にとっての大切な人の想い方には
色んな形があること、
知らない人も苦手な人も
誰かにとっての大切な人であること
を、教えてもらった。

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2026年06月06日

Posted by ブクログ

ネタバレ

最後の伝言
栄美
十八歳で美容師の道に入った三年前に都心に自分の店を構えた。

眞美
妹。主婦でパート勤め。

平林トシ子
母。享年七十三歳。七十歳で持病の糖尿病を悪化させて店を畳むまで、美容師一筋。

平林三郎
父。なんの才能もなければ、働く気力もない。

横山円香
葬儀社『永訣堂』の担当係長。

たつ子
母の妹。

芳信
たつ子の夫。

八千代
芳信の妹。

東山

町内会長


月夜のアボカド
マナミ
フリーランスのアートコーディネーター。

アマンダ・コーネル
六十九歳。ロサンゼルス郡立美術館に二十年勤務。やり手の展覧会ディレクター。上海生まれの日系三世。

エスター・シモンズ
七十九歳。アマンダの友人で、主婦。両親は、メキシコ人の移民。夫には、十五年前に先立たれ、ふたりの息子たちは、それぞれ独立して、家庭を持っている。

朋生
マナミが密かに付き合っている恋人。

マナミの父
厳格な父親。「男は仕事第一」という、かなり古い考え方の持ち主。

マナミの母
専業主婦。父の言うことに従う「デキる妻」。絵に描いたような夫唱婦随、骨董品のようなカップル。

アンディ
四年間一緒に暮らしたエスターの二番目の夫。


無用の人
羽島聡美
K記念美術館学芸課。他界した父から宅配便が届く。

菅本
美術館事務局の非常勤職員。

羽島正三
聡美の父。三月一日に他界。

下村
学芸課長。

聡美の母
七十六歳。


緑陰のマナ

学生時代から旅行好きで、四十代後半になったいまも年がら年中旅をしている。旅関係の雑誌の編集部を経て、四十歳になったのをきっかけに独立し、フリーランスの物書きになった。

エミネ・バヤル
在日トルコ人。

アリ・エクシオル
エミネの友人。NPO「日本トルコ文化交流会」のメンバー。民宿のオーナー。大阪でトルコ雑貨の店を経営している。


享年七十五歳。脳梗塞を二度やって、一度目は奇跡的に助かった。二度目は姉が家族旅行に出掛けているあいだに、帰らぬ人となった。夫と四十年近くにわたって、地元の小学校の教諭を務めてきた。


定年退職後、七十歳のときに腎臓を患い、先立った。

カナン
宿の従業員。


波打ち際のふたり
波口喜美
ハグ。大手広告代理店に勤務し、肩書は広告ディレクター。課長代理の役職にもついて、結婚を意識して付き合ってきた恋人もいた。三十五歳に仕事も恋愛も失った。フリーランスの広告ディレクター。

長良妙子
ナガラ。旅友。大学時代の同級生。淡路島出身で、大阪の証券会社に勤続二十五年。総務課課長に抜擢された。

喜美の母


皿の上の孤
野中咲子
サキコ。大手都市開発企業に勤務し、開発部の課長職を務めていた頃に、青柳と出会った。

ホセ
運転手。

アマンダ
日系アメリカ人。七十一歳。ダラス在住のアートコーディネーター。

青柳透
咲子のかつてのビジネスパートナー。もともと大手ゼネコンの設計部に所属していた設計士。かなりの年収と出世コースに直結したポジションを捨て、独立した。

真奈美
咲子の友人でアートコーディネーター。

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2026年05月06日

Posted by ブクログ

あたたかな気持ちになる短編集
孤独を感じることもあるが、家族や友人、仕事仲間など、自分の周りの人たちとの関係を大事にしていこうと思えた。

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2026年03月20日

Posted by ブクログ

20代の自分には少し重く、暗い気持ちになる作品が多かったように感じた。もう少し時間が経ってからまた読み直したい。

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2026年03月13日

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