あらすじ
あなたの「過去」は、大丈夫?
美しい「思い出」として記憶された日々――。
その裏側に触れたとき、見ていた世界は豹変する。
無自覚な心の内をあぶりだす「鳥肌」必至の傑作短編集!
大学の部活で仲のよかった男友達のナベちゃんが結婚するという。だが、紹介された婚約者はどこかズレていて――。
「ナベちゃんのヨメ」
国民的アイドルになったかつての教え子がやってくる。小学校教諭の美穂は、ある特別な思い出を胸に再会を喜ぶが……。「パッとしない子」
人の心裏を鋭くあばく傑作短編集!
感情タグBEST3
Posted by ブクログ
登場人物の表情や内側で思っている気持ちの描写がリアルで怖かったし鳥肌がたちました。
自分でも無意識のうちに、悪気なく相手が嫌な気持ちになることを言ってしまっている気がします。
後から発言を後悔することもあるけれど、たぶん何気なく言っていることの方が多いんだと思います。
そして自分も過去に言われたことの内容や嫌なことをされた人も行動も言語も今でもハッキリ覚えてます。
過去の失言は今からは変えることはできません。
この本を読んで人に対しての言葉遣いや自分の発言を
気をつけようと思いました。
この本怖いな感じたのは自分にも当てはまる部分があったからだと思います。読んでいて息がしにくかったです。
あなたの過去は大丈夫ですか?☺️
Posted by ブクログ
怖い、怖い、怖い。
解説にも書いてあったけど、これは本当に「怪談」ですよ。
辻村さんの本は「傲慢と善良」しか読んだことなかったけど、どちらも容赦がない。
(「ナベちゃんのヨメ」は傲慢と〜を彷彿とさせますネ)
特に「パッとしない子」と「早穂とゆかり」は怖さと不快感がMAXで、それだからこそ面白かった。
自分自身は覚えてないほど無自覚でやってきたことのツケが回ってくる感じというか。
悪気がないのが一番タチが悪い、とかって言うことありますけど、正にそれなのかな。
Posted by ブクログ
辻村深月さんの短編集。4つの短編どれも面白く読めました。物語の構成が上手いなあ。序盤からしっかり牽引してくれて、最後まで離さない。無駄がないからストレスなく、スルスル読めます。
言語化が難しい、他人との関係性で抱く、モヤモヤした想いやズレを物語化するのが物凄く上手い。どれも良かったけど、一番好きなのは「ママ・はは」かな。オチが全く予想していなかった所に着地したものだからびっくりしました。いい意味で裏切られた気持ちよさを味わえました。
真面目教の所は、読んでいてハッとなりました。自分も贅沢するのが物凄く苦手。
「パッとしない子」「早穂とゆかり」の読後は、正直スカッとしてしまったw いいぞもっと言ってやれって感じ。ただゆかりさんの容赦のなさにはちょっと引いちゃったけど。
ただその後、自分ももしかしたら無自覚な言動で人を傷つけてしまった事があるのでは?と今までの人生を振り返ってしまいました。特に子供の頃なんかは今みたいに繊細じゃなかったから、きっと言ってしまった事あるんだろうな。こういうふうに思わせてくれる読後感も好きです。
東畑さんの解説も良かった。心理学の視点からの解説。解像度が上がりました。私も黒い入場門の事はあったと思います。
久しぶりに辻村さんの世界を堪能できて大満足!今、確認してみたけど辻村さんの積読本7冊ありましたw ワクワクする〜。
以下付箋貼った所(ネタバレ含みます)
P68 よくあるんですよ。こういうこと。みんな悪気なく、こっちが傷ついたりするかもしれないなんてこと考えずに、とにかく知っている事は全て口にしちゃうんです。相手がどう思うかじゃなくて、知ってるって言う親近感を出す方が好きなんでしょうね。
P109 悪い人ではない。真面目で、そして本音で生きているこの人には、みんながこの場所で建前で話しているなんていう、なあなあの発想がそもそもないのだ。裏表がなく、みんなが自分のように真剣にここで問題解決がしたいのだと思っている。
理不尽でも我儘でもない。悪意だってもちろんない。ただ少し、ずれているだけなのだ。
P112 もちろん、人に迷惑をかけない大人になる事は大事なんだけど、最近、子育ての正解ってそこにないんじゃないかって思うこともあって。
じゃ、どんなことが正解なの?
成長した子供が、大人になってから親の子育てを肯定できるかどうか。
P118 真面目な人って、義務が得意なんだよね。すべきことを与えられるとそれは一生懸命、とにかくこなすことを考える。無駄がない質素な生活を心がけて、清く正しく生きることが得意。その逆で、苦手なのは娯楽や贅沢。何かを楽しむってことがすごく苦手。
P135 真面目教人たちは、贅沢するのが苦手なの。
P208 本当に不思議なのよ。気にくわない子が1人いる。その子が存在している事実それ自体が許せない。そこまで強く相手を嫌って、バカにできる労力は、どこから来るの?
P217 自分がされていることが「いじめ」だなんて思われたくない、と言う気持ちがどうしてもあるから、「いじめ」を自覚してしまった途端、その屈辱に耐えられなくなる。親にも言えない。そういうことは、あると思います。
Posted by ブクログ
心の一部分を殺し、生きている人間がいる。その幽霊は、復讐という形で生き返る。不思議で珍しいようで、誰しもが関わったことのあるであろう現実。読んでいてすごく疲れた。他人を自分の物差しで評価し、批判してはいけない理由が詰まってる。
Posted by ブクログ
妬み、嫉み、恨み、つらみ、優劣、美醜、名声、貧富。
人と人との関わりの中で暗に値踏みされ無意識に作られる上下関係の趨勢がオムニバス形式で描かれるこの作品。
精神科領域の話が多いな、と思いつつ読み終えたところに東畑開人さんの解説が。
さすが、精神科デイケアで「居るのはつらいよ」と言っていた方だけあって、読み終わった後の不穏が渦巻く胸裏を少しだけ前向きにしてくれる。
精神科に勤務していると、両方の立場の話を聞くまではなにも判断できないという中立性の大切さを実感する。
この作品はそれを本当にうまく描いていて、かつ容赦がない。
池井戸潤作品のようなスカッと系とも違う"ある過去について"の、今だから言えるお焚き上げに近い叫びが渦巻いている。
どの章も、無自覚な加害者/被害者の一人称語りで展開されているため読者は悪気など一切抱くことなくアンコンシャスバイアスをうっかり持たされ読み進めていく。そのため"噛みあわない会話"が展開されるシーンに差し掛かると一気にホラーに切り替わるのだ。
「え、聞いてないんですけど…」と。
そこからの畳み掛けが凄まじい。
被害者側の語りには鬼気迫るものがある。会わなかった期間醸成されたどろどろの感情の叫びで平手打ちされるようだ。そこに悪気があろうとなかろうと関係ない。むしろ悪気がないからこそえげつない。
余韻がすごすぎて眠れない名作。
面白い
とにかくなんかゾワゾワする。ひとつひとつの話がすべて自分にももしかしたらと思い当たるところが少しずつある。
是非みなさんにも読んでもらいたい。
ちょっと怖いくらいどちらの立場もわかるので辻村深月先生はすごいなと思った。他の作品も読んでみたくなった
Posted by ブクログ
ここに来ても親子関係が目につく。
成人式の着物のくだりについては、親のお金であることに間違いないんだからここまで根に持つ方に今回は疑問を持つ。
ただ、最終的には子は地元に戻るもの、そうでなければ親を捨てたもの同然という母の考えに通ずるものはあって溜息。
決定権は親にあり子の気持ちなんてないのが当たり前。
それが今の歳になって急にこちらが答えたくもないことに関して意見を求められる矛盾。
いい記憶ばかりを選択してわるい記憶は捨て去る都合の良さがニンゲンだよね
逃げずに反省して吸収して捨て去れば十分
"子育ての正解は、成長期した子どもが、大人になってから親の子育てを肯定できるかどうか。
大人になった子どもに自分がやってきたことを肯定してもらえないと、いざ対等な状態になっだ子どもに見捨てられることになるよ。保護者と被保護者はいずれ、介護だなんだで逆転するんだしさ。"
人間の記憶も相当に不確かで改竄に改竄が重なっていると思う。
今私の持つ記憶だってどれが本当かわからない。
たまに、究極にそう感じて心がはやることがある。一体今ある記憶の何が正しいのだろうと。
それにしても、途中から物語はほん怖になってきてびっくりした、これそのままほん怖でドラマ化できる笑
小説の主人公って大抵、気持ちよくページを進める手を後押しするためにも明らかな性格難ありを持ってくることってないのに、この小説はたびたび登場する。
おかげで人間の嫌なところをまざまざと見せつけられて、共感性羞恥の塊の物語だったりする。
それが、この本の良さ。
子育てをしていると、やはり、余裕がないから自分の心を優先にしてしまうのだと思った
Posted by ブクログ
同じ体験をしたことがある訳では無いのにどこか身に覚えがあって、刺さりすぎて息切れがするような気持ちになった。自分が発した(自分にとっては)本当に何気ない言葉が相手の忘れることの出来ない傷になるという当たり前の話が、分かっているはずで、でもなんにも分かっていないのだと鋭く突きつけられているようであっという間に読めてしまった。
Posted by ブクログ
短い短編集なのですらすら読めました。
衝撃と共感を受けたのがナベちゃんのやつと一番最後のやつですね。同じ経験は無いのになぜかわかるーーこういう人いる!こういう会話ある!と日常を抉り取られるような、痛いとこ突かれる所をこんな細かく言葉に出来るなんて… すごい。
Posted by ブクログ
無自覚な悪意って怖い
人間だれしも正しいなんてことはないから、わたしの過去もあると思う、、、
子供だから、若いから、みたいな理由は通用しなくて、受け取った側は一生言葉が残るんだろうな
読んでいて胸がザワザワした本でした
Posted by ブクログ
短編集であっという間に読み終わった。
じわじわと嫌な気持ちになる。でも面白い…
昔の知人のことを途中で何度か思い出した。自分にもあり得るかもしれない話。
無自覚の悪意、というか、無自覚ということにしてるけど心のどこかで気づいてる悪意、の話だと思う。。
この作品紹介の、
あなたの「過去」は、大丈夫?
という煽りがすごく面白いw
最後まで読んで大丈夫って言える人はいないだろうなぁ…!
Posted by ブクログ
全ての話で伝える側と受け取る側の気持ちが噛み合っていない。親や先生、同級生などテーマは噛み合わない人と過ごさなければいけないという状況の中作り出されている。噛み合わない人と接するのはとても難しいと思う。しかし、これをいちいち気にしていたら何も話せないとも思う。100人いれば100通りの伝わり方があり自分の気持ちが伝わる人と居続けることが大切だと思った。しかし、そうでは無い人もいるということを頭の片隅に常に入れておきたいと考えさせられる本だった。
『パッとしない子』
人からどう思われているか考えると怖い
知らないところで自分が嫌われている可能性があると思うと怖い
だけど人と人は合う合わないでしかなくて、
この生徒に嫌われていたしずっと恨まれていたという見方も出来るが、また、この先生のおかげで教師を目指した子だっていた
万人に受ける人なんていないのだから好きだと思ってもらえる人を好きでいたいと思った
誰もが抱く感情で続きが気になりとても面白かった
『早穂とゆかり』
早穂の気持ちが分かる "嫌かもしれないけど"という言葉は私も同級生に対して同じことを思っている 謙遜で、最大の配慮であるが、受け取り手にとっては傲慢で上から見られていると感じることを知った。
Posted by ブクログ
短編集的な感じで読みやすかった〜!個人的に印象に残ってるのは、アイドルになった教え子のことを「パッとしない子」って周りに言いふらしていて、その教え子本人から詰められる話。 届かへんやろうと思っても、まわり回って言葉って届くものやから言動には気をつけなあかんな〜と('ν';)
あと、1話目の結婚を機にクレイジー奥さんに洗脳されてもうた部活メンバーの話も強烈やった笑 でも、こういう人は結構現実にもおりそう。でも、主人公が薄々気づいていたように、旦那さんとして選ばれた当人は幸せなんやろうな〜。
スカッと系の話が多かった!
Posted by ブクログ
怖い。こんなに怖い小説久々に読んだ。
何が怖いって、ある過去について当事者から真正面から追求された時、加害者(という表現が正しいか分からないけれど)はちゃんとダメージを受けていること。過去の時点ではあんなに馬鹿にしていたのに、反省も後悔もしなかったはずなのに、ちゃんと悪いという意識があるのに見えていないのか、あるいは見ようとしていないのかその時まで忘れることだってできているのに。
要は他者の認識がすごく弱いんだと思う。表面では理解しているけれど、自分と同じように感情があり感性を持ち合わせていることを感覚的に理解できていない。だから反抗された時に一気に思い出す、見下していたことを。
そしてこれが本当に怖いのだけど、他人事のように書いているけど自分が正しく生きてきた自信はまったくもって無い。
Posted by ブクログ
最高に面白いし、自分の行動を考えさせらるけど二度と読みたくない作品。自分も自然と記憶を改竄しているかもと思うと本当に怖いです。ある意味ホラー小説と言ってもいいかも。
なかでも印象的な作品は「パッとしない子」。言ったほうは覚えていないけれど、言われたほうは強烈に印象に残っている。そんなつもりはないのに、言葉はしっかりと棘として残るよというメッセージを残す作品。佑の気持ちはめっちゃ分かりますし、実際自分も学生時代、先生や同級生のちょっとした行動に傷ついた経験もあるので共感もできます。ただ先生の気持ちも分かるんですよね。個性がありすぎるクラス全員に対し、平等にいい人であるなんてできるはずないし、繊細すぎる人を真剣に相手にできないというのも痛いほどわかるんです。
話としては佑が先生に楔を残して復讐を果たすという結末で終わりますが、本当に佑側の記憶が正しいのか、彼も都合のいいように記憶を改ざんしているんじゃないかと思うと、いろいろモヤモヤするし考えさせられます。
やられた側がやり返すという構造はスカッとするのはわかります。しかしやり返す側も、本当に自分の記憶が100%正しいのか、なんの後ろめたさもなく100%やり返していいと思えるほど、その後の人生は清廉潔白であったのかと思うと、なんとも言えません。
と、なんだか長文で熱く語ってしまいましたが、なんにせよここまで考えさせられるのはさすが辻村先生の短編作品。人間の心理描写を描かせたら右に出る人はいませんね。本当に素晴らしい!でも、メンタルへのダメージがデカすぎたので二度と読みたくないです。
Posted by ブクログ
気軽に読める短編集。
けれど中身は気軽や気楽とは正反対だった。
どの話も当事者と傍観者では記憶や心情が全くの別物。加害者と被害者、虐める側と虐められる側というような明瞭な関係ではないものの、それに似たもっと複雑な関係の登場人物たち。そのどちらにも感情移入ができるのは、恐らく今までに同じような経験をしたことがあるからだと思った。
絶対と言ってもいいほどに、他人の気持ちを理解しきることが不可能だからこそ、自分の何気ない言動や、良かれと思っている行動を見直そうとも思えた。
Posted by ブクログ
何気ない一言でも言われた方は一生傷として残るのだと改めて言葉には注意したいと感じた。こちらが無意識に発する言葉は案外心の声として出ていることがある。一度脳内で言葉を吟味することがトラブル防止につながるのだろう。
Posted by ブクログ
短編集。語り手が過去に交友のあった人、かつ語り手が一因となって心に傷を負わせた人に再会し、当時の心情を解説されたり、考察したりする物語。
傷つけた方にはそんなに悪意があるわけではない。でも受け取り方やその時その人が見えている世界によっては、深く傷ついて、心を殺すような出来事になるのだなと。
傷ついただろうけど、しっかり言語化して相手に150%ぐらいに膨らませて想いをぶつけられたのだから、彼らの傷も少しは浄化できたのかなとも思う。その言葉で今度は逆に語り手に傷を負わせたけど、それは良いのだろうか。みんな傷ついてもその傷に向き合って、大人になってしっかり言語化できるようになっててすごい!
ナベちゃんのヨメ
コーラス部にいる、女子の友達が多い女子っぽい男子のナベちゃん。当時みんなから都合のいい人として扱われるが、みんなには彼氏や好きな人など優先順位1位の男がいて、自分は男としても1番手としても見てもらえない。"男"として女と付き合いたい、1番に自分を想ってほしいという欲求が消化不良になっていた。その後大学を卒業し、変な女と結婚。コーラス部の仲間はなぜあんな変な女と結婚した?もっと他にいい人がいたのでは?と言うが、今まで消化不良になってた欲求を満たしてくれる相手だから、周りから見ると変な女だとしても本人は幸せそうという話。
パッとしない子
小学校の先生になりたての頃に担任をしていたクラスメイトの兄が国民的スターになり、その後番組の撮影で来校した際に学校で再会する。この子が繊細すぎるだけだろっと思ってしまった。人による受け取り方の違いや、人を通して本人に噂が届く過程での解釈の違いが積み重なって大きな誤解を生んでしまう点は気をつけようと思った。
ママはは
自分の真面目教を押し付けてきた母。子供の気持ちを考えず、自分の考えが正しいとして押し付けてきた。そこまでは分かったが、母→ママの変化の部分がよく分からない話だった。妄想?
早穂とゆかり
元クラスメイトの当時霊感少女と大人になって再会。取材を申し込む際に早穂が何気なく書いた言葉をきっかけに、ゆかりの想いが爆発する。そして復讐のようなことをしてくる。これはゆかりがイタかったせいなのに、復讐のタネになってしまうのかー。まあ早穂が何気なく書いた言葉に、当時ゆかりのことを対等に見ずに見下していたこと、ゆかりに嫌な思いをさせたことを自覚していることが滲み出てたとは思うけど。
Posted by ブクログ
ナベちゃんのヨメ
パッとしない子
ママ・はは
早穂とゆかり
4編が収録されていました。
一つの過去について、解釈の噛み合わない者同士のやりとりが印象的でした。内容は面白いですが、後味がどれも悪かったです。
「パッとしない子」の佑と「早穂とゆかり」のゆかりの2人がする復讐めいたやりとりは繊細すぎる、執念深すぎるという気持ちにまずなりました。小説とはいえ怖かった…!
でも美穂や早穂のように、自分ももしかしたら無意識に人を傷つけていることがあるかもしれないし、深く考えないでした言動も実は無自覚に抱いていた思いがあるのかもしれないとこの本を読んで感じました。そういう人の心の奥底を鋭く書くという怖さもありました
子どもの頃人気者だった早穂は小学生の友達で連絡を取っている人はほとんどいないけど、ゆかりは今でも連絡を取っている人がいるというのは皮肉だなと思いました。
「ママ・はは」はどういう解釈をすれば良いのか難しかったです。藤色の着物のことも現実が歪められて記憶しているのか、写真が劣化したからなのか、はたまたファンタジーやホラー的な意味をもつのか…。今のママと昔の母同一人物なのか、同一人物なら呼び方が変わったのはわだかまりが解消されたからなのか…?
Posted by ブクログ
幼少期の頃の記憶が及ぼす影響や、記憶の曖昧さに加え、いつも通り人の心の醜さや救えなさも描写されていて考えさせられる。
読んでて苦しいのは身に覚えがあるから。
Posted by ブクログ
「私、そんなに悪いことした?」
罪の意識の無い言動や、自分の正義が人を知らず知らずのうちに傷つけることがある。被害者側はそのことをずっと忘れない。そして幽霊が生まれる。傷つけられた心が死んだ後に生まれた幽霊はやがて蘇る。必死に自らの辛さと向き合い、何が自分の望みか考える。それは時に現実との齟齬を生む。加害者側と被害者側の噛み合わない会話。もはや何が事実かお互いに分からない。ただ一つ確かなのは、幽霊が生まれるほどの傷を負ったということだけだ。リアルと妄想との狭間で揺らぐ、新しいホラーだ。
Posted by ブクログ
とても気まずい気持ちになる短編小説
すごい悪いことをしてるわけでもないけど
された方からしたら何年も恨まれつづける事もある。
人間の中に潜む
ちょっと意地悪な心が出てしまう時皆あると思う。
自分も無意識のうちにこうやって誰かを傷つけてしまってたりするんやろなって心当たりのある悪が、読んでて逃げ出したい程の気まずい気持ちになる。
読みやすくて面白くて、一気読みしてしまいました!
また読みたいかも!
追記:
あれから2年半経ってまた読み返して、同じように、気まずい気持ちになってる(^∇^)なんだかクセになる小説です。
内容に引き込まれたい人へ
誰もが人生の中で心あたりのある部分に気付かされる作品です。読み終わったあとスッキリするというよりは、改めて自分自身の行いや言動について再考させられました! 中の話はいくつか別々の話で途切れているので、繋がってはいませんが、一貫した共通点があります。
Posted by ブクログ
表紙が美しいですよね。内容はちょっとしたホラーな短編集だった。自分に思い当たることがないかと頭を巡らせたり、自分も同じ目に遭ったことがあるような、と思いに耽ったり、不思議な読後感の残る作品でした。
Posted by ブクログ
人の黒い部分が見えるヒトコワ短編集。
記憶って怖いなって思った。
言った本人たちは、記憶が薄れてその記憶を勝手に改ざんしてるかもしれないけど、言われた当事者たちはずっと心の奥の傷として深く刻まれてる。
わたしも学生の頃に同級生や先生の言われた一言で傷ついて今でも忘れられないことがあるけど、その一言でわたしはその人たちが嫌な存在として残るし、そういう人としてしか見ることができない。いい印象なんて残らない。
記憶にも会話にも歪みがでて、人は都合よく記憶を変える。
そんな誰にでもあり得るような話たち。
その部分があまりにも繊細に書かれてるから読んでいてあまり気持ちよく読めなかった。
けど、人と人が関わる時に必要なことを学ばさせてくれる気がする。わたしもこれから気をつけていきたいと思った。
Posted by ブクログ
こわっ(笑)パッとしない子なんて読んでいて気持ち悪くて。
で、同じく、早穂とゆかりも。
私自身がどの立場で生きてきたか考えると、パッとしないままパッとせずにきたので、そんな怖がることもないんだけど(笑)
それぞれの、立場で記憶が違う。
それと、これは幼少の時から気をつけているが、なるべく「自分が嫌なことは人には言わない」と、言うことだけど、この「自分が嫌なこと」の観点がそれぞれ違う。だから怖い。
だけどさあ(笑)
佑やゆかりのように、先生や早穂を追い詰める?
かなりな地位にいて、今が幸せでないのかと思ってしまうんだけど。
なんて思う私もいろいろ間違ってる。
Posted by ブクログ
無意識に人を傷つける言動をしておいて、のちのちしっぺ返しにあうと怒る人、そんなつもりじゃなかったという人、被害者ヅラして落ち込む人……
まわりにいるなぁと思いながら読みました。
Posted by ブクログ
きっと知らず知らずのうちに自分も誰かにそうしてきたし、誰かに自分もそうされたことがあるんだろうなと。
良かれと思って、あなたのためを思って、となんの気なしに発した言葉が誰かを深く傷付けていたと。
その言葉の深層の悪意に本当は自分でも気付いているのに。
きっと自分も同じ立場に立たされたとき、都合の悪い過去は都合よく忘れて、そんなに悪いことだった?と言う自信があります。
噛み合わない会話とは言い得て妙でした。