あらすじ
あなたの「過去」は、大丈夫?
美しい「思い出」として記憶された日々――。
その裏側に触れたとき、見ていた世界は豹変する。
無自覚な心の内をあぶりだす「鳥肌」必至の傑作短編集!
大学の部活で仲のよかった男友達のナベちゃんが結婚するという。だが、紹介された婚約者はどこかズレていて――。
「ナベちゃんのヨメ」
国民的アイドルになったかつての教え子がやってくる。小学校教諭の美穂は、ある特別な思い出を胸に再会を喜ぶが……。「パッとしない子」
人の心裏を鋭くあばく傑作短編集!
感情タグBEST3
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Posted by ブクログ
短篇集なので、その後の描写が気になる人もいるかも。全体的に読みやすかった。
ナベちゃんのヨメ
→こういう人、本当にいそうで解像度高い。自分はナベちゃんと良き友達だと思っているけど恋人にはなってあげられない、だからナベちゃんのヨメとの結婚に反対などできない。ナベちゃんが幸せならそれでいいんじゃないかな。
パッとしない子
→私も中学校のとき教師に恵まれず、作品ほどではないけど嫌悪感を持ってたのを思い出した。大人になって打ち明けたとしても向こうは知る由もないだろうな〜と思う。
ママ・はは
→普通にホラー。うちは厳しい家庭ではないけど、親にこうあって欲しいと思うことはよくある。特に子供のためを思ってケチケチする親は苦手かも。まぁそういう親はいなくなるんだけど__
早穂とゆかり
→パッとしない子に少し似ていて、大人になってからああだったこうだったと浴びせられるシーンが印象的。早穂はたしかに学生時代目立って意図的にゆかりに嫌がらせをしていたかもしれないし、ゆかりは、何故他人に興味があるの?と聞きつつ大人げないことをしているとも思う。どっちの言い分もわかる。
Posted by ブクログ
恐ろしい。全ての話、自分にも思い当たる気がする。
気がするというのは、思い出せないからです。
思い出せないというのがこの本を読んだ後だとまた怖い。
無意識下の残酷な行動ってやった方は都合良く記憶が改ざんされ、一方された側はずっと鮮明に覚えていてそのせいで許せない。わたしも知らないところで恨まれてるだろうな。こわい。
早穂とゆかりが一番後味悪かった。
この女性たち「結構いい大人になったけど、振り返ってもわたしの人生ってなかなか幸せだし、今の生活も結構充実してる笑」と言わんばかりなんだけど、読んでる方は不安と劣等感と猜疑心の塊やないかいって心の中で突っ込めるような余地がある語り口なのが秀逸。
早穂は「今、私は他の人と比べてもメンタルは安定している方」とか「過去の不安とは折り合いはついている」と言うけど、精神的なリンチみたいなことするのは人間的に健全とは思えない。小学6年生の女の子に傷付けられた過去を40代になっても未だ引きずってるように見えて痛々しい。
まともな大人のふりしてめちゃくちゃ過去に囚われてるし、なんならゆかりさんより歪んでると思う。(パッとしない子も同じ構造だけど、佑くんの場合は現在進行形で傷を抉られている状況下にあり、まだ25歳でお若いので、まだわたしにも理解できる。)
とはいえこの小説は、そういう他者には理解できない人の心の傷の深さを描いているのだし、それを本人の問題みたいに判断してしまうあたり、わたしもまた噛み合ってないのかもしれない。
そして傷つけた側は何十年経っても許されていない可能性だってあるし、どんなことがあっても許してもらえることを願える立場ではない。明確に謝罪を要求した人は全編通して居なかったのも心を抉りる?。
ナベちゃんの話については、ただ女子陣がナベちゃんを都合よく扱った、軽んじていた、という非があったとしても、ナベちゃんもそれを理解していた上で、あわよくばの下心でそれに乗っかっていたと思うので、陰で傷ついていたとしてもそれは自業自得と思ってしまう。
加害者側(なんと呼んでいいのかわからないので便宜上こう呼びます)の中で、唯一佐和さんだけが過去を反省していたね。この四篇の中の良心だな。