あらすじ
あなたの「過去」は、大丈夫?
美しい「思い出」として記憶された日々――。
その裏側に触れたとき、見ていた世界は豹変する。
無自覚な心の内をあぶりだす「鳥肌」必至の傑作短編集!
大学の部活で仲のよかった男友達のナベちゃんが結婚するという。だが、紹介された婚約者はどこかズレていて――。
「ナベちゃんのヨメ」
国民的アイドルになったかつての教え子がやってくる。小学校教諭の美穂は、ある特別な思い出を胸に再会を喜ぶが……。「パッとしない子」
人の心裏を鋭くあばく傑作短編集!
感情タグBEST3
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Posted by ブクログ
ここに来ても親子関係が目につく。
成人式の着物のくだりについては、親のお金であることに間違いないんだからここまで根に持つ方に今回は疑問を持つ。
ただ、最終的には子は地元に戻るもの、そうでなければ親を捨てたもの同然という母の考えに通ずるものはあって溜息。
決定権は親にあり子の気持ちなんてないのが当たり前。
それが今の歳になって急にこちらが答えたくもないことに関して意見を求められる矛盾。
いい記憶ばかりを選択してわるい記憶は捨て去る都合の良さがニンゲンだよね
逃げずに反省して吸収して捨て去れば十分
"子育ての正解は、成長期した子どもが、大人になってから親の子育てを肯定できるかどうか。
大人になった子どもに自分がやってきたことを肯定してもらえないと、いざ対等な状態になっだ子どもに見捨てられることになるよ。保護者と被保護者はいずれ、介護だなんだで逆転するんだしさ。"
人間の記憶も相当に不確かで改竄に改竄が重なっていると思う。
今私の持つ記憶だってどれが本当かわからない。
たまに、究極にそう感じて心がはやることがある。一体今ある記憶の何が正しいのだろうと。
それにしても、途中から物語はほん怖になってきてびっくりした、これそのままほん怖でドラマ化できる笑
小説の主人公って大抵、気持ちよくページを進める手を後押しするためにも明らかな性格難ありを持ってくることってないのに、この小説はたびたび登場する。
おかげで人間の嫌なところをまざまざと見せつけられて、共感性羞恥の塊の物語だったりする。
それが、この本の良さ。
子育てをしていると、やはり、余裕がないから自分の心を優先にしてしまうのだと思った
Posted by ブクログ
短編集であっという間に読み終わった。
じわじわと嫌な気持ちになる。でも面白い…
昔の知人のことを途中で何度か思い出した。自分にもあり得るかもしれない話。
無自覚の悪意、というか、無自覚ということにしてるけど心のどこかで気づいてる悪意、の話だと思う。。
この作品紹介の、
あなたの「過去」は、大丈夫?
という煽りがすごく面白いw
最後まで読んで大丈夫って言える人はいないだろうなぁ…!
Posted by ブクログ
何気ない一言でも言われた方は一生傷として残るのだと改めて言葉には注意したいと感じた。こちらが無意識に発する言葉は案外心の声として出ていることがある。一度脳内で言葉を吟味することがトラブル防止につながるのだろう。
Posted by ブクログ
ナベちゃんのヨメ
パッとしない子
ママ・はは
早穂とゆかり
4編が収録されていました。
一つの過去について、解釈の噛み合わない者同士のやりとりが印象的でした。内容は面白いですが、後味がどれも悪かったです。
「パッとしない子」の佑と「早穂とゆかり」のゆかりの2人がする復讐めいたやりとりは繊細すぎる、執念深すぎるという気持ちにまずなりました。小説とはいえ怖かった…!
でも美穂や早穂のように、自分ももしかしたら無意識に人を傷つけていることがあるかもしれないし、深く考えないでした言動も実は無自覚に抱いていた思いがあるのかもしれないとこの本を読んで感じました。そういう人の心の奥底を鋭く書くという怖さもありました
子どもの頃人気者だった早穂は小学生の友達で連絡を取っている人はほとんどいないけど、ゆかりは今でも連絡を取っている人がいるというのは皮肉だなと思いました。
「ママ・はは」はどういう解釈をすれば良いのか難しかったです。藤色の着物のことも現実が歪められて記憶しているのか、写真が劣化したからなのか、はたまたファンタジーやホラー的な意味をもつのか…。今のママと昔の母同一人物なのか、同一人物なら呼び方が変わったのはわだかまりが解消されたからなのか…?