多崎礼のレビュー一覧
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ネタバレトリスタンの決死の思いが涙を誘う。
銀呪病という死病に冒されながらも、「ユリアと団長を最期まで守りたい」という強い気持ち。
幼い頃から厳しい家庭環境で、周囲からも迫害に近い扱いを受け、それでも懸命に生きてきた末路として、あまりにも悲しすぎる。
もっと幸せになってほしかった…。
ユリアがヘクトルの意志を継いで、新しい国を創ったことが、ナレーションベースでしか書かれておらず、その動乱の時代にどんな気持ちで過ごしたのだろうと気になってしまう。もっと詳しく読みたかった!
次巻に繋がりそうな伏線もいくつかあったので、ユリアとトリスタンの物語が今後のレーエンデ国物語にも登場するのかな?という期待を込めつつ、シリーズを読み進めていきたいと思う。 -
Posted by ブクログ
ネタバレショート・ショートなので、一編が8ページくらい。その短い中で背景をぼかしつつも確信に迫る書き方してたりするものもあり、うまく咀嚼できないまま終わったものもあり、でも面白い短編集だった。
始まりが不穏なので、大体不穏な話が多い中、最初から最後までハッピーに終わる「切れたミサンガ」が好き。
人でも殺したんかと思いつつ、同じ格好ときたのでSFかと思ったら 笑
安定のホラーの「こわくてキモくてかわいい、それ」も好き。
それが不気味だけど、主人公が見下されてることに気付きながらも知らないふりして難を逃れてて、性格悪い私はざまみろと思ってしまった。
「久闊を叙す」も良い。
こんな形で、我が友李徴子を読むとは。新鮮な感覚だった。 -
Posted by ブクログ
積読チャンネルで紹介されていて手に取った一冊です。
ショートショート集なので、少しずつ細切れに読めるのがよかったです。どの作品もそれぞれ面白かったのですが、なかでも米澤穂信さんの「燃えろ恋心」が圧倒的に好きでした。
リズムもテンポもよく、一気に駆け抜けていくように読めて、最後のオチまできれいに決まっています。これはできれば、内容を何も知らずに読んでほしい作品です。
特によかったのが、青春時代の「大人は自分たちのことをわかってくれない」「なんとなくこちらの味方ではない」という感覚の描き方でした。
ラブレターを買ってから、実際に書くまでの過程もいいです。誰かに恋をしているというより、恋をしている自分ごと、恋そのものに精一杯恋をしているような書きぶりがとても素敵な文章でした。 -
Posted by ブクログ
ネタバレシリーズが積み重ねてきた「レーエンデ」という国の歴史が、いよいよ大きな転換点へ向かって動き出す一冊だった。
何より圧倒されたのはルクレツィアの生き様。自分が何を望み、そのために何を背負うのかを理解したうえで選択していく姿には、ただ「格好いい」だけでは済まされない凄みがある。理想のために進む者がいる一方で、誰かが引き受けなければならない役割もある。その重さを知っているからこそ、彼女の存在が強烈に印象に残った。
そして、レオナルドとルクレツィアという兄妹の対比が本当に素晴らしい。同じ未来を見据えながらも、選ぶ道はまったく違う。だからこそ二人の関係性には単純な善悪では語れない深みがあり、それぞれの信念がぶつかり合う場面に強く惹き込まれた。
タイトル通り、物語全体を覆うのは「夜明け前」の張り詰めた空気。革命はまだ始まっていない。しかし、確実に何かが変わろうとしている。その緊張感がページをめくる手を止めさせない。長いシリーズを読んできたからこそ、この夜の先にどんな夜明けが待っているのか、ますます目が離せなくなった。