多崎礼のレビュー一覧
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レーエンデの時代がさらに進み、前巻に出てきたテッサが忘れられかけている時期の話。劇作家リーアンと男娼かつ演出家のアーロウという双子の兄弟の複雑な関係を描きつつ、ふたりがレーエンデの歴史を追い、禁忌になっているテッサを主人公とした劇を作り出す過程が描かれる。
主人公が毎回変わりながら、一つの地域の歴史を追うという形でシリーズ化しているファンタジーはめずらしく、着眼点が面白い。
二巻に続き、三巻も、貧困に伴い身体を売る人々にも焦点が当たっている。どちらも、その人々の心の強さが描かれているが、今回は、主人公も男娼であり、自分は穢れているという嫌悪感との葛藤も描かれているのが印象的だった。
双子の関係も複雑で、相手を傷つけ、自分も傷つけられた過去を抱えつつも、心の底では相手への愛情を抱いているが、その愛ゆえに最後は衝撃的な結末となっていた。
神の子がどのような存在なのか、銀呪とは一体なんなのか、まだ明かされていないので、今後伏線回収されることに期待。 -
Posted by ブクログ
レーエンデ地方が聖イジョルニ帝国の支配下となり、100年ほどの年月が流れた。
司祭長の次男ルチアーノは、屋敷の火事から唯一生き残り、炭鉱業が盛んなダール村へと辿り着く。
怪力自慢の少女テッサと出会い、ルチアーノは過去を捨て、「ルーチェ」として新たな生活が始まった。
平穏な日々だったが、炭鉱の落盤事故をきっかけにその生活は終わりを迎える。
軍隊で活躍していくテッサと、教養を生かして村を豊かにしようと策を練るルーチェ。
村のために奮闘する2人の選択は、レーエンデ地方、ひいては帝国を揺るがす革命へと繋がっていく。
レーエンデ物語の2巻目となる今作。
シリーズを通して、はじまりの文章が「革命の話をしよう」であるということの意味がようやく分かってきた。
前作以上に苦しい展開が続き「革命」という言葉の重み、人々の熱量や覚悟といったものが読んでいて強く訴えかけられるように感じたからだ。
キャラクターの魅力は前作同様で、特にテッサの終盤の振る舞いは、革命の物語を背負う主人公としての凄まじさに圧倒された。
後日談のあっさり感は前作でも感じたことであったけれど、今作を読み終えてみて、このシリーズ作品は「レーエンデ国」の長い歴史を伝えるために、レーエンデの歴史的転換点をまとめた記録の物語なのかもしれないと思えた。
そういった意味で、個人的には今作で作品の世界により乗ることができ、このシリーズが何を描こうとしているのか、自分なりに思いを馳せることができるようになったと感じる。
レーエンデのこの先を見届けたい気持ちが強まった一冊だった。 -
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初めての、多崎礼さん。
読書ユーチューバーのオススメで読んでみようとしたのがきっかけです。
まずは読んだあとに「レーエンデ国の歴史に触れた」感触があったこと。
架空の国なのに、それを実際の国があるかのように、レーエンデ国の歴史に重厚感があった。
あとは人間味のある感情、そして情景がイメージとして描かれる美しさが、物語の世界へと惹き込まれた。
銀呪病を患うトルスタン、シュライヴァから離れたくレーエンデに行ったユリア。
彼女らは誰かに助けをもとめたくてもできず一人で抱え込んでしまった部分。
それが悲しい現実へと向かってしまったのかなと、七章あたりからは苦しい試練と向き合わなければいけなかったのかなと思う。自分たちが自分を縛り上げてしまった末路は悲しい。
誰しもが求める『自由』。求めるがゆえに分岐点に気づかないことが多い。
様々な民族が存在し、多様性を求めながらも一方で憎悪、侮蔑、怨恨と広がっていき、縛り上げていってしまう。そのことに「レーエンデに自由を」と最後にトルスタンが言った言葉にそれが含まれてるのでは?と思った。
「レーエンデ国物語」は次作へと続くのかと思いきや、各物語ごとに登場人物が存在していくというのを次作の登場人物で知り、レーエンデ国の歴史を私たちは新たに知ることになるのだろうと思うと感慨深い。
次作では人は歴史を繰り返すのだろうか?
それとも革命を新たに起こすのだろうか? -
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ネタバレおなじみの一行目一緒ショートショートのシリーズ。今回は初読みの作家さんが多かった気がする。特に最初の方、ロボットとかAIとかが続いて、大丈夫かいな、と思ったけど、真梨幸子さんや東川篤哉さんはちゃんと違うテイストで来ててさすがと思った。殺人が罪ではないという世界から、死刑等の罪になるという法律ができた、という大沼紀子「もう、ディストピアじゃん」は皮肉が効いてて特に印象的。面白かった。五十嵐律人「革命夜話」も違う切り口でとても良かった。敗戦後の混乱の中、食うにも困っている頃に、理想を夢見て日本国憲法を作った人がいたんだ、ということに改めて気付かされたわ。ありがたいことだ。
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序章
第一章 ルーチェ
第二章 斬り込み中隊
第三章 もう神なんて信じない
第四章 落陽
第五章 隠れ里エルウィン
第六章 レーエンデ解放軍
第七章 春陽亭の三姉妹
第八章 初仕事
第九章 協力者
第十章 アルトベリ城攻略
第十一章 軍師の誕生
第十二章 革命の夏
第十三章 もっとも信心深い者にこそ
第十四章 月と太陽
終章
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まず地図を前作と今作とを見比べて、「交易路」が「旧街道」になってる!とか「西街道」は昔からあったけど「東街道」ができてる!とか、おお〜「緩衝地帯」がちゃんと機能してるっぽい!とかあがりました。そして「エルウィン」の場所が変わってる…??となぜか半泣きに。ユリアとヘクトルが通ったファスト渓谷はなくなってしまったのかな。と。
これから読み始めます。
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テッサが本来ものすごく純情な乙女で、女を買いに行く仲間を見てそういうのは本当に好きな人と思ったり、平和な家庭に入ってお嫁さんになりたいという願いを持っているのがいつまでも悲しい
それでも強くあろうとするテッサが痛ましい悲しくて愛おしい
テッサとキリルとイザークのスリーマンセル、良いです
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『月と太陽』
人から人へ、次の世代へ
「月」と「太陽」はルーチェとテッサのことなんだろうけど、この作中で明確に「月」に例えられているのはエドアルドで、「太陽」に例えられたのはアレーテ。 -
Posted by ブクログ
ネタバレ1作目より分厚い!と怯みましたが、あっという間に読んでしまいました。
あれから約100年後の世界。
いよいよ革命が始まりました。しかし、達成間近で帝国の策なのか神子の力なのかよく分からなかったけど、内部分裂して終わってしまうという苦しい結末でした…またしてもハッピーエンドにならず…
ただ、1作目の登場人物のその後や末裔と思われる人物が出てきて嬉しかったです。
レーエンデの地図もちょっと変化してる!と思いながら、地図を見返しながら読みました。
1作目でウル族がユリアを殺そうとした時はウル族の迷信は覆されると思っていましたが、今のところウル族にとっては迷信通りに歴史が動いていて複雑な気持ちです。
この先、ウル族が救われていくのかが気になるところです。 -
Posted by ブクログ
2作目にして、いよいよ革命を起こそうとする人が現れました。
帝国を相手に最初から完全勝利や独立なんて上手くいくはずがないと分かってはいたけれど、仲間が増え、戦いが広がり、やがて離れていくまでの過程、その熱狂と裏切り、そして人の薄情さがあまりにもリアルで、読んでいてしんどくなる。
ただ、自分がもし兵士だったとしたら、テッサのように信念を貫く側ではなく、きっと途中で去っていく側だと思う。
だからこそ、テッサの気持ちも名もなき兵士たちの気持ちも、どちらも理解できてしまうのが余計につらい。
ルーチェはダークヒーローのような存在になるのかと思っていたけれど、実際はそんな格好いいものではなかった。
終盤での変化には少し戸惑いもあったものの、振り返ってみれば最初から精神的に強い人物という印象でもなかったので、ある意味では納得もできる。
一方で、テッサについては、ルーチェへのことは本当に好きだったの?好きだと思いたかったの?
シモン中隊長のことはLOVEなの?LIKEなの?
というところが自分の中では上手く理解できなかった。
結末は誰も幸せとは言い切れないもので、だからこそ強く切なさが残る。
1作目の登場人物があまりにも好きだったこともあり、今作の人物たちにはそこまで深く感情移入はできなかったものの、まだ物語は革命の途中。
この先、どう物語が展開していくのか、3作目以降も期待しています! -
Posted by ブクログ
魔物が人を喰らう年に一度の冬至の夜、仮面をつけた語り部達は火を囲み夜通し物語を紡ぐ。それは人と魔物の物語。
語り部が語る魔物を巡る短編連作。
一見関係が無いように見える各島と魔物と人を巡る話が、徐々に一つの物語に繋がっていくのだけど、新しい話が始まる度、真相がわかりそうでわからない。途中何度も読み終えたページを読み返しに戻り、繋がりに気付いたときの感動…鳥肌。
読んでいて実に楽しい本だった。久しぶりに人物相関図をメモしつつ見返しつつ、ファンタジーの世界にどっぷり浸れて。
儚くて切なくて美しいファンタジー、長い月日をかけ語り継がれる物語に魅了された。これは冬至の時期にまた読み返したい。