多崎礼のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
世界線がレーエンデと同じで、「えっ!もしかしてレーエンデの人たちが出てきたりするのか!?」と思ったけれど、2010年の作品を新装改訂されたものだと最後に知る。笑
叶わなかった夢が語られるので、とても切ない気持ちになる。理想を追い求めていても、身分や宗教、国など様々な理由から実現することはないと彼らはわかっている。けれど、未来が少しでも良くなるように動いている登場人物たちに勇気をもらえた。
本当に、多崎さんの作品は応援したくなる登場人物が多い。
まだまだ物語は序盤。
幕間で語られる夜の王と夢売りは誰?
敵国デュシスとの戦いの行く末は?
アライスの戦いの結末は!?
これからの展開が楽しみだ。 -
Posted by ブクログ
煌夜祭。それは夏至の夜に島主屋敷で催される祭。世界中の語り部が集い、夜通し物語を語り合う。話を聞きに集う聴衆の中には、人ならざる者もいた。魔物はなぜ生まれ、なぜ人を喰らうのか。その謎を明らかにしてみせると魔物の姫に約束した幼いムジカは、やがて世界を巻き込む戦争へと身を投じる。二人の語り部による対話の形式で綴られる短編集が複雑に絡み合い、魔物を巡る謎が解き明かされていく。
魔物という運命を背負って生まれた子どもたちの葛藤と、魔物を愛する人間たちの愛情が詰まった物語。冬至の夜に語られる物語は、どれも切なく、少し寂しい。その寂しさがとても良い。大団円の明るいハッピーエンドだけがファンタジーではない -
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Posted by ブクログ
第4巻。そしてラスト。
バニストンに訪れた恐怖や悲劇。
解決したかに思われた先に、さらなる追い討ち。
天使のアゼザルの記憶と、現世のアゼザルが少しずつ重なっていく。
正直なところ、ハッピーエンドなのかどうか、これで良かったのかは読み返すたびに変わってきそうだ。
ただ、誰しも一度は死にその魂は巡るもの、という考えからすると、形が無くなったとしても、野に大地に花にその魂はあるとするならば、
バッドエンドということでもなさそうだ。
アンガスと愉快な一団の今後の旅も見たかったが、
それぞれが世界のどこかで楽しくやっているなら、それはそれで万事OK。
なんだか遠い夢を見ていた気がする作品だった。 -
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Posted by ブクログ
多崎礼デビュー作ということで、C★NOVELSバージョンを手に取りました。
島の点在するような世界で、島主の家系に魔物が時折現れる。どんなに普段普通にしていても魔物は冬至の日には人を食べるモードとなる。しかし、不死の身体を持つ。魔物が冬至に正気を保つには、魔物が夢中になる話が必要。語り部はそんな魔物に昔話をする人。
とても濃密な世界観!勢いで読むと、登場人物がわからなくなるので、メモや記憶をしっかりしていった方が楽しめます。なぜならバラバラだった語り部の話が繋がってゆくからです。その全体理解への難しさが★1減要因ですが、この頃からレーエンデ物語への実力がおありなのだな、と思わされるお話でした。