多崎礼のレビュー一覧
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ネタバレ『レーエンデ国物語 喝采か沈黙か』、今回も面白かった。特に印象的だったのは、「革命」を武力や政治だけではなく、演劇や芸術という形で描いているところ。人の心を動かし、過去の出来事を物語として次の世代へ伝えていく――そんな「物語の力」が、レーエンデの歴史を動かしていく展開がとても興味深い。
そして、2巻『月と太陽』とのつながりが随所に感じられるのも、シリーズを追ってきた身としては嬉しい。かつての出来事や人物が、時を経て別の形で物語に息づいていることに、レーエンデの歴史が確かに続いている実感がある。
序盤は少し静かに物語が進む印象だったが、後半からは一気に引き込まれた。散りばめられていたものが次第につながり、物語が大きく動き始める終盤は圧巻。単なるファンタジーではなく、「物語を語ること」そのものが持つ力まで描いているところが、このシリーズの魅力だと思う。読み終えた後、これまでの2冊もまた読み返したくなる一冊だった。 -
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ネタバレ『レーエンデ国物語 月と太陽』は、前作からさらに物語のスケールが広がり、レーエンデという国が歩んできた歴史の重みを強く感じられる一冊だった。特に、テッサとルチアーノの関係が、単なる恋愛ではなく、国の未来や革命へと結びついていく展開が熱い。理想を掲げるだけでは何も変えられず、それでも大切なもののために立ち上がる人々の姿には胸を打たれた。
テッサの強さも魅力的。戦う力だけではなく、自分の信じるものを選び取っていく精神的な強さが格好いい。登場人物それぞれが自分の信念を抱えているからこそ、彼らの選択の一つひとつに重みがある。
決して明るいだけの物語ではないけれど、だからこそ「何を受け継ぎ、何を未来へ残すのか」というテーマが心に残る。1巻で生まれたレーエンデの物語が、世代を越えて少しずつ大きな歴史へ変わっていく感覚が素晴らしかった。読み終えた後も、この先のレーエンデがどうなっていくのか気になって仕方がない。 -
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ネタバレ多崎礼さんの『レーエンデ国物語』、「こういうファンタジーが読みたかった」と思わせてくれる作品だった。
何より魅力的なのは、レーエンデという国そのもの。銀霧に包まれた森や古代樹、湖、城など、幻想的な風景が丁寧に描かれていて、物語を読んでいるというより、自分自身がその世界を旅しているような感覚になる。美しいだけではなく、その土地が抱える歴史や人々の苦しみまで描かれているからこそ、レーエンデという場所が次第に「生きた世界」として感じられてくる。
ユリアとトリスタンの関係も印象的。二人の出会いを軸に、少女だったユリアが外の世界を知り、自分の意志で生き方を選び取っていく過程がとても良かった。恋愛だけに収まらず、「自分はどう生きたいのか」という物語になっているところが好き。
そして、読み進めるほどに物語のスケールが大きくなっていくのも見事。最初は英雄とその従者の冒険譚のように始まった物語が、やがて国の歴史や革命へとつながっていく。美しく幻想的な世界の裏側にある、厳しい現実との対比も印象に残った。
読み進めるたびに「この先どうなるんだろう」と思わせる力があり、読後にはレーエンデの世界をもっと知りたいという気持ちが残る。壮大な物語の幕開けとして、とても満足度の高い一冊だった。 -
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大人版のお伽話を読んでいるようだった。
まず装丁がかなり好き。タイトルに「夜」が入っているだけでも、なんとなく自分に刺さる。
二人の語り部が交互に物語を話していき、一見別々に見えた話が少しずつ繋がって、この世界で起きたことが紐解かれていく。
語られる物語も童話っぽいので、頭の中で絵本のページをめくるような感じで読み進めることができた。全体を通して、人と魔物を巡る美しくて少し切ない物語だったと思う。
ただ、登場人物や島の名前が聞き馴染みのない言葉ばかりで、これが全然覚えられなかった。話が繋がっていく作品だからこそ、「これ誰だっけ?」となるのがちょっと気になった。
あとは世界観が面白そうなのに、その世界についてもっと知りたかった。
十八の島があるけど、それぞれの島がどれくらいの広さで、どれくらいの人が住んでいて、どういう暮らしをしているのか。最後までその辺りは具体的にはイメージできなかった。
蒸気塔や蒸気船なんかも出てくるけど、それがどういう仕組みで、この世界でどう使われているのかも自分の中ではいまいち掴みきれず、なんとなくそういうものがある世界として読んでいた。
物語の雰囲気や、人と魔物の話そのものは好きだっただけに、この世界の成り立ちや仕組みまで、もう少し詳しく見せてくれていたら、もっとこの世界に入り込めた気がする。
10段階評価: 7点 -
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一つ一つの短編が独立した物語として描かれながら、後半になるにつれて少しずつつながっていく構成が面白い作品。
物事は見る角度によって違って見えるし、時間が経つことで初めて分かることもある。そして、誰かの想いや経験を受け継ぎながら、より良く生きていく。そんな姿が描かれていて、これは物語の中だけではなく、現実の世界にも通じることだと思った。
特に作中に出てくる「全てのことには意味がある」という言葉が印象に残った。読み終えた後に振り返ると、何気なく読んでいた一つ一つの物語にも意味があったことに気づかされる。
読み進めるほどに点が線になっていく感覚が心地よく、最後まで読んでからもう一度振り返りたくなる一冊だった。 -
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ネタバレいやあ、もう。
一巻と同じように希望を持たせた瞬間にどん底に突き落とされる。
前作で散々苦しい気持ちにさせられたので覚悟はしていたけれど、その遥か斜め上をいく残虐さ。
ご都合主義のハッピーエンドなんてない。
テッサが仲間たちを鼓舞する時,シモン中隊長の言葉を借りるのが良かった...心から崇拝していたのが伝わってきた。
賢く優しかったルチアーノがなぜ残虐王になってしまったのか...レーエンデの民への絶望が彼をそこまで変えてしまったのだろうか。
のめり込んでしまう,だけどひたすらに苦しい。
それでも...最後まで見届けます。
個人的な好みとしては、一巻の方が好きだったなあ。
トリスタンの生き様が美しすぎた... -
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ネタバレ壮大なファンタジー。
わたしにとっては聞き慣れない表現が多く,調べてメモをとりながらじっくり読んだ。
終盤は胸を抉られるような苦しい展開が続き、涙が止まらなかった。
読み進めるのが怖くて何度も本を閉じた。
とてものめり込んだし、読み終わった今も心がレーエンデに囚われているのだけれど、あまりの結末にしばらく立ち直れそうにない。
良くも悪くもここまで心を揺さぶられる作品にはなかなか出会えないと思う。
ヘクトルとトリスタンの無敵な強さで全てがうまく行くことを期待していた...
救いがなさすぎる。トリスタン...
それでも、心がレーエンデに囚われてしまったわたしは最後まで見届けると思う。
- 残った謎メモ -
ユリアの居場所がダリアの証言と異なっていたのは何故か
交易路は完成しなかった?→2巻で判明
御子の行方→2巻で判明 -
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レーエンデの自由を求め、戦い続ける
なぜ支配をしたがるのだろう?
それは今でも続く戦争でも言えることではありますが…。
お金や資源、人、領土を求め広げていく。
民族が豊かに住みやすく穏やかな空間で過ごしたい。平和でありたい。
だけど支配されてしまえば自分たちの住処を及ぼし、蝕んでいってしまう。
逆らえば死罪などと自分の命が迫る。
そういった生活を目にしてきたテッサたちは革命を起こした。
「自由を求めて戦ったこと、打倒帝国まであと一歩のところまで迫ったこと、それはレーエンデ人の希望になる。
これからやってくる暗黒の時代、レーエンデに希望の光を灯し続けるために、真実の歴史を語り継ぐ者が必要になる。」
テッサは勇敢な戦士だと改めて思う。自分の命を犠牲にしても帝国と戦い続ける、強く逞しい。そして誰よりも人を愛する。
だからこそ厭わずに突き進むのだろうと思う。
テッサの周りには、テッサを愛する人達がたくさんいる。テッサの意志が行き届いている。
すべての行動は今後も受け継がれる。そう信じたいと思う。
途中で読むのを止めずに夜通しで読みたいぐらいだったと思う。
それだけ前作からさらにレーエンデ国の歴史をぎゅっと濃縮し、自分もその世界に誘われた感覚になった。
3作目、レーエンデ国の歴史に新たな一歩が踏まれる。 -
Posted by ブクログ
ネタバレ1巻で撒かれていた伏線たちを4巻にてかなり回収。2巻の伏線も一部回収。1〜3巻が伏線を張る位置付けだったことがわかった。今のところシリーズの中で一番面白かった。
以下ネタバレ。
4巻では、法皇帝の息子レオナルドと、娘ルクレツィアが異母きょうだいとして出会い、やがて幽閉されていた神の御子を見つけ、レーエンデの革命を別々の方向から試みるに至る。
レオナルドは帝国の差別に反対する立場として奔走し、ルクレツィアは帝国側でレーエンデ人の抑圧や差別を最大限に引き上げ、同時に内部構造を破壊するお膳立てをするに至る。両者によってレーエンデ人の革命がやっと勃発する(かもしれない)。
以下、回収された伏線(自分用のメモ)
・神の御子エールデは不死の存在で、4巻でも生きている(正確にいうと、絶命はするがすぐ蘇るので、断末魔の苦しみを歴代法皇帝から味わわされて脅されながら、未来選択の力を彼らの望み通りに使うことを強いられ続けている)
・泡虫は死んだ人間の魂
・銀呪にかかった動物は一応死んでいるが、それに泡虫が入ることで見かけ上生きているように見える。実際は泡虫(元人間)が操っている
・二代目法皇帝ルチアーノ・ダンブロシオ、通称残虐王がレーエンデ人を虐げていたのは、それによってレーエンデ人の革命を促すため(テッサを見殺しにしたレーエンデ人を恨んでいたのかと思ったがそうではなかった)