多崎礼のレビュー一覧
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戦争が終わって巨大な勢力、あるいは権力による支配が始まる時、殺されるものは人ではない。真実である。権力者は自分に都合の悪い事は全て闇に葬り永遠の沈黙に閉じ込めてしまうのだ。人は矛盾だらけの生き物だから道理や理性とは反する行動を取りたがり、故に歴史の真の姿はめちゃくちゃになるのだ。
喝采か沈黙か、というタイトルがいい。クライマックスの一節でやられたと思ってしまった。
一国の物語とは、土地の、そこに暮らす民の苦難の、あるいは歓喜の歴史でもある。国の歴史を記した何行かの文章が重たい。たった一節、されど一節の中からレーエンデの悲鳴と、闇の中に眠る希望が見えるようだった。 -
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ネタバレ今までの登場人物に関わりのある人たちが山盛りで、名前を見るたびに「この人はきっと……!」と、嬉しさやら懐かしさやら悲しさやらでいちいち硬直してしまった。
それもこの物語にどっぷりつかってきたからだろうなあ〜!
一番衝撃を受けたのは「浅黒い肌、琥珀の瞳、首の後ろで束ねた髪は黒く、前髪の一部を三つ編みにしている」人の宿ったヤバネカラスを見たときですね……やっぱりね、この人が一番好きなんだよね私……ああああ……。
今回の登場人物では、ルクレツィアが根っからの悪の気質を持っていたとはいえ、みんなで暮らした幸せだった時の描写が幸せすぎて辛すぎた。
どうにか幸せになってほしかった。きっと幸せになれる人だっ -
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面白かった。予言の通りになっちゃった。
前作から3週間ぐらい開けての今作なので、丁度忘れかけてる頃に読むとベスト。
第二作とこの第三作、2つで1つの物語という気分。
テッサを主軸に物語が展開し、第二作では血で血を洗う、武力を伴った革命を、今作では暴力が嫌いな2人の主人公による、非武力の革命。
第二作よりも独立への絶望感は無く(登場人物的には悲しいんだけど)、確実にレーエンデの独立が近づいてきている。
100年毎に話が進むレーエンデは、まるで一つのリアルな国の産業発展や人々の感情の移り変わりの歴史を見ているようで、壮大なドラマを見ているよう。
自分が才能もなく、凡庸と認めることって怖いし -
Posted by ブクログ
ネタバレさて、
1部を読み終わったのは1ヶ月ほど前で少し内容が抜けていたが、読み進めていくうちに思い出せた…(笑)
推しキャラは「シモン」と「エドアルド」「シーラ」
シモンは言わずもがなかっこよすぎる。
エドアルド、元は善良な兄が、教皇からの性暴力、両親からの裏切り、唯一助けた実の弟の裏切り、逃亡未遂で病気とかいう地獄コンボで闇堕ちしていく感じたまらなく好き。
シーラ含む三姉妹の信念を持って生きている感じがたまらなく好き。バカっぽいキャラかと思いきや、自分の立場を利用して情報を引き出す「情報屋」とわかった時は、彼女は強い、かっこいいと思った。残虐王は3人のこと忘れてなかったんだね…
正直な話、前作は -
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Posted by ブクログ
25編のショートショート集で、ちょっとした時間にも読み進める事ができて楽しかったです。
全て『だから捨ててと言ったのに』の一言から始まり、そのあとは作者さんによって推理物になったり、ホラーになったり、感動物になったりと、ショートショート集なのにとても読みごたえがありました。
知っている作家さんの作品には作家さんらしさが出ていて楽しめました。初めての作家さんの作品もあったので好みの作風の作家さんの他の話も読んでみたくなりました。
このショートショート集をきっかけに読書の幅が広がりそうです。
今回は第四弾目とのことで、前作も読んでみたくなりました。