多崎礼のレビュー一覧

  • レーエンデ国物語 喝采か沈黙か

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    戦争が終わって巨大な勢力、あるいは権力による支配が始まる時、殺されるものは人ではない。真実である。権力者は自分に都合の悪い事は全て闇に葬り永遠の沈黙に閉じ込めてしまうのだ。人は矛盾だらけの生き物だから道理や理性とは反する行動を取りたがり、故に歴史の真の姿はめちゃくちゃになるのだ。
    喝采か沈黙か、というタイトルがいい。クライマックスの一節でやられたと思ってしまった。
    一国の物語とは、土地の、そこに暮らす民の苦難の、あるいは歓喜の歴史でもある。国の歴史を記した何行かの文章が重たい。たった一節、されど一節の中からレーエンデの悲鳴と、闇の中に眠る希望が見えるようだった。

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    2025年07月10日
  • レーエンデ国物語 夜明け前

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    ネタバレ

    今までの登場人物に関わりのある人たちが山盛りで、名前を見るたびに「この人はきっと……!」と、嬉しさやら懐かしさやら悲しさやらでいちいち硬直してしまった。
    それもこの物語にどっぷりつかってきたからだろうなあ〜!
    一番衝撃を受けたのは「浅黒い肌、琥珀の瞳、首の後ろで束ねた髪は黒く、前髪の一部を三つ編みにしている」人の宿ったヤバネカラスを見たときですね……やっぱりね、この人が一番好きなんだよね私……ああああ……。
    今回の登場人物では、ルクレツィアが根っからの悪の気質を持っていたとはいえ、みんなで暮らした幸せだった時の描写が幸せすぎて辛すぎた。
    どうにか幸せになってほしかった。きっと幸せになれる人だっ

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    2025年07月04日
  • レーエンデ国物語 月と太陽

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    強大な国に奪われた自分たちの国を取り返す。
    その歴史の壮絶さと、人々の織り成す人間模様から目が離せなかった。全く、次から次へとよくもまあこんなに目の離せない展開を盛り込めるものだ。
    登場人物が皆魅力的である。彼らの喜びが、苦悩が、悲しみと覚悟が胸に染み渡る。読み終えて改めてこのジャケットを見る。一人の人間の足跡など歴史の大波の中に消えてしまうものだが、ここには確かにその人がいた記憶が、思い出が、誰に語られなくても残っているのだ。

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    2025年07月02日
  • レーエンデ国物語 喝采か沈黙か

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    面白かった。予言の通りになっちゃった。
    前作から3週間ぐらい開けての今作なので、丁度忘れかけてる頃に読むとベスト。

    第二作とこの第三作、2つで1つの物語という気分。
    テッサを主軸に物語が展開し、第二作では血で血を洗う、武力を伴った革命を、今作では暴力が嫌いな2人の主人公による、非武力の革命。

    第二作よりも独立への絶望感は無く(登場人物的には悲しいんだけど)、確実にレーエンデの独立が近づいてきている。

    100年毎に話が進むレーエンデは、まるで一つのリアルな国の産業発展や人々の感情の移り変わりの歴史を見ているようで、壮大なドラマを見ているよう。

    自分が才能もなく、凡庸と認めることって怖いし

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    2025年06月28日
  • 煌夜祭

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    ネタバレ

    冬至の夜に始まる。語り部達の夜。
    1話1話、語り部達が語る物語がすごく綺麗で、1話ずつでも凄いのに、話が繋がってしまった瞬間が本当に凄い。
    話の中に含まれる語り部自身の物語も本当に綺麗で、彼らだから語られる物語は素晴らしいに尽きる。

    一回読んで、もう一回読みたくなる。二週目行ってきます。

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    2025年06月25日
  • レーエンデ国物語 月と太陽

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    ネタバレ

    さて、
    1部を読み終わったのは1ヶ月ほど前で少し内容が抜けていたが、読み進めていくうちに思い出せた…(笑)
    推しキャラは「シモン」と「エドアルド」「シーラ」
    シモンは言わずもがなかっこよすぎる。
    エドアルド、元は善良な兄が、教皇からの性暴力、両親からの裏切り、唯一助けた実の弟の裏切り、逃亡未遂で病気とかいう地獄コンボで闇堕ちしていく感じたまらなく好き。
    シーラ含む三姉妹の信念を持って生きている感じがたまらなく好き。バカっぽいキャラかと思いきや、自分の立場を利用して情報を引き出す「情報屋」とわかった時は、彼女は強い、かっこいいと思った。残虐王は3人のこと忘れてなかったんだね…

    正直な話、前作は

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    2025年06月21日
  • レーエンデ国物語 夜明け前

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    序章でネタバレをしていくタイプの4巻めだった。どうなるんかなと思ったけど、こうなるのか…そうか…という感じ。
    穏やかな幸せパートが本当に楽しそうで、これでええやんと思ってしまう。
    ところどころでレーエンデ人の怠惰さを非難する文言がつらいなと思う。現実に向けて言っているよねこれ。

    銀天使の正体や、仮説を確かめる話、泡虫、影、その他あれこれと少しずつ舞台裏の設定がわかって面白かった。表紙が美しいなぁとも思った。

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    2025年06月20日
  • 夢の上1 翠輝晶・蒼輝晶

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    圧巻。
    面白くて一気読みでした。
    『レーエンデ』の時から多崎さんの緻密な世界設定に圧倒されていたけれど、
    空のない世界と、叶わなかった夢の結晶を売る「夢売り」のお話。
    ファンタジーだけど人間らしく、熱くて希望のあるお話。

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    2025年06月12日
  • 夢の上1 翠輝晶・蒼輝晶

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    多崎氏自ら「この作品がなければ『レーエンデ国物語』は書けなかった」と評する王道ファンタジー。
    現実の「革命」にはとんでもないものが多いが、物語なら安心して心躍らせることができる。
    本シリーズに心惹かれるのは「ノブレス・オブリージュ」が主要テーマになっていると思われるから。
    アイナも、アライスも、イズガータもそれぞれの立場で負うべき責任を決して放棄しない。高貴な生まれ、とは行動により事後的に意味を持つものだということがよく分かる。

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    2025年06月01日
  • レーエンデ国物語 夜明け前

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    しんどい。夜明け前が一番暗い。
    どこまで苦しめば光が見えるのか。

    何気なく初巻をめくりました。
    『レーエンデの誇りのために戦う女がいた。
    弾圧と粛清の渦中で希望を歌う男がいた。
    夜明け前の暗闇に立ち向かう兄と妹がいた。
    飛び交う銃弾の中、自由を求めて駆け抜ける若者達がいた。(485頁)』

    壮大な物語、レーエンデの自由を思う心はずっと受け継がれてて胸が熱くなる。
    早くレーエンデに降り注ぐ光が見たい。
    最終巻が待ち遠しいです。

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    2025年05月27日
  • 夢の上2 紅輝晶・黄輝晶

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    アーーーディーーーーン!!!
    1巻の続きがこんな形で読めるとは。
    1巻より大人びた?雰囲気を醸し出すアーディン。
    そして彼らと同じ命運を辿らせたくないアーディンのダカールとシアラに対する態度。
    せつなすぎるぅぅぅ!!!!

    そして、忘れてはいけないハウファとアルティヤの物語。

    やっぱりこの作品は愛の物語なんだなぁ。

    最終巻はきっとツェドカがでてきますね。 物語の行末が楽しみです。

    2025.5.26
    110

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    2025年05月26日
  • 〈本の姫〉は謳う 4

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    改めて振り返ると壮大な物語かつアンガスの背負う運命が重いな…と思った。
    少々、癖がある物語かもしれないが一つ一つ整理して読めば大丈夫かと。
    最後の数行は多崎先生がおそらく私たちに向けて放った言葉かなと受け取りました。

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    2025年05月14日
  • レーエンデ国物語 夜明け前

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    人は大抵、これこそが正しいと思った行動を取ると思います。
    でもそれは相手によっては真逆になり得るんだな、と。
    結局は真に正しいことなど存在しないのかもしれません。
    だとすれば、自分がしていることをせめて自分だけは正しいと思えることをして生きていきたいですね。

    シリーズ通して夢中で読みました。最終巻楽しみです。

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    2025年05月07日
  • 煌夜祭

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    魔物と人間の愛のファンタジー。それを語り部が繋いでいく。最後の文庫本書き下ろし短編「遍歴」まで含めて、見事に全てが収斂していく。導入の1話から3話くらいはページを捲る手が、なかなか進まない。よくあるファンタジーの短編の寄せ集めなのかと、期待薄感が広がったが、突如散りばめられたピースがハマっていき、後半は一気読みに。見事な作者の手腕に唸った作品でした。

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    2025年05月03日
  • レーエンデ国物語 夜明け前

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    嫌味なく過去を回収して見事に完結。このシリーズに出会えたことに感謝。未来を知ったところでもう一度読み直し、過去に意味を与えたくなった。

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    2025年05月01日
  • これが最後の仕事になる

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    最初の一文目が同じアンソロシリーズ。お気に入りは、桃野雑派「「アイドル卒業」一穂ミチ「魔法少女ミラクルミルキー」岸田奈美「声」、そしてさすがすぎる米澤穂信「時効」。求めてる面白さ!の人もいればこんなのも書くの、な人もいるのが良き。

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    2025年04月29日
  • 煌夜祭

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    ネタバレ

    とても良かった、愛のお話だ
    人を食べていくことで、記憶を受け継いでいく、人を食べるという魔物の行為を、「愛」と呼ぶ、儚くて綺麗
    たしかに、私ももし自分が死ぬとして、私の愛する人が魔物だとしたら、その魔物に食べてもらいたいと思う。私の感情も想いも全部その人の中に溶け合うなんて、なんて素敵

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    2025年04月27日
  • 煌夜祭

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    ネタバレ

    物語の世界観に引き込まれた。
    まるで千夜一夜物語のように次の話は?物語の繋がりがあるのだろうか?気になって時間を忘れて読み耽ってしまった。

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    2025年04月21日
  • 〈本の姫〉は謳う 3

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    色々と繋がってきてあーーって感じ
    なるほどこれが伏線かぁとか
    もしかしたらこっちの展開?とか

    俺編とアザゼル編がいい感じに進んでいっている
    最終話が気になる!

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    2025年04月20日
  • だから捨ててと言ったのに

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    25編のショートショート集で、ちょっとした時間にも読み進める事ができて楽しかったです。
    全て『だから捨ててと言ったのに』の一言から始まり、そのあとは作者さんによって推理物になったり、ホラーになったり、感動物になったりと、ショートショート集なのにとても読みごたえがありました。
    知っている作家さんの作品には作家さんらしさが出ていて楽しめました。初めての作家さんの作品もあったので好みの作風の作家さんの他の話も読んでみたくなりました。
    このショートショート集をきっかけに読書の幅が広がりそうです。
    今回は第四弾目とのことで、前作も読んでみたくなりました。

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    2025年04月13日