多崎礼のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
美しくも残酷な大人のファンタジー。
前作がその残酷さが強かった為、心して読み始めました。
戯曲によって世界を変える革命の話。
章を重ねる度にまだ光はか細く、一章終わる毎にある一幕がまた登場人物たちの幸せを遠くさせるような気がしてならない。
しかしこの舞台の幕が上がった…ということは?
希望も見える中、また衝撃な言葉が降ってくる。
ある意味ミスリードされたような展開でしたが、少しだけ光が差してきた気がしますね。
人は貴賤上下問わずに時代を経て変わっていくものだ。
それがまざまざ見せられるのは何足る幸福だろうか。
歴史を変える一瞬だけではなく、多くの人や物事があって掴むものがあるのだと思い知ら -
Posted by ブクログ
ネタバレルーチェが残した犠牲法がレーエンデにさらなる陰を落とす時代。娼館保護法も生きているけど、何かしら告訴されてしまえば、レーエンデ人なら罪人としてほぼ決定してしまう。一巻から比べると、レーエンデからすっかり自由はなくなってしまったのだと痛感させられる状況。
そんな時代下、物語の主人公は劇作家のリーアンと、劇団座長のアーロウの双子の兄弟。リーアンが依頼をきっかけに、名前も忘れられた英雄テッサの物語を書き起こそうとし、その足跡を辿る。
帝国からの抑圧化の下にあっても、ちゃんとテッサの名前を、物語を、覚えている人がいた。その勇姿を受け継いでいた人もいた。そのことに希望も見える一冊。
もちろんという -
Posted by ブクログ
綺麗な表紙に惹き寄せられて手に取った一冊。
レーエンデという、神に見放された土地と評される地を巡る物語の第一幕。満月の晩に、レーエンデにのみ現れる銀の霧は、銀呪病という病のもと。そして発症すれば、長い年月をかけて100%死に至らしめる。
死病の恐ろしい発生源のはずなのに、その光景はとても美しい。木々の雫は結晶化して銀の粒に。安全な家の窓の外では幻魚の群れが泳ぐ。きっと目の前でそんな光景が広がれば、わたしは恐ろしさも忘れて、魅了されると思う。
勿論光景の美しさだけでなく、聖典と反対のことを唱えるウル族の伝承なども、この物語のポイント。
いつも前向きなヘクトルは、武勇だけでなく、その思考こそが -
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Posted by ブクログ
革命の話をしよう。
テンポも良く、刺激的な内容が続くので一気にのめり込みました。
人の正義は必ずしも自分の正義ではない。ガンダムも言ってる。夜明け前が一番暗い。結果は同じでもアプローチが違う2人のお話。
非情だが大きな目的には犠牲が必要なのかもしれない。
第1巻では、レーエンデの美しさををウル族を中心に。
第2巻では、全てを焼け野原に、ティコ族を中心に。
第3巻では、教育の大事さを、ノイエ族を中心に。
そしてこの巻で圧政を敷く側、イジョルニ人を中心に
レーエンデに関係する全ての民族人種が革命を押し進めていく。押さえつける側と押さえつけられる側、両者の力が合わさって初めて革命は達成する。 -
Posted by ブクログ
ネタバレ最初は才能があるない、双子ってそう言うことあるよねと単純に見ていた。
でも後半リーアンが、アーロウと打ち明けていくたびに考えが全く変わった。アーロウはリーアンの才能に羨望し、リーアンはアーロウの人望に羨望してた。身代わりになるリーアンに計り知れないほどの愛を感じた。
月と太陽とはまた違った感動で、今回は家族愛っていう感じだった。それにテッサのしてきたことは無意味じゃない。レーエンデの矜持はまだある!って思い知らされてた。すごく読みやすくて、展開がスムーズで気づいたら終わっていました。読むごとに感情移入しすぎて、次回も読むのが楽しみです! -
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