多崎礼のレビュー一覧
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前作から100年以上経ったレーエンデの物語で、登場人物は変わりますが所々に前作を感じられて面白かったです。
今回はテッサとルーチェ(ルチアーノ)の物語。
レーエンデの自由のために戦い続けたテッサと、そんなテッサを想い続けてくれたルーチェの幸せを願わずにはいられませんでした。
タイトルにある月と太陽は、ルーチェが月でテッサが太陽なのかな。でも登場人物それぞれに言えるのかも。
アレーテとキリルはお互いがお互いに月と太陽だと思うし、イザークが月ならキリルが太陽で、中隊長シモンが太陽ならテッサが月で、、、エドアルドが月ならばルーチェは太陽のような存在だったかもしれないですね。自分にとっての太陽がいな -
Posted by ブクログ
ネタバレ最初から最後まで面白かった。
これまで何度かオーディオブックでファンタジー小説を聴いてみたが、いつも途中で挫折していた。
だが本作は、かなり長く物事があまり進展しないところもあったにもかかわらず、不思議と最後まで飽きることなく聴くことができた。
世界設定や登場人物が魅力的でリアリティを感じることができたからかもしれない。
ビクトル・シュライヴァや法王アルゴ三世といった権力者は、名前は頻繁に出てくるものの直接登場はせず、背景のように描かれる。
そのような権力者たちの思惑や銀呪病の呪いが渦巻くレーエンデで、必死に前を向いて生きるユリア、ヘクトル、トリスタンの姿には心を打たれる。
トリスタンの最期 -
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ネタバレ正義と正義。全く同じ形をした普遍的な正義なんてものはありえない。誰かの正義は、誰かにとっての悪で、そうやって正義は変わっていってしまう。御子の子の解放のために、レーエンデ人を苦しめ、殺してまで、立ち上がらせるルクレツィアの正義が正しかったのか。あるいは、頑なに己の信念を曲げず真っ直ぐでありたいと願い続けたレオナルドが本当に正義だったのかは分からない。だけど、夜明け前が一番くらいのは確かだ。暗闇の中でふたりが見たいと願った未来は光だった。夜明け前のうっすらとした払暁の瞬間、そこだけが唯一、決して同じではあれない光と闇の交じわれる刹那だった。愛する兄から、唯一無二と特別として心臓を貫く銃弾を求める
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ネタバレ今巻はレオナルドとルクレツィアの愛と正義の話
個人的に、10人いれば10通りの正義がある、刺さった。あと、ペンは剣より強しでも俺は銃を選ぶ、このレオナルドの言葉に、ペンの強さを知ってるからこそあえてって言う覚悟が見えた瞬間に感じた。
話の中でユリア、テッサ、アーロウとリーアンの戯曲の話があるたびに涙が出そうになった。みんなが今までやってきたことは無駄じゃないんだなーってなんか懐かしくなった。
読んでる最中思ったこと、エールデの存在は完全に忘れてた。確かにあの時からそのままだったと気づいて鳥肌がたった。エールデのそばにいたカラスはトリスタンじゃなかったのかなとか思ったり、、
読み終わった時 -
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ネタバレ革命はレーエンデの民たちが団結しないと起こせない。けれど支配されることに慣れた彼らは、理不尽な圧政にも蜂起するどころか、諦観してますます従順になる。
ならば心を捨てて、徹底的にレーエンデを地獄に落とすことで革命の火種を起こそうとした皇女と、そんな彼女の意をくんで『英雄』を引き受けた兄の物語。
トリスタンの登場にめちゃくちゃ興奮した。そうだよね、ずっとエールデのそばにいるって言ってたもんね。過去作の主人公が介入してくる展開ってなんでこうも熱いんだろう。それはそれとしてエドアルドおまえ……
ラスサビ前くらい盛り上がってる。三百年かけて受け継がれてきた意志が、ようやく実を結ぶのだろう。次が最終回か -
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レーエンデ国シリーズ。第3部。読み進める度に評価が上がって来た。リーアンとアーロウ、双子の兄弟が共に目指し、運命を別つ。
レーエンデはテッサの思いが実を結ぶことなく沈黙の時代を迎えていた。自分の生活を守ることで精一杯で、革命の声も聞こえないものとしていた。
レーエンデが本物の自由を得るためには皆で立ち上がらなければならないのに。
ファンタジーであるが、物語が訴えるものは、まさに今の社会に通じていると感じた。
自分が平和に過ごせればそれでいいと思っていないか?見てみぬふりをしていないか?助けを求めている人がいるよね?
読んでいるうちに自分の無力さと臆病さ、行動力のなさに自己嫌悪にな -
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Posted by ブクログ
ネタバレレーエンデを巡る、自由と抑圧、そして革命のお話。
武力、芸術、の次は「情報」による革命を目指す辺りは、現実世界に類似するところがある気がした。無血の革命なんてほとんど存在しないけど、やっぱり今回も呼んでいて苦しくなる瞬間。
夜明け前が一番暗い。
確かにどんなに絶望的な状況でも、ひとは自分より酷い状況の人があれば、「あれよりはマシ」「逆らって、ああなってはいけない」と思う。だから犠牲法で人々を立ち上がらせようとしたルーチェの試みは「ウル族への圧政」「娼館保護法」によって叶うことは無かったのだなと、今更ながら思った。
戦は人を変えるとかよく言うけど、このシリーズでは、テッサたちよりステファノが体 -
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Posted by ブクログ
ネタバレ革命は失敗すれば悲惨だし、成功しても安定した統治ができるまで荒れて混沌とすることも多い。
今回も本当に苦しかった。
闘いの中で強く結びついた、命を預け合った仲間を櫛の歯が欠けるように失うさまは胸を突いた。革命の失敗は首謀者テッサの死を意味する。追い詰められる。
それでもテッサが自分を失わず命を全うしたことだけが、読み進める力になった。悲劇ではあったが間違いなく英雄だった。
しかし、民衆が立ち上がるまであと一つ届かなかった。ルーチェの言う通り、憎しみが絶望があと少し足りなかった。みんなが大局をみて英雄にはなれない。
ルーチェが残虐な法皇帝になったのは、法王庁への憎しみを醸成させるため、
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