柴崎友香のレビュー一覧

  • 待ち遠しい【毎日文庫】

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    立場も年齢も育った環境も違う、ただ性別が同じなだけの女性3人の話

    大きな事件や劇的な変化は起こらない淡々とした日々の、それでも確かにあるグラデーションや小さな起伏を描くのがとても上手い作家さんだなと思った。
    スッキリ解決!万事ハッピーエンド!みたいにはならない、なんとも言えないモヤモヤが全編通して漂っているんだけど、些細な情景や視点人物である春子の心情がとても細やかに描写されていて良かった。

    メインの一人である沙希は、私が彼女と同じかもっと若い年齢だったらめちゃくちゃイライラしただろうなと感じたので、これを読んだのが今の年齢で良かった。

    最初手に取った時、「なんだか平凡なタイトルだなぁ」と感じたけど、読み終えた今はこの話を貫く象徴的なタイトルだと思い直した。

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    2026年04月03日
  • 大阪

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    大阪を離れたことがない私にとって、外から大阪を語る柴崎さんの、程よい距離を感じる文章が心地よかった。

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    2026年04月03日
  • 週末カミング

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    ネタバレ

    起承転結がぼんやりした話が多くて
    終わり?と思うことが多かった

    音楽やフェスなどの描写があったので
    作者も音楽好きならいいなと薄い共感性を感じた

    各章も短いのでサクッと読める
    だけどなんかリアル感のない週末の描写が多く
    こういう人も居るよな〜 けれど 自分はそうそう!と強くうなずけなくって悔しい。

    今のところ好きな話は 地上のパーティー
    人間性が出ているから

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    2026年03月20日
  • 帰れない探偵

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    ネタバレ

    柴崎友香さんのエッセイを読み、どんな文章を書かれる方なのか興味があって読みました。

    結果、とても好きでした。
    今から10年後の話、というのも面白かった。
    寝る前に少しづつ読み進めるのにちょうど良かったです。
    途中、現実の世界にも通じるような描写が現れて、これは現実なのかな、物語なのかな、とよく分からなくなる感じも好きでした。
    結局、今私が見てる世界もそうだよな、と思ったり…本当に現実世界として実在してるのかどうかなんて分からない、見ようとしてることしか見れないよな、など考えながら読んでました。

    データで管理される世界も、もう少し先の未来という感じで、というかもう起こってることですかね。昔からの話す言葉と音楽やリズム、遺伝子というか染みついたものって消えずに残ってるよなーとか、
    やっぱりそこに動かされる何かがあるよな、そことの対比というか、そこら辺も面白かったです。言語化がうまくできてないですが… 

    帰れない探偵というのも物理的にも帰れない、自分の気持ちというか自分を創り出してきたものを忘れてしまうとか、そういう意味の帰れないもあるのかな?最後言われるがまま、何のためにやってるか分からないまま、指示通り動くところの苦痛感とか、今までの依頼での主人公の心情との違いもそういうことかな、と。そしたら、最後は物理的にもアイデンティティというかそういう意味でも自分を取り戻す瞬間になったのかな、そういうことなのかなと今書きながら思いました。

    私はやっぱり余白が多いというか、読んだあと色々こうだったのかな、とか考えられる話が好きみたいです。
    1回では少し理解できてないかもしれないです。
    もう1回読みたいなと思います。

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    2026年08月19日
  • 百年と一日

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    時代、場所、年齢、性別の異なる様々な人の暮らしの話が詰まった柴崎友香先生の短編集。
    その暮らしの主人公は自分かも知れないし、友達や親戚かも知れないし、全く知らない人かも知れない、、、。
    特別な事件や、大恋愛、不思議なことも起こらないけれど、おもしろい。物語になると、日常を舞台にしていても、変な登場人物が出てきたり、普段の生活からかけ離れた展開になったり、普段使わないような言葉運びになるなど、ちょっと誇張が生まれる。それが本のおもしろさでもあると思う。
    『百年と一日』は、誰かの日常をそのまま切り取って集めたという感じで、誇張や派手な装飾をしていない、それなのに、おもしろい。そこに柴崎先生の観察力や表現力の凄さがあると感じた。

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    2026年03月15日
  • わたしがいなかった街で

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    とても好き。何も起こらず、淡々と日々が流れていく。そんななかで、私が今ここにいること、について問うている。答えは出ないけれど、あちら側でもなく、今ここにいることに納得し、理解したい気持ちが自分と重なるところがあり、読んでいて心地良い時間だった。

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    2026年02月28日
  • わたしがいなかった街で

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    「自分は世界のことちゃんと考えてるって、思いたいだけかも。身近な人に何も出来ないことの穴埋めにしたいのかな。」
    →戦争やテロに興味の深い、人と関わるのが苦手な主人公。自分がなぜそういったことに興味あるのか考えた時のセリフに共感してしまった。
    死体に興味がある、みたいな変わったことがしたいだけ、刺激を求めてるだけみたいな人と本質は変わらないんだろうな。

    関わったことのある大勢の人たちの誰とも、これまで死ぬまで二度と会うこともないからさようなら、と言い合って別れたことはない。
    ~
    会えるかもしれない、と、わたしは思い続けることができる。会わなかった年月の分、年を取った彼らと。たぶんそれが、生きてる人と死んだ人の違うところ。
    →関わりのない人の方が多い、行かない場所の方が多い、読めない本の方が多い、知らないことの方が断然多い。この世界に生まれてきたのに不思議。

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    2026年02月22日
  • 遠くまで歩く

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    主人公は柴崎友香さん自身を投影しているような小説家
    コロナ禍でオンラインでの繋がりが活発になり、そこから自分の足元を見つめる物語

    オンライン講座の一人一人の発表はそれぞれの人生や生活、価値観が垣間見える
    実際に会ったことは無いのに身近に感じる不思議な感覚はこの過渡期に過ごしているからなのかも

    すごく身近に感じるのに講座が終わるとまた部屋に一人になり、完全な孤独では無いけど寂しさだったり取り残されたような感覚がすごく伝わった

    リアル講座だったらきっとまた違った雰囲気になっていたし、あの時だったから生まれた空気観や価値観は確実にあったと思うけど、個人的には慌ただしい時期にコロナ禍がぶつかっていたこともあって私もはっきりしない記憶が多い
    はっきりしない記憶も私の一部で持っていたいなと思った

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    2026年02月16日
  • 週末カミング

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    「誰かが目撃しなかったり気づかなかったりしたら、過去のそのできごとは存在しないのと同じなのか、それとも、誰も知らなくてもやっぱり存在したこと自体は消えないのか」(『週末カミング「ハルツームにわたしはいない」』より)
    どこかの街の誰かの週末の短編集。
    各話は繋がっていないようで、どこか繋がっているように感じた。日常の中で、常に思っていることではないけど、ふと時々考えることがあるような、ないような言語化の難しいことを登場人物達が伝えている。
    緩やかな流れの中で、癒されながら読めた。

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    2026年02月11日
  • 続きと始まり

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    日々は続いていって、ニュースとか出来事は日に日に忘れさられていって。でも当事者たちの心にはいつまでも残っている。
    毎日の中で何に心が動いていくのか。何気ない会話に出来事の中にどんな気づきがあるのか。

    あれだけ大変だった震災もコロナ禍も今では過去のことで、人間は本当に変化に適応しつつも恐れる生き物なんだなと思った。

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    2026年01月27日
  • 私の身体を生きる

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    テーマが性だからか、かなり赤裸々な内容が多く書き手たちの矜持を感じた。私は親しい友人であっても性に関する話をし合うことがないので、こういった本が存在してくれることそれ自体に感謝したい。
    男性からの目線、恋愛性に対する違和感や自分の体験について書いたものが多い印象で、それはその通りという内容なのだけれど、同時に女性の恋愛・結婚・妊娠出産・育児に対する幸せを語ることってもう許されないのだろうかという疑問も湧く。

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    2026年01月11日
  • ガールズ ファイル 27人のはたらく女の子たちの報告書

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    この本に書かれていることはぜーんぶ20代から30代前半の若い人たちのキラキラのはなしなんやけど、何回も読み返すくらい好きだったから久々に読み直したらやっぱり過去の出来事やなぁと思ってしまった。
    今は柴崎友香作品だと『かわうそ堀怪談見習い』を何回も読み返すなーとか考えてた。
    でもこの小説『毎日、寄り道。』の一番最初の『ケーキの上のいちご』ってはなしが好きで細かいランチのはなしとかいかりスーパーで買うケーキのはなしとか寒くて着てしまった黒のショートコートのはなしとかが心に残っている感じを確認する読み方をしてる。ここが好きだと思ってる読み方。読書って難しいな。でももう年齢的に恋愛ものはお腹いっぱいで面白く読めるものだけ読みたい。目が悪くなって余計思う。

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    2026年01月01日
  • 私の身体を生きる

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    面白かった。
    言葉にできなかった違和感が処理されていくようなエッセイたち
    女性として生きるって、嫌なこと理不尽なことあるけど、悪くないよなあと思えました

    痴漢や性被害みたいなことだけでなく
    日常的なコミュニケーションの中で感じる不快さとか違和感とか、そういうのある〜わかる〜みたいなのたくさんあったな
    これは男の人が読んだらどう思うんやろう?

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    2025年12月29日
  • ご本、出しときますね?

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    本好き芸人であるオードリー若林と小説家達とのトーク本。小説家であっても一人の人間。人の面白さから読みたくなった本が沢山ありました。
    書き手の面白さから本を手に取りたくなる一冊。

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    2025年12月16日
  • 本からはじまる物語

    購入済み

    読みやすい

    本屋の魔法使い。よかった。自分もこんな本屋の人に会いたいと思った。自分の好みの本を見抜いて勧められたり、欲しい本があるとすぐに取り寄せてもらえる。うらやましいな。

    #ほのぼの #共感する #エモい

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    2025年11月22日
  • 私の身体を生きる

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    いろんな視点、テイストがあって面白かった。『てんでばらばら』がお気に入り。
    しかし性被害者の多さよ。加害者が多すぎるし許されすぎてる。やめてくれマジで。『女であることを喜びながらも、女であることによる気持ちの悪い経験を排除していきたい』。マジそれな。

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    2025年10月28日
  • 私の身体を生きる

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    女性作家の自身の身体にまつわるエッセイ集。特に30,40代の今人気の作家さんたちだけを集めたというのが面白い。自身の身長について書かれている方もいたが、自ずと性にまつわる話が多かった。

    個人的に感動したのは村田沙耶香さんと能町みね子さん。こちらの感想で、女性なのに自慰について書かれている方が多くて引いた、という感想が少なくないのは正直ちょっと残念だなと思った。村田沙耶香さんは幼少期から行っていた自慰について、いやらしいものという周囲との認識の差に未だに慣れない、ということを書かれていたのだが、子供の頃の自分の王国という表現でその感覚について本当に美しい描写をされており、涙が出そうなほど感動した。現代の子供向けの性教育本を読むと、自慰は人前でオープンにするものではないがご褒美のようなもの、とあり、本来いやらしく汚らわしいものというより村田さんのような表現が正しいのではないかと思った。

    また、能町さんの文章は珍しく彼女が普段あまり公で書かれない自身のトランスジェンダーであることの葛藤が書かれており、普段の彼女の冷笑系の口調ではなく、本当に心の叫びという感じで涙が出た。さすが言語化能力に長けている方だけあって、「ノーマル」な人間への想いなど、初めてトランスジェンダーの心の片鱗のようなものを少し理解できたような気がした。

    それにしても、西加奈子さん始め、ほとんどの作家さんが若い頃に性被害を経験しているというのが恐ろしすぎる。言葉にするお仕事の方たちだからこのようにオープンにして下さったが、被害を言葉にできない人間がどれほどいるか(小さいものも含めたらもしかしたらほとんどの方かもしれない)と思い知らされた。 

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    2025年10月20日
  • 遠くまで歩く

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    ステイホーム期の小説家の一日を淡々と綴ったもの。いくらでも読めてしまいそうだったが、ちゃんと終わりが来た。好みでした。

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    2025年10月12日
  • 主題歌

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    ネタバレ

    中編程度の長さがある表題作と2作の短編「六十の半分」「ブルー、イエロー、オレンジ、オレンジ、レッド」を収録。

    「主題歌」
    「寝ても覚めても」や「フルタイムライフ」などと設定が似ている。いつもの柴崎友香らしさ全開。
    実加中心の三人称かと思って読むと、ときどき視点が揺らぎ、別の人物の心の中が語られたりする。意図的なのかどうなのか分からないが不思議な感覚である。
    女子を見て可愛がる女子たちが何人も出てくる。確かにそういう感覚ってありそう。逆に男子が同じように思うことはあまりなさそう。なぜだろうか。
    主題歌というタイトルは何だろうか。
    友人の結婚式で歌われた歌が、内容は会に合っていないが、歌っている本人は切実で、聞いている皆も良いと思っている。新婦も感動している。この歌がここで歌われたことは消えず、まるで主題歌のように皆の記憶に残っていく、ということだろうか。

    「六十の半分」
    30歳の登場人物たちが、親の年齢の半分だと思い、中学卒業時の倍だと思う。
    自分も、街行く高校生を見てはちょうど倍になってしまったなと感慨にふけったことがあった。40代までは何かの半分だなとギリギリ思っていられるけど50になったとたんに急にそうでなくなる感覚がある。

    「ブルー、イエロー、オレンジ、オレンジ、レッド」
    色を見つけきれなかった。

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    2025年10月04日
  • 百年と一日

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    僅か10ページ程度の掌編内で、印象深い一日があり、そして「時間が経つ」。としか言い表しようがない不思議な小説群。とても身近な感覚のような、一方でファンタジーのような独特の浮遊感。一枚の写真から多くの記憶や虚記憶が惹起されるような。「時間」というものを意識した時、無性に切ない気持ちになるのは、私がもう若くはないからだろうか。

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    2025年09月22日