柴崎友香のレビュー一覧
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立場も年齢も育った環境も違う、ただ性別が同じなだけの女性3人の話
大きな事件や劇的な変化は起こらない淡々とした日々の、それでも確かにあるグラデーションや小さな起伏を描くのがとても上手い作家さんだなと思った。
スッキリ解決!万事ハッピーエンド!みたいにはならない、なんとも言えないモヤモヤが全編通して漂っているんだけど、些細な情景や視点人物である春子の心情がとても細やかに描写されていて良かった。
メインの一人である沙希は、私が彼女と同じかもっと若い年齢だったらめちゃくちゃイライラしただろうなと感じたので、これを読んだのが今の年齢で良かった。
最初手に取った時、「なんだか平凡なタイトルだなぁ」と感じたけど、読み終えた今はこの話を貫く象徴的なタイトルだと思い直した。
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Posted by ブクログ
ネタバレ柴崎友香さんのエッセイを読み、どんな文章を書かれる方なのか興味があって読みました。
結果、とても好きでした。
今から10年後の話、というのも面白かった。
寝る前に少しづつ読み進めるのにちょうど良かったです。
途中、現実の世界にも通じるような描写が現れて、これは現実なのかな、物語なのかな、とよく分からなくなる感じも好きでした。
結局、今私が見てる世界もそうだよな、と思ったり…本当に現実世界として実在してるのかどうかなんて分からない、見ようとしてることしか見れないよな、など考えながら読んでました。
データで管理される世界も、もう少し先の未来という感じで、というかもう起こってることですかね。昔からの話す言葉と音楽やリズム、遺伝子というか染みついたものって消えずに残ってるよなーとか、
やっぱりそこに動かされる何かがあるよな、そことの対比というか、そこら辺も面白かったです。言語化がうまくできてないですが…
帰れない探偵というのも物理的にも帰れない、自分の気持ちというか自分を創り出してきたものを忘れてしまうとか、そういう意味の帰れないもあるのかな?最後言われるがまま、何のためにやってるか分からないまま、指示通り動くところの苦痛感とか、今までの依頼での主人公の心情との違いもそういうことかな、と。そしたら、最後は物理的にもアイデンティティというかそういう意味でも自分を取り戻す瞬間になったのかな、そういうことなのかなと今書きながら思いました。
私はやっぱり余白が多いというか、読んだあと色々こうだったのかな、とか考えられる話が好きみたいです。
1回では少し理解できてないかもしれないです。
もう1回読みたいなと思います。 -
Posted by ブクログ
時代、場所、年齢、性別の異なる様々な人の暮らしの話が詰まった柴崎友香先生の短編集。
その暮らしの主人公は自分かも知れないし、友達や親戚かも知れないし、全く知らない人かも知れない、、、。
特別な事件や、大恋愛、不思議なことも起こらないけれど、おもしろい。物語になると、日常を舞台にしていても、変な登場人物が出てきたり、普段の生活からかけ離れた展開になったり、普段使わないような言葉運びになるなど、ちょっと誇張が生まれる。それが本のおもしろさでもあると思う。
『百年と一日』は、誰かの日常をそのまま切り取って集めたという感じで、誇張や派手な装飾をしていない、それなのに、おもしろい。そこに柴崎先生の観察力や表現力の凄さがあると感じた。 -
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「自分は世界のことちゃんと考えてるって、思いたいだけかも。身近な人に何も出来ないことの穴埋めにしたいのかな。」
→戦争やテロに興味の深い、人と関わるのが苦手な主人公。自分がなぜそういったことに興味あるのか考えた時のセリフに共感してしまった。
死体に興味がある、みたいな変わったことがしたいだけ、刺激を求めてるだけみたいな人と本質は変わらないんだろうな。
関わったことのある大勢の人たちの誰とも、これまで死ぬまで二度と会うこともないからさようなら、と言い合って別れたことはない。
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会えるかもしれない、と、わたしは思い続けることができる。会わなかった年月の分、年を取った彼らと。たぶんそれが、生きてる人と死んだ人の違うところ。
→関わりのない人の方が多い、行かない場所の方が多い、読めない本の方が多い、知らないことの方が断然多い。この世界に生まれてきたのに不思議。 -
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主人公は柴崎友香さん自身を投影しているような小説家
コロナ禍でオンラインでの繋がりが活発になり、そこから自分の足元を見つめる物語
オンライン講座の一人一人の発表はそれぞれの人生や生活、価値観が垣間見える
実際に会ったことは無いのに身近に感じる不思議な感覚はこの過渡期に過ごしているからなのかも
すごく身近に感じるのに講座が終わるとまた部屋に一人になり、完全な孤独では無いけど寂しさだったり取り残されたような感覚がすごく伝わった
リアル講座だったらきっとまた違った雰囲気になっていたし、あの時だったから生まれた空気観や価値観は確実にあったと思うけど、個人的には慌ただしい時期にコロナ禍がぶつかっていたこともあって私もはっきりしない記憶が多い
はっきりしない記憶も私の一部で持っていたいなと思った -
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この本に書かれていることはぜーんぶ20代から30代前半の若い人たちのキラキラのはなしなんやけど、何回も読み返すくらい好きだったから久々に読み直したらやっぱり過去の出来事やなぁと思ってしまった。
今は柴崎友香作品だと『かわうそ堀怪談見習い』を何回も読み返すなーとか考えてた。
でもこの小説『毎日、寄り道。』の一番最初の『ケーキの上のいちご』ってはなしが好きで細かいランチのはなしとかいかりスーパーで買うケーキのはなしとか寒くて着てしまった黒のショートコートのはなしとかが心に残っている感じを確認する読み方をしてる。ここが好きだと思ってる読み方。読書って難しいな。でももう年齢的に恋愛ものはお腹いっぱいで面白く読めるものだけ読みたい。目が悪くなって余計思う。 -
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女性作家の自身の身体にまつわるエッセイ集。特に30,40代の今人気の作家さんたちだけを集めたというのが面白い。自身の身長について書かれている方もいたが、自ずと性にまつわる話が多かった。
個人的に感動したのは村田沙耶香さんと能町みね子さん。こちらの感想で、女性なのに自慰について書かれている方が多くて引いた、という感想が少なくないのは正直ちょっと残念だなと思った。村田沙耶香さんは幼少期から行っていた自慰について、いやらしいものという周囲との認識の差に未だに慣れない、ということを書かれていたのだが、子供の頃の自分の王国という表現でその感覚について本当に美しい描写をされており、涙が出そうなほど感動した。現代の子供向けの性教育本を読むと、自慰は人前でオープンにするものではないがご褒美のようなもの、とあり、本来いやらしく汚らわしいものというより村田さんのような表現が正しいのではないかと思った。
また、能町さんの文章は珍しく彼女が普段あまり公で書かれない自身のトランスジェンダーであることの葛藤が書かれており、普段の彼女の冷笑系の口調ではなく、本当に心の叫びという感じで涙が出た。さすが言語化能力に長けている方だけあって、「ノーマル」な人間への想いなど、初めてトランスジェンダーの心の片鱗のようなものを少し理解できたような気がした。
それにしても、西加奈子さん始め、ほとんどの作家さんが若い頃に性被害を経験しているというのが恐ろしすぎる。言葉にするお仕事の方たちだからこのようにオープンにして下さったが、被害を言葉にできない人間がどれほどいるか(小さいものも含めたらもしかしたらほとんどの方かもしれない)と思い知らされた。 -
Posted by ブクログ
ネタバレ中編程度の長さがある表題作と2作の短編「六十の半分」「ブルー、イエロー、オレンジ、オレンジ、レッド」を収録。
「主題歌」
「寝ても覚めても」や「フルタイムライフ」などと設定が似ている。いつもの柴崎友香らしさ全開。
実加中心の三人称かと思って読むと、ときどき視点が揺らぎ、別の人物の心の中が語られたりする。意図的なのかどうなのか分からないが不思議な感覚である。
女子を見て可愛がる女子たちが何人も出てくる。確かにそういう感覚ってありそう。逆に男子が同じように思うことはあまりなさそう。なぜだろうか。
主題歌というタイトルは何だろうか。
友人の結婚式で歌われた歌が、内容は会に合っていないが、歌っている本人は切実で、聞いている皆も良いと思っている。新婦も感動している。この歌がここで歌われたことは消えず、まるで主題歌のように皆の記憶に残っていく、ということだろうか。
「六十の半分」
30歳の登場人物たちが、親の年齢の半分だと思い、中学卒業時の倍だと思う。
自分も、街行く高校生を見てはちょうど倍になってしまったなと感慨にふけったことがあった。40代までは何かの半分だなとギリギリ思っていられるけど50になったとたんに急にそうでなくなる感覚がある。
「ブルー、イエロー、オレンジ、オレンジ、レッド」
色を見つけきれなかった。