柴崎友香のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
この本を読むとだいたいの女性はなんらかの性被害に合ってる、幼い頃から大人になるまでの期間で。
男性も性被害にあうこともあると思うけど、女性の比ではないだろう。
そういう危険にさらされながら生きるってどういことだろう。
そういう話しばかりじゃないけど「私の身体を生きる」というテーマで書くとなったらそこは避けられないことなんだろう。
特に西加奈子、柴崎友香、金原ひとみ、朝吹真理子、藤野可織、藤原麻里菜のは身につまされた。
千早茜の「私は小さくない」は共感。(そこまで激しく大きく強くなりたいとは思わなかったけど)
鈴木涼美の「汚してみたくて仕方なかった」はぶっとんでた。すごいアカデミックな環境だから -
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Posted by ブクログ
ネタバレはじめましての作者さん。
表題作は、終わり方が急ハンドルに感じて戸惑った。「糸」もだけれど、話を締めくくるタイミングが独特。
「見えない」では更に、どう捉えたらいいのかわからない光景が飛び込んできたところで話が終わってしまい、夢と現を行き来しているような心持ちに。
ここまで来たら、最後のお話はどう意表を突いた幕引きなのか?と期待していたら、すごく安穏に終わり、またも予想を裏切られた(笑)
一冊を通して、段々と作者のペースを掴み、どこか飄々とした作風が癖になってきた気がするので、他の作品も読んでみたい。
どのお話も建物や街の描写が印象的で、人の営みが見えてくる短編集だった。 -
Posted by ブクログ
ネタバレ自分の身体、この女の身体について色々考えたりすることが最近多くてなんかつらくて手に取った。女性たちが自分たちの身体のことや性のことを話すときなぜだか安心する。わたしもそう思っていると、同じように考えている人がいるというのはそういう安心材料になるんだと思う。どの書き手も性被害を受けている人が多くて本当に社会はクソだ…… 碌でもない人ばかりで、そのせいで自分の体を大切にできない女性がいたりするんだと知った。
わたしはもうずっと女しか子どもを産めないことが本当に許せないので、藤野可織さんの妊娠についてのエッセイは本当に本当にめちゃくちゃ凄いな〜と思った。妊娠出産の機能を持つのが女性だけである時点で -
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人の記憶や時間感覚は、思った以上に不正確なものであることを再確認させられる話。
「遠くまで歩く」というタイトルは、距離だけでなく記憶の中の遠く(=昔の記憶)まで遡って振り返ってみるということ。
本作では登場人物たちが身近な風景の写真と地図を基にして、そこにまつわる記憶や派生して考えたことを共有する会が開かれている。
記憶は記録しないと永遠に忘れ去られてしまうものも多い一方で、関連する映像や香りをきっかけに蘇ってくるものもあり、上述の会の参加者たちは改めてそのことに気付く。
それでも、その記憶が実は他の記憶と混ざっていたり、実は最初に思っていたより随分前の時代の出来事であったと気付くこともあ -
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若林さんは不思議な人だ。
めっちゃ自意識過剰で自己防衛本能が強くて、見栄っ張りでカッコつけ。本音は言わない。
だけどスッと人の懐に入ってくる可愛げもあるんだなぁ。
この本では、若林さんのそんな部分が遺憾無く発揮されていて、終始ほっこり見守る気持ちで読むことができる。
人が死ぬ本ばっかり読んでたアタマが癒される〜。
私が好きなのは、羽田圭介さん&藤沢周さんの回。
この回は、若林さんが話すボリュームも多くて、羽田さん、藤沢さんとの相性の良さを感じる。話してることもほどよくカタくて、良い意味で、男同士っぽい感じ。小気味よくてずっと読んでたい。一冊丸ごとコレでもいいなぁ。
あとは角田光代さん -
Posted by ブクログ
ネタバレ岸政彦さんの本はいつも読んでて本当に不思議な感覚に陥る感じがある
頭の中をスーンと何か静かなものが突き抜けて流れていくような感じ
流動的で普遍的〜連続性〜みたいな(自分で意味分かってないけど)単語が似合うような
登場人物に親しみを持って読んでいたら急にその人が消えるからさ、なんかそこで〜普遍的〜みたいなさ…分かってないけど…
柴田友香さんめっちゃ都会の学生生活で羨ましいんやけど…田舎って損だなあ
こんなに文化享受できなかったし行くとこなかったし暇だから時間は長く感じたよ
私こんな楽しそうな街一生知らないんだよなー
大学進学のときとか就職とかなんで出なかったんだろって後悔がまた湧いてくる
知 -
Posted by ブクログ
砂地に水が染み込むような文章。
シンボルスカの詩を中心にコロナ下の3人を描く。
阪神の地震と東北の地震の記憶。それぞれのおいたちの記憶。過去からのつながり。
その時々の自分の思いがたちのぼってくるが、
コロナから2年経過した現在、コロナの頃の記憶が朧げになってることに驚く。地震のころの自分はありありと覚えているのに。。これはなんなのかな?
シンボルスカの詩を読んでみたいと思った。
それから、世界は暗い方へ進んでる、という基調だったけど、そんなでもないよ、と言いたい。20年前に比べて、良くも悪くも世界の均質化は進んでる。それは良い面の方が多いんだよ。 -