柴崎友香のレビュー一覧

  • 待ち遠しい【毎日文庫】

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    久しぶりの柴崎友香さん。こんなコテコテ関西弁だっけと思いつつ、嫌いじゃないって、テンポ良くて物事が楽しくなっているって事。離れの見た目古い家の設定もいいかなあー、3人の掛け合いなんだけど、だんだんと仲が深まる訳ではなくて、ラストに春子がはっきり意思表示してる場面もあって、そこからどうこうする訳じゃない。天橋立旅行も沙希のむくれたしで、その後もゴタゴタして本音が黄色家に住む為にゆかりと上手く付き合うだけ、ドライだな、春子に押し付けた位を娘に?かなあーそんなでもないけど。事件のない無刺激の小説 こういうの好き

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    2024年02月15日
  • 寝ても覚めても 増補新版

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    ネタバレ

    描写の精緻さ、爽快さに対して周りの人間への淡々とした無関心さが凄まじい。ただし、麦をのぞく。
    主人公の目(さあちゃんずアイ)を通して見た話だと思えば、納得できるが、では主人公は何を考えて何をしてるのかほとんどわからない。
    彼女の選択した仕事や行動に対する心理描写はほぼわからない。わかるのは麦の外見や行動、表面に出るところが好きということだけ。
    その好きに至るプロセスもほぼわからない。最短距離で好きになるため、読者からすると理解できないため怖いとすら思う。
    しかし、周りの人間や環境、風景の描写は綺麗で巧みなため、周辺の細部は浮き上がるが、主人公は空白という形で浮かびあがってくる。
    浮かびあがって

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    2023年12月09日
  • 寝ても覚めても 増補新版

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    たんたんと凶悪
    小説としての完成度は恐ろしいほどに高い。だからこその読んでしまった後悔。なぜ手に取ってしまったのか。寝たら、覚めたらでいいんだよ基本は!

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    2023年12月10日
  • ご本、出しときますね?

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    本の内容はもちろん面白かった。
    それ以上に読んだことがない作家さんをたくさん知ることができたし、紹介されており本の中に読んでみたいものもたくさんあった。

    たまには意識的に新しい作家さんを開拓しないと読むものが偏っちゃうから。

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    2023年11月19日
  • 春の庭

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    ネタバレ

    「春の庭」あんまりよく分からなかった??展開は全く読めなくて面白かった

    「糸」父と息子の距離感が面白かった

    「見えない」職場の人との会話が面白い

    「出かける準備」これが一番好きかも。わかるよ

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    2023年10月06日
  • 週末カミング

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    いくつもの、色んな人の週末を記録した短編集。
    柴崎さんは、登場人物に絶妙な距離をおいた視点でいつも文章を書いてるように感じる。私にとって、こんなに描写から様子を脳内によく描けるものはなかなか無い。

    瀧井さんの解説が本当に言いたいことを代弁してくれてる。普通に生活するという一回性の連続に対して自覚的であることで、なんにもない日常、つまり人生の肯定につながる。
    言いたいことはまだまだあるけど、たまに読み返したいなと、思う。

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    2023年09月11日
  • ご本、出しときますね?

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    オードリー若林さんと作家さんの対談のような感じで進むテレビ番組の書籍化。 作家さんってなかなか面白い人がたくさんいるものだなと感じられるし、心の中はちょっと黒い人が多いのかなと。 そして、意外と作家さん同士って交流あるものなんだなと。

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    2023年04月16日
  • 待ち遠しい【毎日文庫】

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    一軒家の離れに住む春子39歳。その母屋に住むゆかり63歳。母屋の裏に住む新婚の沙希25歳。年齢も性格もバラバラな三人が知り合い、少しずつ付き合いが始まっていく。それぞれの暮らしや事情のなかで見えてくる価値観とそのズレ。そのズレを感じた時にどうするのか。その微妙な距離感が歯痒くもあるけれど深くないが故に時には心地いい。一人で生きていくことと、結婚して家庭を持つことの考え方の違いとか、身近なことが散りばめられていて読み応えがある。柴崎さんはあまり読んでこなかったけど他の作品も読みたくなるくらい印象的な物語。

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    2023年02月14日
  • ご本、出しときますね?

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    同名のテレビ番組の書籍版。対談番組なので普通の対談本として読める。内容は若林×小説家2人の対談。読んだことない人も多かったけどどの人も面白くてみんな読んでみたくなったし、小説家の皆さんのとがり方は自分とは違くて自分はやっぱ作家ではないな、とも思った。

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    2022年12月04日
  • ご本、出しときますね?

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    面白すぎてあっという間に完読。
    物書きの皆さんは日々何を考えてるんだろうって気になって仕方なかったので、得にしかならない!と鼻息荒めで読んだ。
    勉強になったのは、森鴎外の行き着いた哲学が
    【諦め】ということ。
    対談されていた作家さんの本や、処方された本など読みたい本が増えたので何を読んだらいいかわからない人にもオススメ。
    若林くん、佐久間さん、素晴らしい企画をありがとうございます。

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    2022年11月08日
  • フルタイムライフ

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    再読。やっぱりしみじみいい。15年以上前の本だけど全然古びてない。
    柴崎さんが描く物語は、夢が叶ってめでたしめでたしでもなく、思ってたのと違う無理ゲーだ、でもない。ほとんどの人が歩むその「どっちでもない人生」を、とてもていねいに、たくさんの花束を添えて、ほめたたえてくれる。

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    2022年02月25日
  • 千の扉

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    ある試験の問題で一部分だけを読んで、ぐっと惹かれた小説。
    都会の団地に関わる人たちの過去と現在が行き来して、ちょっと気を抜くと、これは誰のいつの話なんだっけ?と思ってしまう緊張感がたまらない。特に何か大きな事件が起こる訳でもないけど、日常ってそんなものだよな、とか、子供の頃はクラスの半分近くが団地に住んでいたけど、あの子たち、今はどうしているんだろう、などと思いを馳せながら読んだ。

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    2021年12月16日
  • きょうのできごと、十年後

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     きょうのできごとの2作目 今回も気持ちよく引き込まれてしまいました。
     流石にちょっと無理があるなぁ、と感じたり、辻褄が合ってるのかな、と心配になったりするところもありましたが、それも愛嬌。
     中沢君が振られた…は、読者をがっかりさせておいて、今後に続く…かな。
     どなたかが書いておられましたが、私を含め、この本が好きな人、面白いと思える人の感性に乾杯!したいです。

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    2021年09月17日
  • きょうのできごと 増補新版

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    面白かった。
    久々に面白い小説にめぐり逢えた気がする。
    大学生の頃のかわいさ、甘酸っぱさにあわせ、作者自身の、また作者を通しての登場人物の視線や視点にいちいち共感でき、その度にゾクッとするような心地よさを感じることができました。

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    2021年09月11日
  • 千の扉

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    ネタバレ

    「その街の今は」や「わたしがいなかった街で」の次は「マンモス団地小説」だった。
    戸山ハイツ、箱根山、がモデルなんだとか。
    ド田舎出身ゆえ、35棟、3000の部屋、7000人近く住んでいるというスケールを想像しづらいが、大友克洋「童夢」を思い出しながら読んだ。

    また、たまたま連続する団地の部屋というイメージから、黒沢清の作品群を断片的に連想したが、たぶん通底している。と思いたい。
    黒沢清は別アプローチから別手法で、記憶や時間について考えを深めると、幽霊に行き着くのではないか、と。
    「かわうそ堀怪談見習い」は企画ものではなく必然だったのだ、と事後的に考えることができた。

    つい黒沢清について書い

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    2021年06月03日
  • その街の今は

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    心斎橋あたりの話

    自分はその辺に住んではないけど、よく遊びに行ったりしていた場所なので、割と鮮明に想像できました。
    自分が読んでる今と比べると、小説の舞台になってる時代はたぶん15年くらい前かなぁ。既にこの小説の中の風景からは変わってるものもあって、こうやって街はどんどん変化していって、登場人物達の気持ちを実際に未来の自分が追体験できたような気がした。

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    2021年05月17日
  • 週末カミング

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    ・棚に並ぶ、大きさの不揃いなたくさんの本は、わたしが読めないことがいっぱい書いてある。(53:蛙大路とハリウッド)
    猛禽類のようにぴゅうっと滑空してとらえるのか、一度木に留まってからつついてくるのか、そしてあんな小さなものをどうやって見つけることができるのか、自分は知らないことばかりだと思った。(70:つばめの日)
    ・目に見えたものは「見失った」と言うけれど、耳に聞こえたものは何で言うんだろう。(122:海沿いの道)
    ・皆、大阪の食べ物を食べていた。ここも大阪でいいんじゃないかと思った。(226:ハルツームにわたしはいない)
    ・もしかしたら、真ん中で黙っているけいなら、わたしの感じていることが

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    2021年05月29日
  • パノララ

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    「遠慮すんな。ビール好きだろ。そういう顔してる」(44)
    現実に違いないのに、少しずつずれて、欠けたり、重なったりしている風景。今この同じ場所で、同じ瞬間に、私と絵波が見ている風景を画像にして並べたら、それぞれ別のところがずれた、違う場所みたいなパノラマになっているだろう。(547)
    それが始まりだとは私はまだ知らず、公園は三月で日曜で午後二時だった。(1)

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    2021年05月04日
  • パノララ

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    ネタバレ

    本の題名 パノラマ→パノララ

    途中1日が何度も繰り返す日が主人公に続く
    繰り返すというのが強調されていた。

    繰り返しの中でも、思うことや毎日起こる同じ出来事に対して、主人公の見方は少しずつ変わっていく。
    自分の見方によって、見る人の視点によって
    世界は少しずつ違っているのかな。

    恋人と別れた時に、お互い見ていた世界が違っていたんだなあと思ったことを思いだした。



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    2020年12月02日
  • 虹色と幸運

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     三人称多元視点の小説であることの仕組みと効果は本文庫の解説に述べられていて、割合と正当な批評ができるていると思ったから、その事に関しては特に言うべき事がない。相変わらず本作も技巧は冴えているように読めた。
     
     日常を書いた小説、と誰もが雁首揃えて言うのだけど、日常の描き方にも種類がある。ただただ波風が立たなくて退屈しそうなくらいで、だけど平和で幸福な日々を淡々と書く作家に第三の新人にカテゴライズされる庄野潤三という大物がいるが、柴崎友香はそれと正反対だ。波風が立ちまくりである。
     事件というほどでないが、比較的平穏な描写から急にシリアスな緊張感の支配するシーンになる、ということが本当によく

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    2020年10月14日