柴崎友香のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
この本には二通りの読み方があるように思う。
本の構成としてインタビューを元に綴ったものと、そこから膨らませた物語の部分があるのだが、そのことを言っているのではなく、インタビューを受けている「普通の」(但し、柴崎友香が言うように普通の中にこそ、それはそれは面白いエピソードが埋もれているのだけれど)人々の語る話に視線を向けるのか、あるいは、柴崎友香がインタビューの中で何を感じているのかに視線を向けるのか、という二通りである。
掲載された雑誌がハナコ・ウエストということもあってだろうけれど、柴崎さんは彼女自身の持つ素の普通面白パワー全開という訳にはいかなかったのかも知れないけれど、柴崎友香フ -
Posted by ブクログ
立場も年齢も育った環境も違う、ただ性別が同じなだけの女性3人の話
大きな事件や劇的な変化は起こらない淡々とした日々の、それでも確かにあるグラデーションや小さな起伏を描くのがとても上手い作家さんだなと思った。
スッキリ解決!万事ハッピーエンド!みたいにはならない、なんとも言えないモヤモヤが全編通して漂っているんだけど、些細な情景や視点人物である春子の心情がとても細やかに描写されていて良かった。
メインの一人である沙希は、私が彼女と同じかもっと若い年齢だったらめちゃくちゃイライラしただろうなと感じたので、これを読んだのが今の年齢で良かった。
最初手に取った時、「なんだか平凡なタイトルだなぁ」 -
Posted by ブクログ
時代、場所、年齢、性別の異なる様々な人の暮らしの話が詰まった柴崎友香先生の短編集。
その暮らしの主人公は自分かも知れないし、友達や親戚かも知れないし、全く知らない人かも知れない、、、。
特別な事件や、大恋愛、不思議なことも起こらないけれど、おもしろい。物語になると、日常を舞台にしていても、変な登場人物が出てきたり、普段の生活からかけ離れた展開になったり、普段使わないような言葉運びになるなど、ちょっと誇張が生まれる。それが本のおもしろさでもあると思う。
『百年と一日』は、誰かの日常をそのまま切り取って集めたという感じで、誇張や派手な装飾をしていない、それなのに、おもしろい。そこに柴崎先生の観察力 -
Posted by ブクログ
まるで外国の絵の中に入ってしまったような、とても不思議な体験ができました。
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なぜ〈帰れない〉のか?でモヤモヤします。このモヤモヤはたとえば、「新しいビルが建ったけど、以前そこに何があったのか思い出せないあの感じ」によく似ています。
だとすると、これはもう、〈帰らなくていい〉のでは…?と思えてきます。
《どこに行っても音楽がある。音楽があればそこに居場所がある気がする。》p116
ラストで主人公は青春時代のある歌を歌いながら走ります。
《帰る場所がなくても、音楽のある場所にはしばらくいていいのだ。音楽が続く限りは。》同
主人公は歌い続けることで〈帰れない〉探偵から〈帰らない〉探偵にな -
Posted by ブクログ
読売文学賞受賞、というのと、本の帯の"最高!"という言葉に惹かれて読みました。
全く読んだことのない作家の最初の一冊として、とても興味深いタイトルでもあり、読んでみてとても面白かったです。
タイトルの通り、家を見失って帰ることができなくなった探偵、とはいえ普通の女の子ぽい主人公で、時制がいちいち10年後、と書かれているので今いる立ち位置がいつ、どこなのか、謎が少しずつ織り交ぜられていて、探偵の仕事で街を移動する毎に章が変わって話の雰囲気をガラリと変えてくるので、次の展開が楽しみなお話でした。
10年後に忘れていたら、また読みたくなるかも知れません。