柴崎友香のレビュー一覧
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この本には二通りの読み方があるように思う。
本の構成としてインタビューを元に綴ったものと、そこから膨らませた物語の部分があるのだが、そのことを言っているのではなく、インタビューを受けている「普通の」(但し、柴崎友香が言うように普通の中にこそ、それはそれは面白いエピソードが埋もれているのだけれど)人々の語る話に視線を向けるのか、あるいは、柴崎友香がインタビューの中で何を感じているのかに視線を向けるのか、という二通りである。
掲載された雑誌がハナコ・ウエストということもあってだろうけれど、柴崎さんは彼女自身の持つ素の普通面白パワー全開という訳にはいかなかったのかも知れないけれど、柴崎友香フ -
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女性作家の自身の身体にまつわるエッセイ集。特に30,40代の今人気の作家さんたちだけを集めたというのが面白い。自身の身長について書かれている方もいたが、自ずと性にまつわる話が多かった。
個人的に感動したのは村田沙耶香さんと能町みね子さん。こちらの感想で、女性なのに自慰について書かれている方が多くて引いた、という感想が少なくないのは正直ちょっと残念だなと思った。村田沙耶香さんは幼少期から行っていた自慰について、いやらしいものという周囲との認識の差に未だに慣れない、ということを書かれていたのだが、子供の頃の自分の王国という表現でその感覚について本当に美しい描写をされており、涙が出そうなほど感動し -
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ネタバレ今から10年くらいあとの話。
世界探偵委員会連盟に所属する私は、自分の生まれ育った国を離れ、とある国、急な坂のある街で探偵事務所を開設する。
だが、不意に発生した大規模停電を境にその事務所へ続く路地を見つけることが出来なくなり帰れなくなってしまう。
そこから寝床を転々とし、国を転々とし、あの日去った国、あの日去った街に思いを偲ばせながら探偵業に勤しむ日々を送る。。
何だこの読み心地。
SFかのような不思議設定、不思議展開を据えつつ、時、場所、人名の断定は徹底的に排除。
唯一無二のふわふわノスタルジックストーリー。
探偵が主人公なので、それなりに事件というか事案は発生するのだけれど、正直「探 -
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ネタバレ祖国、自宅、が無くなってしまい文字通り帰ることができなくなった探偵。
地元に根付いた仕事をしつつも、根無草の探偵
定期的にどこか縁もゆかりも無い場所へと異動し、またそこでも泥臭い探偵業を行う。
世界は大きく変わるのに、主人公はふわふわとしたまま流れに身を任せて生きてゆく。
どこか憧れる生き方。
でも帰る場所のある安心感があるからこそ、私たちはこちら側から傍観できているだけなのかもしれない。
大きなオチは無いけれど、世界は、組織は歪みながら進んでいる、そして主人公も少しずつ自分を捉え始めようとしている。けれどそれはまだ10年後のお話。
非常に読みやすく、流れるように体に言葉が入ってくる。とても -
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ネタバレ中編程度の長さがある表題作と2作の短編「六十の半分」「ブルー、イエロー、オレンジ、オレンジ、レッド」を収録。
「主題歌」
「寝ても覚めても」や「フルタイムライフ」などと設定が似ている。いつもの柴崎友香らしさ全開。
実加中心の三人称かと思って読むと、ときどき視点が揺らぎ、別の人物の心の中が語られたりする。意図的なのかどうなのか分からないが不思議な感覚である。
女子を見て可愛がる女子たちが何人も出てくる。確かにそういう感覚ってありそう。逆に男子が同じように思うことはあまりなさそう。なぜだろうか。
主題歌というタイトルは何だろうか。
友人の結婚式で歌われた歌が、内容は会に合っていないが、歌っている