柴崎友香のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
本当に何気ない風景と生活なんだけど、それが描写次第でこうも読めるものになるのかと思う。毎日が、本当はすごく面白くって素敵なもの。そう教えてくれる作者さん。2つ話が入ってますが、どちらも良い。特に、「エブリバディ・ラブズ・サンシャイン」は良い。いっつも眠い自分には、なんだかひどく身近に思える話。寝ないって目標立てるけど、やっぱり寝てしまって自分に言い訳。そんな人、結構多いんじゃないかなと思う。そんなダメダメな日常でも、辛い事が少しあっても。一日一日はいつもそこにあって。悪い事ばっかりじゃないよって。この話が、そう教えてくれてるような気がする。
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Posted by ブクログ
この本には二通りの読み方があるように思う。
本の構成としてインタビューを元に綴ったものと、そこから膨らませた物語の部分があるのだが、そのことを言っているのではなく、インタビューを受けている「普通の」(但し、柴崎友香が言うように普通の中にこそ、それはそれは面白いエピソードが埋もれているのだけれど)人々の語る話に視線を向けるのか、あるいは、柴崎友香がインタビューの中で何を感じているのかに視線を向けるのか、という二通りである。
掲載された雑誌がハナコ・ウエストということもあってだろうけれど、柴崎さんは彼女自身の持つ素の普通面白パワー全開という訳にはいかなかったのかも知れないけれど、柴崎友香ファンの身としては、インタビューされている女性の話(それはそれでとても面白いのではあるけれど、どこか覗き見趣味的な諧謔性を感じずにはいられないのも事実)よりも、柴崎友香がその話を聞いて述べる少しとぼけた感じのする語り口の方が、やはり面白い。
後半に掲載されている物語たちは、柴崎友香色に染まってはいるものの、何とかエピソードを救ってあげたいという気持ちの方が勝っていて、彼女の、言葉を紡ぎ出す力を信じるモノとしては、もっと無の状態の彼女の内から浮かび上がってきた言葉を目にしたいという気にもさせられる。
ひょっとして前半のインタビューが無くて、一つ一つの話の間のリンクがもっと時間軸の中で繋がっていたら、また違う印象なのかも知れないとは思うけれど、雑誌を出版した方としては形に残すことに拘ったんだろうな、とも思う。でも、そもそもこの企画、柴崎友香に何か刺激を与えて出て来るものを見てやろうという意図があったのではないのかなあ。それを信じて本にすればよかったんじゃないのかな。
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Posted by ブクログ
短編で不思議な話や心温まる作品などたくさん入っていて楽しいアンソロジーでした。
作品の色が出ていて読んでいて楽しかったです
飛び出す、絵本 恩田陸
十一月の約束 本多 孝好
招き猫異譚 今江祥智
白ヒゲの紳土 二階堂黎人
本屋の魔法使い 阿刀田高
サラマンダー いしいしんじ
本棚の片隅から 柴崎友香
読書家ロップ 朱川 湊人
バックヤード 篠田 節子
閣魔堂の虹 山本 一カ
気が向いたらおいでね 大道珠貴
さよならのかわりに 市川 拓司
メッセージ 山崎 洋子
迷宮書房 有栖川有栖
本棚にならぶ 梨木香歩
23時のブックストア 石田衣良
生きてきた証に 内海隆一郎
The Book Day 三崎亜記 -
Posted by ブクログ
ネタバレそういえばそんなことあったね、なんて
20代、真紀とけいとと中沢の知り合いたちとの夜のなんてことない時間、ドライブ、家での飲み会、少し質の悪いいたずら、夜の散歩、どれも「そんなことあったね」とまるで私の過去のように入り込んでくる。懐かしい時間。
2000年発行。スマホがなくて時間の進みがゆっくりです。もうスマホがない環境はノスタルジーを感じることなんですね。
大学時代の、サークルの夜の忙しなくない帰り道、名前も顔ももう思い出せない子たち、懐かしいなぁ。
続刊『きょうのできごと、十年後』はいつ読もうかなぁ。楽しみ。
柴崎さんの文章はどうしてこうも登場人物と私の溶け込み簡単なのか…のヒントは解説(保坂和志さん)にありました。なるほど。 -
Posted by ブクログ
憂いを帯びた題名とモダンな表紙で、書店で見かけても普段だったら選ばないタイプの作品。YouTube動画をきっかけに知って手に取りましたが、いつもと違った貴重な読書になりました(*‘ω‘ *)
『今から十年くらいあとの話。』
各章この文章で始まるんですが、読み終わった今でも、はっきりとした時間軸が定まらない状態です。結局何処から数えた未来の話だったのでしょうか…。それでもこの冒頭と、地名や人名が徹底して伏せられた独特の作風にだんだんと引き込まれていきます。傘をささない町、夏は夜にならない町、砂漠が隣接する開発都市……具体的な名前は書かれていないのに知っている国が浮かび、現実の台風ニュースと「天候を操作する企業・スノコルミー社」が重なって妙なリアリティを感じました。一時拠点の浮遊感、はっきりと見えないけど感じる不穏さ、情報社会の怖さを突いた内容が心に残りました。
『「どこに行っても、都合のいい情報は入ってくるし、実際のことと間違ったことと歪められたこととごちゃまぜになった情報もどんどん流れてくる。わたし自身もすでに、そんな情報の一部になってるんですよね。それだけでもほんとうにどうしたら良いのかって途方に暮れますけど、どこかの意図とか悪意をも超えて、まだ誰もわからない、取り返しのつかないことが起きてくるのが、怖いって」-歌い続けよう-』
2026.9 -
Posted by ブクログ
「世界探偵委員会連盟」に所属する「わたし」は、ある日突然、探偵事務所兼自宅の部屋に帰れなくなった。“帰れない探偵”が激動する世界を駆け巡る7編。
それぞれ「今から十年くらいあとの話。」という一文から始まる7編の探偵物語。
登場人物はみな仮名。
帰れない探偵・急な坂の街で(仮名は一之瀬、二宮など漢数字縛り)
知らない街のように・急な坂の街で2(仮名は三田、四元など漢数字縛りその2)
雨に歌えば・傘を差さない町で(仮名はオードリー、ドナ、デイルなどツイン・ピークス縛り)
探す人たちは探しものを見つける・夜にならない夏の街で(仮名は水田、金本、火野など5行思想のエレメント縛り)
空の上の宇宙・太陽と砂の街で(仮名は青木、赤井、黒田など色縛り)
夢には入れない・雨季の始まりの暑い街で(仮名はユズリハ、アケビ、ツバキなど植物縛り)
歌い続けよう・あの街の空港で(仮名なし、強いて言えばナンバー752や1153などの探偵登録番号)
ひとたび飛び立てばもう戻れない母国の空港。
まさにそこで搭乗を待っている私が、十年くらいあとの話を語るスタイルが興味を引く。
天候を操る技術を開発した(かもしれない)スノコルミー社との絡みも面白さを付け加えていて、ミステリっぽさも楽しめる。
仮名の縛りとかも好みでした。 -
購入済み
YouTubeにて
他の方同様にオススメされていたので拝読
確かに新しくて心良い作品
シリーズ化されたら継続して読んじゃうかも? -
Posted by ブクログ
戦争のビデオをただただ観続ける主人公(?)の砂羽の行動とその内面に最初は戸惑い、不気味な小説だと感じていた。
しかし、読み進めていく中で少しずつ芸術作品としての小説が、その構造から見えてくる。
ある場所で、ある時間に、ある人がそこにいることの偶然性及びいなかった可能性とその世界線の世界について、様々な場面で考え続ける砂羽。
なぜそのことについて考えるのか、砂羽にすらわかっていない。ただ、誰かとそのことについて話したいと思っていて、しかしうまく話せない、うまく理解してもらえない。
主人公は自分という存在の不確実性について、過去の事実に思いを巡らすことによって実感している。
また、葛井夏という砂羽の大学時代の友人の妹が小説内に登場するが、2人は出会うことはない。
しかし、夏の身に起きた出来事はしっかりと語られる。そして、その出来事は砂羽と夏の兄との友人である中井という人物が媒介することで砂羽に伝達される。
「砂羽がいなかった街で」、違う時間を過ごす二人。
砂羽が考えていたことが『わたしがいなかった街で』という作品世界の中で描かれることによって、この小説は言葉によって織りなされた芸術作品と見事になっている。
不思議で少し不気味な小説世界と新鮮な読書体験ができるいい小説だと思います。