柴崎友香のレビュー一覧

  • 帰れない探偵

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    「今から10年くらいあとの話」で始まる、家に帰れなくなった探偵の物語。
    どこの国かも明言はされずに進む物語。
    不思議な登場人物に不思議な出来事。
    今でもなく、過去でも遠い未来でもない。
    10年あとという少し先の未来の話。
    この小説の少し不思議な雰囲気は「今から10年くらいあとの話」だからこそ描けたのではないかと思う。
    惹きこまれる素晴らしい小説。

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    2026年03月20日
  • 帰れない探偵

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    住んでいた事務所が見つからず帰れなくなった探偵。世界探偵委員会連盟からの依頼で様々な国に派遣されるうち母国にも帰れなくなる。ずっと地に足のついてない不思議な雰囲気が漂い、読んでる自分も主人公と共にいろんな国をさすらっているような感覚がとても心地良い。

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    2026年03月19日
  • 大阪

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    ネタバレ

    素晴らしかった。心がずっとぎゅっとなりながら読んだ。若者ことばでいうエモい、ってこんか感じなのだろうか。

    岸さんの書く文章を読むとなぜかちょっと泣きそうになる。文章の合間にほろ苦さと痛みと優しさの中間みたいなものが溢れていて読んでいる間じゅう胸がいたい。自分も育ってきた時代の大阪(私は市内じゃなく府、だけど)を一緒に辿りながら、自分の子ども時代や若いときのことを思い出した。

    特に柴崎さんとは歳が一個違いとあって、消費してきたポップカルチャー、お笑い、テレビ、映画など、懐かしくて、今から思うと豊かな時代だったんだなと思う。東京に来る海外のコンサートや美術展も大阪に巡回する頻度が目に見えて減っ

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    2026年03月19日
  • 帰れない探偵

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    余計な言葉がいらない、とにかく心に染みるとても良い小説だった。ふとした時に読み返したくなる生涯手元に置いておきたい気持ちがとても分かった。

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    2026年03月01日
  • 帰れない探偵

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    日曜版書評で興味を持ったので読む。
    連作短編集。ジャンルを規定するのが難しいちょっと不思議な作品。結局何の話だったんだろうと思うが、そう思うことも野暮なんだろう。

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    2026年02月27日
  • 帰れない探偵

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    近未来のような、パラレルワールドのような。
    sfのような、幻想小説のような。
    思い出への郷愁とテックファシズムの組み合わせ、辺境への眼差しで、社会問題を扱っているような。
    ここではないが、あそこでもない。なぞなぞのような、でも答えがない。
    心許なさをこれほどまでに描けるのがすごい。好き。世界を旅した気分にもなれる。個人的には、物語が進む後半よりも、前半の望洋とした感じが好み。たぶん香港とアイルランドかな。

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    2026年02月25日
  • 帰れない探偵

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    10年後世界がどうなっているかと言う近未来もの。主人公は探偵だがやってることはスパイにも思える。物語はいきてかえりしなので感動的だが、焚書を逃れるサタイアとも読める。

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    2026年02月12日
  • 大阪

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    ノスタルジックなんだけど感傷的でなく、見たまま、感じたままの普段通りの昭和の大阪への、じんわりとした愛を感じる。
    大阪に限らず故郷はそういうものなのかもしれない。でも私も大阪人のため共感するところ多く、最後のひと言まで丁寧に噛み締めたエッセイでした。

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    2026年02月03日
  • 帰れない探偵

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    人は帰ることは出来ないのだと思う。
    似たようなところに行くことは出来るけれども。

    私が「わたし」になった解像度の高い夢を見ていたような気がした。
    本を読み始めると眠くなるという現象を体験したことのなかった私なのに、読みながらうとうとしてしまった。
    決して退屈な物語ではなかったのに。

    世の中で起こっていることの全ては何が本当のことなのか分からない。
    自分のことでも分からないし、他者になんてもっと分からない。
    それでも自分はここにいて、他者もいて、それぞれなすべきだと思ったことをなして、ここではないどこかに行く。
    ただそれだけのこと。

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    2026年01月25日
  • 私の身体を生きる

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    女性として生きて来た中での、著名&人気作家さんたちが悩みを赤裸々に綴られた連載が一冊に。

    自分が女性でいることを肯定するために背中を押してくれるような内容だった。

    無神経な数多の男性達に加害されてきた傷への癒し 自分だけではなかった、という、女友達と行ってきた、経験を分かち合って貰えることへのありがたみ

    女性の身体の不安 妊娠や性行為、体調不良、弱さ
    見た目への若い頃の過剰な拘り、ジャッジされることへの抵抗感と迎合

    まるっと。

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    2025年12月07日
  • 私の身体を生きる

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    「私の身体」を「生きる」とは何だろう。いや、「私の身体」とは何だろう。そもそも、「私」とは何だろう。
    各作家たちの切り口は様々だが、みな共通しているのが、己という存在を不可欠に構築するこの肉体というものの生物的な役割にも社会からの眼差しにもかなり戸惑い、苦しみ、受け入れたり受け入れられなかったりしながらどうにか生きている点で、強く連帯感を持ちながら読んだ。

    痛ましさを感じたのが、執筆陣の女性たちはほぼほぼみな性被害の経験がある点。私にもあるし、私の友人たちもほとんどあると思う(学生の頃、痴漢が話題になったとき、その場にいた10人ぐらいのなかで痴漢に遭ったことがない子は1人しかいなかったことを

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    2025年12月04日
  • 百年と一日

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    様々な時間と場所にまつわる短編集。
    名前があったりなかったりする人々の、日々の断片が静かに描かれている。感情の描写はほとんどないのに、行間から彼らの思いや孤独、希望のようなものが滲み出してくる。
    淡々とした筆致の中に確かな熱を感じる、まさに柴崎友香の真骨頂。
    傑作だった。

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    2025年10月30日
  • 大阪

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    ネタバレ

    岸さんと柴崎さん、そして私にとっての大阪

    大学進学を機に大阪に住み始めた岸さんと、三十二歳になる直前まで大阪に住んでいた柴崎さん。

    「わたしにとっては、大阪を書くことは、自分の生きてきた時間と場所と、関係のある人を書くことに、どうしてもなってしまう。」(P16)

    柴崎さんは大正区の南の果てご出身、私は大阪市の北の果てに住んでいた(身内に美容師がいるのも同じ)ので「ああ、こういう感じだったなぁ」というところと「南のほうはそうだったんだ」という答え合わせのようでとてもとても興味深く…私が実家やその周辺で子供だった頃、柴崎さんも柴崎さんの場所で子供だったんだなというノスタルジーも感じつつ読みま

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    2025年10月20日
  • ご本、出しときますね?

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    BSジャパンのテレビ番組の書籍化。オードリー若林さんがMCする番組が好きな自分にとっては、読み進めてると声が聞こえてきそうな錯覚に陥った。作家の知らない一面が見えてとてもおもしろかった!読んだ章の中では村田沙耶香さんの変人度が群を抜いていた笑

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    2025年10月15日
  • 百年と一日

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    34篇からなる本作は、見知らぬ人が繰り広げる何気ない日常の数々から構成されている。
    思い出の街角や生まれ育った故郷など様々な場所が時間の経過と共に姿を変えていくが、人々の記憶や何らかの名残となって今もその土地に根を張り続けている事に、浪漫を感じた。
    また、章のタイトルが人の人生を客観的に書き連ねている様で興味深い。
    一見何の変哲のなく思える日常が、タイトルの後に本文を読むと、寂しさや愛おしさが込み上げてくる。
    線と点を一度に感じるような「百年と一日」という題名がピッタリの作品だった。

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    2025年10月09日
  • 本からはじまる物語

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    全体的にかなりのショートショートで18人の作家で有名な作家も取り揃えて234ページとは、かなりお得感がある。
    そして、それぞれが書店や貸本屋、本にまつわる出来事を綴っていくのはおもしろかった。

    本を読むのが苦手な人もこのくらいの短さであれば読むのも楽なのかなと思った。

    個人的には下記が印象に残ったが、
    それぞれの作家さんがこんな短い話しにきちんと自分の色を出しているのはすごいと思った。

    十一月の約束 本多孝好
    サラマンダー いしいしんじ
    読書家ロップ 朱川湊人
    閻魔堂の虹 山本一力

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    2025年10月05日
  • 続きと始まり

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    「続きと始まり」(柴崎友香)を読んだ。

    やっ!柴崎友香、ただ者ではないな。
    『帰れない探偵』を読んだ時の衝撃が忘れられずに他の作品も読みたくなったのだが、これはまた素晴らしい。

    しみじみと読んでしまう。
    西と東の大震災の、新型ウィルスの、ゲリラ豪雨の、過ぎ去った後であったり、最中であったり、その時その時の普通のひとたちの普通の生活を大仰にではなくさらりと描く。だけどその視線は細やかで核心を射抜く。

    ああ、確かに、《の前の続き》は始まっているんだよな。何かが少し(でも確実に)違っているんだけれどさ。

    以下、引用する。

    「どうすればよかったのかわかるのは、いつもそれが過ぎたあとだよね」(

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    2025年10月05日
  • 大阪

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    この本を読んで以後、良くも悪くも大阪に住んでるだけで、常にノスタルジーを感じさせてくれることになってしまいました。たぶんおそらく僕は生まれてから死ぬまで大阪から離れることはなさそうです。

    出身の中学校はクラスの数も減り、所属していた部活はなくなり、僕も生まれて見てきた20年ほどで大阪の様相が随分変わってきました。もうあとしばらく経つと跡形もなくなってしまうんじゃないかと寂しすぎる気持ちです。

    好きな関西の作家さん。岸さん、柴崎さん、西加奈子さん、塩谷舞さん、これからも増えていきそう。みんな関西弁を愛してる気がして。文字で読む関西弁はどこか小っ恥ずかしくて、可愛い。

    西さんの解説の&quo

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    2025年09月22日
  • 私の身体を生きる

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    様々な『自分の』性との向き合い方について書かれている。メタ的な性との向き合い方でないのは、女性の作家たちだからだと思う。
    女性も誰かの性を搾取することもあるだろうが、しかし圧倒的に搾取される側であり、自分の生命と性とが紙一重に近い存在だと思い知る。
    アンソロジーの最初の島本理生さんの作品が個人的ににとても響いた。
    なぜ自分の性と向き合うだけで傷ついてしまうのか。男性も同じなのだろうか。傷ついたことを思い出さないで自分の性について語れる人間がいるならば、どんな人生なのか知りたいと思う。

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    2025年09月20日
  • かわうそ堀怪談見習い

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    確かにそれは怖い、怖さとはこういうことだと何回かぞくりとしました。怪談は日常の中に偏在していそうです。

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    2025年08月24日