柴崎友香のレビュー一覧

  • フルタイムライフ
    割と古い会社の話。というか、会社に勤めるということのお話。
    こういう社会のシステムに怒るというのもアリなんだけれど、そうじゃなくてその中で自然体に生きていくというのもまた生き方のひとつ。
    ほどほどに、けど潰れない程度に全力で。
    超幸せなエンディングだった。スキップしちゃいそう。
  • 春の庭
    映画で時々見かけるドリーのような手法とでも言うのか、あるいは今風のドローン撮影のような感じと言う方が良いのか、視点が緩やかに変わっていくのに感覚的について行けず一寸苦労しましたが、巻き戻して(言い方が昭和…)再度読み直すなどすると慣れました。内容はともかく、豆腐への収斂がとても面白く印象的でした。
  • つかのまのこと
    あたたかい、さみしい、せつない、、、色んな感情を抱きながら読みました。
    1人で静かな部屋で読むと、すっと入り込んできました。
  • きょうのできごと、十年後
     映画になった「寝ても覚めても」を観て、「きょうのできごと、十年後」(河出文庫)が気になり始めて、買ったはずなのか、買ったつもりなだけなのか、どこを探してもなかったので新刊を買ってきて、まず、読んだ。すると、2000年に出て、映画も、たしか見た「きょうのできごと」(河出文庫)が気になって探すと、これ...続きを読む
  • 公園へ行かないか? 火曜日に
    世界には、自分の生まれて育った国とは全く違う歴史や文化背景を持つ国がたくさんあるということを知識として知っていることと、他の国へ実際に赴いてそこで生まれて育った人とのコミュニケーションを通して理解することは次元の違う話なんだと思った。
    残念ながら私は日本以外の国の歴史や文化に触れてみたいという好奇心...続きを読む
  • 青空感傷ツアー
    私の好みから言うと、こういうゆるふわガーリーな筋はむしろ苦手だ。
    が、柴崎友香に限定して、惹かれてしまうものがある。なぜだろう。

    一見、音生という奇矯なキャラクターや、旅先のきれいな風景、が読みどころに感じられるかもしれない。
    そういう表面的な読み方で満足することもできる、のだろう。
    が、私は柴崎...続きを読む
  • 寝ても覚めても 増補新版
    朝子は優柔不断でひどい人かもしれないけれど、恋愛の局面でそういうのが出てこないだけで、誰にでも(私にも)そういうずるさはあるだろうから、朝子のことを責められないなぁ…と思った。誰に何を言われても、何もかも失っても、自分を貫く強さを見習いたいと思う。
  • 寝ても覚めても 増補新版
    何でこんな映画を観たのだろう、とまず思いました。
    一人でどこか遠くへ行きたくて、久しぶりに何か映画を観に行こうと決めました。
    映画は内容は本当に何でもよかったので、当てずっぽうでこれにしました。
    内容を知っていたらむしろ観なかったと思います。

    ストーリー云々より、主人公たちは、みんな若くてきらきら...続きを読む
  • 寝ても覚めても 増補新版
    主人公・朝子の視点を通した物語であり、それ以外の描写は一切出てこないので、読み続けるうちになんとなく嫌な気持ちが生まれて、読み続けるのがしんどくなる。が、あえてこの作風を評価したいとわたしは思います。

    解説でラスト30ページくらいからの弩級の衝撃がすごいと書かれていたけれど、感覚的に言うと爆弾の紐...続きを読む
  • つかのまのこと
    とても淡々と進んでいく、東出昌大さんの写真多めの本ですが、好きでした。
    今日も東出さんが出演されている落語の番組を見ていたので、一人称のこのお話が東出さんの声で再生されました。
    短いお話なのですが、光と不思議な時間の流れがあります。
    幽霊の「わたし」のこれからをぼんやりと考えてしまいます。
  • つかのまのこと
    東出君をモデルとした小説。異色、というが『騙し絵の牙』も同じようなものかと思ってた。まだ読んでないけど。
    東出君がとにかく好き。だからぜんぜんいいんだけど、
    いまいち、小説と写真がズレている気がする。かっこいいからいいけど。別物感が...かっこいいからいいんだけど。
  • 寝ても覚めても 増補新版
    途中まで読んで、映画観て、そして読み終えた。総括感想としては、映画と小説は表現手法において同じではないってこと(当たり前ですが)。すなわち映画も独立して面白く(そうでなくっちゃ!)、小説もなんかこう不思議ワールドに引き込まれる感じで読んでいてとても心地よかった。(鉛筆線いっぱい引いたよ。) 内容に関...続きを読む
  • その街の今は
    大阪の事が大好きな事がよくわかる本でした。
    心斎橋近辺の事を少しでも知っていると細かい情景が浮かんでくるし一気に読めた。
  • 公園へ行かないか? 火曜日に
    柴崎友香が2016年にアイオワ大学のインターナショナル・ライティング・プログラム(IWP)に参加したときの経験を描いた連作短編集。言葉と思考、多様な国から集まる作家たち、アメリカの食べ物、文化、歴史、そして大統領選挙。読みながらまるでそこにいたような気持ちにさせられ、いつの間にか著者と同化する感覚を...続きを読む
  • その街の今は
    柴崎友香らしい作品。やはり舞台は大阪。
    飽きずに最後まで読み進められた。
    良太郎との関係が気になるけれど、はっきりさせずに終わらせるところがまた良いと思った。

    終盤のお好み焼き屋さんの場面が好きだなぁ。
    「智佐はうれしそうでおいしそうで楽しそうだった。」
    すごく好きな一文。微笑ましい。
  • 週末カミング
    解説で瀧井朝代が言うように、確かにどの作品にも「生の一回性」を意識する瞬間がある。
    だからこそいまここにいる自分、自分がいないどこかやいつかに思いを馳せる。
    場所。時間。記憶。取り返せない過去。他人になれない自分。
    それらを「無理なく思う」のが柴崎友香の作風なのだろう。
    大雑把に言えば作中で行われて...続きを読む
  • パノララ
    普通より少し波乱に満ちた人生と、それぞれに少し不思議な能力をもつ三兄弟の家に間借りすることになった主人公。主人公もまた複雑な過去を持ち、他人との距離感をつかめずにいる。一番共感したのはその主人公の、優しさや冷静さや諦めを含みながら周りを観察するその視点。自分やまわりを客観的に見つめながらも、思う通り...続きを読む
  • 春の庭
     難解な作品だな、というのが感想。
     途中までは何も起こらない、だけど何も起こらない故の面白さみたいなものが感じられて、スイスイと読み進められたのだが、作品の終盤近く、視点が三人称から「太郎」という登場人物の姉に唐突に変わってからは、作品の様相がガラリと変わってしまったように感じられた。
     視点...続きを読む
  • 走る?
    14人の新進気鋭の作家たちが、Number Doに寄稿した「走ること」に関する短編集。走る気になる作と、ならない作があるが、作家さんたちがランナーという訳ではないので仕方ない。でも、その著者なりの「走る」ということの考え方がなんとなくわかり面白かった。
  • 春の庭
    何気ないことが気になって仕方がないという経験は誰しもあろう。しかし何気ないものを追って、ここまでシュール且つ人間味あふれるドラマを作りだした経験はそうないはず。庭の眺望。しかも「春」という限定付き。発想がいい。